著者
川田 順子 神崎 正人 吉川 拓磨 前田 英之 村杉 雅秀 大貫 恭正
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.620-625, 2014-07-15 (Released:2014-08-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

胸腺腫合併重症筋無力症に対し,ロボット支援下拡大胸腺―胸腺腫摘出術を施行した症例を経験したので報告する.症例は50歳女性.右眼瞼下垂と両上肢筋力低下を主訴に近医を受診し,精査の結果,重症筋無力症(MGFA class IIa)と診断された.精査加療目的に当科紹介受診.胸部computed tomographyで前縦隔に46×35 mmの腫瘤を認めた.手術は左胸腔よりアプローチし,ダヴィンチサージカルシステムを用いて行った.ポート作成後,胸腔内に二酸化炭素を送気した.左横隔神経の前方で縦隔胸膜を切開し,胸腺左葉下極より上極まで剥離した.その後,対側である右縦隔胸膜を切開し,右横隔神経に注意しながら胸腺右葉も下極から上極の順に剥離し,胸腺および胸腺腫を摘出した.病理診断はtype B2,正岡分類I期であった.二酸化炭素送気で,左胸腔アプローチでも良好な視野の下に安全に手術を施行することができた.
著者
中原 聰 芦田 恒雄 衛藤 幸男 吉川 恒男 井手 武 田端 司郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.104-109, 1990
被引用文献数
6

オオバヤシャブシによる本邦最初の花粉症が, 昭和62年4月, われわれの診療所で発見された.患者は54歳の主婦で, 15年来現住所の表六甲山麓に住み, 3年前から春季に花粉症症状に悩まされるようになった.六甲山系には古くより土砂崩れ防止の目的で, オオバヤシャブシが多数植林されており, 患者の住宅地一帯はオオバヤシャブシ林に囲まれて, 濃厚な花粉飛散の環境下にあった.したがって, 同地域住民のオオバヤシャブシ花粉症の多発が推測されたので, 翌63年春に花粉症疫学調査を実施した.その結果, 同地域とくに1丁目の住民には, オオバヤシャブシ花粉症の高い有病率が認められた.
著者
鈴木 優 吉川 正俊
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.20-32, 2010-09-28

本研究では,Wikipedia において記事の信頼度を算出する際に,重要となる著者であるキーパーソンを簡易な方法で推定し,それら重要な著者の情報だけを利用して信頼度を算出することによって,すべての著者の情報を利用して信頼度を算出する方法よりも高速で精度の高い信頼度を算出する手法の提案を行う.これは,記事の大部分は少数の著者によって記述されているため,多くの著者の編集はその記事の信頼度には影響しないと考えることができ,それら多くの著者が行った編集を信頼度算出に用いないことにより,信頼度の算出にとって不要なノイズを除去することができると考えたためである.評価実験において信頼度が正しく算出できたかどうかを確かめた結果,確かに信頼度の精度が向上したことを確認することができた.さらに,提案手法を用いることにより,信頼度を計算するための計算コストを削減することも可能となった.We propose a fast credibility assessment system of Wikipedia articles by identifying major contributors to reduce the calculation costs in determining the degree of credibility of Wikipedia articles. In our proposed system, similar to existing credibility degree measuring systems, the first calculates each editor's credibility values using the lifetime of versions, which is a number of versions includes the edits. Next, our system calculates the credibility values of articles by combining those of the article's editors. In this process, when the system identifies a small number of major contributors who have large effects to credibility degrees of articles, we can reduce calculation costs. Therefore, we propose three methods for identifying major contributors, such as number of versions based method, number of distinct document based method, and combined method of number of versions based method and number of distinct document based method. In our experimental evaluation, we unveil that our proposed system can reduce the calculation costs and increase the accuracy of credibility values of articles.
著者
吉川勉著
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1980
著者
津賀 一弘 赤川 安正 吉川 峰加 日浅 恭
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症高齢者においても検査可能な簡便な口腔機能検査法の開発を目的として、棒付きの飴を舐める機能の定量評価法を開発し、既存の口腔機能検査との関連を検討した。その結果、飴を舐める機能はオーラルディアドコキネシス(/pa/、/ta/、/ka/の連続発音速度)、舌圧、頬圧および唾液分泌量とは強い相関を認めなかった。また、認知機能が低下した多くの高齢者においても検査可能であり、提供されている食事形態との関連を認めた。本研究により、飴を舐める機能検査は認知症高齢者の口腔機能評価に有効な方法であることが示唆された。
著者
吉川 峰加
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

舌尖アンカー機能や舌搾送運動の低下あり,口腔・咽頭通過時間(OTT,PTT)の延長や口腔や咽頭への食物残留(ORES, PRES)や,を認めていた者が口腔容積の変化をもたらす舌接触補助装置(PAP)付義歯の装着1カ月後には,OTT,PTTの短縮,残留量の減少,口腔-咽頭嚥下効率の改善などを示し,PAPが頭頚部ガン患者ならびに外傷者のみならず慢性期の高齢脳神経疾患患者へも有用であることが明らかとなった.
著者
河合 めぐみ 佐藤 恵 川嶋 修司 大城 宏之 臼田 多佳夫 吉川 裕之 大篠 浩
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.66-70, 2004-06-25 (Released:2012-08-27)
参考文献数
12

聖隷予防検診センターにおけるヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌治療の現状と今後の展望について報告する。まず上部消化管内視鏡検査にて潰瘍の診断と,迅速ウレアーゼテストを行った。除菌治療を先行させた後,潰瘍の深さ,大きさに応じて抗潰瘍薬を投与した。そして再度内視鏡検査を施行し潰瘍治癒を確認した後,尿素呼気試験を施行した。2000年11月より,2003年10月までに尿素呼気試験を終了した症例は計193例,平均年齢54.0歳,男性158例,女性35例で,症例のうちわけは胃潰瘍73例,十二指腸潰瘍91例,両潰瘍合併29例であった。除菌成功率は85.5%で,副作用は下痢が最も多かったが,いずれも軽度であった。アルコールや喫煙の生活習慣と,除菌治療の成功率とは相関を認めなかった。除菌成功後の潰瘍再発率は3.2%と非常に低率であったが,除菌失敗後の潰瘍再発率は47.4%と高率であった。除菌治療は,成功すると潰瘍再発が少ないため,有効な治療法である。しかし,失敗すると再発率が47.4%と高率であった。潰瘍はストレスやアルコール,喫煙などの因子も関与するが,基本的に主因はH.pyloriであることを再認識した。1日も早い2次除菌治療法が確立され,保険適応になることが望まれる。
著者
吉川 昇
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

近年、薄型テレビの出現により旧来のブラウン管は廃棄される傾向にある。ブラウン管用ファンネルガラスは鉛を含むため、廃棄には脱鉛が必要である。本研究はマイクロ波加熱を利用した鉛の迅速酸浸出を行い、ガラスの廃棄/再利用を可能にする事を目的とする。本研究ではマイクロ波印加鉛ガラスの酸浸出速度に関する基礎的研究と、大気系での大量処理の可能性を調べた。
著者
吉川 真司
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.p487-524, 1984-07
著者
吉川 茂樹 北 裕幸 田中 英一 長谷川 淳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.1137-1145, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2 4

The authors have proposed the Flexible, Reliable and Intelligent ENergy Delivery System (FRIENDS) as a concept of future electric power systems. The concept of FRIENDS takes into account the deregulation of the electric power industry and progress of technologies such as power electronics, distributed generators (DG), distributed energy storage systems (ESS), information and communication. One of the most important characteristics of FRIENDS is that new facilities called Quality Control Centers (QCC) are installed between distribution systems and electric consumers.This paper presents a methodology for DSM based on a real-time pricing system through the information and communication network in FRIENDS. The economic use of DG and ESS in QCC is also considered in the proposed DSM. The sigmoid logistic function is used for modeling the real-time pricing system and a couple of parameters in the function are optimized by the Genetic Algorithm so that the profit of QCC is maximized. The effectiveness of the proposed DSM is ascertained by evaluating the profit or the load factor of QCC through simulations using model systems.
著者
泉 知論 吉川 寿広 荒木 大
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2010-MBL-53, no.17, pp.1-7, 2010-03-19

システム設計の効率化を求めて,動作記述から回路を自動的に合成する動作合成の技術が実用化されてきており,また,より抽象度の高いシステムレベルの仕様記述言語も提案されている.一方で,高度な最適化のため,あるいは,外部回路とのインターフェースをとるため,サイクル精度のタイミングまで考慮した詳細な設計が求められる場面も依然存在する.仕様記述によるモデリングと検証,ハードウェア化する部分については動作記述からの回路合成,そして必要に応じてサイクル精度記述による最適化,と設計を進めていくにあたって,記述言語や処理系の断絶なく設計レベルを徐々に深めていくことが望ましい.そこで,仕様記述言語 SpecC では 2.0 版でレジスタ転送レベル記述のための言語仕様が追加されている.しかし一般には,シミュレータやシンセサイザなどの処理系が必ずしも言語仕様上可能なすべての記述に対応するわけではない.そこで,Spec-C 2.0 と現在利用可能なシミュレータを対象に,基本的な回路例を取り上げながら,サイクル精度の記述を試行し,記述法を確認していく.
著者
吉川 大和 野水 基義
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ラミニンα5 鎖はβ1鎖およびγ1鎖とヘテロ三量体を形成し、ラミニン-511として成体基底膜の主要な構成分子として存在している。ラミニン-511は、正常細胞を秩序よく基底膜へ接着させ組織を安定化させている。一方、癌細胞の基底膜浸潤では足場として利用されるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。本研究では、ラミニン-511とその細胞接着に着目し、癌細胞による基底膜形成阻害、癌細胞の基底膜への接着および運動メカニズムにアプローチした。その結果、ラミニン-511の不足は基底膜形成を抑制すること、ラミニン-511への細胞接着を弱めながら細胞運動を促進する細胞内シグナルが明らかになった。
著者
野中 俊昭 遠藤 靖典 吉川 広
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.431-440, 2004-10-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

安全性や騒音防止の観点から,鉄道車両の滑走防止制御に対する研究は非常に重要である.しかし,ブレーキというシステムにおいて,滑走という非常に不確実性の高い現象を防止することは容易ではなく,一般的な制御方法というものは存在しないのが実情である.ところで,ファジィ推論は,不確実性の高い制御対象に対して高い有効性を発揮することが知られており,滑走に対しても,同様の効果が期待できる.そこで,本論文では,ブレーキ距離の短縮を第一目的として,鉄道車両に対するファジィ推論を用いた新たな滑走防止制御手法を提案する.本論文で提案する制御手法は,同時に計算量の低減とチューニングの容易化も図っている.また,数値シミュレーションを通して,提案する制御手法によってブレーキ距離の短縮が実現されていることを示す.
著者
日和 佳政 吉川 貴浩 井出 幸介 草桶 秀夫
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-20, 2004-03-25

ヘイケボタルのmtND5遺伝子をコードする塩基配列を用い,地域個体間の遺伝的類縁関係を調べた.その結果,83地域から得られた239個体について917bpの塩基配列を調べたところ,129のハプロタイプが検出された.次に,塩基配列に基づき分子系統樹を作成したところ,これらのハプロタイプは北海道・東北・甲信越・関東の広い東日本地域,東北地域,フォッサマグナ地帯の甲信越地域,西四国地域,東四国地域,および,北陸・近畿・中国・九州の広い西日本地域の6つの地域集団に分けられることが明らかとなった.これらの6地域の遺伝的集団のうち4つの地域集団は地理的に異なった地域に分布した.このように,日本のヘイケボタルは地域集団間で遺伝的変異をもつことが判明した.
著者
小野田 正利 佐藤 晴雄 吉川 武彦 野田 正人 古川 治 楠 凡之 松本 剛 和井田 節子 岩切 昌宏 山野 則子 瀧野 揚三 西川 由紀子 新井 肇 小林 正幸 山下 晃一 岩永 定 入澤 充 嶋崎 政男 清水 和夫 清水 和夫 嶋崎 政男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

2000 年代に入ってわが国の学校現場では、教職員と保護者の間に時として激しい対立やトラブルが生じようになり、それらをどのように解決していくか、あるいは減少させていくかという課題が生まれてきた。本研究は、このような問題現象が増加している理由や背景の分析はもちろんのこと、具体的にどのようにすれば、トラブルが大きくならずに解決につながっていくかを考察したものである。このために研究者のメンバーの専門領域をより学際的なものとし、教育学だけでなく、法律学、精神医学、臨床心理学、福祉学などの幅広いものとして構成した。そこで得られた研究成果を、全国の12か所でシンポジウムとワークショップを開催する形で発表したが、これらの成果の多くは、6つの書籍などの成果物として結実した。