著者
永原 裕子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.212-215, 2020-05-20 (Released:2021-05-01)
参考文献数
7

宇宙の進化は多くの場合物理学で論じられるが,実は物質や化学が重要な役割を果たしている。元素は恒星で合成され,固体物質を作り,次世代の恒星の誕生にともない惑星を作ることになる。物質の種類やサイズが物理過程を支配し,物理過程が化学反応を引き起こす相互作用こそが宇宙の進化・惑星の多様性の本質である。
著者
松原 裕之
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.57-63, 2014-08-17

エンジニアリングデザイン教育を通じた振り返り,つまり内省で得られる気付きが重要である.本稿では,エンジニアリングデザイン教育の PBL を通じた振り返りを,学生に「エンジニアリングデザイン報告書」として内省させ,テキストマイニングを用いて分析した.学生の気付きの分析まで至らなかったが,エンジニアリングデザイン教育のPBL として,学生一人一人が与えられた役割を意識して取り組んでいる知見が得られた.PBL の実践が適切に行われていることの確認に,報告書のテキストマイニング分析も有効な方法の一つであることがわかった.
著者
原 裕一郎 井口 征士
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.551-556, 1983-07-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

In harmonic analysis of periodic wave, the discontinuity at the boundary of observation interval increases the spectral leakage. Several temporal windows have been developed to improve the spectral resolution. In Fourier transformation, input signal is transformed into complex data consisting of amplitude and phase. This paper describes the phase transmission characteristics of temporal windows. The phase preservability that the phase of input sinusoidal wave is preserved in peak component, can be improved by applying the windows. Phase error caused by the other harmonics depends on the amplitude transmission characteristics of windows, especially on their band-width. The spectral peak moves from n-th bin to (n+1)-th bin with the increase of input frequency. The frequency, at which the peak is shifted from n to n+1, becomes close to n+0.5 through temporal windows. Experiments of pitch-frequency detection using phase compensation method show that Hanning window and Cos window are more desirable than the others.As a result, the temporal window improves the phase transmission characteristics.
著者
前田 亜紀子 山崎 和彦 野尻 佳代子 栃原 裕
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.103-112, 2006 (Released:2006-09-13)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究の目的は,濡れた衣服を着用したときの体温調節反応について観察することであった.被験者は健康な成人女子11名であった.人工気候室は,気温30,25,20℃(相対湿度は80%一定)に制御された.衣服の様式は,スウェット上下(様式 S)と T シャツおよび短パン(様式 T)とし,気温と衣服の条件より 5 種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した.衣服の濡れ条件は,D(乾燥),W1(湿った),W2(びしょ濡れ)の 3 種とした.条件 D, W1, W2 における全衣服重量の平均は,様式 S では各々819, 1238, 2596 g,様式 T では各々356, 501, 759 g であった.各濡れ条件において,安静期と作業期を設けた.作業期における踏み台昇降作業のエネルギー代謝率は2.7であった.測定項目は,酸素摂取量,直腸温(Tr),平均皮膚温(Tsk),および主観申告値とした.酸素摂取量は,衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した.Tr の値は,条件 25T と 20S では漸減した.Tsk は環境温に依存して漸減し,特に条件 20S においては著しく低下した.本研究の要点は次の通りである.1)濡れた衣服を着用した場合,気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる.2)気温25℃以下では,軽装の場合,寒冷ストレスが生じ得る.3)衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ,全身温冷感が中立であるとき,Tsk は約33℃であった.4)濡れた衣服条件における特色は,全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき,平均皮膚温が著しく低下することである.
著者
松居 和寛 井上 達郎 戸口田 武史 村上 まゆ 土田 和可子 波之平 晃一郎 河原 裕美 藤村 昌彦 弓削 類
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0014-A0014, 2008

【目的】<BR>近年,笑いが身体に与える影響についての報告がみられる.その多くは,免疫などにおける身体的影響,感情プロフィール検査(Profile of Mood States,以下POMS)などの気分尺度を用いて精神的影響について検討されている.しかし,笑いを定量化した論文は極めて少ない.そこで,筋電図(以下EMG),リアルタイム笑顔測定ソフト(OMRON,以下ソフトウェア)を用いて笑いを定量化し,分泌型免疫グロブリン量(SIgA),POMSによる気分尺度を比較した.さらに,EMGとソフトウェア間の相関についても検討を行った.<BR>【方法】<BR>本研究に同意の得られた男女20名(男性10名,女性10名,平均年齢22.4±0.5)を対象とした.EMGによる定量群10名(男性5名,女性5名),ソフトウェアによる定量群(男性5名,女性5名)の二群に分けた.1施行につきEMG群2名,ソフトウェア群2名の計4名で実験を行った.コントロール群として,風景スライド視聴による安静の後、ドキュメンタリービデオを視聴させた.ドキュメンタリービデオの前後で,唾液採取,POMSの記入を行ってもらった.ビデオ視聴後は,ビデオに対する反応をVASを用いて評価した.介入群として,ドキュメンタリービデオを笑いのビデオに替えて視聴させた.以上の施行に関しては,コントロール,介入の順番をランダムとした.ビデオは,すべて8分19秒で統一した.筋電図の電極の貼付位置は,頬骨突起と口角を結ぶ線の中央とした.唾液の採取は,サリベットを用いてサンプリングし,-70°C~-80°Cで冷凍保存した後,ELISA法にて計測した.筋電図による定量は、ビデオ視聴後の積分筋電図をビデオ視聴前のもので除し求めた。さらに、介入群で求めた値を,コントロール群の値で除すことで笑いの増加量とした.ソフトウェアによる定量化は,安静時の値からの増加量を笑いの量とした.<BR>【結果】<BR>EMG増加量の平均値は1.7±0.8であった.ソフトウェアの増加量の平均値は38(%)であった.笑いのビデオの面白さに関するVASの平均値は6.3±2.1であった.POMSにおいて,「活気」の値は,笑いのビデオ視聴後に増加傾向を,それ以外の項目に関しては減少傾向を示した.<BR>【考察】<BR>これまでに筋電図を用いて笑いを測定する報告はみられる.本研究では,ソフトウェアと筋電図におけるデータを比較検討することで,笑いの定量化が出来る可能性が示唆された.
著者
神山 伸弘 石川 伊織 板橋 勇仁 栗原 裕次 柴田 隆行 田中 智彦 東長 靖 橋本 敬司 早瀬 明 久間 泰賢 権左 武志
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ヘーゲルの世界史哲学講義(1822/23)については、本邦では、その世界像を結ぶための文化接触資料が必ずしも明確でなく、そのオリエント論に対する評価も低い。この事情を批判しながら、本邦ではじめてその資料源泉を探求しつつ本講義を翻訳し訳註を付するなかで、ヘーゲルのオリエント世界像は、ヨーロッパに映った近代オリエント世界像として反歴史的な空間的併存を示すとともに、ヨーロッパ的普遍史を脱却する歴史的理解も示しており、これらを通じて-ロマン派批判も込められたかたちでの-オリエントとヨーロッパの相互承認関係を展望していることが明らかになった。
著者
春木 伸裕 佐藤 篤司 杉浦 正彦 呉原 裕樹 辻 秀樹
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.487-490, 2010-03-31 (Released:2010-05-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4

症例は1型糖尿病で通院中の55歳女性で,インスリン注射を3日前から自己中断し意識障害を呈し入院となった。血液検査にて糖尿病性ケトアシドーシスと診断し治療を開始した。翌日38℃の発熱と腹部膨満を訴えたため,緊急CTを施行した。腹水,門脈ガス,広範な腸管気腫を認め,腸管壊死による急性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した。開腹すると,回腸末端の約200cmの回腸が分節的に壊死しており,S状結腸も暗紫色を呈し虚血に陥っていた。上腸間膜動脈および下腸間膜動脈は本幹から末梢まで拍動を触知できたことから,非閉塞性腸管膜虚血症(nonocclusive mesenteric ischemia: 以下,NOMI)と診断し,壊死した腸管の切除と下行結腸に人工肛門を造設した。NOMIは主幹動脈に器質的閉塞がないにもかかわらず,腸管に虚血あるいは壊死を生じる予後不良の疾患で,自験例は著明な脱水と,高血糖による高浸透圧が増悪因子となり,NOMIを発症したものと考えられた。
著者
中原 裕治
出版者
パワーエレクトロニクス学会
雑誌
パワーエレクトロニクス研究会論文誌 (ISSN:09167269)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.2-7, 2003-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
11

This paper presents the motor manufacturing technology using dividing stator cores. The novel manufacturing technology called Poki-Poki motor has been developed from 1993, and applied to various motors used in such products as information devices, industrial equipments, electrical household appliances, motor vehicles and elevators, etc.. Poki-Poki motor can provides not only high productivity but also light and compact devices, saving energy, high efficiency.
著者
鬼塚 克忠 原 裕
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.621-632, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2

吉野ヶ里遺跡の墳丘墓(B. C. 150年頃)は主に層築で構築された我が国最古の巨大盛土構築物である.盛土の構築技術は,レベルの低いものから,堆築,層築,版築の3段階に分類できることを示し,吉野ヶ里墳丘墓の構築技術のルーツであると考えられる中国江南地方の土□墓(西周~戦国時代),と山東半島の墳墓(前漢~後漢時代)と吉野ヶ里墳丘墓の埋葬物の墳墓内の位置など様々な実態の比較,ならびに上記3段階の構築技術のこれら墳墓への適用についての検討を行った.墳丘墓以外の文化・技術のルーツや伝播も考えた結果,江南の土□墓もしくは山東半島の墳墓の構築技術が,朝鮮半島経由ではなく海を経て直接,北部九州の吉野ヶ里に伝播したことを結論とした.
著者
中川 慧 大鶴 直史 猪村 剛史 橋詰 顕 栗栖 薫 中石 真一路 河原 裕美 弓削 類
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】臨床現場においても,難聴者とのコミュニケーションに難渋することが多い。高齢による難聴の多くは感音性難聴といわれており,内耳から脳への伝達経路での障害が原因と考えられている。一般的に感音性難聴を評価する際には,音の聞き分けができるかどうかの主観的評価が用いられているが,加えて大脳皮質応答を客観的に評価することも重要と考えられる。そこで本研究では,聞き取りやすさの条件を変更することで音の聞き分けに対する大脳皮質応答が変化するのかを検討し,感音性難聴を客観的に評価するシステムを確立することを目的とした。【方法】実験に先立ち,難聴者9名を対象に57-S語表(日本聴覚医学会)を用いた50音の聞き取り検査を行い,聞き取りの難しい音・簡単な音を調査した。結果,聞き取りの正答率が最も高い音は『ル』,最も誤答が多かった組み合わせは『ミ』と『ニ』であったため,これらの音を用いて課題を作成した。課題は,約20%の確率で逸脱音を呈示するoddball課題とし,難課題(標準音『ニ』,逸脱音『ミ』)と易課題(標準音『ル』,逸脱音『ミ』)の2課題を設定した。計測は,健聴者10名を対象に,シールドルーム内にて,被験者前方3mの位置のスピーカーから700ms間隔で呈示される音(70dB)を聴いた際の聴覚誘発脳磁界を記録した。スピーカーには,音の指向性および高音域の音圧を高め,聞き手が聞き取りすくなる構造を持つ『COMUOON<sup>Ⓡ</sup>』(ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社)および同一の素材で作られた標準的なスピーカーを使用した。なお計測中,被験者には音に注意を向けないように指示した。各条件500回程度加算し,逸脱音と標準音の差分波形(ミスマッチ反応:mismatch field)をもとに,等価電流双極子推定法を用いて左右聴覚領域それぞれの活動源を推定し,各条件での電流モーメントを比較した。【結果】音の呈示に伴い,刺激後100msをピークとする活動源が両側上側頭回付近に推定された。逸脱音から標準音の応答の差を求めると,易課題では,スピーカーの種類に関わらず100ms(N1m)と220ms付近(P2m)にピークを持つ波形が記録された。一方,難課題ではN1mの振幅が小さく,P2mの潜時が平均288msと遅かったが,『COMUOON<sup>Ⓡ</sup>』を用いることでP2mの潜時が平均259msと短縮した。【結論】感音性難聴の客観的評価システムの導入を目的に聞き分けの難しい言語音を用いた課題を作成し,聴覚誘発脳磁界を指標としてその有用性を検証した。その結果,話し手側から聞き取りやすい音を伝える高精度のスピーカーを用いると,音の認識に関与すると考えられるP2mの出現潜時が短縮した。これは本手法が感音性難聴の客観的評価に対する一つとして有用である可能性を示している。今後は,難聴者を対象に計測を行い,評価システムの確立を目指したい。
著者
三谷 章雄 大澤 数洋 森田 一三 林 潤一郎 伊藤 正満 匹田 雅久 佐藤 聡太 川瀬 仁史 高橋 伸行 武田 紘明 藤村 岳樹 福田 光男 稲垣 幸司 石原 裕一 黒須 康成 三輪 晃資 相野 誠 岩村 侑樹 鈴木 孝彦 外山 淳治 大野 友三 田島 伸也 別所 優 前田 初彦 野口 俊英
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.313-319, 2012-10-31

目的:欧米では,心臓血管疾患と歯周病には関連性がみられるというデータが得られているが,日本人における心臓血管疾患と歯周病の関連についてはほとんど報告がない.そこで今回われわれは,東海地方での心臓血管疾患の罹患状況と歯周病の指数を比較することで,日本人における心臓血管疾患と歯周病の関係を明らかにすることを目的とし,健診のデータを基にその関連性の検討を行った.対象と方法:2008年に豊橋ハートセンターのハートの日健診において,一般健診を受診した者でかつ歯科健診を受けた者549名についてのデータを分析対象とした.心臓血管疾患データとして,血圧,脈拍,動脈硬化・不整脈の有無,狭心症・心筋梗塞の既往の有無,手術歴を,歯周病データとして,現在歯数,Community Periodontal Index (CPI)を用いた.これらのデータを用いて,心臓血管疾患の有無と健診時点での歯周病の指数を比較し,統計分析を行った.結果:対象者の平均年齢は61.7±13.6歳であった.狭心症,心筋梗塞,手術(経皮的カテーテルインターベンション)のいずれかの既往のある者を冠動脈心疾患(coronary heart disease: CHD)群(82名:男性44名,女性38名)とし,それに該当しない者,すなわち非CHD群(467名:男性122名,女性345名)と比較検討したところ,女性ではCHD群の現在歯数が有意に少なかった.また男性では,糖尿病,BMI,中性脂肪,HDL,総コレステロールおよび年齢の因子を調整してもなお,CHD既往のあるオッズ比は,CPIコード最大値2以下の者に比べ,CPIコード最大値3以上の者が3.1倍(95%信頼区間1.2〜7.7)高かった.結論:CPIや現在歯数と,CHDの既往があることの関連性が認められ,日本人においても歯周病とCHDに相関がみられることが示唆された.

2 0 0 0 IR 発表要旨

著者
菅原 裕文 西間木 真 坂田 奈々絵 久米 順子 高橋 英海 岩波 敦子 山本 芳久 久木田 直江 高津 秀之
出版者
早稲田大学ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所
雑誌
エクフラシス : ヨーロッパ文化研究 (ISSN:2186005X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.149-157, 2014-03-20

後期ビザンティン聖堂 (13~15c) におけるプラティテラ型聖母子像 / 写本学 (codicologie) とリヴァイヴァル / 12世紀のサンドニ修道院における擬ディオニシオス文書の伝統 / キリスト教美術とイスラーム美術が交差するところ -中世スペインの場合- / ギリシア語からシリア語、アラビア語への翻訳 -誰が何をなぜ翻訳したのか- / 地中海からピレネーを越えて -中世ヨーロッパの自然科学 知の受容と伝播- / トマス・アクィナス 『対異教徒大全』 の意図と構造 / The Book of Ghostly Grace -ハッケボーンのメヒティルドの霊性と中世医学- / 「宗教改革百周年」 の挿絵入りビラ - 「図像から読み取る歴史」 から 「図像がつむぐ歴史」へ-
著者
小原 裕輝 中沢 実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.246-253, 2021-01-15

単体のレーザレンジファインダ(LRF)を用いた人の検出手法は,貨物運搬ロボットなどに使われる.これらの検出では,入力が検出対象であるかどうかの判定に,hand-crafted特徴量と正であるか偽であるか分類する1クラス分類モデルを使用した手法が適用されている.本論文では,1クラス分類モデルへの入力をhand-crafted特徴量ではなく,深層学習モデルによって生成された特徴量に置き換えた手法を提案する.実験では,hand-crafted特徴を使用した手法との検出率の比較を行い,パフォーマンスが一部向上したことを示す.また,ロボットの利用など実応用のために,Jetson Nanoを使用して提案手法の処理速度の評価を行い実用可能性を評価した.
著者
宮原 裕 Hiroshi Miyahara
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.289-300, 2019-02-28

がん治療における薬物療法では従来の殺細胞性の抗がん剤には限界があり、分子標的治療薬が登場した。近年、免疫チェックポイント阻害薬が悪性黒色腫をはじめとして多くのがん腫で再発、進行がんを対象に第Ⅲ相試験が行われ一定の効果が得られることから免疫療法として使用されるようになった。しかし、従来の抗がん剤ではみられなかった内分泌障害や消化管障害などの免疫関連有害事象が起こることが明らかとなった。それらに対しては、発症に早期に気づき対処することが求められる。悪性黒色腫に対しニボルマブやイピリムマブを投与し有害事象を来した自験例を示し考察を加えた。起こりうる免疫関連有害事象は多くの臓器に多岐にわたるので、治療科の医師のみでなく、腫瘍内科医、内分泌・代謝内科、消化器内科等の医師および、施設内の看護師、薬剤師を含めた診療連携体制が極めて重要であることを強調した。
著者
横田 雅子 家根 旦有 宮原 裕 松永 喬
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.653-658, 1991-12-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

我々は1985年1月より1989年12月までに当科で診療した味覚障害患者, 男性55例, 女性56例, 計111例について統計的観察を試みた。重症度や治療は原因と関係が深く, その原因は口腔内病変, 頭部外傷, 感冒罹患後, 伝導路障害, 全身性, 嗅覚性, 薬剤性, 心因性, 脳血管障害, 原因不明である。この中で, 伝導路障害が最も多く (27%), 口腔内病変, 原因不明と続く。原因別の電気味覚閾値は, 頭部外傷と薬剤性で高く, 全身疾患や心因性では低い。電気味覚閾値と濾紙味覚閾値は比較的良好な正の相関を示し, 特に鼓索神経支配領域で相関性が高い。また亜鉛欠乏が検査し得た症例の60%以上で見られた。ZnSO4で治療した9例中8例で改善した。
著者
野口 律奈 平岡 真実 陣内 瑤 北原 裕美 渡部 芳徳 香川 靖雄
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.229-238, 2011 (Released:2011-10-18)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

日本人健常者を対象とした観察研究において, 男性の血清葉酸濃度, および葉酸摂取量が鬱スコアと逆相関することが報告されている。しかし, 日本人鬱病患者を対象に葉酸栄養状態を調べた研究はない。そこで本研究では, 精神科通院中の日本人患者103名の血清葉酸・ホモシステイン・VB12濃度, 葉酸・VB2・VB6・VB12摂取量, メチレンテトラヒドラ葉酸還元酵素 (MTHFR) 遺伝子多型を調べ, 鬱病症状との関連を検討した。結果, 男性患者の血清葉酸濃度, および葉酸・VB2・VB6の摂取量が鬱病精神症状と有意な逆相関を示した。女性ではこうした関連はなかった。血清葉酸濃度は男性より女性の方が有意に高く, 葉酸・VB2・VB6摂取量も女性の方が有意に多かった。一方, 精神疾患のリスクとされるMTHFR遺伝子TT多型の出現頻度は, 日本人の一般的な出現頻度と有意な差は見られなかった。本研究の結果から, 精神疾患男性患者の葉酸栄養状態は, その精神症状と逆相関することが示唆された。