著者
関川 修司 長尾 泰孝 辰巳 菜津子 大西 直樹 小林 紀明 原田 義規 前田 利郎 丸山 恭平 岡上 武
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.583-586, 2003 (Released:2008-02-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

症例は, 17歳, 女性. 黄疸と全身倦怠感を主訴に受診した. 肝胆道系酵素の著明な上昇を認めたが, 各種肝炎ウイルスマーカー, 抗核抗体などはすべて陰性であった. 梅毒血清反応強陽性で, 扁桃梅毒, 足底にバラ疹を認め, 二期梅毒と診断した. 早期梅毒性肝炎を疑い, amoxicillin(AMPC)内服を開始後, 肝機能検査値, 黄疸, 梅毒症状は速やかに改善した. 肝生検所見も早期梅毒性肝炎に矛盾しないものであった. 早期梅毒性肝炎で黄疸の出現する例は少なく, 若干の考察を加え報告する.
著者
山崎 岳之 鈴木 珠実 上出 直人 石井 麻美子 南部 路治 清水 忍 前田 真治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0493, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】姿勢保持課題には、体幹を安定させるための体幹筋力と体重心の動揺を最小限にする静的バランス能力、さらに体重心の変位を適切に修正する立ち直り反応が必要である。しかし、姿勢保持課題に対するこれらの因子が、それぞれ独立した因子なのか関連した因子なのかは明確ではない。本研究では、体幹筋力、静的バランス、立ち直り反応の各因子間の関連性を検討することを目的とした。【対象】整形外科的疾患や神経学的疾患、ならびに7日間以上継続した下肢痛と腰痛を有さない健常女性30名(平均年齢21.3歳)を対象とした。【方法】体幹筋力の測定には、ハンドヘルドダイナモメーター(Hoggan Health, MICRO FET2)を用い、徒手筋力テストの肢位で腹直筋と脊柱起立筋の筋力を3回ずつ計測した。静的バランス能力の測定には、重心動揺計(Mアニマ,G5500)を用い、前方1m先の指標を注視させながら、軸足での片脚立位を60秒間を3試行し、総軌跡長と矩形動揺面積を算出した。さらに、立ち直り反応の測定には、下記の外乱刺激発生装置と1軸(前後方向)加速度計(日本光電,TA-513G)を用いた。外乱刺激発生装置は、台車上に椅子を固定したもので、台車の後方にはロープで10kgの重錘を滑車を介して吊した。被験者を固定した椅子の上に座らせ、重錘を高さ170cmより鉛直方向へ不意に落下させることで、被験者は後方から前に瞬時に押されるような外乱を発生させることができる。外乱刺激に対する立ち直り反応を頭部に取りつけた加速度計で3試行計測し、外乱刺激発生から500ms間の各方向への頭部加速度ピーク値とピーク値までの時間を算出した。なお、被験者の体重によって、外乱のエネルギー量は変化するため、台車上に重錘を載せて負荷が一定になるよう調整をした。また、外乱刺激の同定のために台車の軌道上の床面に荷重センサーを設置した。統計処理には、計測した3試行のデータを平均化し、体幹筋力、静的姿勢保持能力、立ち直り反応の関連性を被験者の体重を制御変数とする偏相関を用いて解析した。また、体幹筋力の測定値の再現性は信頼係数アルファを用いて検討した。なお有意水準は5%とした。【結果】体幹筋力の測定値には再現性が認められた(α=0.9436)。有意な相関が認められたものは体幹屈曲筋力と総軌跡長(r=-0.56)、更に体幹伸展筋力と矩形動揺面積(r=-0.38)、外乱刺激後の前方への頭部加速度ピーク値(r=-0.48)および後方への頭部加速度ピーク値(r=0.43)に有意な相関が認められた。【考察・結語】体幹筋力が弱い程、静的バランス能力は低下する傾向にあり、また立ち直り反応も低下する傾向にあると考えられた。一方、静的バランスと立ち直り反応には相関は認められなかった。従って、体幹筋力が姿勢保持課題に大きく寄与している可能性が示唆された。
著者
蘇日塔拉図 外山 寛 小杉 剛 木竜 徹 林 豊彦 飯島 淳彦 前田 義信 山崎 健
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.98-105, 2010-02-10 (Released:2010-11-17)
参考文献数
17

Visually induced motion sickness is one of the detrimental effects of video images on human psychosomatic state. Several studies for alleviating this effect have been cumulated in recent years. One of the studies reported that people with high heart rate tended to be immune to the motion sickness. This fact motivated us to assume that the increase of subjects' heart rate through physical exercise before video watching could prevent them from the motion sickness. Then we investigated the effects of video exposure with such pre-exercise on the motion sickness. First we recorded psychosomatic state of 23 volunteers using the simulator sickness questionnaire (SSQ) before and after watching extremely unpleasant video images of a mountain-bike ride capable of visually inducing motion sickness. Then we classified them into nausea and non-nausea groups, based on SSQ evaluation. Subjects' heart rate in nausea group increased gradually during video exposure, while that in non-nausea group was nearly constant. By imposing a 5-minute pre-exercise on 12 subjects in nausea group before video exposure, 10 subjects became immune to the motion sickness, demonstrating that the pre-exercise would be efficient for alleviating the motion sickness. In addition subjects' heart rate in nausea group remained at a higher level during video exposure than at rest, whereas it returned to the rest level immediately after the pre-excise without video exposure.
著者
前田 菜摘 浅田 匡
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-23, 2019 (Released:2019-07-08)
参考文献数
24

校内研修は,学校研究として共同的な探求機会を提供するが,その参加や学校研究が追求するテーマに対する理解の深まりが個々の教師の変容にもたらす影響についてデータを用いて明らかにした研究はほとんど見られない。そこで本研究では,若手教師2名を対象に1年間の追跡的なインタビューを行い,共同的な探求活動の参加者の1人として校内授業研究に参加することが自身の学びにもたらす影響について明らかにすることを試みた。インタビュー内容をテーマによって分類整理し,その後,それぞれの言及の間の関係性について考察した。結果,両者の学びは異なる特徴を有していたものの,ともに学校の研究テーマへの理解と自身の実践とが関係しあう様相に対する言及が見られた。この結果は,学校研究という探究的な活動に参加することと個々の教師の成長のプロセスが表裏一体であることを実証的に示すものである。
著者
松浦由生子 石川大樹 大野拓也 堀之内達郎 前田慎太郎 谷川直昭 福原大祐 鈴木千夏 中山博喜 江崎晃司 齋藤暢 大嶺尚世 平田裕也 内田陽介 佐藤翔平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【目的】近年,膝前十字靭帯(ACL)再建術後の再断裂例や反対側損傷例に関する報告が増えている。我々もサッカー選手において反対側損傷率が高いことを報告したが(谷川ら,2012),その詳細については未だ不明な点が多かった。そこで本研究ではACL再建術後に反対側ACL損傷を来たしたサッカー選手の詳細を検討し,その特徴を報告することを目的とした。【方法】対象は2003年1月から2012年10月までに当院にて初回ACL再建術を行い,術後1年以上経過観察しえたスポーツ選手612例(サッカー選手:187例,その他の競技選手:425例)とし,それぞれの反対側損傷率を比較した。さらに,サッカー選手187例を片側ACL損傷173例(男性151名,女性22名:片側群)とACL再建術後に反対側ACL損傷を来たした14例(男性11名,女性3名:両側群)に分けて,片側群と両側群の比較を行った。検討項目は,①初回受傷時年齢,②初回受傷側,③競技レベル,④競技復帰時期,⑤術後12ヶ月のKT-2000による脛骨前方移動量の患健差(以下,KT患健差),⑥術後12ヶ月の180°/s,60°/s各々の膝伸展・屈曲筋力の患健比(%)とした。なお競技レベルはTegner Activity Score(TAS)にて評価し,筋力測定には,等速性筋力測定器Ariel(DYNAMICS社)を使用した。また,両側群(14例)を対象として初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較を行った。項目は①コンタクト損傷orノンコンタクト損傷,②オフェンスorディフェンス,③相手ありorなし,④ボールありorなしとした。なお,相手に合わせてプレーをしていた際を「相手あり」とし,相手に合わせず単独でプレーをしていた際を「相手なし」とした。統計学的分析にはSPSS Ver.20.0(IBM社)を使用した。サッカーとその他の競技の反対側損傷率の差,片側群と両側群の初回損傷側の比較にはχ2乗検定を用い,その他の項目はWilcoxonの順位和検定を用いて比較した。さらに両側群の初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較にはMcNemar検定を用いた。有意水準5%未満を有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】対象者に本研究の趣旨を説明し,書面にて同意を得た。また当院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】反対側ACL損傷率はサッカー選手7.49%(14例),その他の競技選手3.29%(14例)であり,サッカー選手が有意に高かった(p=0.02)。片側群と両側群の比較において,初回受傷時年齢は片側群28.5±9.5歳,両側群26.7±8.7歳(p=0.32)であった。初回受傷側に関しては,右下肢受傷が片側群49.2%,両側群64.3%で2群間に有意差を認めなかった(p=0.82)。TASは片側群7.5±1.0,両側群7.9±1.1(p=0.12),競技復帰時期は片側群9.3±2.0ヶ月,両側群9.6±2.0ヶ月(p=0.56),KT患健差は片側群0.0±1.2mm,両側群0.5±0.8mm(p=0.14)であった。膝筋力の患健比は180°/sでの伸展筋力が片側群87.2±15.3%,両側群86.4±10.0%(p=0.62),屈曲筋力が片側群88.2±18.9%,両側群87.8±14.8%(p=0.56),60°/sでの伸展筋力が片側群84.4±19.5%,両側群86.6±10.8%(p=0.98),屈曲筋力が片側群86.6±18.2%,両側群91.6±11.5%(p=0.32)でありいずれも有意差を認めなかった。両側群の受傷機転において,初回受傷時では相手あり4名,相手なし10名であったのに対し,反対側受傷時で相手あり11名,相手なし3名であり有意差を認めた(p=0.02)。その他の項目に関しては有意差を認めなかった。【考察】本研究においてサッカー選手がその他の競技選手と比較し,有意に反対側損傷率が高いことが示された。多種目の選手を対象とした先行研究での反対側ACL損傷率は約5%と報告されているが,本研究でのサッカー選手の反対側損傷率は7.49%であり,やや高い傾向にあった。両側群の受傷機転に関しては,初回損傷時よりも反対側損傷時の方が,相手がいる中での損傷が有意に多かった。サッカーは両下肢ともに軸足としての機能が要求される競技であるため,初回再建術後に軸足としての機能が回復していないと予測困難な相手の動作への対応を強いられた際に,反対側損傷を起こす可能性が高まるのではないかと推察した。以上のことから,サッカー選手に対しては初回ACL再建術後に対人プレーを意識した予防トレーニングを取り入れ,軸足としての機能回復や予測困難な相手の動きに対応できるagility能力を高めておくことが反対側ACL損傷予防には重要であると考えた。【理学療法学研究としての意義】本研究では,サッカー競技におけるACL再建術後の反対側ACL損傷は対人プレーでの受傷が多いという新しい知見が得られた。サッカーに限らず,反対側ACL損傷率を減少させるためには,スポーツ競技別に競技特性や受傷機転などを考慮した予防トレーニングを行っていくことが重要であると考える。
著者
梅野 博仁 千年 俊一 前田 明輝 上田 祥久 松田 洋一 栗田 卓 末吉 慎太郎 中島 格
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.95-102, 2010-10-30 (Released:2010-12-10)
参考文献数
15
被引用文献数
4

喉頭外傷新鮮症例56例の検討を行った。医原性喉頭内損傷症例は除外した。性別は男性39例,女性17例,年齢は6歳から77歳までで,中央値は30.5歳であった。喉頭外傷の原因はスポーツ事故15例,交通事故13例,過失11例,自殺企図9例,労働災害7例,喧嘩1例であった。新鮮症例の内訳は開放性損傷8例,鈍的損傷44例,化学熱傷3例,熱傷1例であった。鈍的損傷についてはTroneらの重症度分類の問題点を挙げ,治療指針となる新しい重症度分類を提案した。
著者
瀬戸山 央 根本 正之 前田 良之 Setoyama Ou Masayuki Nemoto Yoshiyuki Maeda
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.57-63,

ミズゴケ属植物(Sphagnum)を用いた水質浄化の可能性を検討するため,リン酸濃度を0~1.6mgL^-^1に調整した培養液でオオミズゴケ(Sphagnum palustre L.)及びアオモリミズゴケ(Sphagnum recurvum P.)を90日間水耕栽培し,その生長量,成分組成及び水耕液からのリン吸収量を調査した。栽培終了時,オオミズゴケおよびアオモリミズゴケの草丈はそれぞれ,水耕液中のリン酸濃度0.1~0.8mgL^-^1および0.1~0.2mgL^-^1の範囲で20mm以上の値を示した。一方,両品種とも1.6mgL^-^1のリン酸濃度で草丈伸長は阻害され,栽培終了後の乾燥重量は最も低い値であった。植栽密度(m^2あたりの個体数)×乾物重量(個体あたりの乾物Kg)×植物体中リン含有量(mgKg^-^1乾物)から算出した単位面積あたりのミズゴケのリン吸収量(mgm^-^2),および酸性ホスファターゼ活性は,水耕液中のリン酸濃度が高まるにつれて両品種ともに増加した。また,水耕液中にリン酸が存在する場合,リン酸濃度に関わらず細胞膜H^+-ATPase活性は10~13μkatalmg^-^1 proteinの範囲にあり,ミズゴケは積極的に細胞内にリンを取り込んでいることが示唆された。以上の結果,ミズゴケ属植物の生育に最適なリン酸濃度は0.1~0.2mgL^-^1であり,1.6mgL^-^1のリン酸濃度条件下で生育は抑制されたが,リン酸を吸収し体内に蓄積できた。従って,下水2次処理水や河川,湖沼及び湿原にみられるリン酸濃度1.0mgL^-^1程度の低濃度リン酸汚染水の浄化にミズゴケ属植物が適応可能であることが明らかになった。
著者
細矢 直基 前田 真吾
出版者
芝浦工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

生体組織の病変を早期に発見するために,生体組織を外部から加振し,その際の応答を核磁気共鳴画像法 (Magnetic Resonance Imaging: MRI) により,生体組織に伝播する波動を可視化し,その弾性率を評価する方法として,Magnetic Resonance Elastgraphy (MRE) が検討されている.しかし,広範囲な弾性値を持つ様々な生体組織に対応するためには,十数Hz~数十kHzまでの広帯域な周波数成分を含む入力が必要であるが,加振器のような接触式デバイスでは非常に軟らかい生体組織に対して広帯域な周波数成分を含む入力を作用させることができない.本研究では,所望の音響放射パターン(指向性)に単一デバイスで制御できる,直径数mmの大きさの誘電エラストマーアクチュエータ (Dielectric Elastomer Actuator: DEA) を用いた音源デバイスを創成する.平成29年度は,風船型球面DEAを実現した.柔軟電極をカーボンブラック,誘電エラストマーをアクリル系とし,空気圧により膨らませることで球面DEAとした.この風船型球面DEAスピーカの形状を計測したところ,真上から見た形状は直径15 mmの円,真横から見た形状は長径15 mm,短径12 mmの楕円であった.膨張前の薄膜DEA(円板)の面積が78.5 mm^2,風船型球面DEA(楕円殻)の表面積が2459.2 mm^2であるので,3033 %拡大することに成功した.また,この風船型球面DEAの音響放射特性,振動特性を計測することで,音源デバイスとして有効であることを検証した.さらに,音響放射特性と風船型球面DEAスピーカの振動モード形との関係を調べた.
著者
矢竹 一穂 秋田 毅 中町 信孝 本間 拓也 前田 重紀 水越 利春 河西 司 阿部 學
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P3053, 2004

新潟県十日町市珠川の林地、開放地、道路が混在し、連続した林分と分断・孤立した林分が分布する地域におけるリスの分布と林分の利用状況について、給餌台の利用状況調査とテレメトリー法により調査した。発信機を装着した4個体の夏_から_秋季の行動圏には1)連続した林分を利用、2)分断・孤立林分内で完結、3)複数の分断・孤立した林分間を移動して、利用する3タイプがみられた。車道上の轢死事例があり、孤立林分間の移動の延長として、今後も道路横断の可能性が考えられる。
著者
前田 憲孝 神田 鉄平 岩本 咲 尾高 里美 貝原 美由 金安 真央 斉藤 有衣 深町 沙紀
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3+4, pp.26-32, 2018 (Released:2019-06-27)
参考文献数
16

手術時手洗い時に使用する手洗い方法・製剤による消毒効果・手指の皮膚に与える影響の違いを検討した。その結果、擦式手指消毒剤の種類、手洗い方法にかかわらず、手洗い直後、4時間後共に明らかな消毒効果が認められた。手洗い方法による皮膚の保湿性の違いは認められなかったが、フォーム状製剤の方が、ジェル状製剤に比べ手洗い2時間後の時点での保湿性に優れていた。利便性、費用、皮膚への影響等を総合的に判断すると、フォーム状製剤を用いたウォーターレス法は手術時手洗いとして非常に有効な方法であると考えられた。
著者
岡田 仁志 甲斐 司 前田 温子 瀬尾 明裕 尾崎 賢 坂上 貴光 横井 宏佳 宮原 茂
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.124-129, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
23

【要旨】血液透析(HD)患者は動脈硬化症のリスクが健常人に比して高いとされている.足関節上腕血圧比 (ankle brachial pressure index:ABI) は動脈硬化症のスクリーニング検査として重要であるが,その 0.9 未満の症例において栄養障害と動脈硬化の関連した病態を有する症例の多いことが報告された.HD 患者 29 名を対象に ABI を測定し,geriatric nutritional risk index (GNRI) を含めた種々のパラメータとの関連について検討した.ABI は栄養指標の GNRI,Alb,body mass index (BMI)(τ=0.39,0.31,0.25)や糖尿病,WBC,CRP,LDL-C(τ=0.27,0.27,0.24,0.21)と相関を認めた.HD 患者において ABI は各種栄養指標との関連性を認め,特に GNRI と密接な関連があることが示唆された.各種栄養指標の中で,GNRI は ABI と最も強い相関を認め,GNRI が動脈硬化症の病態を反映する 1 つの指標となりうると考えられた.
著者
山田 協太 前田 昌弘 村上 和 布野 修司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.607, pp.71-78, 2006
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

This paper intends to clarify block formation and house types of Wolvendaal, Colombo, Sri Lanka, and analyze their transformation process. The research on which this paper is based is the further study of the project called 'Field Research on Origin, Transformation, Conversion and Conservation of Urban Space of Colonial Cities', which the major targets are Dutch colonial cities all over the world. Further to this project, comparing colonial cities in South Asia, in terms of spatial formation and transformation is the ambitious objective of this research. Another purpose is to elucidate the Dutch way of houses construction in their colonial cities, where in Wolvendaal, Dutch developed the form of town houses for high-density living. Colombo was once a head quarter of Ceylon, one of five administrative districts laid by Dutch on South Asia. Wolfendaal also played an important role in British colonial period when the city experienced rapid growth. At present, there still holds numerous town houses. This paper clarifies the spatial organization of Wolvendaal, by analyzing the distribution pattern of its facilities and block formation, based on field surveys. At the last chapter, the paper focuses on house types of Wolvendaal identified according to their physical features and planning parameters, while the transformation process of these house types are discussed as well. This paper suggests that Dutch colonial town houses still playing an important role in the organization of special formation of Wolvendaal.
著者
前田 富士男
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

画家パウル・クレー(1879-1940)は、その制作論の基礎に形態学的な「生成(Werden)」を掲げた。本研究はまず、その背景に世紀転換期の実験発生学の研究、とくに生物学者ハンス・ドリーシュの新生気論の活動を指摘した。つぎに、19世紀半ばから発展したドイツの生理心理学のエルンスト・ヴェーバーらの研究による体性感覚の「ハプティク(内触覚Haptik)」の様態を検証し、クレーの多種多様な作品も、こうした内触覚的な様態の反映にほかならないことを解明した。
著者
山本 希 三浦 哲 市來 雅啓 青山 裕 筒井 智樹 江本 賢太郎 平原 聡 中山 貴史 鳥本 達矢 大湊 隆雄 渡邉 篤志 安藤 美和子 前田 裕太 松島 健 中元 真美 宮町 凛太郎 大倉 敬宏 吉川 慎 宮町 宏樹 柳澤 宏彰 長門 信也
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

蔵王山は,東北日本弧中央部に位置し宮城県と山形県にまたがる第四紀火山であり,現在の蔵王山の火山活動の中心となる中央蔵王においては,火口湖・御釜周辺での火山泥流を伴う水蒸気噴火など多くの噴火記録が残されている.一方,蔵王山直下では,2011年東北地方太平洋沖地震以後,深部低周波地震の活発化や浅部における長周期地震や火山性微動の発生が認められ,今後の活動に注視が必要であると考えられる.そのため,地震波速度構造や減衰域分布といった将来の火山活動推移予測につながる基礎情報を得るために,「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一環として,人工地震を用いた構造探査実験を実施した.本人工地震探査は,全国の大学・気象庁あわせて9機関から21名が参加して2015年10月に行われ,2箇所のダイナマイト地中発破 (薬量200kgおよび300kg) によって生じた地震波を132点の臨時観測点 (2Hz地震計・500Hzサンプリング記録) および定常観測点において観測した.測線は,屈折法解析による火山体構造の基礎データの取得およびファン・シューティング法的解析による御釜周辺の地下熱水系の解明を目指し,配置設定を行った.また、地中発破に加え、砕石場における発破も活用し、表面波解析による浅部構造推定の精度向上も目指した.得られた発破記録から,解析の第一段階として,初動到達時刻を手動検測して得られた走時曲線のtime term法解析を行った結果,P波速度5.2~5.5 km/sの基盤が地表下約0.5kmの浅部にまで存在することが明らかとなった.また,本人工地震探査時および2014年に予備観測として行った直線状アレイを用いた表面波の分散性解析の結果も,ごく浅部まで高速度の基盤が存在することを示し,これらの結果は調和的である.一方,ファン状に配置した観測点における発破記録の初動部および後続相のエネルギーを発破点からの方位角毎に求め,御釜・噴気地帯を通過する前後の振幅比から波線に沿った減衰を推定した結果,御釜やや北東の深さ約1km前後に減衰の大きな領域が存在することが示された.中央蔵王においては,これまで主に地質学的手法により山体構造の議論が行われてきており,標高1100m以上の地点においても基盤露出が見られることなどから表層構造が薄い可能性が示唆されてきたが,本人工地震探査の結果はこの地質断面構造とも整合的である.一方で,得られた速度構造は,これまで蔵王山の火山性地震の震源決定に用いられてきた一次元速度構造よりも有意に高速度であり,今後震源分布の再検討が必要である.また,御釜やや北東の噴気地帯直下の減衰域は,長周期地震の震源領域や全磁力繰り返し観測から推定される熱消磁域とほぼ一致し,破砕帯およびそこに介在する熱水等の流体の存在を示唆する.今後のさらなる解析により,震源推定の高精度化など,火山活動および地下流体系の理解向上が期待される.
著者
石堂 康弘 瀬戸口 啓夫 神囿 純一 栫 博則 田中 源幸 廣津 匡隆 藤元 裕介 前田 真吾 河村 一郎 今村 勝行 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-4, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
8

セメントレスPCA人工股関節の長期成績について調査した.PCAは近位1/3がビーズによりポーラスコーティングされたアナトミカル型ステムであり,カップも同様にポーラスコーティングされている.1990年から1999年までに手術した最終調査時年齢80未満を対象とした.症例は19例26関節で調査率は83.9%であった.手術時平均年齢は50歳,平均経過観察期間は15年であった.5関節が再置換を受けており,その原因は3関節がカップの弛み,1関節はステムの弛み,1関節は大腿骨骨折であり,感染は無かった.X線学的なインプラント固定性の評価ではカップは8関節がunstable fibrous fixation,ステムは1関節のみunstable implantであった.この機種における15年でのインプラント生存率は75.8%であり,カップのbone ingrowthは不良で,その成績も良好とは言えなかった.
著者
前田 真治 岡崎 健
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.231-236, 1982-07-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
12

従来,慢性関節リウマチ(RA)患者のsystemic index (Lansburyの方法)のgrip strengthを測定する際に成人用水銀血圧計の圧迫帯(cuff)のゴム袋を正確に2回折りたたんだ大きさ8.5×14.0cmのカフを用いて,あらかじめ20mmHgになるように脹らませたものを力一杯握りしめ左右の手で3回試み,その最高値平均をもって握力記載値としていたが,日常外来診察時のような場合は,やや小さめの6.5×14.0cmのカフのような日本人の小さな手に合った大きさを用い,測定間隔を30秒以上あけ,リウマチによる変化を認める手について左右を2回ずつ測定し,その左右各々の最高値,あるいは全体の最高値を測定値とするのが良いと思われた.
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 佐古 彰史 栗原 将人 井関 裕康 小谷 元子 綿村 哲 大森 英樹 池田 薫 勝良 健史 亀谷 幸生 坂内 健一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

数論、代数幾何学、微分幾何学、トポロジー、それに数理物理、素粒子論を中心として、非可換な対象物を扱い、新しい幾何学の流れを構築することを目標に置いている。本研究の特徴は、基軸となる研究である変形量子化問題と非可換幾何学を推進し、これによる微分幾何学の非可換化(量子化)手法を確立させ、それを発展させるというまったく新しい立場からの研究を行うことにある。特に、Non-formal deformation quantizationの手法を用いて、数学および素粒子物理学との融合研究を進め、この分野の国際的なネットワークを構築することを目的としている。