著者
世良 至 殿垣内 正人 川井田 実
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.468, pp.57-66, 1993-06-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9

本論文は25~28年観測された軟弱地盤上の高速道路盛土について長期沈下の実態を示すとともに, 将来沈下予測について, 考察を加えた.厚い海成粘土の一次圧密終期と二次圧密量について検討した. 一次圧密終期に収束がやや遅れるのは, 圧密過程で圧密係数が変化 (減少) するためと考えた. 二次圧密量は僅かで実務上はほとんど無視できるとしている. 将来沈下は長期観測による沈下速度で管理する手法が有効であるとし, 残留沈下を推定する手法の提案とその実用性を述べた.
著者
北川 智也 垣内 正年 新井 イスマイル 猪俣 敦夫 藤川 和利
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

自動車の故障診断端子からController Area Network (CAN)バスにメッセージを送信することで,ブレーキ操作・速度メータの偽装などの不正制御ができることが知られている.一方で故障診断端子に取り付けて,スマートフォンから車両情報を取得できる社外品ドングルが容易に入手可能だが,その危険性については十分な考察がない.数種類の社外品ドングルの仕様や性能を調査したところ,それらの多くがCANバスに任意の偽装メッセージを送信可能であった.また,一部はスマートフォンとの接続を横取りできた.本論文では,実車を用いて25m程度離れた場所から攻撃可能なことを示し,社外品ドングルを取り付けた際の安全上の脅威について検証結果を報告する.
著者
垣内 優芳
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.206-209, 2018-05-01 (Released:2018-09-20)
参考文献数
17

【背景と目的】最長発声持続時間が嚥下障害者の自己排痰の可否とどのような関係にあるのかは不明である.本研究の目的は,自己排痰可能群と不可能群の最長発声持続時間を比較検討することである.【対象と方法】対象は入院中のFood Intake LEVEL Scaleが10未満の患者である.基本情報,自己排痰の可否を調査し,対象者を自己排痰可能群と不可能群に分類した.両群において,最長発声持続時間を測定した.【結果】対象者は自己排痰可能群10名,不可能群10名であった.不可能群の最長発声持続時間は3.3秒であり,可能群の8.8秒に比べ有意に低値であった.【考察】不可能群の最長発声持続時間低値は,嚥下機能の低下に関連し,同時に咳嗽メカニズムの第3相(圧縮)不足による咳嗽機能低下を併発していると考えられた.【結論】不可能群の最長発声持続時間は,可能群に比べ有意に低値であり,嚥下障害患者の自己排痰の可否を判断する見極めに最長発声持続時間が有用である可能性が示唆された.
著者
泉 裕子 平松 直樹 糸瀬 一陽 井上 隆弘 柄川 悟志 西田 勉 垣内 佳美 外山 隆 中西 文彦 井倉 技 田村 信司 辻井 正彦 辻 晋吾 考藤 達哉 竹原 徹郎 笠原 彰紀 佐々木 裕 福田 和人 今井 康陽 林 紀夫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.109-115, 2004-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は58歳女性. 全身倦怠感, 発熱にて近医受診したところ, 総ビリルビン6.4mg/dl, AST 8327U/l, ALT 10879U/l, プロトロンビン時間7.5%と著明な肝機能低下を認めたため, 当院入院となった. 発症3日後の入院時には脳症II°となり, 劇症肝炎急性型と診断し, 直ちに血漿交換などの集中治療を開始したが, 肝炎劇症化から15時間後には脳圧の上昇とともに, 深昏睡となった. 2日後, 生体肝移植術を施行. 術後, 肝機能の増悪はなかったが, 意識レベル低下, 脳圧亢進は改善せず, 感染症を併発して入院8日目に死亡した. 剖検にて, 脳に出血や梗塞による組織変化は認めず, 脳圧亢進は肝性脳症によるものと考えられた. また, 本症例の劇症肝炎の原因はB型肝炎ウイルス (HBV) 感染であった. HBV genotype Bで, precore 領域, corepromoter 領域の遺伝子配列はともに変異型であった. 劇症肝炎発症の極めて早期に, HBs抗原陰性, HBs抗体強陽性となり, その後のIgM HBc抗体価3.2 (cut off index), IgG HBc抗体57.6% (200倍希釈) の結果から, HBV初感染による劇症肝炎と診断しえた. 比較的予後良好とされる急性型劇症肝炎において, HBV初感染による電撃型ともいえる劇症肝炎を経験した. HBV初感染による劇症肝炎例では, 本症例のように急速な転帰をとる症例があり, 肝移植を念頭に入れたより迅速な対応が必要であるものと考えられた.
著者
道垣内 弘人
出版者
有斐閣
雑誌
月刊法学教室 (ISSN:03892220)
巻号頁・発行日
no.270, 2003-03
著者
垣内 理希
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.54-63, 1996

For nearly three decades, the existence of the physical attractiveness stereotype or the stereotype that physically attractive people have a more socially desirable personality almost has been taken for granted in social psychology. However, the existence of this stereotype is not so evident as is often assumed to be. Results of an experiment reported in this paper demonstrate that the effect of perceived "beauty" of a stimulus person (photographed female) on the subject's evaluation of that person's personality is drastically reduced or even reserved when the degree of subjects' liking of that person is controlled. On one personality dimension, even the reverse stereotype that physically attractive people have a malignant personality was found to exist when subject's liking of the stimulus person is controlled. These and related findings suggest that people assume that physically attractive person has a nice personality not because they have an implicit personality theory connecting physical and mental attractiveness but rather because people simply like an attractive person.
著者
西垣内 泰介
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.137-171, 2016 (Released:2016-11-17)
参考文献数
37
被引用文献数
2

この論文では,日本語の「指定文」および「カキ料理構文」と呼ばれている構文について,特定の構造を持つ名詞句を中核として,その構造と派生を示す。本論文の分析では「中核名詞句」は2つの項をとり,外項が主要部名詞の意味範囲を限定(delimit)し,内項がその意味内容を「過不足なく指定する」(exhaustively specify)という関係を持つ。「中核名詞句」の内項が焦点化されることで「指定文」が,その指定部を占める外項が主題化されることで「カキ料理構文」が派生される。焦点化された要素が変項を含む構成素の意味を「過不足なく指定する」という関係が「指定文」の根幹をなすものだが,これは疑問文とその答えの間に求められる関係に由来するものである。「中核名詞句」の内部での項のc統御関係が,対応する「指定文」に「連結性」によって反映され,「自分」の逆行束縛と見える現象などが説明されるる。「XをYに…する」という付帯状況を表す副詞節も「中核名詞句」から派生する分析を提案している。
著者
小島 邦生 唐澤 達史 上月 豊隆 黒岩 英則 柚木崎 創 岩石 智志 石川 達矢 小山 遼 野田 晋太朗 植田 亮平 菅井 文仁 野沢 峻一 垣内 洋平 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.458-467, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

This paper presents the development of high-speed and high-power humanoid robot research platform JAXON. Researchers have studied humanoid robots widely and people expect humanoid robots to help various tasks such as housework, entertainment, and disaster-relief. Therefore it is important to develop humanoid research platform available in various fields. We considered the following as design requirements necessary to utilize humanoids for various uses. 1) Robots have humanlike body proportion to work in infrastructure matched to human body structure. 2) Robots have the same degree of physical performance as humans. 3) Robots have energy sources such as batteries and act without tethers. 4) Robots walk with two legs or four limbs and continue to work without fatal damage in unexpected rollover. JAXON satisfied these requirements. Then we demonstrates the performance of JAXON through the experiment of getting out of a vehicle, stepping over walls, squatting with heavy barbels, walking with four limbs, and operating on batteries. Further more, we assesses the performance of the strong armor and the shock absorbing structure through a backward over-turning accident.
著者
垣内 俊彦 大枝 敏 岩根 紳治 泉 夏美 松尾 宗明 江口 有一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.376-381, 2016-08-19 (Released:2016-09-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1

妊婦健診における肝炎ウイルス検査について受検の認識があるかどうかを明らかにするためアンケート調査をおこなった.2014年6月~7月の間に,1歳6か月児健診児の母親108名を対象とした.妊婦健診時にHBs抗原・HCV抗体検査を受けたことを認識しているのは,それぞれ47%,45%であった.また,検査の意義を理解している者は21%,22%と低値であった.2回以上測定されている経産婦においても認知度・理解度の上昇が得られることがなく,非医療者でその傾向がさらに強まる傾向であった.B型肝炎ワクチンの認知についても同様に非医療者で有意に低かった.最終的に無駄な肝炎検査を避け,肝炎検査を理解するためには,妊婦健診やB型肝炎ワクチンを実施する医療者による分りやすい表現や説明が重要である.
著者
垣内 弘
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
熱硬化性樹脂 (ISSN:03884384)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.149-173, 1994-09-10 (Released:2012-08-20)
参考文献数
30
被引用文献数
3

エポキシ樹脂の歴史、さらに最近の生産量や使用々途について概観し、どの様な樹脂がどの様な用途に適しているかを述べた。つぎに従来からの汎用エポキシ樹脂の欠点である脆さを改良する手法、特に網状硬化物の特徴である耐熱性、低吸水性や曲げ強度を主とした機械的強度などの低下を避けることを目標とした新しいエポキシ樹脂の開発や、従来からの樹脂の改質剤の添加による改質法について述べる。
著者
二瓶 正登 荒井 穂菜美 前田 香 青木 俊太郎 土屋垣内 晶 岩野 卓 冨岡 奈津代 岡村 尚昌 三原 健吾 城月 健太郎 堀内 聡 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.54-63, 2018-10-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3

Fear of Negative Evaluation Scale日本語短縮版(SFNE)はFNEを測定する1因子構造の尺度である。しかし近年の研究においてSFNEが順向項目因子と逆転項目因子の2因子から構成される尺度である可能性が報告された。本研究ではWeb調査を通して参加した一般成人500名と大学生・専門学校生82名を対象に,SFNEの因子構造,信頼性および妥当性を検討した。探索的因子分析の結果,8項目からなる順向項目因子と4項目からなる逆転項目因子の2因子が抽出された。各因子の内的整合性と再検査信頼性は十分に高かった。逆転項目因子と比較して,順向項目因子の方が高い妥当性を有していた。本結果は逆転項目因子に比べ順向項目因子の方がFNEを正確に測定していることを示しており,FNEの測定においてはSFNEの順向項目因子を使用することが推奨される。本結果の意義と本研究の課題について検討した。
著者
山﨑 真克 麻生 由紀 土居 裕美子 迫垣内 裕 頼 祺一
出版者
比治山大学
雑誌
比治山大学紀要 = Bulletin of Hijiyama University (ISSN:2188899X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.274-268, 2017

平成二十八年度四月より、比治山大学研究助成を受け、「不動院と安国寺恵瓊に関する研究」を開始した。本研究は、不動院中興の祖とされる安国寺恵瓊に注目し、「不動院文書」の中にみられる恵瓊関係の書状をはじめとした関連資料、および全国に点在する恵瓊関係資料の調査・収集・解読・整理を行うことにより、十六世紀後半における日本の歴史の中で、特に不動院との関わりに焦点を当てつつ、安国寺恵瓊が果たした役割を明らかにすることを最終目的とする。平成二十九年度は、「安国寺恵瓊関係資料データベースシステム」の構築に向け、恵瓊関係資料の調査・収集・整理を継続的に行った。本稿は、その過程で見出した天正十一年(一五八三)六月廿六日付小早川隆景書状を中心とした報告である。蜂須賀小六宛の当該書状には、賤嵂岳の戦い後における毛利氏と秀吉方との領土問題についての交渉において重要な役割を果たす存在として、安国寺恵瓊の名がみえている。またこの書状は、これまであまり存在が知られていなかった時期の恵瓊の情報を示すものである。
著者
西垣内 泰介
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.121, pp.49-105, 2002-03-25 (Released:2007-10-23)
参考文献数
21

本論文は日本語で「かきまぜ」を受けた名詞句がLFでの再構成reconstructionにより文中のさまざまな位置で解釈を受ける可能性があることを主張する.まず,移動を受けた名詞句はD構造位置だけでなくCPやvPの「端」(edge)で再構成を受けることを示す.この主張の基盤となるのは束縛とスコープに関わる事実である.次に,LFでの再構成は束縛理論の制約を受けることを示す.再構成はさまざまな位置で名詞句を解釈することを許すが,その可能性の範囲は束縛条件AとCによって狭められるのである.さらに,LF再構成は指示の非透明性を引き出す動詞など,スコープに関与する要素と相互関係を持つが,このような関係も束縛条件によって制約される.
著者
垣内 力 関水 和久
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

無脊椎動物を用いた細菌感染モデルは多数の個体数を扱うことが可能であるため、感染プロセスに関わる生体分子を探索する上で優れている。しかしながら、これまで無脊椎動物の感染モデルとして利用されてきた、カイコ、線虫、ショウジョウバエは、ヒトの体温である37度において長時間生存することができず、ヒトの感染症がおきる温度での病原性細菌の感染プロセスを明らかにするためには適当でない。本研究で我々は、熱帯性昆虫であるフタホシコオロギが37度におけるヒト病原体の感染モデルとして利用出来ることを見出した。さらに、本モデルを用いて、ヒト病原体による温度依存性の動物殺傷能に関わる遺伝子を同定した。
著者
伊豫田 旭彦 木村 秀敬 武井 悟 垣内 祥史 杜 暁冬 藤井 宗太郎 益田 義浩 枡野 大輔 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.33-44, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

加速度センサと, のれん状スクリーンを用いた野球におけるピッチングを体感するVRアプリケーションを提案する. 従来の入力デバイスにはない, 直接かつ直感的な入力方式を開発した. 加速度センサを埋め込んだボールを用いることで, 実際のピッチングと同じ動作で変化球を投げることができる. また, 現実空間と仮想空間をシームレスにつなぐスクリーンを開発することで, プレイヤーは, 投げたボールが仮想空間に飛び込むという新感覚を体験できるようになった.