著者
齊藤 宣一 土屋 卓也 谷口 雅晴 降籏 大介 村川 秀樹 菊地 文雄 河原田 秀夫 牛島 照夫 宮下 大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究プロジェクトでは,構造保存型の数値解法として理工学各分野で広く応用されている有限体積法に対する数学的な基盤理論の開発とその現実問題への応用を行なった。基礎的な面では、離散ソボレフの不等式、補間誤差不等式の最良定数、離散Rellichの定理、離散最大値の定理、離散微分形式などについて応用指向の進んだ結果を得ることができた。応用面では、細胞性粘菌の数理モデルに対して、構造保存型の有限体積法を開発し、いままで未解決だった離散エネルギー不等式の証明に成功した。また、離散微分形式の応用としてLagrange力学に基づくエネルギー保存型数値解法の有限体積法への拡張を行なった。
著者
相澤 一美 原田 依子
出版者
日本教材学会
雑誌
教材学研究 (ISSN:0915857X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.33-40, 2015 (Released:2016-07-20)
参考文献数
9

The purpose of this study is (1) to analyze the way of introducing modals and quasimodals in grammar-based reference books published in Japan, and (2) to investigate how accurately university students can use them in different contexts. The modals (must, can, will) and their counterpart quasi-modals (have to, be able to, be going to) were focused upon in this study. The results showed that reference books tend to overgeneralize the different usage of modals and quasi-modals. This finding may help to explain why learners cannot distinguish them precisely. There appears to be a trade-off between retention of (quasi-)modals and understanding them accurately and precisely.
著者
堀川 智慧 菅田 伊左夫 原田 和宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1143, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】高齢者の転倒は年間10~20%発生しており,介護の主要な要因として問題となっている。高齢者の中でも特に虚弱高齢者は転倒リスクが高く,自宅での転倒発生リスク比が健常高齢者の2倍あるとの報告もある(Northridge,1995)。このことから虚弱高齢者の転倒リスクを予測し,早期支援・介入することが重要である。転倒は地域生活の中で特に歩行中に生じており,歩行における転倒リスクの判別が必要となる。Shumway-Cook(2013)は従来の時間距離変数を用いた歩行評価は簡便で有力な転倒リスク評価指標だが,施設内の整えられた環境下であることから実際の地域生活での能力を反映しているかは明確ではないと述べている。そこで歩行中に認知課題負荷を行い生活場面に近い環境下での歩行を評価することで,より地域生活における歩行能力と転倒リスクの判別が可能になると考える。課題歩行を行う尺度としてDynamic Gait Index(以下,DGI)がある。DGIは8項目の課題歩行を実施し,その課題に対する認知応答やバランス制御反応により歩行を修正する能力を点数化する。地域高齢者においてDGIの妥当性,信頼性を有しているとされるがその報告は少なく,加えて地域高齢者の中でも高い転倒リスクを有している虚弱高齢者に対してDGIの検討はなされていない。また虚弱高齢者は歩行能力が低いと言われており,地域高齢者を対象とした先行研究で報告されているカットオフ値19点では虚弱高齢者の転倒リスクを過大評価すると考えられる。そのことから,虚弱高齢者の転倒リスクをより高精度に判別するためにカットオフ値の再検討が必要である。本研究の目的は,地域在住の虚弱高齢者におけるDGIの転倒リスクの判別力を検討することである。【方法】対象は通所リハビリテーションを利用する65歳以上の高齢者である。除外基準として1)歩行不可能な者,2)認知症スケールであるCDR-Sの得点から認知機能低下が著名とされる者,3)Friedらの虚弱指標に基づくCHS基準が0点の非虚弱者の3つを設ける。DGIの課題は6mの歩行路を使用し,口頭指示にて通常歩行,速度変更,頭部の上下・左右回旋,方向転換を歩行中に行うもの,歩行中の障害物のまたぎ動作,8の字歩行,そして階段昇降の8つがある。各課題における歩行中の不安定さおよび課題への応答を1項目0から3点で点数化し,24点満点中得点が低いほど課題への歩行修正能力が低いといえる。本研究では転倒リスク判別の妥当性を有するModified Gait Abnormality Raiting Scaleをアウトカムとして用いる。統計解析はDGI得点が転倒リスクに寄与するかをロジスティック回帰分析にて解析を行う。またROC分析により曲線下面積(AUC)を求め,カットオフ値の検討を行い,感度・特異度の算出を行う。解析ソフトはSPSS ver. 16.0 Regressionとver. 22 Statisticsを使用する。【結果】対象者は44名であり,平均年齢は78.1±7.1歳であった。転倒リスク者は21名でDGI平均得点は13.9点,非転倒リスク者は23名でDGI平均得点は17.8点と有意に転倒リスク者の得点が低かった(p<0.01)。ロジスティック回帰分析の結果,DGIのオッズ比は0.42(p<0.01,95%信頼区間0.25~0.72)であった。カットオフ値を19点としたとき,感度100%,特異度34.8%であった。ROC曲線の結果,AUCは0.885,16.5点をカットオフ値としたとき感度69.6%,特異度91.5%であり,陽性尤度比は8.2,陰性尤度比は0.2となった。【考察】ロジスティック回帰分析より,DGI得点の減少は転倒リスクの増加に有意に寄与し,DGIの得点が転倒リスクを判別可能であることが示された。この結果を受け,虚弱高齢者においてカットオフ値を算出した結果,地域高齢者を対象とした19点に比較し,16点以下が転倒リスクをより高い精度で判別することが明らかとなった。また陽性尤度比から高い転倒リスク判別力を有することが明示された。DGIにおける課題は口頭指示に対する応答,頭部の操作やまたぎなど地域生活の中で想定される内容と考えられ,DGIによる歩行評価を行うことにより地域高齢者に加えて虚弱高齢者においても地域生活での転倒リスク判別が可能となることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】DGIを用いた歩行評価により歩行中の転倒リスクを有する虚弱高齢者を早期特定し,重点的な介入を行うことが可能になる。また,DGIの減点された項目に対して理学療法介入や環境調整を行うことでより効果的な転倒予防が可能になると考える。
著者
原田 一道
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.3-17, 1995-01-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
80

1988~1992年の5年間に上部消化管内視鏡検査を26,162例に行い,そのうちAGMLが360例であった(平均年齢45.5±16.4歳,M±SD;男:女2.1:1).AGMLの成因としては,精神的ストレス(55.6%),各種薬剤(22.2%),飲食物(6.9%),内視鏡検査(GF)後のもの(3.3%),その他(4.2%),不明(7.8%)であったが,最近,薬剤によるAGMLが増加傾向にあった.AGMLの季節発生は夏季(6~8月)に有意に少なかった.また,都市に住む人の方が地方の人よりAGMLの発生頻度が多かった. ストレスによるAGMLは青壮年に多いのに対して,薬剤によるAGMLは65歳以上の老年者に有意に多く発生していた.誘因薬剤ではNSAIDsが72.5%と最も多く,ついで抗生物質製剤が17.5%,ステロイド剤が5.0%,その他が5.0%であった.NSAIDsに起因する胃病変の発生を予防する方法を確立する目的で,健常ボランティアにおいてDiclofenac単独投与群,防御因子増強剤併用群,H2-受容体拮抗剤併用群の3群にわけて検討した.その結果,H2-受容体拮抗剤併用群が有意に胃病変の発生を抑制した.実験的にIL-1をラットの腹腔内投与(0.01~1μg/rat)すると胃酸分泌と胃排出を用量依存性に抑制し,水浸拘束ストレスおよびNSAIDsやエタノールによる胃病変に対して強力な胃粘膜保護作用を発揮した.この事実はAGMLの病態生理や治療体系に大きなインパクトを与え将来の発展が望まれる.
著者
紅林 佑介 原田 祐輔 井上 善久
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-8, 2016-03-20 (Released:2017-09-25)
参考文献数
20

目的:精神科看護師の職業性ストレスと看護実践能力との関連性を明らかにし、精神科看護師の看護実践能力の向上を促進する支援策について考察することとした。方法:精神科病院に勤務する看護職者56 名を対象に、属性項目の調査、職業性ストレス簡易調査票を用いた職業性ストレスの調査、看護問題対応行動自己評価尺度(OPSN)を用いた看護実践能力の調査を行った。結果:平均年齢は44.6±12.2歳、精神科経験年数は13.7±7.3年であった。OPSNの5つの下位尺度全ての平均点は18 点以上だった。重回帰分析を行ったところ、OPSN に関連した変数は「仕事や生活の満足感」と「抑うつ感」および「心理的な仕事の負担(質)」であった。考察:経験の豊富な精神科看護師の看護実践能力の向上は、経験年数ではなく、仕事や生活に満足感を抱き、些細な場面でも援助内容を内省することと関連すると考えられた。精神科看護師の看護実践能力を向上させるためには、仕事への満足感を感じやすくし、援助の内省という苦痛の伴う作業へのサポートを通じて抑うつを軽減すること、治療的かかわりをする上で重要なサインを優先して教育するなどの支援策が必要であると考えられる。
著者
原田 和宏 佐藤 ゆかり 齋藤 圭介 小林 正人 香川 幸次郎
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.263-271, 2006-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
4

本研究は,在宅で生活を続ける自立高齢者における機能低下の実態を地域ベースで把握することをねらいに,ADL(歩行,入浴,トイレ動作,食事,着替え)および活動能力(老研式活動能力指標)の自立者を1年半後に追跡し,ADLまたは活動能力障害の新規出現に対する転倒既往と閉じこもりの関与を縦断的に検討することを目的とした。調査は中国地方の某町の在宅高齢者全員を対象に2002年12月と2004年6月に行い,ADL障害の出現では1,085名,活動能力障害の出現では525名のデータを分析した。その結果,在宅で生活を続ける自立高齢者のうち1年半でADL障害は4.7%に生じ,手段的自立の障害は9.0%,知的能動性は13.3%,社会的役割は15.4%,後者3指標いずれかの活動能力障害は25.9%に生じた。また,障害の新規出現は高年齢と併せて転倒既往や閉じこもりによってその割合が高まることが認められた。自立高齢者から機能低下のハイリスク者を選定するにあたり,転倒経験や外出しようとしない閉じこもり状況を考慮することは意義があると推察される。

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著者
原田伴彦 [ほか]編集
出版者
講談社
巻号頁・発行日
vol.2, 1984
著者
原田 祐志 浅野 文彦 田地 宏一 宇野 洋二
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.575-582, 2009 (Released:2011-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

We have applied a parametric excitation method to a kneed biped robot with semicircular feet and have shown that the robot can walk sustainably with only knee torque. A swing-leg of the kneed biped robot has similar mechanism to an acrobot, and many acrobots are controlled in inverse direction like ornithoid walking. These suggest that inverse bending of a knee restores more mechanical energy than forward bending, and hence, the ornithoid walking can be more efficient. In this paper, we first compare the forward bending with the inverse bending for a double pendulum, and show by numerical simulation that the mechanical energy of the inverse bending increases more than that of the forward bending like human walking. We then propose a parametric excitation based ornithoid gait for a kneed biped robot, and show sustainably walking by numerical simulation. Finally, we compare parametric excitation based ornithoid gait with parametric excitation based human gait, and we show that ornithoid gait is more efficeint.
著者
小林 理恵 原田 萌香 笠岡 宜代 友竹 浩之
出版者
東京家政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

災害時における食物アレルギー患者は栄養不足やアレルギー症状の面で致死的状態になる可能性が非常に高い。3年計画の初年度である2018年度は食物アレルギー患者の災害食支援に「パッククッキング法」を活用するために,熱源と飲用水が制限される状況を想定し,炊き出し料理の中でアレルゲン除去食をパッククッキングした際のアレルゲン混入の実際を明らかにすることに取り組んだ。東日本大震災において提供された頻度の高いアレルゲン食品(小麦、乳、卵)を使用し,パッククッキング法の利用が想定できる炊き出しメニューとして「シチュー」を抽出した。炊き出しシチューの中で,ご飯とアレルゲン除去シチューをパッククッキングした。この時,ポリ袋は1枚及び2枚重ねの2条件で比較した。調理品は凍結乾燥後,専用ミルにて粉末試料とした。検査対象アレルゲンはグリアジン,β-ラクトグロブリン,オボアルブミンとし,アレルゲンアイELISA IIのプロトコルに従いスクリーニング試験を行った。この時,8点での検量線の直線性はr=0.9以上を条件とした。アレルゲン除去食における各アレルゲンの検査結果はポリ袋の使用枚数に関わらず10μg / g以下であり,アレルゲン混入は認められなかった。すなわちパッククッキング法を用いることにより,炊き出しシチューの中で上記の各アレルゲンフリーのシチューとご飯を調製することは可能であり,この方法は自助・共助・公助のいずれの場面でも応用可能と考える。しかし,粘度の高い炊き出しシチューの中でパッククッキングを実施すると,炊き出しシチューがポリ袋に付着する。実験過程では注意を払いポリ袋内部からアレルゲン除去食試料を採取したが,災害時には同様の配慮は期待できず,調理後の開封時にポリ袋に付着したアレルゲンが混入するリスクが高い。これを回避するためには,ポリ袋を2重使用することが望ましいと考える。
著者
原田 和樹 小泉 武夫 永塚 規衣 長尾 慶子 數村 公子 前田 俊道 徳永 拓史 長谷川 喜朗 小川 伸也 岡村 英子 河村 幸恵 小俣 文登 金谷 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1089, 2009

<BR>【目的】我々は、咀嚼嚥下障害者食の抗酸化性について長年研究し、本学会で報告してきた。今回は、水産物由来で未利用資源であるナルトビエイに着目し、咀嚼嚥下障害者食を想定して調製した調理加工品が持つ抗酸化性を、多視点解析で行った結果を報告する。<BR>【方法】試料の形態は、煮こごり、魚醤、天日干し調味液漬けとし、試料が持つ抗酸化能の多視点解析は、ケミルミネッセンス(化学発光)法、電子スピン共鳴(ESR)法、米国農務省推奨のORAC法並びにHORAC法、また、好中球様分化細胞HL60の細胞内Caイオン濃度変化と活性酸素産生を蛍光・化学発光で同時に検出した結果から、シグナルトランスダクション経路をもとに作用機序の解析が可能である新しい次世代食品機能性評価法も用いた<SUP>1)</SUP>。それぞれの方法では、ペルオキシラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン・ラジカルの消去活性能などを解析する事になる。<BR>【結果】ナルトビエイの煮こごり試料では、生肉と比較して、ORAC法では5.7倍、ESR法では6.7倍、抗酸化性が増大した。一方、ナルトビエイの肉を調味料の魚醤にすると、ORAC値の平均は、7271&micro;mol TE/100mlとなり、HORAC値の平均は、42981&micro;mol GAE/100mlとなった。なお、その時のESR法でのIC<SUB>50</SUB>値は平均0.08%であった。なお、次世代食品機能性評価法においては、従来知見を得ている単一成分の試料に対してばかりでなく、複合成分で構成されたこれら咀嚼嚥下障害者食材でも、解析が可能である事を見出した。<BR>1) 數村公子, 原田和樹, 前田俊道, 徳永拓史, 土屋広司: 日本食品科学工学会第56回大会講演集, 印刷中 (2009).
著者
石原 誠 宮崎 泰地 原田 智広 ターウォンマット ラック
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2414-2425, 2016-11-15

本稿では,対戦格闘ゲームにおけるゲームAI(AI)や操作法がプレイヤの感じる面白さに与える影響について分析する.対戦格闘ゲームには,キーボードなどの指先による操作と,Kinectを用いて体の動きで操作する方法がある.プレイヤがいずれの操作においても楽しく対戦格闘ゲームをプレイするためには,プレイヤと互角に戦うようなAIが必要である.また,それを実現させるためには強さをある程度持ったAIが必要である.本稿では,UCTをノード選択における戦略としたモンテカルロ木探索,ルーレット選択,ルールベースの手法を組み合わせることで,先述したAIを開発する.このAIをベースにし,UCTの評価関数を改変することによってプレイヤに合わせて強さを調整(難易度調整)するAIを開発する.そして,AIや操作法がプレイヤの感じる面白さに与える影響を,キーボード,Kinectのそれぞれの操作において分析する.対戦格闘ゲームの国際AI大会のプラットフォームとして利用されているFightingICEを用いた被験者実験より,難易度調整はプレイヤがより楽しんで対戦格闘ゲームをプレイするための重要な要素であり,特にKinectにおいて顕著な効果が示された.
著者
古河 隆二 佐藤 彬 川原 健次郎 楠本 征夫 棟久 龍夫 長瀧 重信 石井 伸子 小路 敏彦 土屋 凉一 大津留 晶 松尾 彰 後藤 誠 原田 良策 田島 平一郎 中田 恵輔 河野 健次 室 豊吉
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.753-758, 1985

3回の摘出術と2回の肝動脈塞栓術(TAE)により10年8カ月生存している肝細胞癌の1例を報告した.症例は62歳の女性,1971年肝生検で肝硬変と診断.1973年10月血中AFP上昇のため当科入院.HBs抗原,HBe抗原ともに陽性.血管造影で腫瘍膿染像をみとめ,摘出術施行,右葉後上区域の3.5cm大の肝癌を摘出した.非癌部は乙型肝硬変であった.6年10カ月後に肝癌の再発がみられ,やはり右葉後上区域にて2.0cm大の肝癌を摘出.さらに10カ月後に肝癌が出現,右葉後下区域より1.0cm大の肝癌を摘出した.組織学的には,3回ともtrabeculartypeであった.さらに1年8カ月後肝癌が出現,TAEを2回施行し外来通院中である.本例の肝癌発生様式は,多中心性と思われるが,血中AFPの厳重なfollowにより3回もの肝癌摘出術に成功し,10年以上の生存をみているため報告した.
著者
原田 宗忠 中井 大介 黒川 雅幸
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.50-60, 2020-08-04 (Released:2020-08-04)
参考文献数
20
被引用文献数
2

これまでの研究では,いじめ被害と自己像の不安定性がいじめ加害と関係する可能性が示唆されているものの,いじめ被害と自己像の不安定性の因果関係は示されてこなかった。そこで,本研究では3時点の縦断調査によってこれらの関係を示すことが主な目的であった。調査対象者は,小学校5, 6年生420名,中学校1, 2, 3年生942名の計1,362名であり,1年間において3回の質問紙調査を実施した。質問紙では,自己像の不安定性,いじめ被害経験,いじめ加害経験の測定を行った。いじめ被害経験と加害経験については,1回目の調査では現在の学年になってから,2, 3回目の調査では前の調査からのことを尋ねた。交差遅延モデルによる分析の結果,一部有意な傾向のパスを含むが,中学生においてのみ,自己像の不安定性が高いことがいじめ被害経験を高め,いじめ被害経験がいじめ加害経験を予測することが示唆された。
著者
原田 正俊
出版者
仏教史学会
雑誌
仏教史学研究 (ISSN:02886472)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.p200-207, 1988-11
著者
大伴 周也 原田 智広 ターウォンマット ラック 伊東 卓男
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.1294-1305, 2020-08-15

近年施設の老朽化によるタンク,配管施設等からの油漏れが深刻な問題となっている.石油の漏洩は土壌汚染等の環境問題につながる恐れがあるため,漏洩を早期に検知することが必要となる.本論文では,この石油漏洩を早期に発見するための漏洩検知手法を提案し,その有効性を評価する.提案手法は,位相データ解析を用いた高水準データ解析で得られる時系列特徴量から,機械学習を用いて漏洩の有無を判別するモデルを学習する.実際の石油タンクから得られた液面計データを用いた性能評価実験の結果,提案手法は非常に少ない漏洩量であっても,高精度に漏洩判定が可能であることを確認した.