著者
万代 光一 森脇 昭介 土井原 博義 中西 慶喜 元井 信 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.711-716, 1990-07-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
22

各種臓器に発生するblastomaの形態学的共通点あるいは組織発生を明らかにするために, 腎芽腫2例, 肝芽腫1例, 肺芽腫1例および成人の卵巣中胚葉混合腫瘍2例と肝芽腫様の変化を伴つた肝細胞癌の1例を対象とし, 形態学的観察を行うとともに, 上皮系および間葉系組織マーカーについて免疫組織化学的検討を行つた.腎芽腫と肝芽腫は小児例であり, 肺芽腫と中胚葉混合腫瘍は, 成人に発生した. 肺芽腫と中胚葉混合腫瘍は, 形態学的および免疫組織化学的に類似し, 肺芽腫は未分化間葉細胞起源であることが示唆された. 腎芽腫のblastema様細胞にはS-100免疫活性が証明された. また, 部分的に肝芽腫様に組織形態が変化した成人肝細胞癌の1例が経験された.
著者
桑原 博道
出版者
日経BP社
雑誌
日経メディカル (ISSN:03851699)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.100-102, 2016-11

変形性頸椎症の手術を受けた患者に脊髄損傷が生じ、四肢・体幹機能障害を負いました。裁判所は術前のリスクに関する説明義務違反を認める一方で、説明義務違反と障害発生との因果関係を否定し、比較的少額の慰謝料の支払いを命じました。桑原 博道 仁邦法…
著者
酒井 和也 宇多 高明 足利 由紀子 清野 聡子 山本 真哉 三原 博起 沖 靖弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_1075-I_1080, 2011

大分県中津干潟の三百間地区の砂州においては、隣接する蛎瀬川の河口閉塞が著しいことから、対策として河口前面の堆積土砂を除去する一方、その砂を三百間砂州の西部へ運んで養浜するというサンドリサイクルの計画が立てられた。養浜砂は、三百間砂州の頂部から3600m<sup>3</sup>浚渫され、西端の斜路前に投入された。その際、投入砂が先端部へと急速に戻るのを防止するために、砂州の中央部に袋詰め石製の長さ24mの突堤が設置された。本研究では、この間、2007年から2010年までに4回の空中写真撮影と縦断形測量を行って海浜状況の変化を調べ、サンドリサイクルの効果と沿岸漂砂の制御を目的とした袋詰め石突堤の効果を調べた。この結果、袋詰め石突堤は延長が短く天端高も低いことから、既存の突堤と比較して、緩やかな汀線変化をおこすことがわかった。
著者
事柴 壮武 浦辺 幸夫 前田 慶明 篠原 博 山本 圭彦 藤井 絵里 森山 信彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】膝前十字靭帯(anterior cruciate ligament;ACL)損傷はストップやジャンプ着地動作,サイドステップカッティング(sidestep cutting;SSC)動作で多く発生している。一般的に"Knee-in & Toe-out"という下肢アライメントの組み合わせが,マルアライメントの代表的なものとしてあげられる。SSC動作の筋活動について,Xieら(2012)はストップ期において大腿四頭筋に対するハムストリングの比(H/Q比)は,側方移動期よりも低値を示したとしている。また,ACL損傷のリスクである膝関節の過度の外反を制動するためには,大腿四頭筋とハムストリングの同時収縮をタイミングよく行う必要がある。よって,ACL損傷のメカニズムや予防を考慮すると,筋活動量だけでなく筋活動のタイミングを検討することは重要であると考える。SSCは足部運動との関連が示されており,足部の外側接地(Dempseyら,2009)や後足部での接地(Cortesら,2012)がACL損傷のリスクになるとされている。しかし,足部の方向(Toe-out)とSSCの関連を調べたものはみあたらない。本研究は,Toe-outでのSSCが膝関節運動学,筋活動様式に及ぼす影響を検討することを目的とした。仮説は,Toe-outでのSSCはNeutralと比較して膝関節外反角度が大きく,H/Q比が低いとし,さらに筋電位ピーク到達時間が遅延するとした。【方法】対象は下肢に整形外科的疾患の既往がない,健常な女性バスケットボール選手6名(年齢20.0±1.4歳,身長158.0±3.5cm,体重49.3±5.3kg,競技歴9.3±5.3年)とした。対象は5m離れた地点から最大努力速度で助走し,軸脚の左脚で踏み切り,右90°方向へSSCを行った。その際,着地条件として足部Neutral(条件N)と足部Toe-out(条件TO)の2条件を設定し,3試行ずつ実施した。なお,反射マーカーを対象の左下肢8ヶ所に貼付し,ハイスピードカメラ(フォーアシスト社)5台を用い,サンプリング周波数200HzでSSCを撮影した。撮影した映像を動作解析ソフト(Ditect社)に取り込み,DLT法で各マーカーの3次元座標を求め,膝関節屈曲,外反角度を算出した。本研究ではSSCを足部接地から膝関節最大屈曲位までのストップ期,膝関節最大屈曲位から足部離地までの側方移動期の2期に分割し,各期の膝関節最大外反角度を分析に用いた。筋活動の記録には表面筋電図(追坂電子機器社)を用いた。被験筋は外側広筋(VL),内側広筋(VM),大腿二頭筋(BF),半膜様筋(SM)とした。筋電図は生波形からRMS(root mean square)に変換して解析した。本研究ではVLとVMの活動量の平均値を大腿四頭筋の活動量,BFとSMの活動量の平均値をハムストリングの活動量とした。Initial contact(IC)を基準(0)とし,筋電波形の振幅がピークに達する時間をピーク到達時間と規定した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号1327,1335)。対象に本研究の趣旨を十分に説明し,書面にて同意を得た。【結果】膝関節最大外反角度はストップ期の条件Nで7.0±3.8°,条件TOで8.8±5.5°であった。側方移動期の条件Nで4.6±3.9°,条件TOで7.9±5.4°であり,条件TOで有意に高値を示した(p<0.05)。H/Q比はストップ期の条件Nで0.33±0.08,条件TOで0.33±0.13であった。側方移動期の条件Nで0.67±0.22,条件TOで0.48±0.12であり,条件TOで有意に低値を示した(p<0.05)。各筋のピーク到達時間は,条件NでVMは119.9±49.1msec,VLは114.3±49.6msec,SMは102.1±76.1msec,BFは175.4±79.5msecであった。条件TOでVMは145.2±26.2msec,VLは151.9±24.8msec,SMは88.6±62.6msec,BFは194.1±58.8msecであった。条件TOでVMのピーク到達時間が有意に遅延していた(p<0.05)。【考察】本研究の結果より,Toe-outでのSSCはNeutralと比較して,側方移動期の膝外反角度が高値となり,H/Q比が低値を示した。膝関節外反角度が大きく,H/Q比が低いことは大腿四頭筋優位となりACL損傷のリスクが高いことを示している。さらに,VMのピーク到達時間の遅延を認めた。また,有意差はなかったもののSMのみピーク到達時間がNeutralよりも早期であった。VMは内側ハムストリング(SM)と協同して内側機構の支持に働き,膝関節の安定性に関与している(Myerら,2005)。したがって,内側安定機構であるSMとVMのピーク到達時間のずれは,過度の膝関節外反の制動を困難にしていることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】Toe-outでのSSCが膝関節運動学,筋活動様式に与える影響を明らかにすることは,ACL損傷メカニズムを解明する一助になるだけでなく,スポーツ現場やリハビリテーション場面において,ACL損傷の予防につながると考える。
著者
太田 祐介 長橋 究 小島 康裕 上原 博和
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.530-534, 2021 (Released:2021-03-13)
参考文献数
6

72歳,女性。大動脈弁狭窄症による心不全のため大動脈弁置換術を予定していたが,血小板減少を認めヘパリン起因性血小板減少症Ⅱ型と診断された。手術の延期が考慮されたが,循環動態が不安定であったため予定通り大動脈弁置換術を施行した。 手術開始時にアルガトロバンを4μg/kg/minで持続静注を開始し,人工心肺開始時にメシル酸ナファモスタットを30mg/hで開始した。活性化凝固時間の推移を確認しながらアルガトロバンの投与量を調節した。大動脈遮断解除後,アルガトロバンの投与を終了し,大動脈遮断解除の1時間後に人工心肺を終了した。止血に難渋し人工心肺終了から7時間後に手術を終了した。手術時間12時間21分,人工心肺時間3時間10分,出血量3444mL,輸血量6400mLであった。 本症例は,過去の症例報告と比較してアルガトロバンの投与量は少なかったが,人工心肺終了後の出血量を減らすことはできなかった。
著者
野原 博人 和田 一郎 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.293-309, 2018-03-19 (Released:2018-04-06)
参考文献数
17

本研究では, Engeström, Y.による「拡張的学習(Expansive Learning)」を理科授業デザインの視点として援用し, 主体的・対話的で深い学びを通した子どもの科学概念構築に関わる変化の様態について, 形成的アセスメントの要素とその関連性を視点として分析した。その内実と関連づけた上で, 主体的・対話的で深い学びの評価について, Sawyer, R.K.による「深い理解」を規準とした。科学概念の構築を図るための「道具」の変換過程をⅠ〜Ⅴと措定し, 小学校第4学年の水の温まり方についての授業デザインの分析を行った。分析した結果, 以下の諸点が明らかとなった。(1)「拡張的学習による理科授業デザイン」が具現されていくことで, 知識としての「道具」が主体的・対話的で深い学びによって構築されていった。(2)主体的・対話的で深い学びによって構築された知識としての「道具」は, Ⅰ〜Ⅴの段階を通して, 「深い理解」の具現化として, 質的変換が図られた。(3)「深い学び」と「学習における主体性・協働性」は表裏一体化して機能する。
著者
吉原 博夢 佐野 恭章 天田 拓麻 朝倉 俊成 北川 幸己 浅田 真一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.179-187, 2016-04-30 (Released:2016-04-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬をはじめとする自己注射製剤は,患者自身が注射を行うため,製剤内への血液混入が起きることがある.しかし,自己注射製剤への血液混入による影響については詳しく報告されていない.そこで代表的な自己注射製剤に血液を加え,製剤中の有効成分に対する影響を検討した.その結果GLP-1受容体作動薬では大きな変化が見られなかった一方で,多くのインスリン製剤では沈殿形成と時間依存的な濁度上昇が見られ,特に超速効型の製剤では短時間で生じる傾向にあった.さらに,沈殿物はインスリンとヘモグロビンを含有しており,沈殿が生じたインスリン製剤ではインスリン濃度が有意に減少していた.以上の結果,血液を混入させないように血管を避けることや,血液が逆流しないよう適切な注射手技を患者に指導する必要があることが示された.また,血液を逆流させない製剤上の工夫も求められる.
著者
市原 博
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.1-33, 1992-10-30 (Released:2009-11-06)
被引用文献数
1 1

During the Second World War, the number of workers who were employed by colliery companies had increased. They worked under the supervision of skilled workers who had served for long term and had come to hold the positions of the superintendent.After the defeat of W.W. II, the workplaces of colliery companies were out of order. Labor unions which had been organized rapidly beared the responsibility to maintain the order of workplaces and to control the workers. As a result, they were permitted to participate in management. Since 1949 when controls over coal-mining industry was removed, colliery companies attempted to cut down expenses and to raise efficiency. For they tried to deprive of vested rights of labor unions, many labor-management disputes took place. Red purge that was carried out at 1950 gave a blow to unions. However, managements could not succeeded in their attempts, and labor unions keeped their powerful positions to determine the labor conditions and the treatment of individual worker.In 1950's, coal mine workers improved their stability remarkably. They and their families came to live inside each coal mine in which they were employed. As a result, a feeling of identification with local community was held in common by them.
著者
市原 博
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.38-64,iii, 1984-07-30 (Released:2009-11-06)

The subject of this paper is what kind of policy the management took to counter the labour union movement at the Hokkaido Coal and Shipping Company, called Hokutan, after the First World War, and how industrial relations at Hokutan was reformed.Hokutan became a affiliated enterprise of Mitsui Zaibatsu in 1913, and then the paternalistic policies were enforced there. The labour union was organized at Hokutan in 1919, the peak of the post-war boom. It was based on the consciousness as producer of mine workers. To control the mine workers against the labour union, the management organized the organization of employees, Issinkai, which fulfilled the function of the roundtable conference of labour and management and mutual aid association according to the idea of corporation of labour and management.The management carried out the wage cuts because of the damage due to the post-war crise in 1921. So the labour union went on strike in opposition to the wage cuts. At last the issue of this dispute was whether the management approved the labour union as a bargaining body or not. After this strike, the labour union was ruined, and the authority of negotiation about labour conditions was given to Issinkai. And the management succeed to make use of Issinkai to control the mine workers according to the idea of corporation of labour and management.
著者
荻原 博之 富岡 恒憲
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル
巻号頁・発行日
no.581, pp.67-89, 2003-02

このところなぜか,女性が深く関与した商品のヒットが目に付く。パナソニックコミュニケーションズのファクス「WiLL FAX」,三菱自動車工業のスモールカー「コルト」,NECのカメラ付き携帯電話機「N504iS」…。すべて生活という視点から発想した新たなコンセプトで,消費者の評価を勝ち得た商品だ。その発想に,女性スタッフが大きな力を発揮した。
著者
水城 安尋 玉井 幹人 志田 義輝 花田 麻須大 久我 尚之 萩原 博嗣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.63-66, 2012
被引用文献数
1

肩石灰性腱炎において下方への亜脱臼を認めることがある.我々は巨大な肩石灰性腱炎の保存治療経過中に下方への亜脱臼が進行した一例を経験したので報告する.【症例】58歳女性,美容師.H21年9月より右肩痛が出現した.前医で石灰性腱炎の診断をうけ加療を受けたが,徐々に石灰が増大し亜脱臼をきたしたためH22年4月に紹介初診した.上肢の挙上及び回旋が著明に制限されており,単純X線では骨頭上方の巨大な石灰と骨頭の下方への亜脱臼を認めた.保存療法を行い疼痛や可動域は著しい改善が得られたが,亜脱臼は進行し5月に手術を行った.鏡視下に腱板を一部切開し石灰を除去した.術後より下方亜脱臼は改善され,術後2カ月で症状も改善し現職に復帰した.【考察】本症例では疼痛に関係なく亜脱臼は進行し,石灰の除去で速やかに亜脱臼は改善した.肩石灰性腱炎において巨大な石灰の場合,その容積による物理的な要因で下方亜脱臼が生じる可能性がある.
著者
陳之内 将志 小野 武也 沖 貞明 梶原 博毅 金井 秀作 長谷川 正哉 坂口 顕 島谷 康司 清水 ミシェル・アイズマン 大塚 彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.169-173, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
15
被引用文献数
5 5

本研究は,関節可動域制限発生の予防に必要な持続的伸張運動時間を関節角度と筋の形態学的な変化から検討した。実験動物には9週齢のWistar系雌ラット35匹を正常群7匹と足関節を最大底屈位で1週間ギプス固定した固定群7匹,1日1回ギプスを除去し持続的伸張運動を実施した伸張群21匹に振り分けた。さらに伸張群は10分,30分,60分の伸張時間の違いによって7匹ずつ振り分けた。結果は,関節角度の変化から見ると,30分の持続的伸張運動が最も効果的に関節可動域制限の発生を抑制することができた。また筋の形態学的な変化から見ると,30分を超える持続的伸張運動では筋線維を脆弱化させる可能性が示唆された。