著者
茅野 崇 鈴木 理恵 新谷 良澄 吉田 敦 奥住 捷子 森屋 恭爾 木村 哲
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.81-84, 2005-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
19

病院感染対策には手洗いおよび手指消毒が基本かつ重要である. 近年のアルコールゲル擦式手指消毒薬 (ゲル剤) に関する報告ではKramerらがその殺菌効果の低さを指摘している. 我々はKramerらの報告と異なるグローブジュース法によりゲル剤の殺菌効果を検討した.総付着菌数の対数減少値は, 液体石けん0.99±0.53 (n=29), ゲル剤A1. 61±0.66 (n=36), ゲル剤B1.52±0.55 (n=29), アルコール擦式手指消毒薬 (ラビング剤) 2.05±0.67 (n=38) であった (Mean±SD). ラビング剤およびゲル剤は液体石けんに比べ有意に菌数を減少させた (P<0.0001). この結果は, Staphylococcus aureusおよびEscherichia coliの菌種別および被験者を医療職・事務職に分けた職種別の各検討結果においても同様の成績が認められた.以上より, ゲル剤の殺菌効果はラビング剤よりも若干劣り, 石けんと流水による手洗いよりも優れていることが示された.
著者
箭田 浩士 我藤 伸樹 永友 榮徳 忠田 吉弘 小野 裕嗣 吉田 充
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.188-192, 2003-04-15
被引用文献数
3 2

梅肉エキス中のMFについて,固相抽出カートリッジを用いた前処理法ならびにHPLCによる分析法を確立した.これにより,梅肉エキス中のMFを迅速・簡便に回収率良く抽出し,定量分析することが可能になった.<br>また,MFの正確なモル吸光係数1.78×10<sup>4</sup>(λ<sub>max</sub>282nm,water)を決定した.これにより吸光度からMF標準溶液のモル濃度を決定することができる.
著者
野村 泰之 濱田 敬永 斎藤 雄一郎 吉田 晋也 遠藤 壮平 鴫原 俊太郎 木田 亮紀
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.608-614, 1998 (Released:2009-10-13)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

Recently, because of the development of MRI, it is becoming apparent that there are some cases of cerebellar vascular disorder in the posterior cranial fossa among cases of sudden onset of rotatory vertigo. We reported two cases of sudden onset of rotatory vertigo caused by cerebellar infarction in the territory of the posterior inferior cerebellar artery (PICA) due to cervical occlusive injuries.Case 1. A 48-year-old male sustained a slight whip lash injury and after ten hours, experienced rotatory vertigo and hoarseness. When he came to our hospital, we could only detect hoarseness. However, vascular disorder in the posterior cranial fossa was suggested by the interview. MRI revealed left cerebellar and medulla oblongata infarction.Case 2. A 29-year-old male felt rotatory vertigo and vomited after clicking his neck. Upon closer examination, pure rotatory spontaneous nystagmus, sensory disorder accompanied by sensory dissociation in his face and disability in standing and walking were found, suggesting vascular disorder in the posterior cranial fossa. MRI showed infarction in the left inferior cerebellar region, vermis and left lateral-dorsal medulla oblongata. A dissecting aneurysm in the vertebral artery was found on subsequent angiography.In the Japanese literature, we could find only nine reported cases of cerebellar vascular disorder in the posterior cranial fossa due to the cervical occlusive injuries, in addition to our two cases.The severity of injuries and the period until onset of diagnostic symptoms varied. Therefore, tracing cerebellar vascular disorders due to cervical occlusive injury required not only neurological and neuro-otological findings, but also attention to the history of the original injury and the development of subsequent symptoms. Without a careful interview, it is very difficult to correctly establish the cause of the disorder.
著者
吉田 真弥 高岡 貞夫 森島 済 Mario B. COLLADO
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.61-73, 2011-01-01 (Released:2015-01-16)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

ルソン島中央平原に位置するパイタン湖の湖底堆積物において植物珪酸体分析を行い,過去およそ2,500年間の植生変遷について検討した.本地域では,堆積物の上位よりゾーン1~5の局地植物珪酸体帯が認められた.すなわち,コゴンを中心とする草本植生が卓越したゾーン5(2,460~1,410年前),草本植生とともに針葉樹による植生が増加したゾーン4(1,410~1,240年前),コゴン以外の草本種から成る植生が成立し木本種による植生も増加したゾーン3(1,240~1,150年前),コゴンやそれ以外の草本から成る植生とゾーン3とは異なる木本植生が成立したゾーン2(1,150~350年前),木本植生が著しく減少し栽培イネが卓越するゾーン1(350年前~現在)の五つである.森林に乏しい現在の植生景観の成立には人間活動が深く関わっていると考えられる.また,ゾーン5においてコゴンの草原が卓越することは,乾燥化などの人間活動以外の要因の影響も考えうる.

3 0 0 0 OA 小鳥の来る日

著者
吉田絃二郎 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1921
著者
下畑 享良 久保 真人 饗場 郁子 服部 信孝 吉田 一人 海野 佳子 横山 和正 小川 崇 加世田 ゆみ子 小池 亮子 清水 優子 坪井 義夫 道勇 学 三澤 園子 宮地 隆史 戸田 達史 武田 篤 日本神経学会キャリア形成促進委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001533, (Released:2021-01-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

医師のバーンアウトに関連する要因を明らかにし,今後の対策に活かすため,2019年10月,日本神経学会はバーンアウトに関するアンケートを脳神経内科医に対して行った.学会員8,402名の15.0%にあたる1,261名から回答を得た.日本版バーンアウト尺度の下位尺度の平均は,情緒的消耗感2.86/5点,脱人格化2.21/5点,個人的達成感の低下3.17/5点であった.また本邦の脳神経内科医のバーンアウトは,労働時間や患者数といった労働負荷ではなく,自身の仕事を有意義と感じられないことやケアと直接関係のない作業などと強く関連していた.これらを改善する対策を,個人,病院,学会,国家レベルで行う必要がある.
著者
黄川田 翔 吉田 直人 佐野 千絵
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.74-81, 2016-02-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Illuminance and exposure time are controlled to avoid rapid deterioration of museum objects. However, it is possible that the effect of harmful ultra-violet rapiation and visible light on objects is evaluated incorrectly by integrated illuminance. In this report, an evaluation method for light exposure levels for museum objects is discussed. Exposure tests of textiles with different light sources were conducted, and the progress of deterioration of the textiles was evaluated with two different light exposure level indexes : integrated illuminance and effective radiant exposure. The results show that effective radiant exposure can be used to evaluate light exposure levels causing damage to textiles more accurately. Furthermore, this paper proposes a new method that corrects illuminance and integrated illuminance. The new method easily improves the precision of evaluating light exposure levels with conventional integrated illuminance.
著者
吉田 卓爾
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.228-198, 2020-03-31

室町将軍三代義満より六代義教を経て八代義政へと至る間に形成された唐物コレクション「東山御物」に関する研究は膨大な数に上る。絵画史分野においては、資料に限りがある中で、将軍の鑑蔵印を有する現存作品の研究や、『御物御畫目録』、『室町殿行幸御錺記』、『小河御所并東山殿御錺図』、「君臺観左右帳記」(諸本)、『圖繪寶鑑』等、重要史料の精査が蓄積されている。 所蔵品目録あるいは画人録といった要素を有する上記諸史料に対し、『蔭凉軒日録』は相国寺塔頭の鹿苑院内に設置された蔭凉軒主の日記であり、性格が大きく異なるため比較し得る部分が少ない。従来、『蔭凉軒日録』の記述は断片的に扱われることが大半であった。 本課題は『蔭凉軒日録』の精査を経て、当時の相国寺に伝来した絵画に関する記述に注目している。当該絵画に関する記述からは、応仁・文明の乱以降の相国寺における絵画受用の在り方が垣間見られる。本稿では『蔭凉軒日録』の記録内容を詳述・検討し、十五世紀の将軍家及び寺家における宋・元・明絵画の受容と室町絵画の様式変遷について考察を進めていくための足がかりとしたい。
著者
吉田 巖
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.296-309, 1916-09-25 (Released:2010-06-28)

3 0 0 0 OA 和算独学

著者
吉田庸徳 編
出版者
若林喜兵衛[ほか]
巻号頁・発行日
vol.一, 1878
著者
松井 圭介 堤 純 吉田 道代 葉 倩瑋 筒井 由起乃
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.131-142, 2015 (Released:2018-04-04)

本稿では,現代における聖地ウルルの観光動態および聖地をめぐる場所のポリティクスを,先住民文化としての聖地の管理・保全と資源化の視点 から検討した。ウルルにおけるツーリズムの動態について略述したうえで,聖地をめぐる管理とツーリストの動き,先住民の宗教的世界と土地所有をめぐる概念について検討し,最後に聖地をめぐる場所のポリティクスの視点から考察した。ウルルは先住民(アナング族)の人びとにとって,神話的な意味世界の中心として重要な意味を持つと同時に,観光資源としての高い価値を有している。したがってウルル登山は,聖地とツーリズムの間の緊張関係をもたらす。両者の相剋はステークホルダー(先住民,政府,ツーリストなど)間だけでなく,内部においても多様であり,ウルル登山の制限をめぐる場所のポリティクスは,「先住民文化の真正性」と「政府の努力」と「ツーリストの満足感」を担保する装置として機能していることが考えられる。
著者
仲澤 和馬 吉田 純也 肥山 詠美子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.308-313, 2018-05-05 (Released:2019-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ダブル・ハイパー核(DH核)は,ストレンジクォーク(s)を二つ含む原子核の総称である.DH核はsクォークを含むハイペロン(Y)であるΛ(uds)粒子を二つ,またはΞ-(dss)ハイペロンなど一つをバリオン間力(拡張した核力)で内包する.例えばダブル・Λハイパー核(DLH核)やΞハイパー核(Ξ核)がこれにあたる.電荷をもたないΛ粒子間や,Ξと核子間の相互作用は,その質量欠損を通じて知ることができる.通常の原子核の数倍にもなる高密度の中性子星内では,このようなハイペロンの存在が強く示唆されている.DLH核の発見は半世紀前の1963年に遡る.この年,乾板中にとらえられたΞ-粒子静止吸収事象中に1例のΛΛ10 Be,1966年のΛΛ6 He,1991年のΛΛ13 B(KEK-E176実験)である.これらの実験結果から,Λ粒子間の引力の強さ(4–5 MeV)が,Λ-核子(N)間と同程度と広く認められるようになった.ところがこの認識は,2001年1月,KEK-E373実験におけるNAGARA eventと呼ばれるDLH核,ΛΛ6 Heが発見されたことにより覆された.この事象は世界初の不定性のないDLH核の発見であり,この発見からΛ粒子間にはたらく力の強さが~1 MeVという非常に弱い引力であると,実験的に初めて明らかになった.1963年および1991年の事象,E373で発見した他の3例もNAGARA eventに矛盾しない解釈がとられ,NAGARA eventはΛΛ相互作用を議論する「ものさし」となった.NAGARA eventの発見を出発点として理論的に要求されたことは,ΛΛ相互作用の再構築とその他の発見されたDLH核の束縛状態を説明できるかどうかということであった.例えば,DEMACHIYANAGI eventと呼ばれるΛΛ10 Beの束縛状態を,NAGARA eventを説明するΛΛ相互作用で説明できることが分かった.今後は,ΛΛ相互作用のp-波相互作用,ΛΛ⇔Ξ N異粒子変換結合など,さらなる情報を得ることが理論的に重要である.そのためには,より多くの実験データを必要とする.これは,原子核物理学の大きな目的の一つである,YNおよびYY間などハイペロンをも含めたバリオン間相互作用の統一的理解につながるという意味で意義深い.2006年,東海村のJ-PARC建設開始とともにE07実験が採択された.高純度のK-ビームとE373実験の約3倍の乾板を用意して10倍以上のDLH核や確かなΞ核の発見を期待して設計した.特にこれまで行われてきたΞ-粒子生成と関連づけられる事象を選択することをやめて,乾板全面を探査しDLH核やΞ核に特有な崩壊パターンを画像処理により検出する「全面探査法」を導入することにより,さらに10倍(E373実験の100倍)の発見が期待できる.2013年,この「全面探査法」をE373乾板で試験運用して得られた約800万枚の顕微鏡画像中に,二つの分裂片にΛが一つずつ残るツイン・Λハイパー核(TLH核)を発見した.この始状態は,14NにΞ-粒子が原子軌道より深く束縛した原子核(KISO eventと命名)であると確認され,Ξ-粒子と核子間に引力が働くことが初めて明らかになり,日本物理学会の第22回論文賞を昨年受賞した.進行中のE07実験では,100を超えるDH核の発見によりNAGARA eventより重いDH核を系統的に調べることができるとともに,新種のΛΛ5 Hなどの発見によるΛΛ⇔Ξ N結合の情報を得られるのではないかと期待している.
著者
黒川 貴幸 石川 智一 吉田 和明 森田 健太郎
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.527-532, 2016-06-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
10

事例:平成25年8月,航海中に乗員が自殺した。発見時から同僚が心肺蘇生(以下CPR)を長時間行うも,蘇生できなかった。AED記録データを解析し,事案発生約20日後,医師がCPRデブリーフィング(以下DBF)を行った。最小限の講義後,AEDの記録心電図波形を公開し,胸骨圧迫の質につき解説した。後日CPRに関与した同僚に調査し,対象者15名中全員が「DBFを受けてよかった」と回答し,12名がCPRへの前向きな意見を出した。考察:本DBFにより,自分達のCPRを振り返ることで,グリーフケアの一助になった可能性がある。またCPRの必要性や重要性につき理解を得たと考える。一方DBFの効果についての評価手法や実施時期につき,今後検討を要する。結語:自殺事案発生後,CPRに関与した一般隊員に対しCPR-DBFを行った。CPRの必要性やグリーフケアの観点から,CPR-DBFは有用だった可能性がある。