著者
吉田 勝彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.771, 2004 (Released:2004-07-30)

環境変動が起こったときに、どのような生物が絶滅しやすいのか、を明らかにすることは、生物の保全を考える上で重要な課題の一つである。生物には様々な種類の餌を食べるジェネラリストと特定の餌しか食べないスペシャリストが知られているが、環境変動が起こったときにどちらが絶滅しやすいかについては諸説あり、現在結論は得られていない。その原因の一つはスペシャリストの方が一般に分布が狭いため、両者を同じ条件で比較できなかったことである。もし生物群集の進化のコンピュータシミュレーションを行い、その中で進化的に出現した様々な食性を持つ生物を共存させることができれば、同じ条件での比較が可能になる。そこで本研究では、仮想的な食物網に一次生産量の変動を起こすコンピュータシミュレーションを行った。この食物網は動物種と植物種で構成され、植物は外界からのエネルギー流入を受けて一次生産を行う。モデルの中では、外界からのエネルギー流入量を変動させることによって、一次生産量を変動させる。動物種はそれぞれの好みに従って捕食する餌を選が、好みの幅が広いほど、取り入れた生物量のうち自分の成長に使えるものの割合が低くなると仮定する。シミュレーションの結果、変動がない場合はスペシャリストの方が絶滅しにくかった。しかし、規模の小さな一次生産量の変動が起こると、食物網のベースになる植物種が打撃を受けて絶滅し、その結果少数の餌しか捕食していないスペシャリストが絶滅しやすくなった。この時、多くの種類を餌としているジェネラリストはほとんど影響を受けなかった。規模の大きな変動が起こる場合、一次生産量が極端に減少するイベントが時々発生するが、この時、極端なスペシャリストと極端なジェネラリストが生き残る可能性が高く、中間的な性質を持つ生物が絶滅しやすかった。本研究の結果は、環境変動の規模によって、保全すべき種の優先順位が変わる可能性があることを示唆している。
著者
吉田 修作
出版者
芸能学会
雑誌
芸能
巻号頁・発行日
no.1, pp.16-25, 1995-03
著者
吉田 辰夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.155-164, 1982-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

視野の中心部あるいは周辺部を被った状態を実現する装置を構成し, 中心視か周辺視のいずれか一方で図形を観察する実験を行った. 中心視の範囲は視線を中心とする直径が3°の円形の領域と定め, 15°の大きさの図形を自由に眼を動かして観察した.中心視および周辺視のそれぞれの場合について, 視野の制限のない通常の観察条件での見え方とは, 異なった見え方をする図形が存在することを見出した. これらの結果は, 人間の図形認識機構の特徴抽出の部分に, 多層のニューロン回路網を想定したモデルにより一貫した説明の可能であることを示した. このモデルに基づいて, 図形知覚における中心視と周辺視の役割を検討した.
著者
宗本 順三 鉾井 修一 張本 和芳 吉田 哲 高野 俊吾
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.551, pp.85-92, 2002-01-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
34
被引用文献数
9 6

In this study, we find combination of building materials and construction methods to reduce environmental loads (LCCO_2, final waste, LCC) with using genetic algorithms system which is developped to select those combination. We apply the system to "the standard building model (often used at calculating thermal load)", and search combinations to minimize each value through life cycle. Then we can find combinations to reduce a11 values at the same time by the system using "restriction method". Each value is much less than each of house which has enough thermal insulating material to satisfy "standard by energy conservation next generation".
著者
高木 智久 吉川 敏一 内藤 裕二 吉田 憲正 古倉 聡
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ヒト炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎・クローン病)をはじめとした炎症性疾患に対する革新的な新規治療法の開発の試みとして一酸化炭素ガス(Carbon monoxide:CO)吸入曝露装置の開発、ならびに同装置を用いたCOガス吸入療法の効果の検討をマウス実験腸炎モデルに対して行った。1,CO曝露装置は研究協力者の森田亨(東京高圧株式会社)とともに行った。その概ねの構造は1000ppmのCOガスを純空気により分割希釈することによる濃度調節法を選択し、マウスゲージを収納できるアクリル製の大型の閉鎖飼育容器に曝露する方法をとった。ガスの排気は安全性を高めるため開放系の外気に希釈廃棄することとした。この装置を用いて検討したところ持続的に安定した一定濃度のCOガス曝露が可能になり、以降の検討に耐えうるものが完成した。2,マウス実験腸炎モデルとしてTrinitrobenzesulfonic acid(TNBS)腸炎モデルを用いた。その結果、COガス曝露群では非曝露群に対して有意に病変の形成が抑制されていた。また、大腸粘膜内の好中球浸潤や炎症性サイトカイン産生もCOガス曝露群にて有意に改善を認めており、COガス曝露による抗炎症効果が確認された。3,他部位の炎症病態におけるCOガスの効果を検証するために、代表的な関節炎症モデルであるマウス関節炎モデルを用いてCOガス吸入の効果を検証した。その結果、COガスの吸入により有意に関節炎の発症が抑制された。このことより、COは腸管炎症だけでなく関節炎においても充分に抗炎症効果を発揮するものと考えられた。以上の検討から、COガスによる腸管炎症を含めた炎症病態における炎症性御効果が明らかとなった。
著者
吉田 喜司
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉醫學會雜誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.344-374, 1936-03-28

家兎に於ける三叉神經切斷後眼球内臟反射(眼球肺臟,眼球心臟,眼球血管反射)は甚だしく?退するも全く消失するに至らない。同様に視神經切斷も之を减弱せしめるが,三叉神經に比較しては其の程度が幾分弱い。両神經を同時に切斷する時始めて本反射全く廢絶する。故に三叉神經の他,視神經も亦眼球内臟反射求心脚として一定の役目を演ずるものである。動眼神經は本反射と何等關係はない。頸部交感神經切除は本反射を増強せしめる。故に本神經は眼球内臟反射に對し求心性抑制的作用を呈するものである。新字体抄録:家兎に於ける三叉神経切断後眼球内臓反射(眼球肺臓,眼球心臓,眼球血管反射)は甚だしく減退するも全く消失するに至らない。同様に視神経切断も之を減弱せしめるが,三叉神経に比較しては其の程度が幾分弱い。両神経を同時に切断する時始めて本反射全く廃絶する。故に三叉神経の他,視神経も又眼球内臓反射求心脚として一定の役目を演ずるものである。動眼神経は本反射と何等関係はない。頚部交感神経切除は本反射を増強せしめる。故に本神経は眼球内臓反射に対し求心性抑制的作用を呈するものである。
著者
生間昇一郎 本宮 善〓 常深 邦彦 平田 直也 妻谷 憲一 森田 昇 植村 天受 金子 佳照 守屋 昭 吉田 克法 貴宝院 邦彦 平尾 佳彦 岡島 英五郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日泌尿会誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.903-909, 1988
被引用文献数
1

electroconductivity detectorを用いた高速液体クロマトグラフィー法による新しい尿中蓚酸測定法を開発し,この測定法はディスポタイプカラムを用いることによって前処置を簡便化し,さらに発色剤と反応させることなく直接蓚酸イオンをelectroconductivity detectorで検出できる.本法での測定範囲は1〜100mg/lで,再現性はtriplicate assayで,変動係数2.0±3.9%であり,健康成人10人の24時間尿中蓚酸排泄量の平均は25.6±4.7 mg/dayであった.
著者
吉田 明夫
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.15-32, 1990 (Released:2006-10-20)
参考文献数
35
被引用文献数
2 5

日本列島とその周辺に発生した浅い大地震 (M≥5, 深さ≤30km) の前震活動の特徴を調べた。1961年から1988年までの期間に発生した110個の本震の中、41個、すなわち37%が前震を伴っていた。ここで定義した前震とは、本震の前30日以内に、本震の震央を中心として20′×20′の領域内に発生した地震をいう。前震がみられた地震の割合は、期間を40日とし、また範囲を30′×30′に拡げてもほとんど変わらない。前震時系列の中の最後の前震は、本震発生前1日以内に、その本震の震央のすぐ近くで発生する場合がほとんどである。1981年以後の期間をとると、前震は55%の地震について観測された。これに対して、1961-1970年の期間では前震を伴った本震の割合は27%、また1971-1980年の期間ではそれは37%である。このことは、近年、気象庁の地震検知力が格段に増大したことを示している。前震活動には著しい地域性が存在する。その注目すべき特徴の一つは、伊豆地域と九州中部に発生する地震には前震が伴いやすいことである。特に、伊豆地域では67%の地震に前震がみられた。他の地域では、この割合は26%である。更に、伊豆地域と九州に発生する地震には、しばしば群発的な前震活動が観測される。他の地域では前震を伴ったとしても、通常は1個ないし2~3個の地震が発生するのみである。なお、伊豆地域にみられる群発的な前震活動では、本震発生の2~3時間前に静穏化が生じることが多い。この現象は、大地震の発生直前に破壊の核が生成されて、震源域における応力が緩和することを示しているものと考えられる。この研究で明らかにされた前震活動の地域的な特徴は、1926年から1961年までの期間に日本とその周辺海域に発生した大・中地震の前震を調査したMogi (1963) の結果と調和的である。この事実は、Mogi (1963) も指摘しているように、これらの特徴が一時的なものではなく、その地域地域毎の地殻構造や応力の集中過程を反映した固有の性質であることを示している。前震の時系列は4つのタイプに分類することができる。タイプ1は、1個ないし2~3個の地震が本震の数日から数10日前に発生するものである。このタイプの前震中には本震の発生と直接関係しないものも含まれている可能性がある。タイプ2もタイプ1と同じように1個ないし2~3個の前震がみられる場合であるが、しかし、これらの前震は本震の直前 (通常数分以内) に発生する。このタイプの前震の発生は、本震発生に引き続く破壊の開始を表わしているのかもしれない。タイプ3の典型的な場合は、M4程度の中規模の地震が本震の数時間から1日ほど前に発生してその地震に伴う余震、時には、前震もみられるものである。この中規模の地震に伴う地震活動は、通常、本震発生の2~3時間前には静かになる。タイプ4は群発的な前震活動に対応する。タイプ3とタイプ4の前震活動の発生は、伊豆地域、フォッサ・マグナ地域、九州の中央部にほとんど限られる。これらのタイプの前震活動で、特に伊豆地域においてしばしば見られる本震発生の2~3時間前に生じる静穏化は、大きな地震の直前の予知に有効な前兆現象と考えられる。
著者
吉田 一穂 Kazuho Yoshida
雑誌
英米評論 = ENGLISH REVIEW (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
no.17, pp.127-142, 2002-12-20

Many literatures, pictures, photographs of the Victorian age show that the contemporaries were interested in childhood, and the novels of Charles Dickens also show that he was interested in it. Dickens’s interest in childhood, was related to his experience in his own childhood ; John Dickens, Charles's father, was a cheerful person but he had no sense of economy. He was imprisoned in the Marshalsea prison, and Charles had to work at Warren’s Blacking warehouse, which gave him an agony and despair. Dickens's childhood experience in the Warren's Blacking warehouse made him feel that his own childhood had come to an abrupt end, and that he had been prematurely exposed to adult responsibilities and independence. Dickens had suffered from the trauma and expressed his view of childhood in his novels. Dickens represented the ill treatment of workhouse to children in Oliver Twist. The children suffered from the hunger. The poor relief and the New Poor Law of 1834 were the highly topical subjects when Dickens took them up in Oliver Twist, and his related sense of outrage at the misery of pauper children brought up in baby farms and adults living in workhouses remained strong right through to the end of his life. Oliver who says, “Please, sir, I want some more”, is treated like a criminal. Oliver barely escapes being apprenticed to a chimney sweeper. Dickens showed that the children of chimney sweeper were ill treated and connects such children to “the image of child coming home to heaven”, as William Blake (1757-1827) did in “The Chimney Sweeper”. Dickens expressed his feeling toward the children as victims of his age by ‘the image of children coming home to heaven’, relating Oliver's destiny to a workhouse, a chimney sweeper, an undertaker, and a criminal.
著者
吉田 保志子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.390, 2005 (Released:2005-03-17)

鳥類による農作物被害では、カラス類によるものが面積でも量でも最大となっている。カラス類はゴミや作物の収穫くずなどの人為起源の食物を摂食することが知られており、個体群管理のためには、これら人為起源の食物のコントロールが重要と考えられるが、農村地域における生息密度や食物に関する情報は不足している。そこで本研究では、年間を通したカラス類の個体数と採餌物の変動を調べた。 茨城県南部の平地農業景観に5ヶ所に分けて総延長76kmの調査ルートを設定し、見通しの良さに応じてルートの両側各20から100mを調査範囲として、合計11.4km2を自転車で月1回調査した。調査においては、出現したハシブトガラスおよびハシボソガラス(以下ブト、ボソと称する)の個体数、行動、採餌物を記録した。 記録個体数は、ブト、ボソともに秋冬期に多く春期に少ない傾向を示した。群れサイズ別に見ると、単独または2羽での出現はどの月においてもほぼ一定数を占め、群れは主に秋冬期に出現していた。非積雪地ではブト、ボソいずれにおいても周年なわばりを維持するという報告があることから、単独または2羽での出現個体の多くはなわばり個体である可能性が高く、群れは主に非繁殖個体によって構成されるのではないかと考えられた。 ブトとボソの採餌物は大きく異なっており、ブトは人家のゴミおよび畜舎で得た食物が多かったのに対し、ボソはほとんどの食物を農地で得ており、作物くず(ラッカセイ、稲、サツマイモ等)と農地の昆虫・動物(アメリカザリガニ等)が多かった。なお、調査ルート沿いのゴミ集積所は金網製の箱形が多く、そうでない集積所でもカラス類によるゴミ荒らしの観察件数は少なかったため、採餌されたゴミの多くは裏庭のゴミ穴等から得たものと思われた。
著者
渡邊 淳司 藍 耕平 吉田 知史 桒野 晃希 駒﨑 掲 林 阿希子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.311-314, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
10

How can visually impaired people enjoy watching sports and share excitement with his/her friends? Although sharing emotion is one of essential factor in sports viewing, they cannot notice other’s emotional reactions, and consequently often feel isolated. Here we propose a sports watching method using a concise haptic device for sharing excitement. The haptic device comprise two balls and a tube connecting them, and can transmit air from a ball to the other by holding a ball firmly. When two users hold a ball at each end, the users can share excitements by sending air.