著者
斎藤 富由起 吉田 梨乃 小野 淳
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.29-35, 2012-12-25

特別支援教育の実施に伴い,通常学級での発達障がいをもつ児童生徒への理解と支援が注目されている.その進捗状況を検討すると,障がいの概念については普及段階を終え,個別的・場面限定的な支援方法が模索されている.研究1では現在,教師が希求する支援方法の内容を検討した結果,特に「通常学級内でパニックを起こしている最中の児童生徒に対する支援方法」に課題があることが報告された.研究2では,「生じてしまった危険なパニック中の支援方法は確立されていない」との仮説(廣木,2012)に基づき,通常学級内での障がいを持つ児童生徒のパニックの種類と支援方法を検討した。その結果,80%以上の教師がパニック行動に悩まされた経験を持ち,危険性の高いパニック中の体系的な支援スキルも確立されていない現状が明らかにされた.危険性の高いパニック行動への対処は専門的なスキルであり,合理的配慮の中で検討されるべき事項である.「通常学級における危険性の高いパニック時の支援スキル」の確立が求められる.
著者
今給黎 尚幸 大渕 俊朗 濱中 和嘉子 吉田 康浩 宮原 聡 柳澤 純 濱武 大輔 白石 武史 岡林 寛 岩崎 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.595-599, 2011-09-15 (Released:2011-10-26)
参考文献数
10

肺分画症は,肺組織に体循環系の奇形性異常動脈からの流入を有する先天性疾患であり,肺葉内分画症と肺葉外分画症とがある.我々は1994年4月から2010年3月までに当院およびその関連施設で手術を行った肺分画症15例を対象とし,術前診断および手術手技を中心にその臨床像を検討した.術前に全例で造影CTが施行されたが確定診断に至ったものは11例であり,残りの4例は術中所見で診断された.下葉に嚢胞や硬化像が認められる症例では肺分画症も念頭に入れ,異常動脈を検索することが必要である.胸腔鏡手術は4例に適応され,その内2例で開胸手術に移行した.条件が整えば胸腔鏡手術でも安全に施行できる症例があることが確認された.異常動脈の処理における自動縫合器の使用については,本検討では8例に施行され合併症は認めず利便性と安全性を鑑みると十分容認できると考えられた.
著者
五十嵐 昭男 吉田 孝文 服部 健太郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.60, no.578, pp.p3372-3379, 1994-10

Rolling motion is one cause of mechanical sound. Rolling sound may cause serious problems when it is excessive in machines and structures, for example. A series of studies have been carried out in order to obtain basic information for the reduction of rolling sound. This third report concerns the generation mechanism of the sound. Horizontal square steel plates with different surface finishes were simply supported at four points. Nylon and steel balls with different surface finishes were rolled at various rolling velocities on the plates, and the sound was measured using a condenser microphone. Surface topographies of the balls and plates were also measured by a device measuring the deviation from circular form and surface roughness, respectively. The signals obtained in the measurements were analyzed by an FFT analyzer. From the experiments, analysis and considerations, the generation mechanism of the sound was clarified.
著者
吉田 右子
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.390-403, 2000-03

アメリカにおいて1947年からALAの指揮のもとで行われた「公共図書館調査」の成果報告レポートの中から,リー(Robert D. Leigh)の著作The Public Library in United States : The General Report of the Public Library Inquiryについて討究する。調査代表者であったリーは,調査結果を資料・サービス・政策過程・図書館専門職・予算・管理に分割し,テーマごとに調査成果を総括し評価を行った。リーの公共図書館論は,多様なメディアによって構成されたアメリカの文化コミュニケーション全体を視野に入れて公共図書館の位相を検討することによって,公共図書館活動の針路を見定めようとするものであった。
著者
北山 太一 吉田 修 田中 正躬 久世 益治 広川 栄助
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.663-672, 1962-11

1. Twenty-two cases of foreign bodies in the bladder or u rethra were experienced at the Department of Urology, Kyoto University during past four years and four months. 2. Statistical study was made on 691 cases of foreign bodies in Japan s o far reported. It was concluded that recently foreign bodies such as suture materials were f requently seen in the patients who underwent gynecologic operation.
著者
吉田 右子
出版者
国立国会図書館関西館事業部図書館協力課
雑誌
カレントアウェアネス (ISSN:03878007)
巻号頁・発行日
no.295, pp.16-18, 2008-03

日本における北欧の図書館への関心は高く、これまでも北欧の数々の図書館が、訪問記の形で紹介されてきた(1)。本稿はスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの各国の公共図書館について、その最新の状況を報告するとともに、図書館サービスの置かれた状況や課題を論じるものである。
著者
松田 尚樹 工藤 崇 中山 守雄 井原 誠 岡市 協生 吉田 正博
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

放射性ヨウ素による内部被ばくの影響を検出する新しい評価系の開発をin vitro、in vivoの両面から試み、その結果を住民とのリスクコミュニケーションを通して不安緩和に随時応用した。In vitroではI-131を取り込んだラット甲状腺培養細胞の生存率、DNA損傷、シグナル系が急性照射とは異なる応答を示す結果を得た。In vivoでは、I-131を用いるSPECTの実現可能性は確認されたものの、内部被ばく検出とその健康リスク評価については、さらに複数の核種、プローブを駆使して開発を進める必要が残された。このような実験結果は、リスクコミュニケーションを進める上での重要な素材となった。
著者
橘 孝博 吉田 賢史
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-40, 2012

ICT(Information and Communication Technology)教育のこれまでの10年を振りかえり,その展開を概観する。はじめに,高等学校での情報科に関して,歴史や教育目標などを確認する。その上で,現在のICT教育の取り組みにおける問題点や課題を考察し,最近よく耳にするようになったデジタルネイティヴたちにどのように対応できるのかも考えてみたい。さらに,高度情報通信社会に積極的に参画するために必要な,情報モラルについても議論する。最後に教育現場におけるこれからの情報化について,いくつかの観点から話題を提供する。
著者
蕨迫 栄美子 小林 陽子 野口 美奈 島津 早奈英 吉田 美津子
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.854, pp.30-36, 2011-12-01

The objective of the present study is to investigate approaches to dietary education at nursery schools by elucidating the actual dietary life of nursery school children and the dietary awareness of their parents. A questionnaire survey was conducted on a total of 1,049 parents of 4-year-old children attending public nursery schools in Ward S of Tokyo. Ninety seven point two percent of the responses were valid and the following results were obtained:1 A total of 97.4% of children ate breakfast every day, while 2.6% sometimes skipped it. Reasons for skipping it were lack of appetite(55.6%)and lack of time(27.8%).2 Regarding the people children ate breakfast with, the most common response was the mother(81.8%), and while few responded that their children ate alone(2.8%), 10.2% indicated that their children ate with other children only. Eating with other children only was associated with a low level of enjoyment, and the frequency of greetings before and after eating was also lower compared to when children ate with adults.3 As for the contents of breakfast, while 97.2% regularly ate a carbohydrate rich staple food, only 63.9% and 38.1% of children respectively ate a protein rich main dish such as fish or meat, and a side dish such as vegetables or seaweed every day. Breakfast contents were classified into five patterns, and the most common pattern was "Pattern 2: Staple food + one main or side dish"(33.9%), followed by the ideal combination of "Pattern 1: Staple food + main dish + side dish"(32.1%), and "Staple food only"(30.8%). Although few children skipped breakfast, these findings indicate the need to improve breakfast contents.4 "Pattern 1: Staple food + main dish + side dish" was more common among children who ate with adults compared to those who ate with other children only, children of parents who liked cooking compared to those of parents who disliked cooking, and among children who did not dislike any vegetables and children whose parents checked the lunch menu of their children's nursery school every day.5 Intake of restaurant food, pre-cooked food, boxed meals, and convenience store food for breakfast was no more than once weekly. Intake of frozen food was slightly more frequent. These findings suggest that factors that positively affect breakfast intake among nursery school children include eating with adults overcoming any dislike of vegetables with the help of adults, and the parents coming to like cooking and developing a greater awareness regarding their children's diet.
著者
中西 欣弥 花北 順哉 田宮 亜堂 吉田 守 瀧花 寿樹 井水 秀栄 平井 達夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.723-729, 2004-10-20
被引用文献数
2

脊椎血管腫は良性脊椎腫瘍の中で最も多いが,脊髄症を呈することは非常に稀である.今日われわれは,脊髄症を呈した2症例を経験したので報告した.症例1は45歳,女性,胸椎圧迫骨折による背部痛にて発症した.第12胸椎椎体腫瘍の診断で腫瘍摘出術を行ったが,術中にコントロール困難な出血に遭遇し腫瘍部分摘出となる.第2回目手術では,術前に腫瘍栄養血管塞栓術を行い腫瘍の全摘出が可能となった.症例2は47歳,男性で両下肢のしびれを主訴とした.第5胸椎脊椎血管腫の診断で術前に腫瘍栄養血管塞栓術を行い,その後手術にて腫瘍の全摘出を行った.脊椎血管腫は易出血性の腫瘍であり,術前検査として血管撮影は必須である,腫瘍摘出術を行うに際して術前の腫瘍栄養血管塞栓術が重要と考えられた.
著者
長田 裕子 上村 佑也 坂 智秀 吉田 睦子 西塔 正孝 工藤 秀機 國崎 直道 五明 紀春
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.625-631, 2008-12-15
被引用文献数
8 7

<I>Lactobacillus plantarum</I> No. 14株を被験者28人に二重盲検法により摂取させ,そのスギ花粉症に対する効果を調べた.実施期間は2005年1~3月とし,No. 14株の凍結乾燥菌体を1日2.0×10<SUP>10</SUP>CFU, 3週間連続摂取させた.その結果,血液成分において群間に有意な差はなかったが,No. 14株摂取により総IgEの有意な減少が見られた.また摂取を終了した後でも総IgE, 好酸球数の上昇を抑制した.アレルギー症状に関しては鼻回数が摂取3週間目と後観察1週目で試験群がプラセボ群に対して有意に少なくなった.また,体脂肪率が摂取前後でプラセボ群は有意に上昇したのに対し,試験群は有意に減少した.このことからNo. 14株の摂取により花粉症が抑制され,体脂肪率が低減する可能性が示唆された.
著者
吉田 卓弘 梅本 淳 山井 礼道 清家 純一 本田 純子 丹黒 章 島田 光生 米田 亜樹子
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.1576-1581, 2007-09-01
参考文献数
37
被引用文献数
5

非常にまれな胃異所性膵から発生した腺癌の1例を報告する.症例は64歳の男性で,胸膜炎の経過観察中に,胸部CTにて胃幽門部大彎側に径3.0cmの腫瘤を偶然に指摘された.上部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査を施行したところ,幽門前底部になだらかな隆起性病変を認め,筋層を主座とする粘膜下腫瘍を認めた.Retrospectiveには2年前のCTでも存在しており,腫瘍径にほとんど変化を認めなかった.しかし,幽門狭窄症状を来したため,胃sastrointestinal stromal tumorの術前診断のもと腹腔鏡下幽門部分切除術を施行した.腫瘍の一部を術中迅速診断に提出したところ,胃異所性膵と考えられた.永久標本では粘膜下層から漿膜下にかけて腫瘍が存在し,一部に腺癌への移行像を認め,異所性膵から発生した高分化型腺癌と診断された.粘膜下腫瘍の治療においては,悪性腫瘍が併存する可能性も念頭におく必要がある.
著者
鬼頭 誠 吉田 重方
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.511-516, 1992-10-05
被引用文献数
2

セイタカアワダチソウ,ヨモギ,ススキ,ダイズおよびトウモロコシ茎葉等の緑農地から排出する植物性廃棄物を主材料として製造した培養土の理化学性と植物生育に対する影響を調査した.1)供試した植物性廃棄物のC/Nはススキ>セイタカアワダチソウ>トウモロコシ>ヨモギ>ダイズの順であった.無機成分のなかでは,窒素含量がヨモギ,ダイズにおいて,リン含量がススキ,トウモロコシにおいて,カリウム含量がトウモロコシ,セイタカアワダチソウにおいて,カルシウム,マグネシウム含量がダイズにおいてそれぞれ他の草種に比べて高い値を示した.2)製造した各培養土はpH6.42〜7.24,EC0.10〜0.22mSであり,植物生育に対して良好な範囲内にあった.3)培養土の硝酸窒素含量およびCa型リン酸含量はともにダイズを材料としたものにおいて最も高く,ススキを材料としたものでは最も低かった.また,材料とした植物性廃棄物の成分含量と製造した培養土の成分含量の間には,C/Nとカルシウム含量以外有意な相関は認められなかった.4)各培養土に栽培した4種(コマツナ,シュンギク,ダイズ,トウモロコシ)の作物の生育は,栽培期間の短いコマツナでは対象とした土壌区以上の生育を示さなかったが,栽培期間の長い作物(ダイズ,トウモロコシ)では土壌区の生育を凌駕した.5)上記の4種の作物の平均生育量と培養土のCa型リン酸および交換性カルシウム含量との間に正の有意な相関が認められた.以上の結果から,緑農地から排出する各種植物性廃棄物と浄水廃棄物を組み合わせて堆積することにより培養土の製造は可能であるが,さらにリン酸およびカルシウムの添加により高品質のものが製造できるものと考えられた.
著者
守田 美奈子 吉田 みつ子 川原 由佳里 樋口 康子 吾妻 知美 西村 ユミ 池川 清子 稲岡 文昭 坂本 成美
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、看護学の体系化に向けて最も重要な学的基盤としての看護哲学の確立をめざすことを目的とした。ここ数十年の間に、わが国においても看護の研究論文は増え、新たな看護の知も蓄積されつつある。看護という現象が、経験の中にうずもれ、学的な体系として整理されにくかった大きな理由は、看護という現象の複雑さや深みというものが、既存の理論や従来の科学的学問観で捉え、明らかにしていくことに困難さを伴うものであったからだといえる。しかし、その違和感を問うことに看護の学的基盤を創るエッセンスがあり、「看護とは一体何なのか、どのような現象なのか、どのような特徴があるのか」といった問いを追究することがことが必要なのである。本研究は、このような問題意識から始まり、これまでの看護理論家の思索の足跡をたどりながら、それを問い直し、対話をはかることによって次の各課題についての考察した。1.看護哲学の必要性(看護哲学の課題、わが国の看護哲学に求められているもの)2.看護のアート(「看護のアート」とは何か、看護のアートにおける「技術」の概念看護における全体性の概念、患者理解における直観概念の意義3.看護学の知のスタイル(看護のリアリティ、看護におけるアクチュアリティ)4.看護の科学と哲学(複雑系の科学の可能性、カオス理論と看護研究)