著者
亀田 秀人 小川 祥江 鈴木 勝也 長澤 逸人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2506-2511, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9

シクロスポリン(CsA)とタクロリムス(Tac)は,カルシニューリンの脱リン酸化酵素活性阻害を介したT細胞の活性化制御を主作用とする薬剤である.CsAはシクロフィリン,TacはFKBP12と結合して作用を発揮するという相違もあって,2つの薬剤の副作用や疾患に対する効果に差異が見られる.難治性病態に対しては,従来の核酸代謝拮抗薬との併用療法の有用性が期待されている.
著者
小川 秀幸 西尾 尚倫 音部 雄平 木村 鷹介 大路 駿介 山田 実
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.657-667, 2020-07-17 (Released:2020-08-28)
参考文献数
38

目的:回復期脳卒中患者におけるリハビリテーション治療満足度と関連する要因を検討すること.方法:研究デザインは横断研究とした.対象は回復期病棟にてリハビリテーション治療を実施した初回発症の脳卒中患者41名(50.5 ± 9.3歳,男性73.2%)とした.統計解析は,リハビリテーション治療満足度(CSSNS)を従属変数とし,満足度との関連が報告されている身体機能変化(SIAS-M gain),ADL改善度(M-FIM effectiveness),精神面(JSS-D),楽観性(LOT-R),サービス品質(SERVPERF)を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を用いて検討した.結果:リハビリテーション治療満足度は55.5 ± 8.3点であった.重回帰分析にてリハビリテーション治療満足度に関連する要因として,M-FIM effectiveness(標準化偏回帰係数β=0.48,p<0.01)とSERVPERF(標準化偏回帰係数β=0.48,p<0.01)が抽出された.結論:回復期脳卒中患者において,ADL能力を改善させることと,リハビリテーション治療のサービス品質向上に取り組むことが満足度を高める可能性が示唆された.
著者
中野 真衣 小川 慶一 古賀 秀徳
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2-2, pp.107-111, 2007-10-15 (Released:2012-12-28)
参考文献数
14

Potatoes, eggplants, and tomatoes, the members of the Solanaceae plant family include glycoalkaloid. Glycoalkaloid is in the family of alkaloids that has a bitter taste. The process of making potato chips decreases the amount of glycoalkaloid by about 90%. Also, glycoalkaloid makes potatoes bitter, so the amount of glycoalkaloid affects the taste of potato chips. In this study, we examine by sensory test the relationship between the amount of glycoalkaloid and the taste of potato chips. We found that the amount of glycoalkaloid affects the bitter taste, but does not affect the density.
著者
小川 正
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.62-71, 2019-09-05 (Released:2019-10-31)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本稿では,視覚探索を行うときに機能する注意の神経機構とその情報処理について述べる.現実世界の視覚環境は複雑であるため,外界を理解するためには眼球運動によって視線をスキャンさせ,詳細を知りたい物体に視線を向ける視覚探索が必要となる.注意には,外界から入力された感覚情報などにもとづいて起動される「外因性のボトムアップ型注意」と,知識・意図などの脳内情報にもとづいて起動される「内因性のトップダウン型注意」があり,これらの注意機能は生体にとって重要と思われる視覚情報を選択することによって合目的な視覚探索行動を可能にしている.大脳皮質において眼球運動系の上位中枢であるLIP野(the lateral intrparietal area)やFEF野(the frontal eye field)はトップダウン型注意の上位中枢であり,注意と眼球運動の神経機構は密接にかかわっている.視覚探索では時間経過とともに必要な神経情報処理が「注意による目標選択」から「目標に向かうサッカード眼球運動の生起」へと変化すると考えられるが,実際に視覚野であるV4野(visual area V4)において前者を反映したニューロン活動から後者を反映したニューロン活動へと神経情報がダイナミックに変化していることを示す研究知見を紹介する.さらに,ニューロン活動においてそのような時間ダイナミクスを生み出すと考えられる視覚運動野(LIP野,FEF野など)から視覚野(V4野など)への神経フィードバック経路について考察する.
著者
小関 俊祐 伊藤 大輔 杉山 智風 小川 祐子 木下 奈緒子 小野 はるか 栁井 優子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.61-72, 2022-01-31 (Released:2022-04-01)
参考文献数
11

本研究の目的は、栁井他(2018)のコンピテンス評価尺度を用いて、臨床心理士養成大学院の大学院生の自己評価と教員による他者評価を行うことでCBTコンピテンスの実態把握と、2時点調査による教育に伴うコンピテンスの変化について基礎的な知見を得ることであった。臨床心理士養成大学院の臨床心理学コースに在籍中の修士課程2年の大学院生、および同大学院においてCBTに関連する講義・実習などを担当している大学専任教員を対象に、X年7月とX年10月の2回にわたって縦断調査を実施した。1回目の調査では教員29名と大学院生87名、また2回目の調査では教員27名と大学院生67名が分析対象となった。本研究の結果から、日本の大学院生におけるCBTコンピテンスの実態に関する基礎的データが得られた。そして、日本のCBTの質保証に向けた今後の取り組みとその課題について論じられた。
著者
小川 晃弘 岡野 光博 土井 彰 前田 幸英 西崎 和則 久保田 聡 古川 仭
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.23-27, 2003-04-01 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Changes in the sense of smell may be quantitative and qualitative, or possibly even a combination. Quantitative changes may manifest themselves partly as hyperosmia and partly as hyposmia, although hyposmia is much more common. Qualitative changes are segignated a parosmia. Disosmia is a condition in which stimulation of the sense of smell does not result in an adequate olfactory impression, but rather in a distorted sensation, usually unpleasant. The precise mechanism and etiology of parosmia remain to be classified.Recent molecular biological advances enable us to a more accurately assess the prognosis for parosmia or suggest more successful treatment. We present an overview of modern classification or definition of parosmia and related clinical issues requiring greater discussion. We collected 94 parosmic patients from 9 dysosmia clinics and discussed them in this reports.Women over 40 years old are most susceptible to parosmia. Upper respiratory viral disease including common cold, head trauma and also zinc deficiency, are conditions that put patients at high risk for parosmia. About 6% of all patients seen at dysosmia clinics have parosmia. We classified parosmia patients by sites, etiology, and severity.Sites are usually the site of responsible for hyposmia or anosmia. Parosmia patients were divided into organic and functional. The organic type was divided into peripheral, central and mixed peripheral and central. The functional type includes the psychological disorder such as illusions of smell, olfactory hallucination, and the uncinates fits. Etiology was classified as sinonasal disease, upper respiratory disease, head injury, other or miscellaneous. Other categories includes zinc-deficient and drug-inducced. We classified severity as slight, moderate, or severe. Twelve factors, including gender, age, and duration, affect the prognosis of parosmia. We summed up the score for these factors and judged severity. For sever parosmic patients, medical treatment such as medication, local treatment, or surgery must be considered. Major tranquiraizer and surgery should be selected for patients with severe or intractable parosmia.
著者
小川 圭一
出版者
一般社団法人 交通科学研究会
雑誌
交通科学 (ISSN:02881985)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.33-38, 2020 (Released:2020-04-15)
参考文献数
3

「飛び出し坊や」とは,子供の飛び出しに対する注意喚起をドライバーに促すために設置された,子供などの絵が描かれた看板である.滋賀県内では多数の飛び出し坊やが設置されている.これらは地域住民が中心となって地域内の危険な箇所に設置をしているものであるため,地域住民がどのような箇所を危険と感じているかを把握することができると考えられる.本報告では,滋賀県草津市の玉川小学校区,矢倉小学校区内に設置されている飛び出し坊やについて実態調査をおこない,設置箇所の特徴に関する分析と,設置方法に関する課題点の抽出をおこなったものを紹介する.
著者
西村 憲人 小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.73-76, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
2

近年,都市圏を中心に科学実験塾・塾の実験教室(以後,総称して「実験塾」と呼ぶ)が急速に増加している.実験塾は,設備面,安全面,技術面等を考慮すると,通常の塾よりもコストの高いコンテンツであると思われるにもかかわらず,相次いで開校されるにはそれ相応の需要があるからであろうと推察される.日本科学教育学会第 36 回年会では,実験塾のニーズの区分とそのニーズを解明するための分析枠組を提案した.本発表では,保護者に対して行った Web アンケート調査の結果を報告する.保護者のニーズとして,「受験のため」という教育における「実利的ニーズ」は少なく,「科学に興味・関心を持ってほしい」という「本質的ニーズ」の側面が強いことが確認された.また,実験塾に「通わせたくない」保護者は「経済的な理由」を多く挙げており,「もっと月謝を安くしてほしい」という「市場におけるニーズ」の存在も見受けられる.
著者
小川 秀人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.e13-e18, 2022-10-15

AI技術を適用したプロダクトの品質保証の考え方を検討しているAIプロダクト品質保証(QA4AI)コンソーシアムについて概説する.同コンソーシアムは産学官の枠を超えた参加者による実務的検討を行っており,同コンソーシアムによるQA4AIガイドラインではAIプロダクトの品質保証の枠組みや品質を評価・改善する技術例を示すと共に,5つの代表的なドメインにおける品質保証に関する具体的な事例検討を示している.
著者
鎌田 恭輔 広島 覚 小川 博司 國井 尚人 川合 謙介 安栄 良悟 斉藤 延人
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.296-305, 2014 (Released:2014-04-25)
参考文献数
24

本稿では脳腫瘍摘出手術に役立つ術前機能マッピングと術中機能モニタリングの具体的方法と臨床現場における評価, 信頼性について述べた. 現在術前機能マッピングによる運動野/中心溝局在, および優位半球の同定は現場で十分応用できる. しかし, 言語関連機能MRIの活動部の脳皮質電気刺激による検証では感度は80%, 特異度は60%程度でさらなる改良が必要である. 一方, tractographyは機能している皮質脊髄路と弓状束を正確に反映しているため, 手術計画に有用である. 術中脳機能モニタリング方法としては, 感覚誘発電位, 運動野, 皮質脊髄路電気刺激による運動誘発電位, および覚醒下手術がある. 感覚誘発電位, 皮質刺激運動誘発電位により確実な運動野/中心溝局在の同定が行える. また, 白質刺激運動誘発電位では刺激強度と切除腔と皮質脊髄路tractography間距離に強い相関関係があり, 刺激強度から皮質下構造までの距離を推測することもできる. 覚醒下手術では図形名称課題を用いることで, 効率的に言語皮質, 弓状束を同定・温存できる. 蛍光画像マッピングは悪性腫瘍浸潤領域の同定に有用であるが, さらなる定量的な検討方法の確立が必要である.