著者
小野 眞紀子 大野 奈穂子 長谷川 一弘 田中 茂男 小宮 正道 松本 裕子 藤井 彰 秋元 芳明
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-85, 2008-08-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
34
被引用文献数
4

15種類のカルシウム拮抗薬による歯肉増殖症発生頻度を検討した.歯肉増殖症はamlodipine, diltiazem, manidipine, nicardipine, nifedipineおよびnisoldipine服用者に認められたが, azelnipine, barnidipine, benidipine, efonidipine, felodipine, flunarizine, nilvadipine, nitrendipineおよびverapamil服用者にはみられなった.最も高い発生頻度はnifedipine (7.6%) であり, diltiazem (4.1%) , manidipine (1.8%) , amlodipine (1.1%) , nisoldipine (1.1%) , nicardipine (0.5%) の順であった.Nifedipineによる歯肉増殖症発生頻度は, amlodipine, manidipine, nicardipine, nisoldipineの発生頻度と比較して有意に高かった.
著者
小宮 正弘
出版者
静岡産業大学
雑誌
静岡産業大学情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.117-127, 2007

大西洋の文字どおり絶海の孤島セント=ヘレナは、ナポレオン最後の流刑の地、彼がそこで没した島として知られるが、その流刑に伴った少数随員の一人ラス・カーズの手になる『セント=ヘレナ覚書』は、ナポレオン没後2年目の1823年に8巻本としてヨーロッパで初刊行され、ナポレオン最後の日々の言動記録、第一次資料として、今日にまで版を重ねている。しかしながらわが国では、そのあまりの大著のゆえか、あるいはその読解にナポレオン時代史の細かな知見をおのずからに要求されるゆえか、またあるいはその信頼性への予断にみちた否定的姿勢のゆえからか、内容の全体に則した紹介、評価は皆無に近いままに今日に至っているとうけとめられる。セント=ヘレナ島でナポレオンに近しく接した人物たちの尊重すべき記録は他にも若干は存在し、それら第一次資料相互の検討が本来的に必要とされるのは言を俟たない。しかしそのためにも、ナポレオン身辺のもっとも近い記録者と目されるラス・カーズの『覚書』を、検討不可欠のものとして、筆者は能うべく客観的に受容し、忌憚のない評価を試み、同学の士の参考に供したいと志した。ただしここに本稿で論述するのは、『セント=ヘレナ覚書』の内容実体に迫る本来的目的への、基礎的部分にとどめる。導入につづけて、著者ラス・カーズについて、そして『セント=ヘレナ覚書』の諸版についてを、まず主な布石として配しておきたいと思う。
著者
津川 康雄 小宮 正実
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.92, 2006 (Released:2006-05-18)

1.私大入試と国公立2次試験 大学入試(地理)を取り巻く状況は大変厳しい。それは私立大学や国公立大学(2次試験)の多くが地理歴史科試験科目から地理を除外しており、高校現場も受験指導上、日本史や世界史を受験科目として選択するよう指導していることがその一因と言われている。そして、地理受験生の減少が、これまで地理受験の可能であった大学・学部においても、次々に選択科目から除外されるといった悪循環に陥っている。 たとえば、私立大学(4年制)において地理受験が可能な大学は116大学・378学部である(平成18年度入試)。全国の私立大学総数が670大学、1392学部であり、総数に対しては17.3%、学部総数では27.2%となっている。全体に、私立大学入試における地理受験の状況は厳しいものと言わざるをえない。 国公立大学では北海道、埼玉、筑波、東京、一橋、東京学芸、新潟、福井、愛知教育、名古屋、京都、大阪、和歌山、長崎、札幌市立、高崎経済、首都大学東京、防衛(文部科学省管轄外大学)の18校が2次試験に地理の問題を出題した(平成18年度入試)。地域別特徴として、関東・中部・近畿に偏っており、東北・四国・沖縄地域においては地理で受験可能な大学が1校もない。センター試験において地理A・Bが出題されており、2次試験で地理を出題する必要がないという考えもあろうが、マーク形式では計れない記述式のもつ意味の重要性を鑑みれば、地理のスタッフが多い大学での出題が望まれる。2.大学入試センター試験 大学入試センター試験における地理は地理A・地理Bが設定されている。受験者数は、平成17年度では日本史B(152,072人)、世界史B(93,770人)、地理B(109,805人)であり、日本史に次ぐ受験者数を確保している。それに対して現代社会が平成9年度45,922人であった受験者数が平成17年度に198,746人へと急増している。その理由は地理歴史、公民の2教科が2日に分けて実施されており、歴史と地理を同時選択できないことに起因する。とは言え地理歴史科において高等学校で必修となっている世界史よりも地理の受験者数が多い。センター試験に関しては受験者数の減少を食い止めつつ、私大のセンター試験利用大学への地理選択拡大策等を模索する必要があろう。 このように、受験生にとって地理を選択することは、受験校選択に著しく不利に働くことになる。大学全体からみれば受験生の受験機会を奪うことになり、当該学部の性格にもよるが、ある意味では社会的責任を果たしていないことにもなる。地理受験の機会拡大や地理受験生の増加を促すことが地理学界の発展に直接結びつくとは言い切れないが、日本地理学会が積極的にこの問題に対応することが、高校現場において地理選択を拡大させる原動力になろう。3.地理教育専門委員会の取り組み 地理教育専門委員会では、このような状況に対処するため以下の諸策を実行しつつある。 1 ターゲット大学への要望書の送付 私立大学の中で、受験生への影響力が大きいと思われる有名校や、グローバル化に対応し現代社会の認識が必要となる法学部や経済学部を有する大学に対し、2006年1月に地理入試の実施を求めるための要望書を作成し送付した。すでに関西及び中部の主要私立大学に対しては人文地理学会より要望書が出されていたので、地理教育専門委員会では日本地理教育学会や高校の教員で構成される全国地理教育研究会と連名で関東の主要私立大学に送付した。 2 センター試験実施後の問題・解答の新聞掲載依頼 センター試験実施後、新聞紙上で地歴の問題と解答が掲載される際、地理の問題が一部省略されることがある。そこで、学会として主要新聞社に対し、日本史や世界史と同等の掲載を求める申し入れを2005年から行ってきた。 3 ネットワークの強化 関連地理学会および各種教育機関、地理関連業者間の人的ネットワークの構築を図り、情報交換・情報発信の機会を増やしつつある。とくに、人文地理学会に設けられた地理教育部会とは連携を図りたい。今後は、各都道府県の地理担当教員や研究会を通じて、地理受験の機会増加を各大学に促してもらえるよう学会のサポート体制を整えたい。いずれにしても、大学入試おける地理受験者の増加は地理教育の活性化に結びつくものである。大学入試地理の拡大策を地理教育活性化の突破口の一つと位置づけ、教育現場、関連業者(出版社等)、学会が一体となって取り組む必要が求められよう。これまで、ややもすれば傍観・静観することの多かった学会だが、地理の裾野を拡大するために、あらゆる機会を捉えて活動する必要に迫られている。地理教育専門委員会では、各種アクションプランを実行する中で広く活動を展開していきたい。
著者
岩井 恵理華 山本 泰 飯塚 普子 末光 正昌 久山 佳代 小宮 正道
出版者
公益社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.630-633, 2021-11-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
12

Dipeptidyl peptidase-4 (hereinafter referred to as DPP-4) inhibitors are used in diabetes therapy. They lower blood glucose by inhibiting DPP-4 and promoting insulin secretion. Here, we report a case of oral mucous membrane pemphigoid caused by the oral administration of a DPP-4 inhibitor. A 61-year-old female with gingival erosion and bleeding in the maxilla from the right first premolar to the left first premolar was referred to our department. On the first visit, redness, blisters, erosion, and the Nikolsky phenomenon were observed in the aforementioned region. A biopsy was performed for suspected pemphigoid. A histopathologicaldiagnosis of pemphigoid was obtained using HE staining and the fluorescent antibody method. The patient had diabetes and had been taking a combination drug containing vildagliptin (DPP-4 inhibitor) and metformin hydrochloride for two years and six months. We suspected that the pemphigoid was caused by the DPP-4 inhibitor. A request for a prescription modification was made to the internal medicine department, and the DPP-4 inhibitor was replaced with canagliflozin hydrate. The symptoms (redness, blisters, erosion, and the Nikolsky phenomenon) disappeared one month after suspension of the drug containing the DPP-4 inhibitor. Furthermore, relapse has not occurred in the 2 years since.
著者
小宮 正弘 Masahiro KOMIYA
雑誌
静岡産業大学国際情報学部研究紀要 = Bulletin of Shizuoka Sangyo University
巻号頁・発行日
vol.5, pp.41-52, 2003-02-28

10年にわたるフランス革命期はボナパルトの軍事独裁政権の誕生をもって幕を閉じ、やがて帝政が開始される。本稿はまずその革命に源を発するフランス共和国、ついではナポレオン帝政をめぐるヨーロッパ国際環境の態様から始める。そしてフランス政体の権威化の不可避的必要性を集中的に示すものとして、ナポレオンにより選定された紋章に着目、そのエンブレム(象徴的文様)に古代エジプト王権のしるしを認定することで、ナポレオンの反フランス王政、対ヨーロッパ諸国への抵抗表現を示す。ナポレオンにより採用されたエンブレムは蜜蜂であり、筆者は蜜蜂のエンブレムのフランスにおける系譜を歴史学的にたどる一方、フランス王家代々の紋をなした百合のエンブレムについても考察、それら二つのエンブレムが古代エジプトにおいて対比的に扱われた二つの王権のシンボルであったことを説く。最後に、古代エジプト文明とナポレオンの知見との現実的接点として、彼みずからの18世紀末のエジプト遠征、それに先立ってエジプト王権に関する予備的知識を与えたと思われる諸資料、遠征に随伴した第一級の学術団の現地探査、その主たる成果である大冊大著『エジプト誌』23巻通覧の、諸報告を行い、本稿試論の補助学的操作をはかろうとする。
著者
小宮 正弘 Masahiro KOMIYA
出版者
静岡産業大学国際情報学部
雑誌
静岡産業大学国際情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.5, pp.41-52, 2003

10年にわたるフランス革命期はボナパルトの軍事独裁政権の誕生をもって幕を閉じ、やがて帝政が開始される。本稿はまずその革命に源を発するフランス共和国、ついではナポレオン帝政をめぐるヨーロッパ国際環境の態様から始める。そしてフランス政体の権威化の不可避的必要性を集中的に示すものとして、ナポレオンにより選定された紋章に着目、そのエンブレム(象徴的文様)に古代エジプト王権のしるしを認定することで、ナポレオンの反フランス王政、対ヨーロッパ諸国への抵抗表現を示す。ナポレオンにより採用されたエンブレムは蜜蜂であり、筆者は蜜蜂のエンブレムのフランスにおける系譜を歴史学的にたどる一方、フランス王家代々の紋をなした百合のエンブレムについても考察、それら二つのエンブレムが古代エジプトにおいて対比的に扱われた二つの王権のシンボルであったことを説く。最後に、古代エジプト文明とナポレオンの知見との現実的接点として、彼みずからの18世紀末のエジプト遠征、それに先立ってエジプト王権に関する予備的知識を与えたと思われる諸資料、遠征に随伴した第一級の学術団の現地探査、その主たる成果である大冊大著『エジプト誌』23巻通覧の、諸報告を行い、本稿試論の補助学的操作をはかろうとする。
著者
森本 悟 髙尾 昌樹 櫻井 圭太 砂川 昌子 小宮 正 新井 冨生 金丸 和富 村山 繁雄
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.573-579, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は62歳の女性である.頭痛で発症し,3ヵ月にわたって進行する認知機能障害,発熱および炎症反応の持続を呈した.頭部MRI画像で皮質および白質に多発性病変をみとめ,造影後T1強調画像にて脳溝や脳室上衣に沿った造影効果をみとめた.認知機能障害およびMRI所見が急速に進行したため脳生検を施行.クモ膜下腔に多数の好中球浸潤および多核巨細胞よりなるリウマチ性髄膜炎類似の病理像をみとめるも,関節リウマチの症状はなかった.各種培養はすべて陰性で,抗菌薬,抗結核薬および抗真菌薬治療に反応なく,経口ステロイド療法が奏功した.2年後の現在も寛解を維持している.
著者
前田 剛 春山 秀遠 山下 正義 大野 奈穂子 石崎 菜穂 長谷川 一弘 田中 茂男 渋谷 諄 小宮 正道 牧山 康秀 秋元 芳明 平山 晃康 片山 容一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.517-522, 2006-07-20
被引用文献数
4

スポーツによる顎顔面骨骨折は,交通事故,転落・転倒に次いで3番目に多く,10〜20歳代の男性が大多数を占めた.種目では野球/ソフトボールが最も多く,次いで空手,サッカー,ラグビー,ボクシングの順であった.受傷原因は,格闘技においては全例が打撃を含めた対人衝突であったが,球技においても大多数が対人衝突による受傷であった.骨折の好発部位は下顎骨体部であり,多発骨折例では下顎骨体部と対側の角部との骨折が最も多く認められた.スポーツによる頭蓋顎顔面骨骨折の特徴を十分理解したうえで,マウスガードやフェイスガード付ヘルメットなど各種スポーツの特性にあった予防対策の検討を行うことが必要であると考えられた.
著者
小宮 正安
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、数あるヨーロッパの都市の中でなぜウィーンのみに「音楽都市」というイメージが具わり現代に至っているのかというテーマについて、観光事業を切り口として文化史的にアプローチした。とりわけ研究の最終年度にあたる今年度は、包括として次の4点を明らかにした。・ ハプスブルク帝国は、統一ドイツの覇権を巡ってプロイセンと熾烈な競争を展開し、その際「ドイツ芸術の護り手」として自らの優位を広く知らしめるため、ドイツ美学の中でもとりわけ重んじられていた音楽に着目し、首都ウィーンを「音楽都市」としてアピールした。・ この流れがオーストリア共和国にも受け継がれた。共和国は、国のアイデンティティを確保し、観光立国として繁栄させるために、「音楽都市ウィーン」のイメージを広め、数多くの観光客を誘致することを必須の課題とした。・ 特に第二次世界大戦以降、共和国が自治権を取り戻し、中立国として再出発するに及び、「音楽」による平和的文化交流の場として「音楽都市ウィーン」のイメージがクローズアップされるようになった。さらに1960年代以降における観光産業の隆盛により、「音楽都市ウィーン」のイメージはさらに強固なものとなった。・ ただしマス・トゥーリズムヘの迎合一辺倒ではなく、利便性に富んだ資料館や図書館を作ったり、音楽をテーマにした企画展を開催したりと、専門家や音楽愛好家のニーズにも応える幅広い政策が、官民の協力によっておこなわれている。これは我が国の文化事業にとっても、重要な示唆となる状況に他ならない。
著者
山中 由里子 池上 俊一 大沼 由布 杉田 英明 見市 雅俊 守川 知子 橋本 隆夫 金沢 百枝 亀谷 学 黒川 正剛 小宮 正安 菅瀬 晶子 鈴木 英明 武田 雅哉 二宮 文子 林 則仁 松田 隆美 宮下 遼 小倉 智史 小林 一枝 辻 明日香 家島 彦一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世ヨーロッパでは、辺境・異界・太古の怪異な事物、生き物、あるいは現象はラテン語でミラビリアと呼ばれた。一方、中世イスラーム世界においては、未知の世界の摩訶不思議は、アラビア語・ペルシア語でアジャーイブと呼ばれ、旅行記や博物誌などに記録された。いずれも「驚異、驚異的なもの」を意味するミラビリアとアジャーイブは、似た語源を持つだけでなく、内容にも類似する点が多い。本研究では、古代世界から継承された自然科学・地理学・博物学の知識、ユーラシアに広く流布した物語群、一神教的世界観といった、双方が共有する基盤を明らかにし、複雑に絡み合うヨーロッパと中東の精神史を相対的かつ大局的に捉えた。
著者
小宮 正安
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

19世紀半ば、オーストリア(またそれを中心としたハプスブルク帝国文化圏)においては「音楽国家オーストリア」というキャンペーンが盛んになり、その象徴的存在として注目を浴びたのがモーツァルトであった。またこの頃から、オーストリアの重要な政策の一つとして観光がクローズアップされ始め、モーツァルトはオーストリアの観光における中心となって現在に至っている。本研究では、このような「モーツァルト・ツーリズム」とでも呼ぶべきオーストリアの観光政策の歴史を文化史の側面から検証しつつ、そこから演繹されるモーツァルト・イメージ、オーストリア・イメージの形成、ならびに我が国のツーリズムへの応用の可能性を探った。