著者
宮川 光治
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.76-83,265, 2007-10-30 (Released:2010-12-16)
参考文献数
13

New legal training system was established at the request of society as a way to greatly improve legal profession both in quality and quantity. Law school is the core of such legal training process and the professional school which provides education specialized in training for the legal profession. By collecting diverse human resources and being exposed to the competition between law schools and the third party evaluation, law school tries to secure the quality of education and to achieve diversity and specialty. Unless national bar examination and apprenticeship training become bottlenecks, this system will, with efforts of faculties and students, fundamentally reform personal structure of Japanese justice system and gradually develop towards educational philosophy. Having been released from training for the legal profession, undergraduate law faculties became able to create a clear future vision. For development of the rule of law, it is necessary that citizens with basic legal knowledge have the increased presence in the society. Undergraduate law faculties should continue to play a role of nurturing such citizens. Liberal arts education will be conducted first, then various specialized professional education will be provided. It is expected that legal training is left with law school. Moreover, a careful examination may be required when considering training of specialists in fields adjoining law (so-called quasi-legal professionals) as an objective of undergraduate law faculties. It is important to take the future of continuing education into consideration when creating a vision of legal education at undergraduate.
著者
宮川 俊夫 白井 靖男 津田 元久 一色 真幸 西村 英之 遠藤 正治 長嶋 正春
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.205-213, 1993-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

This paper is the first one of scientific reports on Tsui-shu (wooden, urushi lacquered and engraved) cameras. These were made and used in the last days of the Tokugawa shogunate. It was considered that three sets of this kind of cameras were in existence. But today, we can see only two. The authors show X-ray computed tomograms of the camera kept in Fukui Municipal Museum of History. Coating layer on the outer surface of the wooden camera body was estimated at 6 mm thickness in maximum. Hg and Fe were detected by means of fluorescent X-ray spectroscopic analysis, as metal element components contained in the layer. It was observed that the painted crust composed of a thin coated reddish pigment-urushi lacquer layer on a heavy coated and reliefed clay-urushi layer, by means of soft X-ray photography and low magnification micrography. Computed tomograms also showed that the optical system of this camera was composed of only two pieces of single lenses and had about 17 cm of focal length. The F-number was estimated at about 7. The first lens was almost a flat plate and the second was in plano-convex type. UV-visible spectrogram showed that the former was made of glass, not quartz. It was considered that the Tsui-shu Camera was made in Japan, not in China, because of following reasons: 1) an imitative “tsui-shu” and Japanese style wooden craft, 2) the optical system, and its cloisonne wared lens cap and the outer cylider were prepared in Owari area of this country.
著者
宮川 経邦
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.224-230, 1980-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
21 27

ガラス室内の条件下で,接木接種によってCitrusおよび近縁植物におけるリクビン(アジア系グリーニング病)の病徴を観察した。 CitrusおよびFortunella属幼実生または接木苗におけるリクビンの典型的な病徴は,成葉における発病初期の不規則な葉脈に沿った黄斑,さらに罹病度の進展にともなう黄化葉,ならびに節間短縮による小葉化,矮化症状の発現であった。これらの病徴は28~32Cの好適条件下においては接木接種後2~3カ月目から現われた。 供試したカンキツ品種のなかで,ポンカンおよびオーランドタンゼロの病徴がとくに顕著で検定植物としての利用価値が高い。ついでスイートオレンジ,ウンシュウミカン,シークワシャーなどであった。サワーオレンジ,グレープフルーツ,セクストンタンゼロなどのCTV-SY反応型品種はリクビンによっても黄化,矮化症状を現わすが, CTV-SYによる病徴がより顕著に現われることから,被検試料にCTV-SYが保毒されるときは検定植物としては不適当である。 カラタチは外見上無病徴か,まれに軽い黄化葉を現わしたが,これらの実生苗にポンカン,スイートナレンジなどの感受性品種を接木すれば顕著なリクビンの病徴を現わした。ミカンキジラミの好適な宿主植物であるゲツキツは接木接種によって外見上感受性を示さなかった。
著者
中居 賢司 平野 三千代 伊藤 忠一 宮川 朋久 加藤 政孝
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.173-179, 1988-04-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

ホルター心電図でST-Tを評価するために, (1) 限られた誘導数と胸部双極誘導に伴う問題, (2) 虚血性と非虚血性―特に体位性ST-T偏位の鑑別, (3) 24時間記録における意義と問題について検討した.ホルター心電図によるST-Tの評価として; (1) ST偏位は用いた誘導により異なり (CM5>CC5, m-II>m-aVF) , CM5誘導は不関電極の影響を受け新たなST偏位を生ずる可能性がある. (2) 体位性ST-T偏位の多くは瞬時に変化し, STトレンドグラムはBox型を呈する. (3) 虚血型ST偏位は60秒以上の経過を有し, STトレンドグラムはcrescendo-decrescendo型を呈する.ST偏位は用いた誘導および体位により異なる可能性があり, その規準化は難しい. (4) 虚血型ST偏位の判定および発生機序の評価には虚血時の心拍数の応答にも留意すべきである.今後, 記録方式を含め機器の改良, 誘導法の標準化が必要と考えられる.
著者
脇本 敏裕 宮川 健
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-1, pp.201-205, 2020

剣道は面を着用していることや稽古および試合中に不規則的な動きをするため,生理学的な測定が難しく実測が行われた研究は少ない.剣道稽古中の呼吸波形や呼吸循環機能についての研究は散見さ れるが,剣道稽古中のエネルギー消費量,呼吸代謝応答の実測を行った研究は少ない.本研究では, 剣道の試合形式の稽古を行った際の呼吸代謝応答を実測し生理応答を明らかにするとともに自転車エ ルゴメーター運動との差異を検討することを目的とした.対象は K大学剣道部に所属する剣道鍛錬者の男性5名,女性5名とした.自転車エルゴメーターを用いた最大酸素摂取量の測定,および試合を想定した剣道稽古中の心拍数,呼吸代謝応答を測定した.剣道稽古中の呼吸代謝応答は面金の下半分 を切り取った面を用い,フェイスマスクを介して背中に背負ったダグラスバッグに呼気ガスを採取して行った.剣道稽古中の呼吸代謝応答を,剣道稽古中と同一心拍数における自転車駆動時の呼吸代謝応答と比較した.酸素摂取量は剣道稽古中:26.1±5.6ml/kg/分,自転車駆動中:22.0±6.4ml/kg/ 分で有意な差が認められた(p<0.05).換気量は剣道稽古中:32.0±10.3L/分,自転車駆動中:26.0± 10.9L/ 分で有意な差が認められた(p<0.05). METs は剣道稽古中:7.5±1.6METs,自転車駆動中:6.3±1.8METs で有意な差が認められた(p<0.05).剣道で打突時に発生を伴わなければ一本にはならない.この剣道特有の呼吸や発声が,同一心拍数での呼吸代謝応答の違いの原因ではないかと考えられる.
著者
宮川 孝 尾松 正元 直原 孝之 新井 直人
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.209-215, 2005
被引用文献数
3

紙を白く見せるために日常的に蛍光物質 (蛍光増白剤=蛍光染料) が使用されているが, 食品衛生法の食品添加物としての認可を受けていない蛍光増白剤は, 合成着色料の一種として規制され, 検査法としては昭和46年5月8日付厚生省課長通知環食第244号「蛍光物質を使用した器具または容器包装の検査法について」が定められ運用されてきた。<br>02年12月に保健所の検査でタイ製の紙製ビーフントレー (意図的に原紙, 塗工層に蛍光増白剤を添加と推定) より蛍光増白剤の溶出が確認され, 食品の回収命令が出たのが発端となり, 03年7月には蛍光増白剤を意図的に使用していない紙製トレー (古紙配合品) でも回収指導を受ける事態が発生した。このままでは古紙配合製品すべて (白板紙のみならずライナー, 段ボールまで) が回収対象となり, 関係業界を巻き込む大問題に発展する恐れが出てきた。一方, 公定法にもかかわらず指定検査機関間で異なる判定結果となることもわかった。<br>今回, この蛍光物質溶出検査法 (環食第244号) の問題点を抽出し, その原因を明らかにし, この結果をもとに, 日本製紙連合会から厚生労働省に検査法の見直しを03年11月9日に申し入れ, 異例とも言える速さで04年1月7日付厚生労働省課長通知 (食安基発第0107001号・食安監発第0107001号) で検査法が見直され, 判定基準も写真で実例が示されることにより, 古紙配合製品も概ね使用できる見通しとなった。ここまでの経緯と海外の規制状況もあわせて紹介する。
著者
宋 玄眞 新 大軌 細川 佳史 宮川 美穂
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.59-64, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1

初期強度を改善したFAセメントの材料設計のため、初期強度増進剤として3種類のアルカノールアミンがFAセメントの初期水和反応に及ぼす影響を検討した。全てのアルカノールアミンを添加したFAセメントで強熱減量及び水和発熱量は増加した。クリンカー鉱物中のC4AFの反応率が大きく増加し、C3S及びFAの反応性に及ぼすアルカノールアミンの影響は小さいことを確認した。また、アルカノールアミンを添加したFAセメントではAFmの生成が促進された。アルカノールアミンを添加したFAセメントは水和初期からセメントの水和反応が促進され、初期強度が増加すると推察された。
著者
橋本 雄太 宮川 真弥
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.237-242, 2018-11-24

歴史文献史料を構造化されたデータとして扱うためには,何らかの機械処理可能なマークアップ言語を用いて翻刻文を記述することが望ましい.加えて人文学研究者やクラウドソーシング参加者が利用するためには,そのような言語は簡潔かつ可読性の高い文法で記述される必要がある.そこで,古文書や古記録,古典籍といった日本語文献史料を記述するための軽量マークアップ言語を開発した.この言語の文法を形式文法のひとつである解析表現文法によって定義し,また縦書き入力やシンタックスハイライトに対応したオンラインエディタを開発した.このような入力負荷の低いマークアップ言語が普及することで,クラウドソーシングによる史料翻刻や,文献史料のデータベース化が効率的に進むことが期待される.
著者
安田 憲二 竹生田 秀夫 宮川 隆 清水 保夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.183-187, 1997-06-15 (Released:2017-05-31)

1995年7月6日(木)午前9時59分ごろ,神奈川県内の秦野市伊勢原市環境衛生組合清掃工場の焼却炉において爆発事故が発生し,3名の職員が死傷した.事故の原因は,灰落としシュートおよび灰押し 出し機内で発生した水素を主成分とする可燃ガスが,シュート点検口から供給された空気と混合して爆発限界内の混合気体になり,クリンカー等の着火源によって発火し,燃焼爆発に至ったものと推定された.
著者
宮川 有希 上村 協子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.279, 2018

【目 的】フィンテック(金融とテクノロジーの接続)による情報化社会の進展で、消費者と生産者(事業者)の関係が変化し、金融リテラシーの有無とその内容が日常生活に及ぼす影響が大きくなっている。本研究はキャッシュフロー表と家計簿アプリを使った生涯を見通した「生活設計教育」の可能性を検討する。<br>【方 法】S女子大消費経済学履修者60名に、初回授業で金融リテラシーに関する質問(3問)と意識調査(7問)の全10問、15回目授業後に初回の10問と追加3問(金融経済情報の頻度、個人収支の把握方法、希望するライフコース)全13問のアンケート調査を実施。授業内でキャッシュフロー表を2回作成。<br>【結 果】①個人収支の把握方法は、家計簿記帳36.4%、家計簿アプリ等を利用しスマホで把握34.5%と家計簿を利用している学生が全体の7割を占めている。②希望するライフコースは、結婚し子どもを持ちいったん退職し子育て後に再び仕事を持つ50%。③生活設計の正解率は、初回50.0%、授業後88.3%と授業後の正解率が上昇。キャッシュフロー表によると、出産後安易に仕事を辞めることによる機会損失は大きいが考えられていない。家計簿アプリは、収支の把握をするだけではなく、収入が近い利用者の家計簿と比較することもできる。生涯を見通したキャッシュフロー表を作成するために、家計簿アプリを利用し家計管理だけではなく生活設計力をつけることの必要性が示唆された。
著者
宮川 有希 上村 協子 米元 みずほ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

【目 的】金融リテラシーマップ4分野(家計管理、生活設計、金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択、外部の知見の適切な活用)にあわせた「金融リテラシー」調査が金融広報中央委員会により2016年18~79歳の2万5千人を対象に実施された。高校生を対象に金融リテラシー調査を行い、高校家庭科における「家計管理と生活設計教育」を検討する。<br> 【方 法】千葉県の私立高等学校の家庭基礎履修者の2年生、668名に全10問の金融リテラシーに関する質問(3問)と意識調査(7問)のアンケート調査を実施した。問1(家計管理)問2(生活設計)問3(外部の知見の適切な活用)の3問は成人向けと比較するため選択肢を同じにした。 <br>【結 果】成人向け金融リテラシー調査の正解率は全国平均、家計管理55.1%、生活設計47.6%、外部知見73.7%。高校生全体の正解率は家計管理66.1%、生活設計36.8%、外部知見56.8%である。家計管理の正解率は、高校生が高く、さらに高校生男女で比較すると、女性が高い。全体にチャレンジクラス(高卒で経済的自立を求められる若者)と進学クラス別では、進学クラスの正解率が高く、特に外部の知見の適切な活用では進学クラスの男子の正解率が高かった。家計簿アプリなどを活用した高校生のニーズにあった家計管理と生活設計教育の必要性が示唆された。
著者
宮川 良博 森 拓也 川原 勲 國安 弘基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A-83_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【背景・目的】 近年、中鎖脂肪酸はその摂取による内臓脂肪の蓄積抑制効果、担癌体での抗腫瘍効果が報告され注目を集めている。中鎖脂肪酸は、カルニチン・シャトル非依存性にミトコンドリア外膜を通過するため、長鎖脂肪酸と比較し急速に代謝される。この特徴から中鎖脂肪酸は豊富なミトコンドリアを有し、ATP産生を行っている心筋に対して強く作用することが考えられる。そこで今回、中鎖脂肪酸の経口摂取が心筋に及ぼす影響を検討した。 【方法】 生後5週齢のBALB/c雄性マウスを用い、標準餌CE-2に中鎖脂肪酸であるラウリン酸を重量比で2%、5%、10%添加した餌を用意しControlを含め4群で比較検討した。安楽死まで1〜2日毎に体重、食餌摂取量を測定、安楽死後に心臓を摘出し重量を測定し、組織学的検討を行なった。組織学的検討では、ヘマトキシリン・エオジン染色により組織の形態、細胞面積の測定を行い、また抗8-OHdG抗体、抗4-HNE抗体により免疫染色を行い酸化ストレスの程度を評価した。測定結果について対応のないt検定により統計解析を行い、有意水準はp<0.05とした。 【結果】 10%群は実験開始より著明な体重減少を認め、5日目にmoribundとなり安楽死した。その他の群については5%群は13日目、2%群、control群は15日目に安楽死した。摂取カロリーに群間差を認めなかったが、体重、心臓重量は5%、10%群でcontrol群と比較し有意に減少した。心臓の組織学的検討では、10%群において心筋細胞の萎縮、酸化ストレスの増大を認めた。 【考察および結論】本実験により、過剰な中鎖脂肪酸の摂取は心筋細胞の萎縮、酸化ストレスの増大を招くことが示唆された。ミトコンドリアへの負荷が増大することにより機能障害が起こり、結果として酸化ストレスの発生が亢進し心筋細胞の萎縮を誘導した可能性が考えられる。今後ミトコンドリア機能について解析を進め、その機序を明らかにする必要がある。 【倫理的配慮,説明と同意】本実験は、奈良県立医科大学動物実験委員会の承認を得た(承認番号:12023)。
著者
菊池 信彦 内田 慶市 岡田 忠克 林 武文 藤田 高夫 二ノ宮 聡 宮川 創
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s17-s20, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
9

関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)は、2020年4月に、「コロナアーカイブ@関西大学」の運用を開始した。コロナアーカイブ@関西大学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下における関西大学関係者の日常の記録や記憶を、ユーザからの投稿によって収集するコミュニティアーカイブプロジェクトである。KU-ORCASでは、コロナアーカイブ@関西大学を、昨今の歴史学の一つの潮流ともなっているパブリックヒストリーの実践として位置づけることで、収集の結果として蓄積されるアーカイブ資料だけでなく、アーカイブするという行為そのものも重視している。本報告では、コロナアーカイブ@関西大学のデジタルアーカイブシステムの構築とともに、資料収集の現状、そしてデジタルパブリックヒストリーとしての実践について、今後の展望を交えて報告する。
著者
渡邊 祐子 藤井 仁美 宮川 高一 福山 次郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.341-346, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

本邦での高浸透圧高血糖症候群(HHS)と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の合併例の報告は少ない.われわれの経験した5症例は,平均年齢43.6歳,随時血糖1,800 mg/dl, HbA1c 13.4%, 血清浸透圧419 mOsm/kgH2O, 補正後血清ナトリウム値164 mEq/lであったが,意識障害の程度は比較的軽く,全例pH 7.00∼7.24の中等度DKAを合併していた.経過中,横紋筋融解症,stress-induced cardiomyopathy, 急性腎不全,腎膿瘍,肺梗塞症,カンジダ症など多彩な合併症を発症し,全例ICU管理を要したが後遺症なく退院した.退院時治療はインスリン1例,経口薬2例であった.発症誘因は,感冒または清涼飲料水多飲であった.2例は統合失調症であり,糖尿病の既往のある3例中2例が放置例であった.HHSとDKAの合併例は,発症年齢が比較的若く生命予後は良好であるが,多岐にわたる重篤な全身合併症が出現し,多くの人的物的医療資源を要する.若年肥満者や清涼飲料水消費の増加に伴い今後増加が予測され,高リスク群への介入および治療中断予防が重要と考える.