著者
古村 健太郎 松井 豊
出版者
弘前大学人文社会科学部地域未来創生センター
雑誌
地域未来創生センタージャーナル (ISSN:24341517)
巻号頁・発行日
no.6, pp.15-25, 2020-02

本研究は、マッチングアプリの利用経験とリスクのある性交経験との関連を検討することと、マッチングアプリ利用の心理的背景を検討することを目的としたWebパネル調査を行った。調査対象は、18 - 29 歳の484 名(男性239名、女性245名)であった。分析の結果、男女ともに恋人がいる人との性交、恋人以外の人との性交、見知らぬ人との性交の経験といったリスクのある性交経験は、アプリ利用経験がある場合に多かった。また、男性では金銭を支払った性交が、女性では既婚者との性交、首締めなどの危険な性交、金銭を受け取った性交、性病の感染経験が、アプリ利用経験がある場合に多かった。心理特性については、アプリ利用経験がある人は、賞賛獲得欲求やぬくもり希求の得点が高かった。これらの結果から、マッチングアプリの利用経験とリスクのある性交との関連について議論した。
著者
古市 将樹
出版者
常葉大学教育部初等課程研究企画部会
雑誌
教育研究実践報告誌 (ISSN:24360112)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.27-36, 2021-03-01

本論は、平安時代の能筆を意味する「三筆」(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)と「三蹟」(小野道風・藤原佐理・藤原行成)に関するいくつかの疑問、特に、なぜ彼らが他の能書と比べて別格的な位置づけをされているのかについて、先行研究の状況を整理するとともに、記号学的な観点から、それら「三筆」・「三蹟」の呼称が記号としてはたらくことで、別格的な位置を確保したと考えられることを論じている。現在、これに関しては、「三筆」や「三蹟」が記号として成立し作用する具体的な場面が教育(教科書)に見い出せる。それは、特別な意図を含まない平明な歴史的事実の記述によって構成されているが、同時に、三筆・三蹟の説明文が、「三筆」「三蹟」の呼称を記号化し、書道史的に不明な部分を補って、それらを別格のものとしている状態でもある。本論はこのこと状況を分析・抽出するものであり、本稿はその第一弾である。
著者
高城 健 岡田 義清 白壁 和彦 古橋 廣崇 榎本 真悟 谷知 正章 丸田 紘史 安武 優一 栗原 千枝 戸田 裕之 東山 正明 渡辺 知佳子 髙本 俊介 冨田 謙吾 清水 邦夫 永尾 重昭 三浦 総一郎 穂苅 量太
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.2-5, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

近年,心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder: PTSD)と過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の関連性が指摘されており,一方で精神疾患と腸内細菌との関連性が指摘されている。また,IBSでは腸管粘膜における脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が増加するとの報告もある。今回我々は,本学で開発されたPTSD動物モデルを用い,腸内細菌叢や腸管粘膜におけるBDNF発現の変化について検討した。シャトル箱を用いてラットに逃避不能の電撃を負荷すると,後の行動観察でラットはPTSD,学習性無力(learned helplessness: LH),indeterminateのいずれかの行動パターンを呈することが判明した。行動パターンによって腸内細菌叢の構成が異なり,PTSD群ではBacteroidetes,LH群ではProteobacteriaの割合が増加する傾向がみられた。またLH群では,近位結腸のBDNF発現が増加する傾向がみられた。これらの変化がmicrobiota-gut-brain axisに関連し,行動変化や消化管機能に影響を与えている可能性がある。
著者
鈴木 徹 竹内 友里 益田 和徳 渡辺 学 白樫 了 福田 裕 鶴田 隆治 山本 和貴 古賀 信光 比留間 直也 一岡 順 高井 皓
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.371-386, 2009 (Released:2011-05-23)
参考文献数
24

Recently, several food refrigeration equipments that utilize magnetic field have attracted much attention from food production companies, consumers and mass media. However, the effectiveness of the freezers is not scientifically examined. Therefore, the effectiveness should be clarified by experiments or theoretical considerations. In this study, the effect of weak magnetic field (about 0.0005 T) on freezing process of several kinds of foods was investigated by using a specially designed freezer facilitated with magnetic field generator. The investigation included the comparison of freezing curves, drip amount, physicochemical evaluations on color and texture, observation of microstructure, and sensory evaluation. From the results of the control experiments, it can be concluded that weak magnetic field around 0.0005 T provided no significant difference on temperature history during freezing and on the qualities of frozen foods, within our experimental conditions.
著者
古川 竹二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.612-634, 1927 (Released:2010-07-16)
被引用文献数
5 10
著者
古畑 和孝
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.11-22, 1954

従来の双生児法とはやや観点を異にして, 所謂同一環境において生育したEZ対偶者間において発現して来る性格差異を, その相互関係との関連において研究することを志したものである。<BR>そこで箪者は, 卵生診断の確実な東大附属中学校1年在学双生児20組 (EZ12組・ZZ4組・PZ2組・U K2組) を研究対象として, 学校並びに集団合宿生活での行動観察, 種々の性格診断法を併用して, 各対の性格特徴を把捉し, その差異を検出することに努めた゜<BR>その結果, 従来の諸研究が, いずれも性格における高度の類似を強調しているにも拘らず, その社会的契機を重視していく限りにおいては, 案外差異を見出したし, 諸テストの結果でも, ZZに比すればやや類似しているとはいえ, A・B間に可成りの開きがみられた。而も大凡の傾向としては, その開きの大小, 反応の一致慶の高低が, 性格差異評価の一資料たり得ると解せられる。<BR>ところで, その差異の原因としては, 固より先ず, 身体的. 生理的条件が考えられるべきであろうし, 事実, 一般的にみて, 身体的差異の大なる対に, 性格差異も亦大なる傾向が認められ, その差小なる対は, 性格差異も小であつた。<BR>それ以外に差因の原因を求めるならば, 心理学的な環境的要因として, 相互依存関係との関連において, 多少とも兄弟的取扱いを受け, 又自らもかかる意識を有するところから成立する兄-弟的な関係が考えられる。そしてこれ等の明確な対においては, 矢張り差異が比較的顕著である。<BR>この関係の表出を計つた困難な課題解決場面での実験の結果によつて, 危機的場面での行動的特性として, 一般的にみて, 主導的一従属的関係が看取され, 加えてその相互関係における協力一競争関係について若干の知見を得た。<BR>EZにおける相互依存関係は, 性格における間柄的関係として問題になつたものであるが, これはZZに比するならば, 一般には意思疎通も円滑・良好であり, 所謂双生児共同体意識をも見出し得た。が, この"二人なるが故に"の特徴は, 両者が全く平等. 対等な関係としてあるのではなく, 寧ろ先にも見た如く, 多少とも相倚り (B) 相倚られる (A) 関係ににおいてあるようである。其の他, この間が極く自然的・円滑である対から, 何らかの摩擦・抵抗を感ずるような対に至るまでの存在や, その原因, 或いは同一視の問題等についても考察を進めた。<BR>最後に, 教育的見地から, 今後この観点からの研究の推進のためにも, 一・二の点に簡単に触れておきたい。<BR>EZが, 遺伝質同一とされているところからも明らかなように, 心的構造の下層部においては, 極めて高度の一致を示すのは当然である。が, 現実の生活においては, 遺伝的な規定に因りつつも, "上層部の世界が意識的には優勢を占め, 自らの行動を統御し, 主権性を担つている"(6) ことを思うならば, EZにおける兄一弟的関係が, 一その行動面において, Aの主導的Bの従属的な傾向への分化に導いていつたことは, 望ましい性格の形成を考慮するに当つても, 充分注目せられてよいであろう。この意味でも, EZにおける性格差具は, 今後大いに追究されてよかろう。<BR>EZにおける主導一従属的関係は, 知的要因によつて規定されるとの論があるようである。(8) 確かに対象双生児について, その学業成績や知能検査結果をみても, 現象的にはそうである。成績の相対的によい方は, 主導的とされる者に, 大体相当しているからである。<BR>が, 遺伝質同一の仮定が正しく, 身体的器質的条件が特に具るところないならば, 主導的であり成績の良好な者は, 多くはA児で易るところからみても, 主導的一従属的関係の成立が, 逆に学業成績などにも影響を及ぼしているのではなかろうかとの推論も可能であろう。とに角, 一般に, 学業成績と心的構えとの連関を考察するに当つても, この種研究が一つの素材を提供することが期待される。<BR>これ等, 問題の今後の展開のために, その一二を指摘するだけでも, 一層充実した精細な実証的研究を, 長期に亘り, 発達史的に続けることが必至と思われる。そうする時はじめて, ここに提供された問題も, 進展するかもしれないであろう。<BR>稿を終るに臨み, 終始懇篤な指導を忝けなうした指導教官三木安正教授はじめ諸先生方, 並びに直接材料蒐集其の他に援助を与えられた嘱託木村幸子氏, 附属学校関係各教官に対し, 謹んで感謝する。
著者
伊関 千書 鈴木 雅雄 古田 大河 佐橋 佳郎 鈴木 朋子 金子 明代 上野 孝治 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.131-139, 2015 (Released:2015-08-12)
参考文献数
39
被引用文献数
1

症例は45歳女性で,X-2年4月より全身性疼痛,発熱,倦怠感,冷え,下痢,食欲不振,めまい,頭痛,不眠などを発症し,X-1年5月に当センターにて線維筋痛症と診断された。X 年5月に入院時,慢性疲労症候群も合併していると診断された。手の少陰経と太陽経に発汗と血管攣縮を伴う疼痛発作が毎日出現しており,複合局所疼痛症候群(CRPS)と診断された。通脈四逆湯(乾姜9g,甘草4g,烏頭6g)を処方後,ほとんどの症状の軽減がみられ,CRPS 発作には大烏頭煎(烏頭1g,蜂蜜10g)の頓服が有効であった。鍼灸治療では,心気血両虚証と心庳証に対し,神門,内関,三陰交,太衝,足三里,陰陵泉,心兪,肩中兪,風池へ配穴し低周波鍼通電治療(1~4Hz)を併用し,手の少陰経と少陽経へは子午流注経絡弁証も用いたところCRPS 発作頻度が減少した。湯液と鍼灸の併用は,難治性の疼痛症候群合併症例に有効であった。
著者
古桧山 建吾 京極 真 織田 靖史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.180-189, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

本研究の目的は,信念対立を経験したリハビリテーション専門職がマインドフルネストレーニングを実践することでたどる主観的体験の変化と,リハビリテーション専門職の信念対立に対してマインドフルネストレーニングがどのような影響を与えるかを明らかにすることである.対象者は,8週間のマインドフルネストレーニングを実践した.質的研究で対象者の主観的体験の変化,量的研究でマインドフルネストレーニングの効果を検証した.結果,対象者の信念対立の心理的側面は改善するが,信念対立そのものは改善しなかった.以上から,信念対立の問題には,マインドフルネストレーニングと信念対立解明アプローチを併せて対応する必要があると考える.
著者
湯川 尚一郎 加門 由理 木川 祐菜 田中 蓮華 横田 桃子 大島 誠之助 古川 敏紀 仲 克己
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-31, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
23

ドッグフードへのサルモネラ属菌の混入に注目し、日本国内で販売される犬用ドッグフードを対象に調査を行った。方法は「愛玩動物用飼料等の検査法(27消技第1051号)」に従った。対象製品は27社の犬用ドライフードから選択した国産フード63製品、輸入フード47製品とした。輸入フードの原産国の内訳は米国14製品、オランダ7製品、タイ・カナダ・フランスが6製品、オーストラリア5製品、スウェーデン2製品、チェコ1製品であった。その結果、サルモネラ属菌は、今回調査した、すべての製品で陰性であった。
著者
澤田 隆介 岩田 通夫 梅崎 雅人 臼井 義比古 小林 敏一 窪野 孝貴 林 周作 門脇 真 山西 芳裕
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2B01, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
2

漢方薬(漢方方剤と呼ばれる葛根湯など)による医療は日本の独創的かつ伝統的な治療体系である。その有用性は、欧米でも注目されている。本研究では、富山大学和漢医薬学総合研究所が長年に渡り蓄積してきた莫大な漢方医薬情報を、統合的に解析するための情報技術を開発し、漢方薬の作用機序の科学的考察や、漢方薬の新規効能予測を行うアルゴリズムやデータベースを開発した。漢方薬、その構成生薬及び成分化合物と標的タンパク質の階層的関係から、漢方薬が生体に薬理学的効果を及ぼすメカニズムの考察を可能にするだけでなく、in silico結合シミュレーションや機械学習の手法を用いて、漢方関連ビッグデータを解析することにより、漢方薬の新しい適応可能疾患の予測(漢方薬リポジショニング)も可能にした。本研究で構築したデータベース「KampoDB」は、web上で公開している(http://wakanmoview.inm.u-toyama.ac.jp/kampo/)。
著者
大塚 益比古
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.40-44, 1993-01-30 (Released:2010-04-19)
被引用文献数
1
著者
竹安 正則 住谷 秀一 古田 定昭
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.141-149, 2013 (Released:2013-12-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

On the basis of the measurement results of airborne radionuclide concentrations in the Nuclear Fuel Cycle Engineering Laboratories, Japan Atomic Energy Agency, the committed effective dose to adults and the committed equivalent dose to thyroid of infants by inhalation were estimated for various indoor and outdoor exposure scenarios. It was demonstrated that the indoor to outdoor airborne radionuclide concentration ratio had a dominant effect on the dose estimate. The committed effective dose to adults was estimated to 0.098 mSv, and the committed equivalent dose to thyroid of infants was 1.8 mSv. These doses were about 1/6 and about 1/9, respectively, compared to the provisional ones with such assumptions as continuous outdoor stay.
著者
寺島 裕貴 古川 茂人
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

聴神経フィルタ特性を理解するための計算モデルとして、自然音の教師なし学習モデルが提案されてきた。本研究では、より自然な音として自然環境下における音の変調を考慮に入れると、教師なし学習よりも音響課題に最適化された深層ニューラルネットワークがより良いモデルであることを示す。
著者
川村 隆浩 渡邊 勝太郎 松邑 勝治 櫛田 達矢 古崎 晃司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.839-848, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
23

近年,大規模書誌情報データベースを対象とした科学計量学の研究が盛んに行われている。そのため,論文や特許,研究データの分類やクラスタリング,検索のため科学技術に関するシソーラスの重要性が増している。科学技術振興機構(JST)では,1975年からJST科学技術用語シソーラス,また2005年からは関連する大規模用語辞書の構築・改訂を進めてきたが,今回,合わせて約24.5万概念を含む両者を国際標準化団体W3Cが規定するResource Description Framework形式のLinked Dataに変換し,期間限定で公開した。本稿では,まずJSTシソーラスおよび大規模辞書の概要,およびLinked Data版の特徴や有用性について述べる。そして,さまざまなドメインオントロジーをつなぐハブとなるトップレベルオントロジーとしての位置付けについて考察し,オントロジー的観点から概念間の関係性の再整備を進めているライフサイエンスカテゴリーにおける取り組みを紹介する。最後に今後の取り組みとして自然言語処理技術による半自動的なシソーラス保守・整備作業の可能性について触れる。