著者
加藤 直志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.163-151, 2011-03

まず、日本の子ども達の学力の傾向を踏まえ、教育心理学者藤村宣之の提唱する「協同的探究学習」による「わかる学力」向上の重要性を確認した。次に、「協同的探究学習」を国語教育で行うに際して、〈テクスト論〉に関連した、日本文学研究者からの提言が参考になると述べた。その後、実際の授業を紹介し、「自己探究」と「集団討議」を組み合わせる(=対話させる)ことが「わかる学力」の向上にも繋がるということを明らかにした。
著者
加藤 直樹 徳岡 昌文 篠原 靖智 小山 泰二 長田 裕之
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.197-206, 2014-07-31 (Released:2014-10-15)
参考文献数
36
被引用文献数
1

麹菌Aspergillus oryzaeは我が国の伝統的な発酵食品の生産には欠かせない微生物であり,長い年月をかけた育種により,その安全性が確立されている.本菌はアフラトキシン生産菌A. flavusから派生した家畜種と考えられており,その進化的な近縁関係は両種のゲノム解読によっても裏付けられている.我々人類にとって対極とも言える両種の決定的な相違点として,二次代謝産物生産能を挙げることが出来る.両種のゲノム中には共通して多数の二次代謝系遺伝子が存在しているにも関わらず,A. oryzaeは一切,アフラトキシンを生産せず,報告のある二次代謝産物もごく少数である.生合成に関わる遺伝子の変異や欠損,転写抑制といった遺伝的要因の蓄積によるマイコトキシン生産能の喪失は,A. oryzaeがA. flavusから家畜化して生じた種であるという概念によく合致している.そういったA. oryzaeにおけるマイコトキシン生産を回避するための遺伝的要因「セーフガード」に焦点を当て,我々が最近明らかにしたシクロピアゾン酸(CPA)生産に対するセーフガードを中心に解説する.小胞体Ca2+-ATPaseに対する強力な阻害物質であるCPAはA. oryzaeの一部の菌株における生産が報告されている.その生合成遺伝子クラスターには,A. flavusでは欠失している遺伝子が含まれている.一見すると従来の家畜化の概念とは相反する現象ではあるが,種々の解析の結果,その遺伝子はCPAを2-オキソCPAに変換することで毒性を和らげる役割を担っていることが明らかとなった.麹菌ゲノム中には,その安全性を担保するための様々な遺伝要因が蓄積していることが改めて示唆された.
著者
加藤 直子 山岡 昌之 一條 智康 森下 勇
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.609-615, 2003-09-01

多彩な解離症状を呈した15歳女子に対し,本人へのカウンセリングおよび薬物療法,さらに親へのガイダンスを行い,症状の改善が認められたので報告した.思春期の解離症状に対しては,退行的側面と前進発達的側面の理解が必要である.家族および治療者は,行動化や外傷体験の背後にある情緒に共感し,解離した体験をつなぐ補助自我的な役割を果たす一方で,発達阻害的な退行を助長しないことが肝要であると思われた.解離症状に伴う強い不安や興奮,身体化症状には薬物療法が有効であった.
著者
前田 忠彦 松本 渉 高田 洋 伏木 忠義 吉川 徹 加藤 直子
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

訪問面接調査や留置調査など調査員が介在する調査法,Web調査などそれ以外の調査モードを含む様々な調査で実施の際に付帯的に得られる調査プロセスに関する「調査パラデータ」を解析し,調査の精度管理に有用な情報を得ることを目指した検討を行った。また,調査不能率が高い場合に懸念される調査不能バイアスの影響を評価したり,それを調整する方法についての研究を行った。面接調査等の訪問記録や,電話調査での発信記録を分析することによって,調査員の行動をよりよく理解することができるようになり,調査員教育に生かすことができる。また他の調査モードで得られる回答所要時間のデータなどで回答者行動の理解を深めることができる。
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.24, pp.256-257, 2008-08-19

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を開発した.学習プロセスモデルに基づき授業実践した結果,漢字変換機能を活用した学習には一定の成果が得られ,学習者にはこの学習活動に対し肯定的な意見が多く聞かれた.
著者
椎名 秀一朗 寺谷 卓馬 小尾 俊太郎 佐藤 新平 小池 幸宏 段 佳之 赤松 雅俊 藤島 知則 吉田 英雄 加藤 直也 今井 康雄 今村 雅俊 浜村 啓介 白鳥 康史 小俣 政男
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.24-30, 2000-01-25
被引用文献数
27 24

経皮的ラジオ波焼灼療法は, 病変に挿入した電極の周囲をラジオ波により誘電加熱し, 肝腫瘍を壊死させる新しい治療法である. 我々は, Radionics社のcool-tip型電極を用い, 肝細胞癌30例61病変を治療した. 病変の存在部位等を理由に経皮的ラジオ波焼灼療法を断念した例はなかった. 効果判定のために施行したCTでは, 治療を行った病変は最終的にはすべて造影されなくなり, 完全壊死に陥ったと評価された. Cool-tip型電極を用いた経皮的ラジオ波焼灼療法は, 経皮的局所療法で治療されてきたほとんどの症例に施行可能であり, 経皮的エタノール注入療法や経皮的マイクロ波凝固療法と比べ, 治療セッション数を少なくし入院期間を短縮できるものと考えられた. 近い将来, 肝癌治療の主流になると思われる.
著者
宮本 英里 加藤 直樹
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-21

これから向かう目的地周辺の情報取得方法は,メールや電話,web 検索や地域情報提供サービスの利用がある.しかしこれらは,検索に時間がかかることや、沢山の情報の中から欲しい情報を取捨選択する必要があること,そもそも有用な情報があるか分からないという問題点がある.本稿では,これらの問題点を考慮し,目的地のリアルタイムな情報取得をスムーズにするために,欲しい情報に対する質問をツイートすると同時に,地図上で目的地を指定することで,今その場所にいる人々に質問を投げかけることのできる Twitter をベースとしたクライアントソフトウェアを提案する.指定した地域に現在いるユーザに限定してツイートを送ることで,検索する時間や手間が省けることはもちろん,自分の欲しい情報を得られる可能性が高くなり,情報の信頼性,正確さも増すと考えられる.この情報交換を通して緩い繋がりが発生し,最終的には地域を越えたコミュニケーションの促進が期待される.As the existing way of taking information near destination where people going from now on, there are e-mail, phone, the use of web search, and local information services. However, there are problem that taking a lot of time to search, need to choice appropriate it from plenty of information, and it is not clear that whether useful information exit. For covering these problems and make it possible to obtain information smoothly, this paper proposes client software based on Twitter. Using this software, user can ask a person existing destination now. How to use this software is to tweet the question for you want to know and designating one's destination on map. By sending a tweet is limited to users who are currently in the specified region, it can save user's time and effort to find, but also increases the possibility of obtaining the information they want, and the reliability and accuracy of the information increase. Loose connection occurs through the exchange of this information, and ultimately is expected to promote communication beyond the area.
著者
加藤 直樹 村瀬 康一郎 益子 典文 松原 正也 伊藤 宗親 興戸 律子
出版者
岐阜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

情報通信手段を活用した学校改善のための課題解決方略を,高等教育の取組を事例として検討し,より一般的な教育改善に対する教育経営工学の枠組みを検討した。このために,高等教育の取組として,岐阜大学の教育経営戦略について新たに調査分析を行い,学校教育でのこれまでの調査結果と比較検討して,教育改善を効果的に推進するための方略を検討した。具体的には,以下のように実施した。(1)高等教育における情報通信手段を活用した戦略的な取り組みについての調査分析とくに,教育改善の視点から導入された情報通信手段を中核にして検討し,学生や教員等の意識の変容等についての調査を試み,とくに学生からの取組期待が高く,指導者側の意識改革が肝要となることを指摘した。(2)教育課題に対して,情報通信手段に対する利用実態と期待の分析高等教育での取組は,組織的な教育改善と情報通信手段の位置づけ,及び具体的な方略を分析し,総合的な教育改善を支援するシステムとしての重要性が増していることがしてきされた。さらに,学校教育への適用の可能性について検討し,過去の取組経緯と照らしてCMIの取組を近年の情報通信技術の進展に対応させて検討する枠組みの構成が重要となることを示した。(3)情報通信手段の活用による教育改善の方略のための経営的モデルの検討情報通信手段は,情報共有,組織構成員及び関係者のコミュニケーションなどを支援する手法として活用されるが,学校教育における従来からの取組は基本的な枠組に大きな変化はないことから,過去の事例を「課題解決型の学校経営に関する教育工学的アプローチの開発」として研究資料に整理した。
著者
永野 和男 園屋 高志 加藤 直樹 村瀬 康一郎 近藤 勲 生田 孝至
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は,(1)企業等の協力あるいは教師や研究グループによる自主的な活動により各地で多数試行されている「ネットワークを利用したマルチメディア情報通信を学校教育に活用する種々のプロジェクト」の動向を把握し,適切に評価することにより,今後の教育実践及び必要な条件等に関して指針を与える。(2)これまで蓄積されてきた教育情報を相互に利用できるような仕組みを開発し,マルチメディアを中心とした教育情報の組織的な流通の促進を支援する。(3)マルチメディア及び情報通信を用いた教育実践の評価の枠組みと学習の評価の枠組みを作成し,それによる評価分析により,今後の教育実践のあり方等に関する指針を示す。ことである。平成8年度は,前年度と同様,分担者を(A)小・中学校におけるマルチメディア利用・ネットワーク利用の実践に関する試行および調査検討(B)教師支援のためのマルチメディア利用・ネットワーク利用の実践に関する試行および調査検討(C)マルチメディア・ネットワーク利用に関する教育的意義と評価方法の検討の3つのグループにわけて研究を進めた。(A)班では,遠隔共同学習,メディアキッズなど先進的な事例について,経過,成果の調査,問題点の検討をもとに,インターネットで実践できるカリキュラムのモデルとして「野菜・果物データベース」とその教材を開発し,実践してその実用性を評価した。さらに,これまで提供されてきたインターネットホームページを整備し,体験版のCD-ROMを作成して,実践校などに配布,啓蒙活動を進めた。(B)班では,前年度に,蓄積された教育情報(学習素材,メディア教材など)を各大学や各教育センターなどで利用できるように条件整備を図りながら、その教育利用の方法,成果についての実態調査を進めた。(C)班では,昨年に引き続き,Internet 100枚プロジェクトの課題研究,共同学習を中心に,経過,成果を追跡調査,技術的問題点,教師の意識の変容,教員養成の方法などを明らかにした。これらの成果は,最終報告書にまとめると同時に,文部省などに対して,今後進めるべき具体的政策を提言した。
著者
畑山 靖樹 杉山 晴俊 村上 大輔 大浦 弘嵩 嶋 由紀子 白戸 美穂 西野 隆義 新井 誠人 加藤 直也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.653-655, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
7

A Japanese woman in her 30s was diagnosed with hepatitis B surface antigen positivity during pregnancy with her first child. Her liver function was normal; however, high viral load was observed. In accordance with the guidelines, a nucleic acid analog was administered starting at 28 weeks' gestation. The baby was delivered nearly at term, and the nucleic acid analog was discontinued one day prior to the delivery. Liver dysfunction was observed two months after the analog was discontinued, and the patient was restarted on nucleic acid analog treatment. There are many issues to be resolved, including whether nucleic acid analogs should be discontinued immediately following delivery or continued for certain time or whether breastfeeding should continue during nucleic acid analog treatment.
著者
一森 哲男 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.389-404, 1998-09-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
10

This paper treats an allocation of a fixed amount of discrete resources to a set of activities so that the performances of activities resulted from the allocation are balanced as much as possible. However, the perfect balanced allocation is not possible, in general, due to the discreteness of resources. So, our aim is to minimize imbalance among the performances. We consider the variance of the performances among activities as a measure of the imbalance. Thus, our problem is formulated as a minimum-variance resource allocation problem. We propose a branch-and-bound algorithm whose experimental computer program was run on 12, 000 examples.
著者
杉山 均 今井 太一 覺幸 知輝 岡垣 百合亜 加藤 直人
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.1119-1125, 2010 (Released:2010-11-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

曲がり管路入口上流部に微小突起リブを内壁側に設けると圧力損失の低減につながることが,実験より報告され,同時に曲がり管路下流部における平均速度の計測結果も報告された.この乱流場を対象に非等方性乱流モデルにより平均速度を予測し本解析手法の妥当性を示すとともに,圧力損失低減を確認しその低減メカニズムを提案した.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15 (Released:2017-03-31)
参考文献数
6

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
中村 昌人 清野 宗一郎 藤本 健太郎 小暮 禎祥 弓田 冴 小川 慶太 岩永 光巨 中川 美由貴 藤原 希彩子 神崎 洋彰 興梠 慧輔 井上 将法 小林 和史 叶川 直哉 近藤 孝行 小笠原 定久 中川 良 中本 晋吾 室山 良介 加藤 順 加藤 直也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.517-520, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
5

A questionnaire survey of medical institutions Chiba Prefecture, Japan, specializing in liver diseases was conducted. This study aimed to provide an overview of the current hepatitis virus tests situations and measures taken to link test-positive individuals to specialists. The positivity rate in these institutions was high, with 2.2% for hepatitis C antibody (HCVAb) and 0.9% for hepatitis B surface antigen (HBsAg). Although many institutions (70%) had been employing linking measures, the consultation rate with hepatologists was low, with 7.6% and 14.3% for HCVAb- and for HBsAg-positive cases, respectively. Only half of the institutions disclosed that their measures were working well. These data suggested the importance of improving the system for determining test-positive individuals and promoting hepatologist consultation.