著者
吉田 満梨
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.16-32, 2018 (Released:2019-05-31)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本研究の目的は,不確実性の高い市場環境に直面したマーケターが,いかに課題解決を行うのかを分析し,近年アントレプレナーシップ研究を中心に注目されている「エフェクチュエーション」(Sarasvathy 2001, 2008)の論理のマーケティング課題への適用可能性を明らかにすることにある。具体的には,マーケターを対象に,マーケティング実践における8つの意思決定課題への回答を,シンクアラウド法による発話プロトコルデータとして収集する調査を実施した。分析の結果,第一に,市場創造の経験を持つマーケターが課題解決においてエフェクチュエーションに基づく意思決定を行っていること,第二に,起業家ではなくマーケターの文脈における,エフェクチュエーションに基づく意思決定の様式が明らかになった。以上から,起業家の論理としてのエフェクチュエーションを,大企業におけるマーケティングや新規事業開発にも有用な知識として精緻化し,既存のマーケティング理論を補完する知識開発に寄与できる可能性が示された。
著者
吉田 雅子
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
no.1, pp.13-14, 2009-03-07

早稲田大学日本語センターで行われた(2007年度秋学期)漢字クラスの7B・7Fクラスの読みテストの結果と誤答の傾向を紹介する。課題作文を紹介し、彼らの文章力を読みのテスト結果と比較する。漢字圏の学習者は必ずしも高得点を取らない。漢字テストの結果と文章力は比例しない。授業の成功は、学習者の意欲による。などの結論をみた。
著者
花田 一臣 石子 智士 守屋 潔 木ノ内 玲子 三上 大季 山口 亨 吉田 晃敏
出版者
日本遠隔医療学会
雑誌
日本遠隔医療学会雑誌 (ISSN:1880800X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.145-148, 2014-10

テレビ会議システム遠隔診察とWebシステムを用いた相談の両方が可能な10施設と旭川医大間の遠隔支援167件から眼科緊急要請を抽出、疾患、支援方法、内容、治療を集計し支援状況と傾向を検討した。緊急要請は37例(22%)、疾患は、角結膜18例、網膜8例、緑内障7例、白内障4例だった。支援方法はテレビ会議システム遠隔診察25例、Webシステム相談12例であった。支援内容は、テレビ会議システム遠隔診察では、診療助言7例、手術手技指導4例、出張医派遣決定5例、紹介・転院指示9例で、Webシステム相談では、診療助言6例、出張医派遣決定1例、紹介・転院指示5例であった。治療は、現地外来加療10例、現地入院加療13例、転院外来加療2例、転院入院加療12例で、37例中23例(62%)で在地のまま診療が完結した。遠隔医療システムを眼科緊急支援に用いることで治療までの時間短縮と疾患に応じた専門医療の提供ができた
著者
吉田 陽 今泉 洋 佐藤 貴之 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.121-128, 2009 (Released:2009-04-28)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響を定量評価するために,三つのアミノ酸(L-チロシン,L-フェニルアラニン,L-2-フェニルグリシン)とHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気反応の形で観測した。得られたデータにA"-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数(k)を求め,相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)各アミノ酸の官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)T-for-H交換反応において,本研究で用いたアミノ酸の官能基の反応性は,L-チロシン<L-フェニルアラニン<L-2-フェニルグリシンの順であることがわかった。(3)L-チロシンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基<OH基<NH2基であり,OH基の反応性はNH2の反応性の約3.8倍であり,更にCOOH基の反応性はNH2基のそれの約2.0倍である。(4)NH2基の反応性に及ぼす置換基の影響はCOOH基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(5)A"-McKayプロット法を使うことで,マスク剤等を使わないで,Tが物質に取り込まれる挙動を非破壊的,実態的,定量的に解析することが可能である。(6)本研究で得られた結果は,T汚染の防止やTの挙動を明らかにする上で利用できると思われる。
著者
川原 律子 細谷 紀江 三木 治 吉田 敏郎 鴨下 一郎 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.377-383, 2000
参考文献数
7

「食事をとらない」ことを主訴に来院した幼児に対し, 患児の内的状況把握と母子間のコミュニケーション調整を目的に, コラージュ療法の合同法(近喰, 1992)を導入した.方法はマガジン・ピクチャー・コラージュ法で, 母親持参の雑誌から母子が交互に自分の気に入った写真・絵・文字を切り抜き, 自由に四つ切り画用紙に貼付するものであり, 全4作品を制作した.母子が互いに洞察を深めるためには言語能力の問題など諸条件が必要だが, 本法の導入により, コラージュ・アクティビティが母子間の力動を明確にし, コミュニケーションを促したことで, 主訴改善が得られたものと考えられた.
著者
加藤 チイ 吉田 侑加 佐藤 幸子 奈良 一寛
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:24336645)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-7, 2020-03-09

実習で提供した食事の栄養評価を行った。2 種類の献立の栄養量(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物)について化学分析値、近赤外分光法測定値、食品成分表計算値の3 つを評価した。化学分析値に対する近赤外分光法測定値の割合(%)、化学分析値に対する食品成分表計算値の割合(%)は、両者ともに80 ~ 120%の範囲内の傾向にあった。汁物、黒色の食品を含む「ひじきご飯献立」では炭水化物を過大評価していた。次に、26 種類の料理の栄養量について、近赤外分光法測定値、食品成分表計算値の2 つについて、回帰直線を評価した結果、エネルギーはR2 = 0.955 と高い相関性を示し、たんぱく質、脂質、炭水化物についても同様の傾向であった。近赤外分光法について献立の料理を混和した場合と料理別に測定し合計した場合の2 つの方法を比較した結果では、「鮭の味噌バター焼き献立」、「アジフライ献立」、「おから入りハンバーグ献立」は近似であったが、「大豆ご飯、豚肉と大根の煮物献立」は混和食のエネルギーを過大に評価していた。近赤外分光法測定は化学分析、食品成分表計算の結果と関連し、給食の栄養量評価に有用である。近赤外分光法で誤差が大きかったものには、海藻など黒色の材料を含む料理、スープ・味噌汁など水分の多い料理があった。
著者
吉田 敦也
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではモバイルインターネット社会における成人ICTリテラシーの現状と国際的動向について調査研究を行い、地域ICTリーダー育成に効果的な学習プログラムと標準化を検討した。主な結果は、①日本の成人ICTリテラシー育成プログラムを5分類した。②全体的に高度IT人材育成を目標に技術指向が強い傾向にあった。③海外では国際連携の取組が多く人材育成の生態系が形成されていた。④ECDL/ICDLは実用性を特徴とし政策連携していた。⑤学習内容、教え方、「場」は急速に変化しておりイノベーション促進と社会課題解決強化の方向にあった。⑥これらから日本版ICTリテラシー形成モデル、学習プログラム、標準化を検討した。
著者
吉田 心 佐藤 慎太郎 川俣 恵利華 川俣 幸一
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.27-36, 2021-02-01 (Released:2021-04-05)
参考文献数
26

【目的】本研究の目的は,保護者自身への食塩摂取意識と子どもへ向けられる意識との関係を明らかとし,効果的な食育活動に繋がる保護者側の因子を探ることであった。【方法】対象は宮城県の子育て広場に通う103人の幼児とその保護者であった(親の平均年齢34.6歳,子どもの平均年齢2.7歳)。親自身の食塩量に関する意識を問う14項目,それと対になる子どもへの食塩量に関する意識を問う14項目のアンケート調査を実施した。結果は単純集計後,二項ロジスティック回帰分析を実施するために因子分析にて総合数値を求めた。【結果】子どもへの食塩量の意識と,親自身の食塩量の意識を比較したところ,14項目中12項目で意識の違いが見られた。因子分析後に実施した保護者と子どもの年齢,保護者の性別,アンケート13項目とで調整した二項ロジスティック回帰分析の結果では,味の付いたご飯,ルーのかかったご飯,スナック菓子の食塩量について有意な回帰式が得られた(それぞれp=0.024,p=0.044,p=0.011)。【結論】子どもへ向けられる食塩摂取量の意識と親自身の食塩摂取量の意識については全ての項目で有意な正の相関を示し,殆どの項目で子どもに向けられた意識の方が親自身の意識よりも有意に高かった。また多変量解析の結果,子育てのための食塩指導を親向けに開催する場合,味の付いたご飯,ルーのかかったご飯,スナック菓子の食塩量について指導することが,効果的な食育活動の一つとなることが示唆された。
著者
苣田 慎一 吉田 正雄 苅田 香苗
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

マイクロプラスチック(粒径5mm以下のプラスチック粒子。以下MP)の生態系への影響や、生物濃縮による人体への影響が懸念されているが、MP自体の生体毒性を評価する基礎的データはまだ少ない。一方で、疫学調査ではプラスチック由来の化学物質と肥満や糖尿病の発症について関与が示唆されている。本研究では、糖尿病、網膜症、白内障、腎症を示すメダカを用いて、MP摂取が代謝系や病態、生殖機能への修飾因子となり得るかを中心課題とする。本申請研究により、ヒトへの外挿可能性を吟味した上で、衛生学・公衆衛生学的に意義ある基礎的データを得られることができると考える。
著者
土屋 篤志 大藪 直子 後藤 英之 堀内 統 吉田 雅人 西森 康浩 大塚 隆信 武長 徹也 杉本 勝正
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.567-569, 2011

We investigated the shoulder function of the frozen shoulder after an average of thirty months (12 to 108 months) of the conservative treatment. In this study, 17 shoulders of 16 patients (13 males and 3 females) of non-traumatic frozen shoulder without rotator cuff tear were investigated. The mean age of all cases was 66 years old, ranging from 47 to 76 years old. At an average of 30 months follow-up, the clinical results and shoulder function including subjective and objective evaluation, range of motion and shoulder strength using micro FET, were investigated. The mean JOA score was 63.7 points at the initial treatment and 82.5 points at the end of the treatment. After thirty months of the treatment, JOA score was improved to 93.4 points. About 88% of the patients were satisfied with their daily living, although 16.7% of the patients changed sports activity level or their work. Seven of 17 patients who were satisfied with their ADL, restricted some concrete action related to shoulder function such as scratching their back. The range of motion of flexion, abduction and external rotation of the affected side tended to be lower compared with the normal side, but not significantly. The strength of the shoulder of the affected side was improved without a significant difference from normal side. The prognosis of the frozen shoulder was relatively good with a little discomfort for living and a limitation of sports activity.
著者
桝本 妙子 山田 陽介 山田 実 中谷 友樹 三宅 基子 渡邊 裕也 吉田 司 横山 慶一 山縣 恵美 伊達 平和 南里 妃名子 小松 光代 吉中 康子 藤原 佳典 岡山 寧子 木村 みさか
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.390-401, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
43
被引用文献数
6

目的 地域在住自立高齢者の転倒リスクとその関連要因および性差を検討した。方法 京都府亀岡市の65歳以上の全高齢者の中で要介護 3 以上を除く18,231人に対して2011年 7~8 月に行った自記式留め置き式質問紙調査への回答者13,159人のうち(回収率72.2%),要支援・要介護認定者を除く「自立高齢者」12,054人について分析した。調査票は個別に配布し郵送で回収した。調査内容には,基本属性,鳥羽らによる転倒リスク簡易評価指標 5 項目,日常生活圏域ニーズ調査基本チェックリスト25項目,老研式活動能力指標13項目を用い,高齢者の諸機能や生活機能の低下の有無を示す 9 つの指標(①運動機能,②低栄養,③口腔機能,④閉じこもり,⑤物忘れ,⑥うつ傾向,⑦ IADL,⑧知的能動性,⑨社会的役割)で調査した。分析は,性,年齢別の転倒リスクとその関連要因および性差をカイ二乗検定とロジスティック回帰分析により把握し,9 つの評価指標を独立変数,年齢と教育年数を共変量,転倒リスクを従属変数とするロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行って各要因による転倒リスクへの独立した影響を性別ごとに分析した。結果 本調査回答者の過去 1 年間の転倒率は20.8%で,転倒リスク高群は26.6%であった。転倒リスクは,男女とも加齢とともに高くなり,女性はすべての年齢層において男性よりも高かった。また,男女とも,すべての評価指標と転倒リスクとの関連がみられ,それぞれの要因を調整した結果では,男性は運動機能,低栄養,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に,女性は運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった。性差では,低栄養,口腔機能は男性の方に,IADL,知的能動性は女性の方に転倒リスクとの関連が強かった。結論 地域在住自立高齢者の 5 人に 1 人は過去 1 年間に転倒を経験し,4 人に 1 人は転倒リスクを有していた。転倒リスクと 9 つすべての評価指標との間に有意な関連がみられ,とくに男女とも運動機能低下が最も大きかった。また,転倒リスクに影響する要因に性差がみられ,性別を考慮した支援策が必要と示唆された。
著者
吉田 忠晴
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.497-502, 2011-11-25 (Released:2012-11-10)
参考文献数
30
著者
菊池 聡 吉田 剛 佐藤 隆二 根岸 直人 半田 有広 麦倉 秀明 木野本 真沙江
出版者
栃木県農業試験場
雑誌
栃木県農業試験場研究報告 (ISSN:03889270)
巻号頁・発行日
no.78, pp.53-58, 2018-03

ホウレンソウ,ブロッコリー栽培で放射性セシウムの吸収移行抑制を図るため,圃場に加里,ゼオライトや大谷石を投入してその効果を検討した。しかし対照の加里慣行施用区を含め,全ての処理区で植物体の放射性セシウムは不検出またはごく微量が検出されたのみであり、効果は判然としなかった。自家製堆肥や腐葉土を使用せずトマトの2次育苗を行うため,50穴セルトレイによる2次育苗を試みたところ,培養土は市販の「げんきくんセル100」を使用し,塩化カルシウム,第1燐酸カリおよび硝酸カリウムを配合した底面給水養液を使用することで,伸長を抑制することができた。放射性セシウム汚染堆肥を圃場へ投入した場合の吸収移行を検討したが,ニラおよびトマトへの吸収移行は認められなかった。
著者
吉田 明夫 高山 博之
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.696-705, 1994-12-10
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

We show that seismic activity decreased clearly in a wide area before the 1953 Boso-oki earthquake and the 1972 Hechijojima-toho-oki earthquake. In both cases the seismic quiescence extended to the Tokyo Metropolitan area. Marking precursory activity appeared several years before the Boso-oki earthquake in the Chiba prefecture and in the sea region off-Ibaraki prefecture. It is also noted that the seismicity in the Kanto region as well as in the sea region south off-Boso Peninsula decreased conspicuously after the Boso-oki earthquake. On the contrary an increase of the seismicity was observed after the Hachijojima-toho-oki earthquake, although deep seismic activities decreased remarkably. We show that seismic quiescences preceding the Boso-oki earthquake and the Hachijojima-toho-oki earthquake were detectable before their occurrences, and no other statistically significant quiescence has appeared in the south off-Kanto region since 1926. It is proposed that the occurrence of a large earthquake may be predicted by monitoring changes of the seismicity in a wide area.