著者
吉田 敏 小山 登 福田 哲夫
出版者
産業技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

成果の要点は、これまで工学をはじめとした作り手側の領域において軽視されてきた機能面に着目し、使い手視点によって最終的に社会の中で生み出される内容による製品評価の基礎的な考え方を提示することができたことである。製品は何らかの目的に基づいてつくられるが、それは何らかの使い手の要望を実現することである。今回の研究では、工学をはじめ、デザイン学や経営学の学術領域をまたぐ議論が実施でき、総括的な評価軸についてさまざまな議論が行われてきた。その中で、使い手が使用を通して発生させる機能が、設計者が考える機能とまったく異なり、そこに重要な視点がある可能性を得て、新たなる評価軸の可能性を得るに至った。
著者
村松 浩幸 杵淵 信 渡壁 誠 水谷 好成 山本 利一 川崎 直哉 紅林 秀治 松岡 守 関根 文太郎 田口 浩継 川原田 康文 松永 泰弘 吉田 昌春 大橋 和正
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3年間の研究により,現実の技術開発を疑似体験させるロボット学習の教育システム(カリキュラム,関連教材)を開発した。技術観,職業観についても信頼性,妥当性のある尺度を開発できた。そして全国各地の中学校で複数の実践を行い,必修の授業での簡単なロボット学習であっても,現実の技術や技術開発と関連付けることで,生徒の技術観,職業観を向上させうる可能性を確認できた。
著者
吉田 秀史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.653, pp.9-12, 2005-02-03

2004年8月23日から27日に開催されたIDRC/IMID国際会議における液晶ディスプレイ関連の発表について紹介する。広視野角化技術、高速応答化技術、高精細化技術、低消費電力化技術、半透過技術など多くの新技術が報告された。
著者
吉田 香 川添 禎浩 寺本 敬子
出版者
京都光華女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

微量元素はヒトや動物が生体を正常に維持する上で必要なものが多く、ヒトは生命を維持していく上で適量摂取していく必要がある。微量元素が不足すると欠乏症状が生じ、体調に異変が生じる。しかし、これらの元素を過剰摂取すると健康被害を起こすことも知られている。アルミニウムはわずかな過剰摂取のために神経障害などの健康被害をひき起こす可能性がある元素である。近年、人々の健康への関心が高まり、種々の健康食品を利用する人が増えている。そのため、食品のみから摂る場合には注意する必要のなかった栄養素の過剰摂取が食品とサプリメントを合わせて摂ることにより、起こる可能性がある。昨年度の研究の結果、サプリメントの中には非常にアルミニウム濃度が高いものがあった。そこで、今年度は種々のサプリメントについて微量元素量を測定した。その結果、野菜、ビール酵母、ウコンなどの天然原料由来のサプリメントでアルミニウム含有量が高いものがあった。また、これらのサプリメントの中には、アルミニウムと同時にマンガン、鉄および亜鉛量なども高いものがあった。天然原料由来のサプリメントの摂取によるアルミニウムを含めた微量元素の過剰摂取が健康に及ぼす影響に注意する必要がある。そのひとつの例として、アルミニウム過剰摂取が動物の行動へ与える影響を調べるため、マウスに飲料水として乳酸アルミニウム溶液を与え、マウスの行動(回転カゴ)に及ぼすアルミニウムの影響を観察した。その結果、行動の低下が観察された。ただし、個体差が大きかったため、以後継続して観察を行う必要がある。
著者
眞継 隆 ヨーゼフ ブリンク ヘルマン フランケ ジークフリート ハウザー アロイスオーバー ハウザー 吉田 猛 岸田 民樹 根本 二郎 荒山 裕行 奥村 隆平 千田 純一 HAUSER Siegfried BRINK Hans-Joseph OBERHAUSER Alois FRANCKE Hermann ジーク・フリート ハウザ ラルフ・ボード シュミッ アイロス・オーバー ハウ テオドール ダムス 小川 英次 木下 宗七 藤瀬 浩司 ハウザー ジークフリート シュミット ラルフ・ボー オーバーハウザー アイロ ダムス テオドール
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

欧州共同体(EC)は.1992年末までに市場統合を目指しており.世界経済に対するその影響はきわめて大きい。国際化を進めつつある日本にとっても.EC市場が統合後にどの程度開放されるかは重要関心事であり.本研究において.貿易.金融.農業.企業立地などを中心に.統合市場の下で展開される域内政策と対外政策の日本経済に及ぼすインパクトを多面的に分析し.日本の対外政策のあり方について総合的に考察した。また.新しい問題として東西ドイツの統一がもたらす諸問題や.しだいに広域化していく環境問題についても検討を加えた。共同研究者が執筆した論文は,まず1991年3月に開催された共同研究会で報告が行われ,その成果が研究報告書『EC市場統合とドイツ総一』しとて,名古屋大学経済学部から1992年3月に出版された。日本側からは,真継隆「1992年EC市場統合と日本の製造業」及び千田純一「EC金融統合と日本の銀行・証券会社」の2論文が収録されているが,前者は日本からECに進出している機械メーカーと自動車メーカーを取り上げ,ECにおける貿易摩擦と日本企業の対応を論じている。また後者は,ECの92年市場統合への取り組みのうち,金融システムの統合に焦点を合わせ,わが国の銀行・証券会社がそれをどのように受け止め,どのように対応しようとしているかを考察した。ドイツ側から提出された研究論文は,B.キュルプ「欧州共同体における政策協調の必要性と経済安定効果」,H-H.フランケ「ヨーロッパ中央銀行制度の成立過程-フランスとドイツの対応-」,Th,ダムス「ドイツ統一と経済システムの比較-欧州統合及び東欧諸国の問題点を背景として-」,A.オーバーハウザー「東欧諸国の財政と市場経済への転換」,H-J,ブリンク「東ドイツ新企業の経営問題と解決第一計画経済から市場経済への移行の中で-」,F.ショーバー「国際的企業戦略のための情報・計画策定システム」等であり,ECとドイツ経済の現状と課題が詳細に分析された。ついで,第2回の共同研究会が1993年3月に開催され,その後の研究成果について報告と討論が行われた。日本側の論文は,真継隆「日本の環境問題に関する最近の研究-展望論文」,岸田民樹「環境管理の組識論的研究」,奥村隆平「地球温暖化の動学的合析」,荒山裕行「炭素税と排出権の一般均衝分析」,吉田猛「環境技術の移転のあり方-日本の非営利団体を事例として」の5篇であり,日本の当面している環境問題を多面的に取り上げ,それらの経済学と経営学の視点から分析した。ドイツ側の論文は,Th.ダムス「国際環境問題における日独両国の立場」,S.ハウザー「環境経済学への一般システム論的接近」,H-H,フランケ「ECにおける環境基準の批判的検討」,G.ブリュームレ「国際競争力の視点からみた環境政策の意義」,G.ミュラー「情報技術と交通問題-新しい視点からの検討」,H-J.ブリンク「ドイツ企業における環境対策の新しいアプローチ」,F.ショーバー「廃棄物処理のための情報システム-フライブルク大学の事例」の7篇であり,ECとドイツの最新の情報が提供された。これらの論文は日独両国でそれぞれ和文,英文の研究報告書として公刊される予定であり,関心のある研究者にも広く利用可能となる。本研究は,日本側が日本についての研究を行い,ドイツ側がドイツとECについて研究を行っており,自国の情報を相互に相手国に提供している。そのために,外国へ行って情報収集,情報(文献)分析を行う場合に比して,相手国の研究をより探く行うことが可能となっており,国際共同研究として有意義な成果が挙がっており,また日独両国における研究報告書の刊行を通じて,その研究成果が十分に活用されている。
著者
吉田 勇
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1 平成の町村合併は各町村の入会権の調整にどのような影響を与えたかを検証するために、一の宮町・阿蘇町・波野村が合併した阿蘇市誕生のケースと、合併協議が行われながらも合併に至らなかった小国町・南小国町のケースを比較しながら調査研究した。2 阿蘇市のケースでは、一の宮町と阿蘇町では入会権をめぐる事情に違いがあった。最も大きな違いは、一の宮町には昭和の合併時に財産区が設置されていたが、阿蘇町には財産区は設置されていなかったことである。今回の合併に際しては、旧財産区はそのまま新市に引き継がれるが、新しい財産区は設置しないという方針が合意された。財産区は設置しないが、集落の入会権の使用・処分の権利関係については、実質的な変更が加えられなかった。阿蘇市は、入会原野の貸付についても分収についても、旧阿蘇町と牧野組合との旧来の配分割合をそのまま確認している。波野村の場合には、古くから草原は畑と一体的に個人分割的に利用されてきており、村有入会地がなかったために、今回の合併に向けた入会権の調整は必要ではなかった。3 小国町と南小国町のケースではこれまでの両町の入会政策に大きな違いがあった。小国町は1950年代に入会原野の払い下げ政策(近代化政策)を積極的に進め入会原野の経済的な高度利用(造林化)を目指したのに対して、南小国町は、入会地の集落による共同利用を尊重してきたことである。この政策の違いが、現在でも、南小国町の入会原野はほとんど町有地であるのに対して、小国町には共有地が多いことにうかがわれる。しかしながら、この違いは合併協議の過程では話題になったもようであるが、両町の合併協議を妨げたわけではないというのが関係者の証言であった。
著者
森島 圭祐 古川 勇二 吉田 真
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

燃料電池の燃料として,バイオマスから生産されるバイオ燃料や,生物の生体触媒機能によって生産されるエネルギーを利用することで,化石燃料に依存しない発電が可能となる.このような,生体エネルギー変換機能に依存したバイオ燃料電池は,地球環境に対する適合性が高く,研究開発が盛んに行われている.本研究では,光合成細菌であるシアノバクテリアを燃料とし,その代謝反応において生産される還元物質を,導電性高分子であるポリアニリンによって細胞内から直接抽出ることで発電する,直接光合成型バイオフューエルセル(Direct Photosynthetic Bacteria Fuel Cell:DPBFC)を開発してきた.しかし,シアノバクテリア自体の還元物質生産能力が低いため,電池出力は5.3μW/cm2と低く,細胞内から還元物質が抽出されるため,細菌活性も著しく低下し,電池寿命は約2時間と短い.そこで,有機酸を炭素源として代謝を行い,遺伝子操作によって還元物質生産能力を制御することができる紅色光合成細菌Rhodopseudomonas palustrisを新たな燃料として選定し,遺伝子操作による還元物質生産能力の向上によって,DPBFCの出力向上を図った.その結果,遺伝子操作によって,細胞内での還元物質生産能力を向上させた電子蓄積型R.palustrisを使用した際、出力を向上させることができた.また,有機酸を炭素源としていることから,その供給による細菌活性の維持によってDPBFCの長寿命化を図った.有機酸の供給方法には,蒸発現象と吸水性ポリマーの吸水力による流体駆動方法を提案し,外部ポンプを用いることなく,最大流量32nl/minを得ることが出来た.この供給方法を用いた培地還流型DPBFCを試作し,電子蓄積型R.palustisを燃料として使用した結果,12時間以上の発電を確認することが出来た.さらに,試作した薄型DPBFCは、従来型の3分の1程度に厚みを減少させることに成功し,その出力が57μWと従来 のフレキシブルDPBFCとほぼ同等であることを確認した.
著者
黒瀧 秀久 北原 克宣 加瀬 良明 吉田 義明 范 為仁 菅原 優 北原 克宣 加瀬 良明 吉田 義明 范 為仁 菅原 優 應和 邦昭 姉歯 暁 堀口 健治
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

北東アジアにおける共通食料自給率政策の構築の課題を明らかにするため、北東アジアの農業構造、農業政策、農産物貿易構造、農産物の消費動向を分析した。その結果、共通食料自給率政策構築のためには、農業に対する価値観を共有し、共通政策を構築していくことが重要であることが明らかとなった。
著者
吉田 勇
出版者
日本法社会学会/有斐閣
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.48, pp.199-203,244, 1996-03-30 (Released:2009-01-15)

In Japan, the frequent use of word "Sei-i" is observed in the process of negotiations and dispute resolutions. The essential core of "Sei-i" originated in the Japanese confucianism of the Tokugawa period. Since then, it has been gradually transformed into a complex of traditional, modern and contemporary types of "Sei-i". Therefore, Japanese "Sei-i" has various meanings today.Careful observation indicates that sometimes a sence of "Sei-i" gives normative influence on human relations, though it often plays only an emotional role. In that case, the word "Sei-i" is used to express a normative sense which people have in mind, especially when the injured party negotiates with the injurer for apology and compensation. And it is worth notice that both persons think highly of "Sei-i", but they often understand the same contents of it quite differently.A few scholars have already studied some aspects of "Sei-i", but they don't focus their concerns upon its normative sense. This paper deals with its normative sense in the process of negotiations and disputes between the injured party and the injurer.The main purpose of this paper is to construct theoretical model of normative contents and social functions of "Sei-i". Normative contents of "Sei-i" are classified into procedural contents and substantive ones, and both contents are constructed as a set of normative rules.This paper is the first step to the heuristic study of "Sei-i" as a sense of social norm.
著者
佐藤 嘉洋 矢垣 真也 吉田 親子 能代 英之 佐藤 雅重 青木 正樹 杉山 芳弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.654, pp.23-28, 2006-03-07

高集積MRAM用のトンネル磁気抵抗素子(MTJ)として、低い反転磁界と高いディスターブ耐性を同時に満たすアステロイド特性と、最小セルサイズ8F^2を実現する砂時計型MTJを提案する。Landau-Lifshitz-Gilbert (LLG)シミュレーションによると、この砂時計型MTJは反転磁界が低減するように磁化反転時のスピン分布状態が動く特徴であり、従来のMTJ形状の磁化反転過程とは異なる。今回我々は260×420nm^2サイズの砂時計型MTJと200×400nm^2サイズの楕円MTJを試作した。LLGシミュレーションの結果と同様に、理想的なアステロイド曲線と楕円MTJよりも50%低い反転磁界を実現した。
著者
中西 英之 吉田 力 西村 俊和 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.97, no.14, pp.35-42, 1997-04-22

FreeWalkは休憩時間の雑談のようなカジュアルな会議を支援するデスクトップ会議システムである.FreeWalkは誰もが互いに出会い,実世界と同じように振舞うことができる3次元共有空間を提供する.参加者は自分のカメラ画像が張りつけられた,3次元ポリゴンからなる四角錐として表され,位置と向きを持つ.参加者は自由に移動し,向きを変えることができる.参加者の音声は,その音量が互いの距離に反比例して聞こえ,多くの参加者が混乱することなく会話することができる.使用実験では,会話中の他の参加者に遠くから近づいて会話を盗み聞きするなど,様々な行動がみられた.
著者
吉田 智彦 楠本 亮也
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.61, pp.70-71, 1995-05-15

1.キビを5月と8月の2回播種して二期作栽培し,その生長解析を行った。5月播きのCGR及び太陽エネルギー利用効率の最大値は20.5gm^-2d^-1と2.67%であり,それに対し8月10日播きは6.11gm^-2d^-1と0.81%であった。2.主稈の収量への寄与率は5月播きは60%,8月播きは72〜74%であった。主稈の寄与率の高い品種が多収であった。
著者
吉田 勝 和田 秀樹 小山内 康人 有馬 真 加納 隆 PANDIT M. K. PANDIT M.K.
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1.平成10年度と11年度の2年間にわたり、インド中央構造帯およびその周辺地域の地質野外研究を、日本から派遣研究者27人延ぺ573人日、現地参加科学者40人延べ659人日、合計で述べ1232人日を実施した。また、インドから研究分担者ら4人を延べ133日間招聘した。野外調査はとくに、アラバリ・デリー帯とインド中央構造帯中央部(サコーリ帯およびサウサー帯)を集中的に実施したほか、インド中央構造帯東部、東ガート帯、南インド原生代変動帯、スリランカなども実施した。2.アラバリ・デリー帯、中央構造帯中央部、及びインド中央構造帯全般に関する最新の知識が得られ、採集された地質標本についての詳しい分析的研究が実施され、岩石学、年代学関係の重要なデータが得られ、それらの一部は公表された。3.これらの研究を通じて、ゴンドワナテクトニクスにおけるインド中央構造帯の意義が明らかになって来た。インド中央構造帯のスーチャーとしての主要な活動時期はパレオ原生代(19-22億年前)であり、その後は内陸変動帯であったと思われる。メソ原生代には西オーストラリア南部のアルバニー帯と連なっていたと考えられる。従って、西オーストラリア西縁を走るピンジャラ変動帯が、グレンヴィリアン期のロディニア集合テクトニクスにおいて重要な役割を果たしたと考えられる(Yoshida,2001,Gcmdwana Research 4,208-211)。4.以上の研究成果は、国際誌などでの研究論文105編、国際学会等における講演60題、研究論文集など8冊および国際学術研究連絡誌など10冊の発行などによって国内外に公表された。また、英文研究成果報告書「The Central Indian Tectonic Zone and its Extensions within East Gondwana」(GRG/GIGE Miscellaneous Pub-lication No.14)として刊行された。この報告書はインド中央構造帯のテクトニクス(11編155頁)、アラバリ・デリー褶曲帯のテクトニクス(7編66頁)、東インド東部原生代変動帯の岩石とテクトニクス(8編799頁)及び南インド楯状地の岩石とテクトニクス(6編47頁)の4章347頁で構成され、付録として公表編著書、論文、講演目録、文部省への提出諸書類が添付されている。
著者
若林 俊彦 吉田 純
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究のテーマである脳腫瘍に対する樹状細胞療法は、平成18年度で基礎研究、前臨床研究が終了し、平成19年度はトランスレーショナルリサーチとして臨床研究へと移行出来た。すなわち、脳腫瘍(グリオーマ)の特異的分子標的としてIL13受容体alpha2鎖由来ペプチドをGMPグレードで製造することが可能なため、樹状細胞療法の工程がすべて閉鎖回路系にて準備可能となり、厳重なクリーンルームでの管理下においての臨床応用への道が開けた。さらに、人工合成ペプチドであるために、その標的が明確であり、目標としての脳腫瘍へのT細胞の特異的攻撃性を高める可能性も示唆されている。この閉鎖回路系にて作製された樹状細胞は、臨床応用に際しての滅菌管理方法・保存方法・保存期間・パイロジェンテスト・含有提示抗原の定性・定量等も比較的簡便であり、臨床応用への可能性は極めて高いと言える。今回の、IL13受容体alpha2鎖由来ペプチドによる抗原提示効果が樹状細胞による免疫機能の増強に結びつけば、悪性脳腫瘍、特に難治性のグリオーマに対する特異的分子標的細胞療法の免疫誘導の有効性が示唆され、治療面での貢献度は極めて大きく、既存の治療方法に細胞療法分野が一翼を担い、治療選択に幅ができる事は必至である。本研究期間中に、IL13受容体alpha2鎖由来ペプチドを用いて、国際標準化機構ISO9001:2000及びISO13485:2003の管理体制下にある細胞調製施設を使用して、臨床使用用の樹状細胞を作製した。この細胞を用いて、合計4症例に対して実際の樹状細胞療法が実施され、合計16回に及ぶ樹状細胞投与が施行された。その結果、本治療法の安全性が確認され、また画像診断上の有効性や組織診断による有効性が一部の症例に確認でき、今後の治療法の展開に重要な情報が獲得され、臨床応用への大きな福音となった。他の分野から研究面で遅れていた脳腫瘍の樹状細胞療法が、殺細胞効果と静細胞効果を併せ持つ新たな治療法として今後更なる展開が期待される。
著者
吉田 紀子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

1920~30年代のフランスで発展したアール・デコ様式のポスター・デザインをめぐり、当時のポスター・デザイナー、美術批評家、広告産業家は、19世紀にさかのぼるポスターと絵画芸術の交流、およびポスター収集・批評の歴史を参照しながら、フランスの広告表現の独自性や優秀性を立証する理論的基盤を構築しようとした。こうしたフランス広告の芸術的伝統を前景化する言説「広告芸術論」は、広告産業界の社会的評価を高める助力になるとともに、競合する英米圏の広告に対するフランス広告の優越を証明するという戦略的な役割を担った。
著者
吉田 敬 高村 明 梶野 敏貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではニュートリノがマヨラナ粒子で磁気モーメントを持つ場合における超新星ニュートリノのフレーバー変換と超新星ニュートリノの観測可能性について調べた。その結果、ある特定のニュートリノ振動パラメータの場合にはスーパーカミオカンデで観測される超新星ニュートリノスペクトルの時間進化や将来の液体Ar検出器で観測されるニュートリノイベントにニュートリノ磁気モーメントによる効果が検出されうることが得られた。また、Ic型超新星での軽元素合成やr-過程元素合成のニュートリノ振動に対する影響も調べている。
著者
武藤 俊介 吉田 朋子 巽 一厳
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ハードウェア開発としてTEM用波長分散型X線分光器の開発を行い, 軟X線領域の状態分析を可能とした。またデータ測定・解析ソフトウェア開発としてスペクトル回復ソフトウェア, オンラインEELSペクトルのドリフト補正スクリプト及び多変量解析に基づくスペクトル分解・成分空間分布可視化プログラムを開発した。これらを基にした応用研究として, 電子チャネリングを利用したサイト選択的電子状態測定, リチウムイオン二次電池正極材料のドーパント効果及び画像劣化診断, 窒素注入による可視光応答化チタニア光触媒の窒素の状態分析, 水素吸蔵材料の状態分析及び9)その他のナノ構造分析を行った。