著者
川名 尚 井上 栄 山口 宣生 吉川 裕之 加藤 賢朗 白水 健士 本藤 良
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.単純ヘルペスウイルス(HSV)のPCR法による検出 昨年度に確立したPCR法を用いて臨床検体からのHSVゲノムの検出を試みた。臨床検体は、女性性器より採取した。外陰や子宮頸部から綿棒にて擦過して得たものを、培養液にてすすぎ検体とした。これらを遠心後、上清を培養R-66細胞に接種してウイルスの分離を行った。沈澱よりDNAを抽出し、PCR法にてHSVゲノムの検出を行った。分離されたウイルスは、螢光標識マウスモノクローナル抗体を用いて固定と型の決定を行った。 臨床検体の検討に先き立ち、新鮮分離株 HSV-1 50株、HSV-2 34株の計84株についてPCR法を用いて検討した結果、全例に陽性所見を得た。また、型分けについても100%一致した。以上より、このPCRの系は、本部で分離されるHSVの株は、1型、2型共にほとんど検出できることが判明した。臨床検体は、妊婦、性器ヘルペスなどから得られた94例について検討した。1型分離陽性が5例、2型分離陽性が13例であった。これらについて、PCR法を行った所、1型につては5例全例、2型については、9例(69%)に陽性所見が得られた。 一方、分離陰性の76例中8例(11%)に陽性所見が得られた。分離陽性でPCR法陰性になった例は、ウイルスDNAが十分とれてなかった可能性が考えられる。一方、分離が陰性でもPCR法が陽性であることからPCR法の方が感度がより良い可能性が示された。2.ヒトパピローマウイルス(HPV)のPCR法による検出 昨年度確立したコンセンサスプライマーを用いる性器に感染するHPVの検出法を外陰部や子宮頸部の病孝に応用し、本法の高い感度と特異性が証明された。
著者
吉川 隆章 植田 百合人 大村 哲司 小泉 宗久 飯田 仁 宮崎 潔 高倉 義典 千 泰規 野々村 昭孝
雑誌
骨折 (ISSN:02872285)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-5, 2005-05-01
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
鎌田 元一 吉川 真司
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

1)陰影ある古文書原本の調査寺社・図書館・博物館などに所蔵される古文書原本を調査し、詳細な調書を作成した。また調査した古文書については陰影の写真を収集した。これにより東大寺文書・東寺文書・栄山寺文書の大多数の調査を終了した。2)古代官印制度に関する検討律令を中心とする官印制度を検討した。大宝令制の内印が諸国への下達文書、外印がその案文に捺される印章で、養老令制と異なっていたこと、大宝元年に内印の様が諸国に領下されたことなどが明らかとなった。3)諸国印の変遷に関する検討諸国印の印影を広く収集・検討し、その変遷を探った。その結果、天平年間の諸国印が大宝四年鋳造のものと考えられること、大宝四年の国印鋳造が律令制国名表記の公定と一体の作業として行なわれたと見られること、国印の改鋳は八世紀中期を初発とするも国によって差があったこと、などが明らかになった。4)外印請印に関する検討主として儀式書を用い、外印請印の作法を検討した。外印請印は律令の「監印」に淵源したこと、曹司における文書行政の一環として平安時代中期まで政務空間を移すことなく行なわれたこと、などが明らかになった。5)平安時代の倉印に関する検討平安時代の倉印について、文献史料・印影の双方から検討を加えた。10〜11世紀の大和倉印の変遷が明瞭になり、また倉印は畿内近国の受領が京にあって執務する際に用いられたことが推定されるに至った。
著者
吉川 友也 岩田 具治 澤田 宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ソーシャルネットワーク上では,情報はリンクを介してノード間を伝わる.どのように情報が広がるかは,ネットワーク構造や情報の内容によって決まると考えられる.本論文では,情報の内容の違いによって拡散の挙動が異なることを表すために,トピック依存情報拡散モデルを提案する.また,EMアルゴリズムに基づいたモデルパラメータ更新式を導出し,観測した拡散現象からモデルパラメータが推定できることを示す.
著者
八木 浩司 吉川 契子
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.247-257, 1988-12-20 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

西津軽沿岸地域は, 本邦における地殻変動の活発な東北日本弧内弧に位置する。この地域には6段以上の更新世海成段丘が発達しみごとな景観をなしている。本研究は西津軽沿岸地域に発達する完新世海成段丘の高度分布を述べ, さらに本地域の完新世地殻変動について考察した。結果は以下のようにまとめられる。(1) 西津軽沿岸地域には完新世の旧汀線が4段認められる。それらは上位よりLI面, LII面, BI面, BII面である。LI面とLII面は海成段丘, BI面およびBII面は隆起ベンチである。BII面は1704年に本地域南部岩館周辺で発生した地震, および, 1793年に北部の大戸瀬沖で発生した地震の際に離水した。(2) LI面の形成年代は, 放射性炭素年代測定で約6,000yr. B. P. を得た。LI面の発達高度は5~8mである。最大隆起速度は1.3mm/yrに及び本地域が本邦で最も隆起の激しい地域であることを示す。(3) 完新世段丘の隆起量の最も大きな地域は, 海岸線が桝形山地と白神山地を横切る所に位置し, またそこは更新世海成段丘の隆起量の激しい位置と一致する。各旧汀線の高度分布パターンは, 18世紀の地震で隆起した離水ベンチのそれとよく類似する。西津軽沿岸地域における完新世海成段丘の発達は, 更新世より続く桝形山地および白神山地の間欠的な地震隆起によるものと考えられる。
著者
加藤 茂孝 吉川 泰弘 海野 幸子
出版者
国立予防衛生研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

風疹ウイルスは先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす原因ウイルスであるが、この風疹ウイルスの病原性と流行様式との解析を目的として、我が国を含むアジア地域における分離ウイルス株の遺伝子RNAの塩基配列を比較し、分子疫学的研究を行った。RNAの中のE1翻訳領域1443塩基を含む1484塩基を主な対象として、塩基配列を決定した。使用したウイルス株は15株あり、日本12株(1960年代5株、1990年前後7株)、香港2株(1980年代)、中国1株(1980年)である。分析の結果(1)1960年代の日本においては、少なくとも3グループのウイルス株が同時に平行して流行していたと思われた。3グループは、それぞれ西日本、中日本、東日本の3地域に対応していた。(2)1990年頃の日本においては、1960年代とは異なったグループの株が全国的に1グループで流行していた。(3)中国大陸の株は、日本の株とは別のグループに属すると思われる。その中では、中国株と香港の1株との間に強い近縁関係が見られた。(4)弱毒化した日本のワクチン3株においてその原株との比較ができたが、弱毒化に共通した変異は、見られなかった。弱毒化に関与する部位が株毎に異なるのか、または、E1以外の他の領域が関与しているのか、の何れかであると思われた。(5)CRS患者からの分離株においては、同じグループに属していても変異数が多いという傾向があり、持続感染による影響があった可能性が考えられた。
著者
倉田 行伸 田中 裕 照光 真 弦巻 立 金丸 博子 吉川 博之 小玉 由記 山崎 麻衣子 瀬尾 憲司
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.93-97, 2013 (Released:2013-07-06)
参考文献数
12

【目的】今まで外科的顎矯正手術を受けた患者で術後に下歯槽神経の損傷によって生じたと考えられるオトガイ部の触覚閾値が上昇した患者の治癒について検討してきた.そこで本研究では抜歯などの一般的な歯科処置を含む外傷性三叉神経障害を対象として,術後経過の記録から同領域における感覚が自然治癒しにくいと予測できる触覚閾値を後ろ向きに検討した.【方法】顎顔面領域の手術や外傷でオトガイ部に感覚障害を生じた,受傷から初回の触覚閾値測定までの日数が7日から14日であり,受傷から2回目の触覚閾値測定までの日数が21日から56日であった69名を対象とし,初回に対して2回目の触覚閾値が悪化または治癒傾向となった感度,特異度,陽性予測度,陰性予測度を算出し,感覚の自然回復が困難であると予測できる診断効率を比較した.【結果】受傷から1~2週間の触覚閾値が3.0 gのときに感覚の自然回復が困難であると予測できる診断効率が最も高かった.【結論】顎顔面領域の感覚障害では,受傷から1~2週間の触覚閾値が3.0 g以上であると,その後3週間の感覚は自然回復しにくくなることが示唆された.
著者
吉川 敏子
出版者
大阪歴史学会
雑誌
ヒストリア (ISSN:04392787)
巻号頁・発行日
no.216, pp.135-148, 2009-08
著者
田口 紀子 増田 真 永盛 克也 吉川 一義 杉本 淑彦 多賀 茂 王寺 賢太 アヴォカ エリック 辻川 慶子 村上 祐二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フランスにおける、「文学」と「歴史」という二つの隣接ジャンルの美学的、認識論的境界の推移と、具体的文学作品での歴史認識の表出を、17 世紀から 20 世紀までのいくつかの特徴的局面に注目して検証した。2011 年 11 月には国内外から文学と歴史の専門化を招いて日仏国際シンポジウム「フィクションはどのように歴史を作るかー借用・交換・交差」を京都日仏学館で開催した。その内容を来年度を目途にフランスで出版するべく準備を進めている。
著者
吉川 祐子
出版者
説話・伝承学会
雑誌
説話・伝承学 (ISSN:09193995)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.92-109, 2001-04
著者
前原 なおみ 仲宗根 洋子 新垣 利香 吉川 千恵子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.73-79, 2004-03
被引用文献数
1

背景:テレナーシングは、1995年頃から欧米において看護活動の技法の一つとして研究され、外来看護や在宅看護の分野で患者・家族のケアに応用され、入院や在院日数を半減し、タイムリーな援助が提供できるなど効果をあげている。日本においては医療・保険制度、診療報酬体系の相違もあり開発途上にある。目的:テレナーシングに関する4つの文献から、テレナーシングの概念、世界の看護活動の現状を把握し、必要な能力を考える。 対象:テレナーシングに関する文献(1)D. Kathy Milholland:TELENURSING, TELEHEALTH Nursing and Technology Advance Together (2)Margaret L Larson-Dabn:Tel-eNurse Practice A Practice Model for Role Expansion (3)Margaret L. Larson-Dabn :Tel-eNurse Practice Quality of care and Patient Outcomes (4)Diane L. Huber, Kathleen Blanchfield:Telephone Nursing Interventions in Ambulatory Care 結果および結論:1998年、ICN は新しい概念としてテレナーシングを定義し、看護への応用、コスト効果などをあげてテレナーシングへの関心を喚起している。テレナーシングの技術を看護に活用するには実践、研究、教育、管理の4つの柱がある。安全で質の高いテレナーシングは、看護師の専門的知識と経験、クリティカルシンキング技術、人間関係を確立するためのコミュニケーションとケアリングアプローチを行う能力が必要である。これらの能力は大学教育または継続教育をとおして得られる。Tel-eNurse Practice Model (TNPM) が2000年に発表され、テレナーシング実践に活用されている。テレナーシングは国家の政策として予算化し活動している国もあるが、我が国の看護教育では情報通信を介しての看護師のケア提供技術は体系化されていない。今後、テレナーシングの実践にむけての研究および大学教育・継続教育が必要であると考える。Background: Telenursing has been studied as one of nursing activities in the West since 1995, and it is applied to care of patients and families in ambulatory nursing care or home health care. Telenursing helps reduce the number of hospitalizations and length of hospital stay and provide timely support for patients. Telenursing in Japan is in a developmental stage with its unique health care systems including the insurance and remuneration systems. Purpose: The purpose of this study is to grasp the concept of telenursing and the current telenursing activities practice world wide, and to consider required competencies. Design:Integrated literature of telenursing at home and abroad. (1)D. Kathy Milholland : TELENURSING, TELEHEALTH Nursing and Technology Advance Together (2)Margaret L Larson-Dabn : Tel-eNurse Practice A Practice Model for Role Expansion (3)margaret L. Larson-Dabn :tel-eNurse Practice Quality of care and Patient Outcomes (4)Diane L. Huber, Kathleen Blanchfield: Telephone Nursing Intervention in Ambulatory Care Results and Conclusion: In 1998, ICN defined telenursing as a new concept, and stimulated interest in telehealth for its application to nursing and for cost effectiveness. There are four domains of nursing for the application of telehealth technologies: practice, research, education and administration. To use telenursing optimally and safety, nurses must become competent with clinical knowledge, experience, communication skills, competencies to practice of critical thinking and caring approach for establishing a relationship with caller. These competencies may be acquired through academic or continuing education. The tel- eNurse Practice Model (TNPM) was announced in 2000, is a theoretical framework telephone nurses can use to telenurse practice. Although there are several countries that address telenursing as a national policy and provide financial support, the level of care is not systematized in the nursing activities of Japan. In conclusion, telenursing research and education are required for future telenursing practice.
著者
鈴木 誠 吉川 大弘 古橋 武
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.283-290, 2013 (Released:2013-04-18)
参考文献数
18

The opportunity that we want to search target document(s) among a large amount of electronic documents such as WEB information and documents inputted by document scanner will be more increasing in near future. We focus on the approach that applies the distribution pattern of the keyword frequency in documents to the search of the documents. In this paper, we propose the method that uses the correspondence analysis for the search of documents based on the similarity of the keyword pattern among them. We apply the proposed method to the data of patents of Nagoya University, and report the result in terms of the accuracy for the document search. The experimental result shows that we can find the related patents to the inputted keyword by a user.
著者
佐藤 菜生 高崎 いゆき 村尾 智 吉川 肇子 竹村 和久
出版者
一般社団法人日本リスク研究学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.4_33-4_41, 2009 (Released:2011-11-01)
参考文献数
17

The purpose of this study was to examine risk perceptions of artisanal/small-scale miners in the Philippines. We analyzed a survey data using questionnaire technique and drawing picture technique. The results of the questionnaire technique indicated that artisanal/small-scale miners underestimated the risk of artisanal/small-scale mining. However, most of the artisanal/small-scale miners drew cave-ins and collapse of drift, headings or stopes as what they feel dangerous. The complementary use of the drawing picture technique has enabled us to examine risk perceptions of artisanal/small-scale miners from different perspectives. Based on this experience, the possibility of using drawing picture technique in the risk research was discussed.