著者
小川 時洋 廣田 昭久 松田 いづみ
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.167-171, 2008-03-31 (Released:2016-12-01)

Twenty-four male participants studied five consonant alphabets. They then performed an Implicit Association Test (IAT; Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) that combined a recognition judgment (old vs. new) and a valence judgment (pleasant vs. unpleasant). Faster and more accurate responses were observed when old judgments and pleasant judgments share a same response key than when old judgments and unpleasant judgments share a same response key. These results indicated that the studied items were associated with a positive evaluation. The results were discussed in terms of related phenomena, such as a mere acceptance effect. Some theoretical implications about the relationship between memory and affect were also discussed.
著者
市井 誠 小川 秀人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_70-3_76, 2015

リファクタリングにおける振舞い保持を検証するため,プログラム等価性検証手法を提案する.提案手法は,プログラム構造の差分を抽象構文木に基づくモデルを用いて検出する.差分検出にあたり,リファクタリングにより意図された構造の変更を差分から除外するため,リファクタリングパターンに従ったモデル変換を実施する.また,提案手法をC/C++言語を対象とした検証ツールPOM/EQとして実装した.さらに,実装したツールの適用実験を行い,ある組込み製品にて実施されたリファクタリングのうち,56%を正しく判定できた.
著者
小川 暢祐 本島 佑香 村上 美音
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

[目的] 大学期の青年は、少なくとも食の面ではほぼ自立段階に達するが、生活リズムの乱れや偏食等、好ましくない生活習慣が固定化してしまうのを、大学教育等の介入を通じ是正させることは可能だろうか。本発表はそのような問題意識に立ち、前提となる、現代の大学生の嗜好・喫食パターンを、いわゆる学食の販売データから推定し、栄養摂取状況改善に寄与できる新規メニューを企画することを目的とした。<br>[方法] 大学学生食堂の販売月次データに基づき、各メニューに対する選好傾向を把握してソーティングしたうえで、使用食材や価格、あるいは期間限定フェアといった要因ごとに選好理由を推定した。その際、たとえば「鶏の照焼」と「ローストチキン」といった、いわば同工異曲的なメニューの併存にも注意を払い、選択式/記述式アンケートにより選好理由を絞り込み、要因の特性をある程度明確化した。次いで、得られた要因から、栄養機能のより高い食材・調理法を用いるメニューへの展開可能性を検討した。<br>[結果] 友人同士で談笑しながら昼食を摂る、というかつての喫食パターンにもまして、携帯電話の画面操作をしながら喫食する等の事例が増加していることに伴い、ある特徴をもつ品目の被選好傾向が高いこと等が明らかとなった。それをふまえ、学生食堂の既存メニューにはない、栄養機能の高い、かつ選好されることが期待される新商品のコンセプトを策定した。
著者
小川 徳重 石津 憲一郎 下田 芳幸
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
no.9, pp.97-111, 2014-12

本研究では通信制に通う生徒を支えていくための外部連携の在り方について焦点を当てる。具体的には,通信制高校の教職員を対象に,他機関との連携について自由記述のアンケートを行った。また,通信制高校にとって連携が重要であると考えられる機関の担当者にインタビュー調査を行うことで,生徒やその家族をどのように支えることができるのかを明らかにすることを試みることとする。通信制高校で学ぶ生徒の中には,様々な経歴や事情を持ちながら,高校で学習し,将来の可能性を広げるべく努力しようとしているものも多い。彼らにとって,通信制高校は教育の機会が保障された最後の学校とも言える。そこでの学習が円滑に行われるためにも,通信制高校の教育相談は外部機関との連携も含めて効果的に機能しなくてはならない。このような通信制高校の教育相談の体制づくりを推進していく上で,どのような点を留意しなくてはならないかを検討することを,本研究では目的とする。
著者
小川 宏和
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.218, pp.167-182, 2019-12-27

本稿では、『延喜式』にみえる赤幡が古代社会において果たした役割を検討することにより、赤色に対する色彩認識が人々の行動に与えた影響を明らかにすることを目的とした。古代社会において赤色は、装着した人・物の内部にある汚穢等を鎮めると同時に外部の障害から保護する性質=清浄性と結びついた色と認識され、この清浄性を前提に道路において人・物の進行や移動を汚穢から守りつつ実現させる機能も民俗社会で広く認められていた。そして、この赤色の性質は様々な局面で権力とも結び付き、赤色を支配し利用することが天皇家を中心とした公の力を表示することを意味した。そのため、赤幡は天皇の行幸時のほか、最高の清浄性が求められる供御物を運搬する際に道路において掲示され、他の進上物と区別する意味をもち、御膳食材やそれを食べる天皇らの身体の清浄性を維持する機能を果たしたと考えられる。さらに、八世紀半ば以来供御物の標識とされてきた赤幡は、贄を生産する集団、贄人に頒布されることになる。赤幡は元慶七年官符にみえる員外贄人が得た「腰文幡」や家牒と同様、贄人の生産活動のなかで交通許可証として機能するとともに贄人集団を組織化して特権身分を表示した。また、延喜天暦年間までに内廷官司が旧来の腰文幡ではなく赤幡を贄人の標識として放つように変化したことを指摘し、その背景には、元慶七年官符からうかがえる「潔齋」を基準とした贄人の差異化が困難な状況が存在したと推定した。供御を口実にした弱民圧迫行為が贄人自身の「潔齋」を破綻させ、その行為は最も「潔清」が求められた天皇の食事にも「汚黷」を及ぼすという論理が存在したのである。赤幡班給は他の家政機関が発給する標識との差異化を意図したもので、清浄性をもつ赤色が贄や贄人、御膳に要求された清浄性をめぐる危機的環境のなかで必要とされ、贄人の身体の「潔齋」を守り、特権身分を保証する意味をもったと考えられる。
著者
小川光三撮影
出版者
妙法院門跡
巻号頁・発行日
1991
著者
山本 兼右 山崎 秀男 高倉 玲奈 小川 利政 桑野 忠雄 三浦 一利 山口 健人 久保 文裕 蓮尾 智之 房永 佳那 稲葉 有美江 田中 幸子
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.365-375, 2015 (Released:2015-06-15)
参考文献数
24

本研究の目的は, 対策型検診撮影法(基準撮影法I)と任意型検診撮影法(基準撮影法II)の実効線量を明らかにすることである。対象は, 大阪がん循環器病予防センターで胃がん検診を受診した40,456名から男女別, 撮影法別で無作為に抽出した240名である。方法は, 240名の1検査の面積線量(DAP)と入射表面線量(ESD)を分析し, モンテカルロシミュレーションソフトPCXMC dose calculations Ver.2.0.1.3を用いて実効線量を算出した。1検査の実効線量と入射表面線量は, 基準撮影法Iで4.41mSv, 33.97mGy, 基準撮影法IIで5.15mSv, 46.92mGyであった。受診者の男女別および撮影技師の経験年数による差の分析では, 両撮影法IとIIともに, 男性と5年未満の技師の実効線量が多い結果となった(P<0.05)。また, 受診者のBMIと実効線量の関係は, 両撮影法IとIIともに, 正の相関関係があることを確認した(I:r=0.500, P<0.05), II:r=0.584, P<0.05)。本研究は基準撮影法IとIIの実効線量を日本で初めて明らかにした研究である。
著者
小川 里美 岩田 幸蔵 久野 臨 小島 伊織 堀部 良宗
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.605-611, 2016-05-25 (Released:2017-01-10)
参考文献数
10

神経内分泌型非浸潤性乳管癌(neuroendocrine ductal carcinoma in situ; NE-DCIS)の細胞学的所見について検討した。病理組織学的にNE-DCISと診断され,穿刺吸引細胞診を実施した5例を対象とした。年齢は50歳代から80歳代で平均年齢70.6歳であった。NE-DCISの細胞学的特徴は,出血性から清の背景に粘液様物質や裸血管を認めた。細胞採取量が多く,結合性の低下した集塊ないし孤立散在性に出現し,筋上皮の付随はみられなかった。細胞形態は多辺形から類円形で,細胞質はライトグリーンに淡染性で顆粒状を呈していた。核は円形から類円形で偏在傾向を示し,クロマチンは微細顆粒状から細顆粒状に軽度増量し,小型の核小体が1から数個みられた。肉眼的に,腫瘍の大きさは4例が10 mm以下で,1例が最大径25 mmであった。病理組織学的に,腫瘍細胞は拡張した乳管内に充実性および索状に増殖していた。間質には毛細血管が豊富にみられ,粘液貯留も観察された。免疫組織学的検索では,シナプトフィジン,クロモグラニンAは4例陽性,CD56は3例陽性であった。Ki67は,検索した4例について0%から19.1%(平均8.5%)であった。本症例と鑑別を要する腫瘍は,乳管内乳頭腫であった。NE-DCISは,結合性が低下し散在性細胞の出現,筋上皮細胞を認めない,さらに核の偏在傾向や顆粒状の細胞質を有することが最も重要な鑑別点に挙げられた。
著者
大重 育美 衛藤 泰秀 小川 紀子 苑田 裕樹 山本 孝治 西村 和美 姫野 稔子 高橋 清美 田村 やよひ
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing = 日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-30, 2020-03-31

われわれは平成28年度の学長指定研究開始後より、福祉避難所としての仕組みを整えるための活動を行ってきた。平成29 年度には、熊本地震の際に福祉避難所としての運営を行った施設責任者を対象に聞き取り調査を行い、公共施設での福祉避難所の課題を明らかにした。今年度は、日本赤十字九州国際看護大学(以下、本学とする)が福祉避難所として機能するためにどの場所が適切なのか、実際に収容できるのかの実証的な調査が必要であった。そこで、本研究は災害を想定した福祉避難所としての運営に向けた課題を環境の変化と人体への影響という視点から明らかにすることを目的とした。方法は、福祉避難所として想定している本学敷地内のオーヴァルホール、体育館、実習室の外気温、室内温、湿度の経時的な変化を計測し、20歳代から70歳代までの各年代の参加者の自覚的疲労度を主観的評価と体温、血圧、脈拍を経時的に測定した。その結果、室内温は、時間の推移に伴い徐々に下降傾向で、オーヴァルホールと実習室は温度の推移がほぼ同じで2時以降やや下降気味であった。外気温は、オーヴァルホールと体育館は同じ推移であったが、実習室の外気温は棟内であり、気温の低下の影響は少なかった。主観的な評価項目では、「ねむけ感」が時間の推移に伴い高まり、「ぼやけ感」は22時をピークに下降気味となった。したがって、室内温、外気温の変化がほぼ同じだったことから、収容場所は要配慮者の状況によっては、オーヴァルホール、体育館、実習室の利用が可能であることが示唆された。課題は、睡眠環境の整備として寝具の工夫が必要であることが明らかとなった。報告 = report
著者
小川 竣 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.87, no.893, pp.20-00382, 2021 (Released:2021-01-25)
参考文献数
18

In this study, we propose a topology optimization method for dynamic problems to control the deformation of the structure. To derive a structure that minimizes the deformation due to transient loads for an isotropic linear elastic model, the strain energy and the squared norm of dynamic compliance are set as objective functions. The topology optimization method applies a density method based on the RAMP method. In the case of the density method, since a optimal structure is obtained by an optimization algorithm based on the gradient method, it is necessary to formulate design sensitivity equations that can appropriately take into account the target optimization problem. A generalized sensitivity analysis method is proposed by introducing the adjoint method and applying Newmark’s β method, which considers the displacement as an unknown quantity , and considering the equations of motion. Furthermore, the accuracy of the sensitivity is verified by using the finite difference method as a benchmark, and it is shown that the proposed design sensitivity has high accuracy. Finally, as a numerical example, we derive optimal structures for several optimization problems and discuss the optimization problem settings to obtain a structure that can control vibrations. The validity of the proposed method is demonstrated by deriving the optimal structure to control the vibration.
著者
小川 竣 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210004, 2021-03-18 (Released:2021-03-18)
参考文献数
22

本研究は、過渡的に変化する外荷重に対して構造物の最大応力を低減するためのトポロジー最適化手法を提案する。任意の波形を持つ外荷重を取り扱うため,運動方程式の解法は、ニューマークのベータ法による逐次積分法を採用する。さらに、解析で対象としている全時刻で生じる最大ミーゼス応力を最小化するための新しい目的関数を定義する。随伴変数法と高い精度で感度が得られる Discretize then differential approach の考え方を適用した過渡応答問題の解析感度を定式化する。定式化した感度は,有限差分法をベンチマークとした精度検証を行うことによって理論の妥当性を示す。最後に、複数の最適化計算を示すことで、提案手法の有効性を確認する。
著者
小川 竣 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210005, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
22

本研究では、過渡的に変化する温度分布を制御する最適構造の創成を目的に非定常熱伝導問題のトポロジー最適化手法を提案する。非定常熱伝導問題における温度分布の履歴依存性を感度解析において考慮するため、最も汎用性が高く、解析条件によらず高い精度で感度を計算できるDiscretize then differential approachを応用し,感度の詳細な定式化を行う。さらに、物体領域の熱伝導性を担保しながら、任意の温度分布に制御できる構造を導出するため、熱コンプライアンスと目標温度との2乗誤差による重み付け総和関数による目的関数を新たに定義する。定式化した感度は、有限差分法をベンチマークとした精度検証を行うことによって理論の妥当性を示す。最後に、複数の最適化計算例を示すことで、提案手法の妥当性を示す。
著者
小川 竣 音羽 貴史 山田 崇恭
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.20200022, 2020-12-23 (Released:2020-12-23)
参考文献数
15

本研究は、熱交換量性能最大化を目的としたレベルセットトポロジー最適化手法を提案するものである。トポロジー最適化は、最適化の過程で境界の移動だけでなく、新たな境界を発生させることが可能である。また、熱交換は物体の境界に行われるため、その境界の位置と形状が物体の温度分布に大きな影響を与える。そこで、本研究では、物体の形状依存の境界条件として熱伝達境界を考慮した感度解析手法を提案する。特に、トポロジー導関数と形状感度が異なる式で定義されることを前提に、2つの感度式を組み合わせた新たな設計感度式を示す。加えて、最適化計算中に自動で熱伝達境界面の位置を判定する数値解析手法を導入する。最後に具体的な数値計算を行い、提案した手法の妥当性を示す。
著者
小川 夕輝 曲 寧 北岡 三幸 内藤 宗和 寺山 隼人 伊藤 正裕 松野 義晴 森 千里
出版者
日本生殖免疫学会
雑誌
Reproductive Immunology and Biology (ISSN:1881607X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-55, 2009 (Released:2009-11-20)
参考文献数
30

精細管内のhaploid germ cellsは、様々な自己抗原を含むことがわかっているが、Sertoli細胞間の結合で構成される血液−精巣関門 (blood-testis barrier=BTB) によって免疫系 (精巣間質マクロファージを含む) からある程度守られているとされている。しかしながら、直精細管および精巣網には、投与された抗体やhorseradish peroxidase (HRP) が管内へ若干入り込むため、その部位のBTBは生理学的に脆弱なことが明らかとなってきている。精巣毒性物質として知られているカドミウム (CdCl2) は、主に精巣毛細血管障害を引き起こし、BTBの破壊や精上皮壊死を伴うことが報告されているが、本研究では、精子形成障害を惹起しない程度のCdCl2微量投与 (1mg/kgおよび3mg/kg) による精巣の免疫学的組織環境変化 (CdCl2投与12および72時間後の外来性HRPと内在性IgGの精巣内分布の変化) を、8週齢雄A/Jマウスを用いて組織化学的に検討した。その結果、CdCl2投与によって、HRP (屠殺30分前に投与) は直精細管・精巣網周囲の間質に強い集積を認めたが、間質の定住マクロファージによるHRP取り込みは精巣全域で逆に弱くなった。また、基底膜を超えて管内 (精細管→直精細管→精巣網) の上皮細胞に取り込まれたり上皮細胞間に侵入するHRP像を一部に認めたが、特に直精細管・精巣網に選択的に起こるものでなかった。一方、内在性のIgGは、HRPのような局在性分布や定住マクロファージによる取り込みを、対照群、CdCl2投与群ともに認めず、精細管→直精細管→精巣網への侵入像も精細管の一部に観察するのみであった。よって、精子形成障害を引き起こさない程度の微量CdCl2投与によっても、精巣間質における微小循環やマクロファージの機能に障害が起こることが示唆された。また、明らかなBTBの破綻とは異なる精細管→直精細管→精巣網の基底膜の一部に破壊が起こることが示唆された。しかし、その破壊は生理学的にBTBが脆弱とされる直精細管・精巣網に強く起こるということはないことがわかった。
著者
星野 陽子 住谷 昌彦 日下部 良臣 佐藤 可奈子 冨岡 俊也 小川 真 関山 裕詩 山田 芳嗣
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.98-102, 2012-06-25
参考文献数
11

エピドラスコピーは腰部脊柱管狭窄症などによる痛みに対して,硬膜外腔の癒着剥離および神経根周囲の洗浄を目的として行われる治療手技である.このようなエピドラスコピーの利用法とは異なり,腰部脊柱管硬膜外腔内嚢胞性病変による腰下肢痛に対して,エピドラスコピーを造影のために使用し,Tuohy針による穿刺によって嚢胞性病変の縮小と痛みの緩和に成功した1症例を経験したので報告する.症例は52歳の女性である.半年前から左臀部痛および左下肢痛を発症し,腰椎MRI所見から第4腰椎硬膜外腔内の嚢胞性病変による第5腰髄神経根の圧迫が痛みの原因と診断した.嚢胞性病変の成因としては第4/5腰椎椎間関節滑液嚢胞が示唆された.まず行われた低侵襲治療である椎間関節ブロック,腰部硬膜外ブロック,薬物療法では痛みは軽減しなかった.そこで,エピドラスコピーを用いて直視的に嚢胞を穿破しようと試みた.しかし,エピドラスコピー本体での穿破は硬度が足りず成功しなかったため,硬膜外腔の局所的な造影で不染部から嚢胞の位置を同定し,第4/5腰椎椎間板間隙からTuohy針を穿刺し嚢胞内容の減量に成功した.穿刺直後から痛みは軽減し,その後の腰椎MRIでは嚢胞性病変が縮小した.
著者
川端 輝江 古 息珠 柴田 茂男 長谷川 恭子 澤井 廣量 李 寧遠 劉 麗雲 村上 秀親 小川 久恵 矢ヶ崎 信子 松田 康子 岩間 範子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.109-117, 1993

循環器疾患死亡率に各々特徴を持つ日本の2地区 (山梨県および沖縄県) と沖縄県に隣接している中華民国 (台湾) における計3地区に在住する中高年齢者を対象とし, 健康診断を行った。そこで, 我々はこれらの地区において, 循環器疾患の指標となりうる肥満度, 血圧, 血清脂質の諸検査結果を主成分分析法により検討した。<BR>主成分分析の結果, 得られた2次元図の各象限の特徴を表現すると, 1.高血圧型, 2.肥満, 血清中性脂肪高値, HDL-コレステロール低値型, 3.低血圧, 血清HDL-コレステロール低値型, 4.やせ, 血清中性脂肪低値, HDL-コレステロール高値型となった。<BR>男性では, 山梨県対象者は血清中性脂肪高値および肥満の者が約2割いた。沖縄県対象者では全体の3割強が高血圧型であった。台湾対象者では軽度の肥満および中性脂肪高値型と低血圧および血清HDL-コレステロール低値型が, あわせて約3割以上であった。<BR>女性では, 山梨県対象者に対して, 沖縄県対象者では血清総コレステロール, HDL-コレステロールの平均値が従来の成績同様高かったが, その他の項目においては, 極端に正常値からはずれた検査値を持つ者は少なく, 特徴的な分布はみられなかった。台湾対象者では, 肥満, 血清中性脂肪高値およびHDL-コレステロール低値型に属する人は約4割であり, 循環器疾患のリスクが高い集団と推察される。