著者
大鳥 和子 福島 和代 吉田 浩子 鈴木 はる江
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-42, 2014-02-01 (Released:2014-02-21)
参考文献数
31

本研究は,先輩看護師の言動に対する病院勤務看護師の被害認識と被害認識に関連する要因を明らかにするために,20~30歳代女性看護師963人を対象に質問紙調査を行った.有効回答478を被害認識の有無で分類し,関連要因は属性,ローカス・オブ・コントロール,心身不調とした.結果,31.8%が被害認識あり群で,20歳代が30歳代よりも被害認識あり群の割合が高かった.30歳代と臨床経験年数10年以上の看護師は,被害認識あり群がなし群よりも外的統制傾向にあった.心身不調10項目中9項目は,被害認識あり群がなし群よりも「有」の回答の割合が高かった.先輩看護師は,自らの言動が「被害を受けた」と認識されることを自覚し,被害認識を与えない言動を行うことが重要であることと,20~30歳代女性看護師のメンタルヘルス対策には先輩看護師の言動に対する被害認識を考慮した方策を盛り込む必要性が示唆された.
著者
青木 雄大 吉田 和敬 信田 幸大 砂堀 諭 西田 由香 加藤 秀夫 菅沼 大行
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.147-155, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3 1

リコピンはトマトに豊富に含まれるカロテノイドであり, 強い抗酸化作用を有することが知られている。これまでに, 様々な栄養素の吸収に概日リズムが影響を与えることが示唆されてきているが, リコピンの吸収について, 摂取時間帯による影響を検証した報告はなされていない。そこで我々は, 摂取時間帯がリコピンの吸収に与える影響を, ラットを用いた動物試験および健常な成人男女を対象としたヒト試験で検証した。ラットおよびヒトに対し, リコピンを含む食品を, 時間帯を変えて摂取させ, 血中リコピン濃度を測定したところ, ラットでは活動期初期, ヒトでは朝に摂取した際に血中リコピン濃度が最も上昇した。また, リコピンを摂取するまでの絶食時間が長くなるほど, 血中リコピン濃度の上昇が大きくなることが示された。以上から, リコピンの吸収は絶食時間の長さの影響を受け, そのため朝に摂取した際に最も吸収率が高くなることが推測された。
著者
木村圭裕 吉田侑矢 米澤朋子
出版者
[情報処理学会関西支部]
雑誌
2014年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014-09-10

通常のライブ演奏では、観客の存在による演奏者の緊張や興奮など様々な感情への影響があると考えられる。本研究では、3DCGを用いたVRライブシミュレーションにおいて、観客エージェントを介した視聴者の存在が演奏者に対して与える影響を検討する。
著者
山田 鑑照 尾崎 朋文 松岡 憲二 坂口 俊二 王 財源 森川 和宥 森 俊豪 吉田 篤 北村 清一郎 米山 榮 谷口 和久
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.27-56, 2006-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
43

経穴研究委員会 (前経穴委員会) は福岡で開催された第54回全日本鍼灸学会学術大会ワークショップIIにおいて、経絡・経穴について3つの検討テーマを6名の委員により報告した。第1テーマ : 経絡・経穴の解剖学的検討1) 経絡と類似走行を示す解剖構造について (松岡憲二) : 遺体解剖による経絡の走行と神経・血管の走行との類似性についての研究。2) 上肢経絡・経穴の肉眼解剖学的研究 (山田鑑照) : 豊田勝良元名古屋市立大学医学部研究員の学位研究である上肢経絡・経穴の解剖学的研究紹介並びに山田の研究として皮下における皮神経・血管の走行と経穴・経絡との関係についての報告。第2テーマ : 日中における刺鍼安全深度の研究1) 中国における刺鍼安全深度の研究と進展状況 (王財源) : 中国刺鍼安全深度研究で権威のある上海中医薬大学解剖学教室厳振国教授のデータの紹介と最近の中国における刺鍼安全深度研究の進展状況報告。2) 経穴の刺鍼安全深度の研究を顧みて (尾崎朋文) : 尾崎が今まで発表してきた経穴部位の刺鍼安全深度の研究並びに厳振国教授のデータと同じ経穴との比較研究。第3テーマ : 少数経穴の臨床効果の検討1) 少数穴使用による鍼灸の臨床効果 (坂口俊二) : 1~4穴使用による鍼灸臨床効果ついての医学中央雑誌文献の検索・分析。2) 合谷-穴への各種鍼刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響 (森川和宥) : 合谷穴-穴への置鍼刺激、直流電気鍼刺激、鍼通電刺激が皮膚通電電流量に及ぼす影響についての研究。
著者
杉原 隆 吉田 伊津美 森 司朗
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

日本全国の幼稚園・保育所109園の4〜6歳児、約12,000名を対象に運動能力測定および家庭と園の環境調査を行った。運動能力発達ならびに、運動能力と環境要因の関係について分析した結果の概要はおおよそ以下のようである。幼児の運動能力は1986年頃から1997年頃にかけて大きく低下し、1997年から2002年にかけては大きな変化はなく現在に至っていることが確認された。運動能力の発達に最も大きく関係していたのは、園と家庭での運動遊び時間や頻度などの運動経験要因であった。園環境としては、遊び友達の数、保育形態、担任の運動の得意不得意など心理社会的環境は運動発達と関係していたが、所在地や園舎園庭の広さや遊具の数など物理的環境との間にははっきりした関係が認められなかった。特に保育形態に関しては、一斉指導で運動指導をしている園より自由遊び中心の保育をしている園の方が運動能力が高いという注目すべき結果が得られた。家庭環境としては、遊び友達の数、家族構成、親の意識といった心理社会的環、遊び場の有無と運動遊具の数といった物理的環境の両者が運動発達と関係していたが、住宅形態や居住階層はほとんど関係していなかった。全体としてみると、運動発達との関係の強さは運動経験、心理社会的環境、物理的環境の順となり、分析の結果、環境(間接要因)⇒運動経験(直接要因)⇒運動発達という因果関係が認められた。

3 0 0 0 OA 吉田松陰全集

著者
吉田松陰 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第4巻, 1936
著者
関 喜史 福島 良典 吉田 宏司 松尾 豊
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.95-115, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
17

推薦システムのユーザ体験を高めるために重要な指標の 1 つが多様性 (Diversity) である.多様性は推薦システムが提示するリスト内には様々なコンテンツが含まれるべきという考え方であり,過去の研究では多様性が含まれるリストの方がユーザに好まれるとされている.しかし実際のサービス上で推薦システムを検証したという報告は少なく,サービス上で多様性がユーザにどのような影響を与えるのかは明らかになっていない.本研究では実際にサービスとして提供されているウェブページ推薦システムを分析し,その推薦システムに多様性を導入して比較を行った事例について報告する.まず多様性が導入されていない推薦システムのユーザ行動を分析し,結果としてリストの中位以降に表示するウェブページに課題があることを明らかにした.その上で多様性を導入し,多様性のない既存システムとサービス上でのユーザ行動を比較した.結果として継続率やサービス利用日数が有意に改善していることを示し,従来研究で示されていた多様性を含む推薦リストの方がユーザに好まれるということを実サービス上で示した.そして利用日数が増えるに従ってリスト全体のクリック数が改善していくこと,特にリスト下部のクリック率が多様性のない手法では下がっていくのに対して,多様性のある手法では向上していくことを示した.
著者
吉田 聡子 若竹 崇雅 白須 賢
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物の生長調節 (ISSN:13465406)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.66-73, 2014-05-30 (Released:2017-09-29)
参考文献数
43

Several parasitic plants in Orobanchaceae, such as Striga and Orobanche, cause devastating damage on agriculture worldwide. However, the molecular mechanisms of plant parasitism remain poorly understood. Orobanchaceae include species in a different range of parasitism, i.e. facultative and obligate parasites. Facultative parasites complete their life cycle without host plants, while obligate parasites are not able to survive without hosts in a natural condition. Although both parasites respond to quinone signals to develop infectious organs called haustoria, their shapes are distinct. Their responses to germination stimulants are also different. We are conducting genome and transcriptome analyses of an obligate parasite Striga asiatica and a facultative parasite Phtheirospermum japonicum to identify genes responsible for plant parasitism. A transformation protocol of P. japonicum was also established and used for functional characterization of parasitic plant genes.
著者
松尾 藍 吉田 富二雄
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-49, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
14

本研究では,性ステレオタイプ行動に含まれるネガティブな側面に着目し,性ラベルが,性ステレオタイプ行動を行う人物の好ましさに及ぼす効果を検討した。実験は,実験参加者の性(男・女)と性ラベル(男性・女性・ラベルなし)を要因とする2要因混合計画(後者は実験参加者内要因)であった。実験参加者(N=182,男性87名,女性95名)は,男女の性ステレオタイプに沿った行動傾向の記述文を読み,その記述文に示された行動の行為者の性が明示されない場合(ラベルなし条件)と,行為者が男性の場合(男性ラベル条件)および女性の場合(女性ラベル条件)における行為者の好ましさを評価した。その結果,ネガティブな性ステレオタイプ行動に対し,行動と一致する性ラベルが与えられた場合,対象人物(ステレオタイプ一致人物)のネガティブな評価が緩和された。この効果は評価者が対象人物に対し外集団成員であるときのみ生起した。また,ネガティブな性ステレオタイプ行動に対し,行動と不一致の性ラベルが与えられた場合,対象人物(ステレオタイプ不一致人物)はよりネガティブに評価された。この効果は,女性ステレオタイプ行動に対して男性ラベルが与えられたときに,最も顕著であった。
著者
吉田 明子 加藤 正人 谷内 一彦
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.387-396, 2004-10-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
41

痛みの受容には多くの分子が影響を与えるが, ヒスタミンもその一つである. その作用点は, 一次性求心性神経線維と中枢ヒスタミン神経であるが, H1受容体はおもに一次性求心性神経線維上にあり, 末梢からの情報を脊髄や上位中枢へ効率よく伝達する役目を担っている. また脊髄や上位中枢にはH1受容体やH2受容体が存在して興奮性の作用を共同して担っている. とくに中枢ではH1, H2受容体ともに大脳皮質の機能賦活作用として覚醒や認知機能亢進に関与している. 最近, ヒスタミン関連遺伝子のノックアウトマウスが開発され小動物における生理学的・病態生理学的研究の新たな展開が進んでいる. 本総説では, 抗ヒスタミン薬を用いた薬物研究, 近年開発されたヒスタミン関連遺伝子ノックアウトマウス (H1, H2受容体ノックアウトマウス, ヒスタミン合成酵素ノックアウトマウス) を用いた研究, モルヒネなどのオピオイドと併用した疼痛研究の結果をもとに, 痛みの受容とヒスタミンの関与について概説する.