著者
渡辺 光太郎 吉川 勝好
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.948-949, pp.257-260, 1967 (Released:2006-10-31)
参考文献数
12
被引用文献数
2 8

ヤマザクラPrunus jamasakura•エゾヤマザクラP. sargentii•オオシマザクラP. lannesiana var. speciosa•イトザクラP. subhirtella var. pendulaおよびソメイヨシノP. yedoensisには, いずれも自家不和合の性質があることがわかった. ソメイヨシノは自家•他家受粉とも種実を形成しない. この植物の結実は他種のサクラとの交雑の結果と見てまずあやまりがない.われわれは多年同一地域の, ほゞ同じ環境下にある16本のヤマザクラについて調査し, 開花状態や花• 葉などの諸形質に顕著な個体差のあることを認めた. 自家不和合性は, このような著しい変異を生ぜしめた一因であると考えてよかろう.
著者
吉川 裕之 八杉 利治 沖 明典 角田 肇 川名 敬 市川 喜仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.臨床応用の第一歩として・ボランチア13名にこのL2ワクチンを経鼻的に投与する第I/II相試験を行い、VLP抗体および中和抗体の上昇を確認するとともに、安全性を確認した。このL2ワクチンは、最も型共通性でかつウイルスの細胞内エントリーに最も重要な役割を有する領域のペプチドである。pacebo3名、0.1mgが5名、0.5mgが5名にアジュバントなしで経鼻接種され、0.5mgの群の4名においてHPV16とHPV52のL1/L2 VLPに対する中和抗体が誘導され、有害事象はなかった(Vaccine,2003)。2.ワクチン接種の対象者や適応・end pointを決める上でHPV感染からCIN発生、CIN進展に関わる研究を行った。HPV16/52/58のうち複数のVLP抗体を有する場合にCINになりやすく、HPVの1つの型に抗体を有しても他の型の感染やそれに引き続くCIN発生を抑制しないことを示した(J Med Vjrol,2003)。3.HPV16陽性のCINと子宮頸癌において、E6塩基配列のvariationとHLA Class II allelesを検討し、E6 prototypeではDRB1^*1501とDQB1^*0602、D25E(アジア型)ではDRB1^*1502、L83V(ヨーロッパ型)ではDQB1^*03032が有意に高頻度であった(Int J Cancer,2003)。
著者
吉川 清次
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

EMTレポータースクリーニングにて、EMTを誘導因子としてSnail・Twist2を、EMTと協調してHMLEに軟寒天コロニー形成能を付与する遺伝子としてミトコンドリア電子伝達系構成因子、シグナル伝達ハブ遺伝子が同定されノックダウン実験では、SUM159間葉乳癌細胞のコロニー形成を抑えることが分かった。METスクリーニングでは、E-cadherin発現を強力に誘導するshRNA(shP1と命名)を同定した。軟寒天コロニー形成能の解析から、SUM159細胞にはshP1に感受性をもち軟寒天コロニー形成能が低下する集団と、shP1によりコロニー形成能が変化しない細胞集団が存在することが判明した。
著者
吉川 伸一 田中 正敏
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.59-63, 2002

本論文は, 双方向代替可能な二品目在庫管理で生じる諸費用の総和を最小にする最適資源配分問題を取り扱う. ここで, "双方向代替可能な" とは, ある品目に対して品切れが生じたときに, もう一方の品目をある代替率で代用することである. 但し, 各地域の需要分布は不確定であるが, その需要の累積分布関数は増加関数で連続関数であるとする. 特に, ほとんど解析学的に解ける問題として需要の同時確率密度関数を指数関数とする. また, ここでの在庫問題は新聞売り子問題と呼ばれるタイプの問題を利用する. さらに, 以上の結果を数値例により具体的に示す.
著者
志田 泰世 野口 久美子 金子 潤子 金沢 宏 吉川 博子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.184-187, 2005-09-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
5

平成15年12月30日, 新潟市民病院の神経内科と整形外科の混合病棟の入院患者47名中13名に下痢, 嘔吐の症状が出現した. 準夜勤務者 (3名) にも同様の症状が認められた. 病棟発生調査とおよび脱水症状の患者への治療が開始された. 出勤していないスタッフにも同様の症状が多いことがわかった. 緊急対策会議を開催し, 患者隔離・スタンダードプリコーションの徹底及び厳重な接触感染予防策が実施された. 胃腸炎の原因はノロウイルスであることが判明した. 1月8日には有症状患者は0となり, 10日患者の隔離解除・平常業務体制となった. ノロウイルス感染の症状は, 嘔吐69%, 下痢66%といわれ, 成人では下痢, 小児では嘔吐が多いとされている. そのため, ノロウイルスの主要感染ルートは, 糞口感染で, 高齢者ではおむつ交換時, 汚染された水や貝 (二枚貝) で, 時に飛沫による感染が推定されることから, 注意が必要である.
著者
吉川 卓治
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.23, pp.55-82, 2006

特集・大学史研究と大学アーカイブズはじめに一 官立大学・公立大学・私立大学の置かれた地域二 官立大学・私立大学の置かれた地域三 官立大学・公立大学の置かれた地域四 官立大学(帝国大学)の置かれた地域五 官立単科大学の置かれた地域六 私立大学の置かれた地域おわりに
著者
吉川 順子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

ジュディット・ゴーチエは19世紀後半から20世紀初頭に文学作品を通してフランスに日本文化を伝えた作家である。本研究はその日本関連作品の全体像を構築し、第一作小説『簒奪者』の生成過程の解明を進めた。その結果、日本に関連する行事に触発された執筆、日本の神話や文学への関心、同時代的な問題の投影、身近な資料の駆使といった特徴を見出すことができた。これにより、各作品の源泉調査および時代背景との関連性の考察を行っていくための基盤が作られた。
著者
里村 雄彦 木村 富士男 佐々木 秀孝 吉川 友章 村治 能孝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.51-63, 1994 (Released:2006-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

チェルノブイリ原子力発電所事故の際に放出された放射性汚染物質の、ヨーロッパにおける空気中濃度と沈着量について、気象研究所の長距離輸送モデルを用いて計算した。このモデルは、気象庁の旧ルーチンモデルで気象要素の予報を行い、ラグランジュ移流拡散モデルで汚染物質の濃度を計算する。発電所からの汚染物質の放出量として、ATMESプロジェクトで配布された発生源データを用いた。 計算の結果、モデルのCs-137とI-131の空気中濃度は観測とよく合うことが示された。しかし、沈着量は観測と合わないこともわかった。気象予測モデルの降水予報の精度の悪さと、観測値とモデルとがそれぞれ代表するスケールの違いが、沈着量の差の原因と考えられる。
著者
高須 俊明 高島 郁夫 上村 清 橋本 信夫 高橋 三雄 土井 陸雄 五十嵐 章 ANWAR Wagar 石井 慶蔵 磯村 思〓 吉川 泰弘 山内 一也 近藤 喜代太郎 YASMEEN Akba MUBINA Agbor AKRAM D.S. SHAISTA Rauf AKHTAR Ahmed AKBANI Yasmeen AGBOATWALLA Mubina AHMED Akhtar RAUF Shaista WAQAR Anwar
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

研究代表者らは、昭和57年度以後の調査研究で、カラチでは亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発生頻度が日本や欧米の大多数国に比べ数十倍以上高く、また血清学的にみて日本脳炎(JE)が疑われる患者が発生していることを知った。この事実に立脚して、今回SSPE多発の要因解析とJE様脳炎の病原研究に取り組んだ。成果の概況としては亜急性硬化性全脳炎(SSPE)については著しい進展があり、特にSSPEおよび麻疹の疫学やウイルス学での成果が目立っている。しかし、日本脳炎(JE)様脳炎については目立った進展は得られなかった。1.パキスタンにおけるSSPE多発の要因解析SSPEは麻疹ウイルスが個体に持続感染している間に生じた変異株が遅発性に脳を侵して起こる疾患である。今回の研究で、パキスタンにおけるその多発の要因は、以下の点でかなり明らかになった。(1)疫学的成果:SSPE患者の麻疹罹患年齢がパキスタンでは日本や欧米の大多数国と異なりearly measles(EM;2歳未満罹患麻疹)0.353、late measles(LM;2歳以上罹患麻疹)のうち5歳未満罹患麻疹(LM5>)0.340、5歳以上罹患麻疹(LM5≦)0.307(いずれも全measlesに対する比率)とLMが大多数を占めているという事実が判明した。これに基づき麻疹罹患年齢層別に計算されたパキスタンにおける麻疹罹患者からのSSPEの発生率は、EMからは308.1×10^<-6>、LM5>からは197.4×10^<-6>、LM5≦からは585.2×10^<-6>、麻疹罹患者全体からは280.2×10^<-6>と推定され、いずれも日本におけるそれぞれの数値に比べ高く、特にLM5>は46倍、LM5≦は296倍と著しく高いことがわかった。一般人口からの麻疹発生率のパキスタン対日本比は麻疹罹患年齢で層別しても高々2倍に留まる。したがって、パキスタンにおけるSSPE多発の最大の理由は、麻疹罹患者からのSSPEの多発、特にlate measlesからの多発にあると考えられた。[高須]第2に、SSPEのcase control studyの結果、患児は対照に比べて生下時体重が低く、出生後頭部外傷やけいれんに罹患している頻度が高い傾向がみられたことから、麻疹罹患前および後の環境因子がSSPEの発生に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された