著者
山際 大雅 村山 敏夫 栗原 裕佳 西田 唯人
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第73回(2023) (ISSN:24367257)
巻号頁・発行日
pp.473, 2023 (Released:2023-12-01)

近年、道路交通環境の整備や自動車安全装備の開発等により交通事故の発生件数は減少傾向にあるが交通事故全体に占める高齢ドライバーの割合は増加傾向にある。特に車両同士の交通事故は一時停止交差点における出会い頭事故が最も多く発生している。また、高齢ドライバーは加齢に伴う筋力の衰えや視力の低下、関節可動域が狭くなることで膝関節を大きく屈曲させた運転姿勢が散見される。以上より本研究は高齢ドライバーに散見される不適切な運転姿勢が一時停止後の発進局面における運転行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。被験者は運転に支障をきたす基礎疾患がない60代及び70代の高齢者を対象とした。実験は新潟県運転免許センター内の屋外試験場を使用し、実車両を用いて一時停止交差点の通過を含む指定のコースを走行させた。実験車両には被験者となるドライバーのみが乗車し、実験者は無線で車外から指示を行った。走行は自動車メーカー等で推奨されている姿勢に近い標準姿勢と高齢者に散見される膝関節を屈曲させた前傾姿勢で行い、姿勢間で下肢の筋活動及び車両挙動を比較した。筋活動は表面筋電計を用いて内側広筋・外側広筋・大腿直筋・大腿二頭筋・前傾姿勢・腓腹筋・ヒラメ筋の7箇所の測定を行い、各被験筋の筋活動量を指標とした。車両挙動は実験車両に搭載されているセンサによりCANデータを取得し、発進時の加速度及び車両速度を指標とした。本研究により交通安全教育の推進や高齢ドライバーの運転行動を補う自動車の開発に寄与することが期待される。
著者
原 裕太 佐藤 廉也
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.39, 2022 (Released:2022-10-05)

1. 背景と目的 1950~1960年代における発展途上国等の地表面環境を高分解能で把握する重要なツールの一つに米国の偵察機U-2による偵察空中写真がある.米軍偵察衛星による撮影頻度が比較的低い1960年代前半以前は,土地被覆を把握する有力な選択肢であり,1960年代以降は偵察衛星を補う目的で撮影が続けられ,貴重な情報が蓄積されている.しかし,機密解除された写真フィルムはアーカイブ化が進んでおらず,近年当該写真を紹介する先行研究がいくつか発表されているものの(Sato et al. 2016; Hammer and Ur 2019),経路,頻度の全容解明は道半ばである.本研究では U-2に関する米国中央情報局(CIA)の機密解除文書を用い,東アジア,中央アジアにおける偵察飛行の地理的特徴の解明を試みた. 2. 対象地域と調査資料,研究方法 主な対象は日本,中国,朝鮮半島,ヒマラヤ山岳地域,中央アジア(ソ連領)である.調査資料は米国情報公開法により開示されたCIA機密文書で,当局の電子データベースにミッション名等を入力して網羅的に収集した.なお開示資料には現在も白塗りの非公開情報が多数含まれる.また一部飛行経路は米国立公文書館Ⅱで収集した.得られた経路情報はArcGISで線データに変換し密度解析を行った. 3. CIAによる世界でのU-2偵察回数(国・大地域別) まず,CIAによる偵察飛行の実施回数を示すとみられる一覧表を発見した.当該表では「ソ連」「衛星国(東欧)」「中東」「インドネシア」「ラオス・ベトナム・カンボジア」「NEFA・ネパール・チベット・中国」「北朝鮮・マンチュリア」「キューバ」「南米」の9地域に区分されていた. 最多の偵察は1950年代後半の中東で,次に1958年のインドネシア,さらに1960年代のキューバと中国の順であった.ヒマラヤ~中国は1958~1960年と1962年以降に偵察され,1962年以降は継続的に20回/年近く偵察されたとみられる. 4.国未満の空間スケールでの飛行経路と頻度の傾向 1957~1963年の期間,上記偵察回数に対して実際に飛行経路を把握できたミッションは,中国~ヒマラヤ~朝鮮半島が93.1%(53/58),ソ連領が76.2%(16/21)であった. 重要な発見として,偵察頻度の高い地域が,台湾海峡周辺(>10回)の他に内陸部でも複数抽出された.具体的には,甘粛省中部,チベット自治区東部,ヒマラヤ山岳地域が最も高く(>6回), 次に四川盆地,東南アジア諸国と中国の国境地帯,カシミール~新疆西部等が挙げられた(>4回). また,対ソ連ミッションに関して,大地域別のリストでは記載のないモンゴル領内でも偵察飛行が実施されたこと,対ソ連ミッションのなかで偵察機が新疆やチベットにも飛行していたこと,アラル海やシルダリア川沿い,キルギス等でも複数回にわたり飛行が試みられたこと等を確認した. 以上は,U-2偵察写真の利用可能性を,国未満の空間分解能で議論,検討することをはじめて可能にする成果である. 文献 Hammer, E. and Ur, J. 2019. Advances in Archaeological Practice 7(2):1-20. Sato, R., Kobayashi, S., and Jia, R. 2016. Teledetekcja Środowiska Tom 54: 61-73.
著者
三宅 芙沙 堀内 一穂 宮原 ひろ子 早川 尚志 笹 公和 箱崎 真隆 前原 裕之 栗田 直幸 木村 勝彦 門叶 冬樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Clといった宇宙線生成核種は、観測史上最大とされる1956年のSEP(Solar Energetic Particle)イベントの数十倍という過去の超巨大SEPイベントの優れた代替データである。本研究は、年輪の14Cと氷床コアの10Be、36Cl分析から、完新世(過去1万2千年間)における最大のSEPイベントの同定と、超巨大SEPイベントの発生頻度及びその発生特性の解明を目的とする。我々の太陽における発生特性を、太陽型恒星の恒星フレアと比較することで、太陽型恒星における太陽の普遍性と特殊性を評価する。
著者
岡部 知太 平野 一 前之園 良一 中森 啓太 藤原 裕也 南 幸一郎 上原 博史 能見 勇人 稲元 輝生 東 治人
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s356_2, 2022 (Released:2023-02-23)

2020年より現在に至るまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威をふるう中、コロナワクチン(以下ワクチン)の有効性が報告されている。一般人と比べて移植患者のワクチンに対する抗体反応は低いが、腎移植患者が一般人より発症リスクが高いとは断定できない。今回当院通院中の腎移植患者に対するワクチン接種によるCOVID-19発症予防の有効性に関して、文献的考察を踏まえて報告する。追跡できる範囲で2015年より現在までの当院腎移植患者に対して、ワクチン接種のアンケートを行い、回答のあった66名に対して解析を行なった。3名を除く全員が2回以上ワクチン接種を行っている。解析患者の内、5名がCOVID-19を発症した。重症1名、中等度1例、軽症3例である。重症例は、非ワクチン接種者であり、罹患後人工呼吸器下での呼吸管理を行ったが、死亡に至った。その他4名は、後遺症なく軽快した。本邦では、報告時点で約890万人の陽性報告があり、国民の約7%が罹患したことになる。当院におけるワクチン接種群において、COVID-19発症率は6.3%であり、腎移植患者が発症しやすいとは断定できない結果であった。また非ワクチン接種群3人のうち1名がCOVID-19を発症し、重症化したことを考えると、ある一定の重症化予防効果は示唆される。免疫応答が弱いことが報告されている腎移植患者にとって、ワクチンを複数回接種することは、COVID-19発症率、重症化を低減できると考える。
著者
古谷 力 折原 裕 高木 さつき 吉田 淑子
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.82-86, 1988 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

奥多摩産ワサビ (Wsabia japonica Matsum.) の根茎より6種の分化段階の異なる培養組織を得た. これらの sinigrin 含量, myrosinase 活性を比較し, 分化と辛味発現の関係を考察した. Myrosinase 活性は脱分化したカルスから幼苗にいたるまですべての培養株に認められたが, sinigrin は少なくとも幼根・子葉様組織を併せ持つまで分化が進まなければ検出できなかった. さらに分化段階が進むにつれ sinigrin 含量は増加した. ワサビ原植物では sinigrin は全草に認められるが, 特に根茎部に多い. このてとから分化段階の進行による sinigrin 含量の増加は根茎部の肥大によるところが大きいと考えられる.
著者
勝原 裕美子 ウィリアムソン 彰子 尾形 真実哉
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.30-37, 2005 (Released:2018-12-28)
参考文献数
15
被引用文献数
5

本研究の目的は,新人看護師のリアリティ・ショックの実態を明らかにし,その類似性に着目して類型化を試みることである.データ収集時期は,就職直前の3月と,就職後2~3か月の時点との二時点で,同一対象者に個別面接調査を実施した.面接内容は許可を得て録音した後,記述データに変換し,組織参入前後における認知のズレから生じる否定的な感情を拾って整理した.その結果,リアリティ・ショックには7つの型があることがわかった.それらは,「医療専門職のイメージと実際とのギャップ」「看護・医療への期待と現実の看護・医療とのギャップ」「組織に所属することへの漠然とした考えと現実の所属感とのギャップ」「大学教育での学びと臨床実践で求められている実践方法とのギャップ」「予想される臨床指導と現実の指導とのギャップ」「覚悟している仕事とそれ以上にきびしい仕事とのギャップ」「自己イメージと現実の自分とのギャップ」であった.結果から,就職後の仕事内容が予測されているにもかかわらず,看護師にリアリティ・ショックが起きるのは,学生から看護師への移行期に組織社会化と専門職への社会化の双方が求められるためであること,程度の差こそあれ看護師なら誰にでもリアリティ・ショックが起きうることを前提としたうえで新人研修等の計画を立てる必要があることなどが示唆された.
著者
町田 和梨 榎本 恭介 松原 裕一 荒井 弘和
出版者
法政大学スポーツ研究センター
雑誌
法政大学スポーツ研究センター紀要 = BULLETIN OF Sports Research Center, HOSEI UNIVERSITY (ISSN:21879168)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.25-29, 2023-03-31

本研究の目的は,運動部に所属する大学生アスリートを対象に,競技活動中の日焼け予防行動の変容ステージ,実際に行っている日焼け予防行動について調査を行い,大学生アスリートの日焼け予防行動の実態を探索的に調査することであった。分析の結果,「私は現在,競技活動において日焼け予防をしていない。また,これから先もするつもりはない」と回答した者(前熟考期)が67.4%と最も多く,「私は現在,競技活動において定期的に日焼け予防をしている。しかし,始めてから6か月以内である」と回答した者(実行期)が3.1%と最も少なかった。また,これらの日焼け予防ステージの結果は性別間と競技場所(室内/室外)間で有意な差が見られ,学年別(1年生/2-4年生)においては有意な差が見られなかった。このことから,性別間や競技場所間で日焼け予防行動に差があることや,学年や年齢は関係なく,個々の意識や考え方が日焼け予防行動に関連している可能性が示された。
著者
原 裕太
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.83-89, 2022-12-28 (Released:2023-05-29)
参考文献数
18

本研究では中国水稲研究所データベースの登録情報に対する分析を通じて,黄河上流の一大灌漑稲作地域・寧夏回族自治区におけるイネ品種開発の傾向を明らかにした。その結果,品種のタイプとルーツの傾向等が把握できた。とくに1979 年から2020 年にかけて,低アミロース化,高株高化,多産化,生育期間の長期化,必要な施肥量の増加が進んでおり,生育期間の長期化は中国全土の目標とは一致しなかった。低アミロース化は主要消費者である寧夏や黄土高原の人々の嗜好を表象する可能性,温暖化の影響等が考えられた。また黄河中上流域では断流や水質汚染が課題である一方,生育期間と必要な施肥量の傾向は必ずしも環境負荷を低減する方向には進んでおらず,気候変動適応の観点でも課題があると示唆された。
著者
福利 崇 渋谷 佳樹 中川 慧 青景 遵之 橋詰 顕 栗栖 薫 河原 裕美 大鶴 直史 弓削 類
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100979, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】我々は,日常生活の中で無意識に他者の姿や行動を観察していることが多い.他者が行っている動作の模倣やイメージをする際は,他者の視点に立って,姿や動作の特徴を注意深く捉える必要があるが,これはリハビリテーションの臨床現場においても共通している.神経心理学において,他者の視点に立つことを意味する視点取得(perspective-taking)という概念があり,この概念に関して様々な観点から研究されている.脳イメージング研究では,fMRIを用いて脳活動部位を同定した研究は数多くみられるものの,時間的な側面から検討した研究は少ない.そこで本研究では,時間・空間分解能力に優れた脳磁図を用いて,部位と時間の両側面から,視点取得における脳神経活動を検討した.【方法】対象は,視覚に異常のない右利きの健常者13 名とした.スクリーン上にランダムに呈示される,左右どちらか一側の上肢または下肢を拳上した全身像の視覚刺激に対する誘発脳磁場活動を,306ch全頭型脳磁計(ELEKTA社, Neuromag System)を使用し,記録した.全身像は,対象者に正面を向けた像(正面像)と背面を向けた像(背面像)から構成し,それぞれ一側の上肢または下肢を挙上した像を作成した.課題は,スクリーン上に呈示された全身像がどちらの上肢または下肢を挙上しているかを解答する本課題と,全身像が挙上している上肢または下肢がスクリーンの右側か左側かを解答するコントロール課題とした.解答は両側示指のタッピングとし,LEDセンサーを用いて各課題および条件の反応時間を計測した.対象者には,各課題において解答に該当する側の示指をできるだけ速くタッピングし,かつ正確に解答するよう指示した.脳磁場測定は,サンプリング周波数を1001Hz,バンドパスフィルターを0.5 ‐30Hzにそれぞれ設定し,実施した.各課題において,正面像と背面像に対する脳活動をそれぞれ約80 回加算した.解析には,グラジオメーターを用い,後頭領域(20ch)と左右の後頭頂領域(各30ch)において各センサー位置におけるRMS(root mean square)を算出し,各領域におけるareal meanを算出した.得られたareal mean波形のピーク値と潜時を,領域別に算出し,課題間で比較した.また,空間フィルター法(sLORETA)を用いて,課題ごとのピーク潜時における各格子点での電流値を算出し,MRI上に空間的に分布表示した.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には,本研究の趣旨や目的,方法について説明を行い,同意を得た上で実施した.なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づき,広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:1139)【結果】課題間での平均反応時間は,正面像,背面像ともに,コントロール課題と比較して本課題で有意に延長した(p<0.01).脳磁場活動は,全身像呈示後100ms付近で後頭領域に,さらに200ms付近で右後側頭頂領域において,正面像,背面像ともに明瞭な活動が認められた.100ms付近の成分は,正面像および背面像ともに課題間で活動の有意差はみられなかったのに対し,200ms 付近の右後側頭頂領域における活動は,正面像において,コントロール課題と比較し,本課題で振幅の有意な増加が認められた(p<0.05).また,背面像においても,有意には至らなかったものの本課題において200ms付近の活動が増加する傾向が認められた.【考察】本課題における反応時間がコントロール課題に対して有意に延長したことは,視点取得に際し,より複雑なプロセスを踏んでいることを示している.本課題の全身像の視点取得において,fMRIを用いて右後側頭頂領域が活動したとの報告がある.本研究においても視覚刺激後200ms付近で右後側頭領域に明瞭な反応が認められ,その活動は複雑な視点取得を必要とする本課題で有意に増加した.脳波を用いた先行研究では,視覚刺激後約300ms付近で頭頂付近で観察されるP300 が物体認知や判断を表す成分といわれているが,本研究でみられた右側頭頂領域の200ms付近の成分も,全身像の左右弁別に関与する可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果は,他者の視点に立って全身像の特徴を捉えようとしている際の脳活動の経時的変化に関連した,部分的な基礎的知見を与えるものである.
著者
水野 真二 成川 昇 近藤 春美 上吉原 裕亮 立石 亮 窪田 聡 新町 文絵 渡辺 慶一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.109-115, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
12

アントシアニン色素を多く含み,果実が濃赤色を呈する促成栽培用イチゴ品種 ‘真紅の美鈴’ を育成した.神奈川県における試験栽培において,本品種は ‘とちおとめ’ より花芽分化がやや遅く,定植適期は9月20日頃以降であると考えられた.果実の硬度は ‘とちおとめ’ 並みに高く,糖酸比は20を超え,還元糖のグルコースとフルクトースを比較的多く含んでいた.果実のアントシアニン色素の含量は新鮮重1 g当たり185 μgであり,母親の ‘ふさの香’ および父親の ‘麗紅’ の約2倍,‘とちおとめ’ の約3倍であった.一方,果汁の抗酸化活性には‘真紅の美鈴’と従来品種で大きな差はみられず,アントシアニンの抗酸化活性への寄与度は低いと推定された.アントシアニンの組成はペラルゴニジン配糖体が80%以上を占めており,検出された5成分の構成比は ‘とちおとめ’ や親品種と概ね同等であった.このことから,‘真紅の美鈴’ が濃赤色を呈するのはアントシアニン組成の影響ではなく,色素の含量が顕著に多いためと考えられた.
著者
中原 裕美子
出版者
アジア経営学会
雑誌
アジア経営研究 (ISSN:24242284)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-51, 2022 (Released:2023-04-08)
参考文献数
42

In this paper, we analyze the transformation of vertical division of labor in the semiconductor industry. In the semiconductor industry, the vertical division of labor has progressed due to the emergence of a business model called foundries which specializes in contract production that could be described as “disruptive innovation” in the 1980s. Then, under the COVID-19, as the demand for semiconductors has increased and the semiconductors became in short, TSMC has attracted increasing attention as a key player in the supply of semiconductors in the world. This situation is no longer something like “suppliers from late industrialized countries grow up in the vertical division of labor governed by companies in developed countries,” as the Global Value Chain theory or the Global Production Network theory described. In the divides, the form of vertical division of labor is shifting to a new phase where the supplier holds the casting boat. This is the first aspect of the transformation of the vertical division of labor in the semiconductor industry. Moreover, developed countries such as the United States and Japan, where vertically integrated semiconductor companies once prospered, are eager to attract TSMC factories in order to incorporate semiconductor production bases into their own countries. That is, the vertical division of labor, which was in the form of “a company in a developed country consigns production to a supplier located in a low-cost late developed country,” has changed to a phenomenon in which a supplier in the late developed country has a production base in a developed country at the request of a developed country. This is the second aspect of the transformation of the vertical division of labor in the semiconductor industry.
著者
地野 充時 関矢 信康 大野 賢二 平崎 能郎 林 克美 笠原 裕司 喜多 敏明 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.727-731, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

慢性骨髄性白血病の治療においては,BCR/ABLチロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブが第一選択薬として用いられている。同剤の副作用として,血液毒性,肝障害,浮腫・体液貯留,消化器症状,皮膚症状などが知られている。今回,副作用の一つである下痢に対し,半夏瀉心湯が有効であった症例を経験した。症例は61歳女性。2004年4月,慢性骨髄性白血病と診断。メシル酸イマチニブによる治療により同年10月には寛解し,その後,メシル酸イマチニブ400mgを服用していた。治療開始後,1日4-5回の下痢が続いているため,2005年6月当科初診。半夏瀉心湯服用により4週間後には,1日2回の軟便となり,8週間後には普通便となった。メシル酸イマチニブは,慢性骨髄性白血病寛解維持のために継続的に服用することが望ましいとされている薬剤である。漢方薬を併用することで治療が継続可能となったことは,東西医学の融合という観点からも意義深いと考えられる。
著者
原 毅 高橋 良介 尾原 裕康 岩室 宏一 下地 一彰 志村 有永 佐藤 達哉 宮川 慶 奥田 貴俊 野尻 英俊
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.926-932, 2021-07-20 (Released:2021-07-20)
参考文献数
9

DuragenⓇは多孔性のcollagen matrixにより形成されている吸収性の人工硬膜で,内部に血小板が浸潤することでフィブリン塊による膜を形成し,早期の髄液漏防止効果が得られる.DuragenⓇの脊椎脊髄手術における髄液漏防止効果について,後方視的に検討した.DuragenⓇを用いた脊椎脊髄手術34例中,髄液漏発生は2例であった.DuragenⓇは脊椎脊髄手術において髄液漏予防に有用と考えられる.水との親和性により様々な使用方法が期待できる素材と考える.
著者
大野 賢二 関矢 信康 長谷川 敦 角野 めぐみ 平崎 能郎 久永 明人 地野 充時 笠原 裕司 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.595-605, 2009 (Released:2010-03-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

【目的】漢方薬,特に煎じ薬の調剤や服薬指導の現状および問題点を明らかにするためにアンケート調査を実施した。【対象】千葉大学医学部附属病院・和漢診療科の院外処方箋を応需している保険調剤薬局全15店舗を対象とした。【結果】12店舗の薬局が現行(一律190点)の煎じ薬の調剤料が低いと回答した。生薬専用の分包機を導入していない薬局の調剤時間は,導入している薬局と比較して2倍であった。薬局からの要望では,処方日数や生薬薬味数に準じた調剤料および生薬薬価の見直しが多く挙げられた。また,調剤や服薬指導に従事する薬剤師の約半数が漢方薬に関する知識不足を認識していた。【総括】今後,煎じ薬を調剤できる薬局を確保するためには,煎じ薬の調剤を取り巻く経済的な問題の改善が必要と考えられた。また,漢方薬に精通した薬剤師の育成のため,大学における卒前・卒後教育体制の整備も併せて必要と考えられた。
著者
長井 壽満 小笠原 裕 坊農 豊彦
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.26-34, 2011-11-18 (Released:2014-12-24)
参考文献数
13

Today, cloud computing is essential for our society.Cloud-based services such as mail, calendar or document production provided by Google, Yahoo!, Microsoft, etc. are already common infrastructure.However, it is important to investigate both merit and demerit of introduction of the cloud computing.In this research, we focus our interest to the security of the cloud computing since it is the most concerned topic when end-user plans to introduce the cloud computing to its business.Cloud service provider should include security related terms in their Service Level Agreements (SLA).One of their guidelines is provided by METI in April, 2011.However, the guideline does not mention the difference of standpoint between vendor and end-user, or technical or economical rationality.We claim that vendor and end-user should file a "win-win" SLA to develop healthy cloud computing market.From security point of view, there are items that can be covered by SLA and hardly can be.For example, data divulgation is hardly covered, since it is difficult to estimate the affection once it happens, while data corruption or lost can be covered since it is possible to estimate the amount of damage.However, to protect end-user, it is still preferable that the SLA mentions not only limited items to protect vendor for example cyber-attacks, but also all security related requirements in order to balance end-user's convenience, cost and risk of cloud service use.