著者
小野 幹雄 伊藤 元己
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

小笠原諸島には多くの固有植物が産するが、このほかに他の地域の植物と形態的分化があまりおきておらず、広域分布種とされている植物も産する。本研究はこれまで蓄積した小笠原産固有種とその近縁種との遺伝的差異にくらべ、同諸島に産する広域分布種の小笠原と他の地域の集団間の遺伝的差異がどうであるかを明らかにする目的で行なわれた。小笠原諸島に分布する広域分布種としてテイカカズラとウラジロエノキを選び、テイカカズラは沖縄の石垣島と本州の知多半島の2集団、ウラジロエノキは石垣島の1集団をサンプリングし、小笠原諸島の集団との遺伝的差異を調査した、遺伝的差異は酵素多型分析によりNeiの遺伝的同一度を計算することにより比較を行なった。テイカカズラでは8酵素14遺伝子座について解析し小笠原集団と他の集団の遺伝的同一度の平均は0.786であった。ウラジロエノキについては8酵素15遺伝子座について解析を行ない集団間の遺伝的同一度として0.732の値を得た。これまでの小笠原の固有種と周りの地域の近縁種間の遺伝的同一度はアゼトウナ属で0.533、トベラ属で0.647、ハイノキ属で0.538であったが、今回の研究で得られた2種の広分布域種の値はこれらの固有種と比べて高い値を示した。これは今回調べた2種の広分布域種が小笠原諸島に進入した時期が固有種になった植物の祖先に比べて遅いか、あるいは両集団間になんらかの遺伝的な交流があるかどちらかである。いずれにせよ、形態的な分化の低さは遺伝的にも分化が進んでいないことを示している。
著者
小野 恭平
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.436, pp.115-125, 1992-06-30 (Released:2017-12-25)

The aim of this paper is to clarify the images and valuations of the Buddhist huts described in Buddhist tales in the Early Middle Ages of Japan. So, it was clarified that the Buddhist huts were very tiny and humble dwellings, but were imaged and valued as very innocent and religious ones as regards the location, nature and structure.
著者
澤 龍一 土井 剛彦 三栖 翔吾 堤本 広大 小野 玲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ea0344, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 日本は屋内を裸足で生活するという独自の文化を有しており、そのため足底温度は冬場に約15℃まで温度低下すると言われている。足底部は、温度下降に伴い触覚閾値が上昇すると報告されており、そのため閾値上昇による感覚低下はバランス能力の低下や転倒リスクの一因になると考えられるが、日常生活で生じるような足底温度低下による歩行への影響は報告されていない。我々の研究グループは、第46回日本理学療法学術大会にて、足底温度が低下すると、足部に装着した小型ハイブリッドセンサにより得られた歩行時の下肢運動の時間的変動性が増大し、歩行が不安定化することを報告した。しかし、歩行時の体重心の動きを捉え、よりバランス機能を反映しているとされる体幹部分の定常性についても検討する必要がある。そこで、我々は「日常で生じうる足底温度低下が感覚閾値を上昇させ、それは下肢の時間的変動性のみでなく体幹部分の定常性にも影響を与える」という仮説を証明するために研究を行ったので報告する。【方法】 対象は、健常若年成人で、研究参加に同意の得られた34名 (男性20名、女性14名、平均年齢22.2±2.5歳)について、加速路と減速路を2mずつ用意し、その間12mについて歩行計測を行った。歩行条件は2条件とし、通常歩行 (Normal条件)では、計測前に裸足になり、両足底面を20分間床面に接地させた後、足底温度・足底感覚を測定して、歩行を計測した。その後、氷を用いて足底面を冷却し、足底温度が15℃以下となったことを確認し、感覚検査を実施した後に、歩行計測を行った (Cold条件)。足底温度、足底感覚は、それぞれ足底部の母指、母指球、踵にて測定を実施した。温度測定は熱電対温度計を用い、冷却中3分ごとに実施した。感覚検査にはモノフィラメントを用いた。歩行計測には3軸加速度計と3軸角速度計を内蔵した小型ハイブリッドセンサを用い、体幹及び両踵部にサージカルテープで装着した。指標には、歩行周期時間 (stride time)について、平均値および歩行の周期時間変動性を示す指標として変動係数 (coefficient of variation: CV)を算出した。また体幹の定常性を示す指標として、自己相関係数 (autocorrelation coefficient: AC)を垂直 (VT)、左右 (ML)、前後 (AP)方向について算出した。統計解析は、歩行指標に対し、Normal条件とCold条件の条件間比較を行うためpaired t testを用い5%未満を統計学的有意とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、神戸大学保健学研究倫理委員会の承認を受けた後に実施し、事前に書面と口頭にて研究の目的・趣旨を説明し、同意を得た者を対象者とした。【結果】 足底感覚は各部位において冷却による有意な低下が認められた (p < .0001)。stride timeの平均値は、条件間で統計学的に有意な差は認められなかった。一方で、stride time CVは条件間に統計学的に有意な増加が認められた (p = .0278)。ACはVT方向がNormal条件で0.88±0.07、Cold条件で0.81±0.10 (p = .0001)、ML方向は0.69±0.15から0.61±0.19 (p = .0041)、AP方向は0.87±0.07から0.82±0.10 (p = .0011)と全てにおいて有意な低下が認められた。【考察】 本研究は、日常生活でありうるような足底温度低下により足底感覚が低下し、時間的指標である歩行周期時間の変動性の増大に加え、体幹部分の定常性の低下、つまり体幹部分においても変動性の増大が生じることを示唆した。足底感覚の低下は、足底温度低下による感覚閾値の上昇が原因と考えられ、足底からの感覚入力は通常に比べ相対的に減少する。歩行中の姿勢制御において、足部からの体性感覚入力が重要な役割を担うことはよく知られており、末梢神経障害を有する者は歩行周期時間変動性が増大することも報告されている。また歩行における周期時間変動性の増大と歩行時の定常性低下について、相関があることも報告されており、本研究において日常生活生じるような足底温度低下によって感覚低下が生じ、周期時間変動性の増大だけでなく体幹における定常性低下も生じたと考えられる。高値のstride time CVや低値のACは、転倒リスクが大きくなるとの報告もあり、高齢者の場合、足底の温度低下により歩行中の不安定化ひいては転倒リスクの一因になると考えられる。今後は高齢者において、足底温度が歩行に与える影響を検討し、保温することで歩行の安定性を維持または向上できるのかを明らかにしていくことが必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究結果は、屋内で靴をはかず、保温しにくい状況で生活している日本人にとって、屋内での転倒を減らすための一要因を解明していく一助になると考えられる。
著者
小田 民美 小野沢 栄里 生野 佐織 森 昭博 左向 敏紀
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.114-121, 2017-10-10 (Released:2017-12-25)
参考文献数
26

GLP-1およびGIPは共に血糖依存的にインスリンを分泌させる他、様々な臓器で多様な作用を持ち糖代謝に深く関与している消化管ホルモンである。本研究では栄養組成の違いがネコのインクレチン分泌におよぼす影響について検討することを目的とした。日本獣医生命科学大学で飼育管理されている健常猫5頭に、コントロール食、高炭水化物食、高脂肪食、高繊維食の4種を給与し、血糖値、インスリン濃度およびインクレチン濃度を測定した。GLP-1濃度変動は4種の食事で差はなかった。この結果は、ヒトでは炭水化物と脂質がGLP-1分泌に大きく影響をおよぼしているという報告とは異なるものであった。これはネコの食性や消化管構造の違いによる影響と考えられた。一方、GIP濃度変動はコントロール食と比較し高脂肪食で有意に高値を示した。また、食事中の脂肪含量が多いほどGIP濃度も高値を示した。本研究により、ネコにおいて栄養組成の違いがGIP分泌におよぼす影響について明らかとなったが、GLP-1分泌については今後さらなる検討が必要である。
著者
小野田 風子
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.89, pp.29-35, 2016-05-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
18

タンザニアのスワヒリ語作家ユーフレイズ・ケジラハビは,1990年代の二作の小説により,スワヒリ文学界に実験的小説をもたらした作家として知られる。本研究では,1974年に出版されたケジラハビの二作目の小説『うぬぼれ屋』Kichwamajiに見られる奇妙な結末に着目する。本作の主人公であり語り手でもあるカジモトは,最終章で自殺するに至る。しかし本作は通常の一人称小説とは異なり,語り手の死の時点では物語は終わらない。カジモトの死の直前に正体不明の別の語り手が語りを引き継ぎ,カジモトの死とその後の出来事を語るのである。小説の最後に語り手が交代するという構造はそれまでの語り手の相対化という効果を持つため,読者はカジモトの語りの再評価を強いられる。カジモトの語りを見なおすと,彼の自分についての語りは,彼や他の人々の実際の言動と矛盾していることがわかる。例えば彼はみずからを故郷の村から疎外されるエリートとして描写しているが,実際には村人と積極的に交流し,濃密な人間関係を築いている。本研究では,このような性質を持つ語り手カジモトを,現代文学理論で用いられる「信頼できない語り手」という用語で説明できることを示し,ケジラハビの初期作品に見られる実験性に光を当てる。

1 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第38冊, 1000
著者
小野 厚夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第42回, no.情報科学一般, pp.43-44, 1991-02-25

今日ほど情報という語が多用されている時代はない。しかしながら、肝心の情報という語がいつごろから、どのような形で使われだしたのか、必ずしも明白でない。そこで、改めて情報という語の由来を調べてみた。情報という語は中国でも使われているが、中国人自身が日本来源の中国語として認めており、漢語ではなくて和語とみなすことができる.また国語辞典に情報が現われるのは明治三十八年以降のことで、情報は明治になってから現われた語ではないかと考えられる。これまでの通説では、文豪である鴎外森林太郎が最初に用いたとする、鴎外造語説が有力であった。しかし、この説についてはすでに疑問とする見方もある。我々は明治期の情報の用例を調べて、兵語に由来することをつきとめ、兵書を重点的に調べた結果、鴎外が文筆活動を始める以前の明治九年に、既に情報という語が使われていることを見いだした。また明治十年代後半には、情報だけでなく、状報も並行して用いられていたことがわかった(1,2)。明治十五年三月二十日の睦達乙第十八号により陸軍省が制定した『野外演習軌典第一版』では、情報という語が多数用いられている。公式文書に情報という語が現れるのはおそらくこれが最初であろう。この野外演習軌典は、明治九年に陸軍少佐酒井忠恕がフランスの実地演習軌典を訳出した『佛國歩兵陣中要務賓地演習軌典』(3)を土台にしており、この訳本ではすでに情報という語が使われている。これ以前に出版されている兵書を調べてみても惰報という語が見あたらないことから。おそらくこの本が情報という語が使われた最初の出版物ではないかと考えられる。当時、陸軍が兵式をフランス式にすることに決めたことにともなって、兵学寮の教授たちがフランス軍の兵書や典範令を多数翻訳し、士官の教育や兵卒の訓練に用いた。一八七五(明治八)年にフランスで新式の歩兵陣中要務が刊行され、酒井がこれを翻訳して明治九年十月に内外兵事新聞局から発行したのが『佛國歩兵陣中要務賓地演習軌典』である。訳者である酒井忠恕は嘉永三年の生まれで、旧名を鳥居八十五郎といい、田安殿家老越前守の養子である。慶応元年に横浜表に創設された仏学伝習所の第一回伝習生徒としてフランス語を学び、の後開成学校の三等教授を経て、明治二年八月に兵部省に出仕し、上等通弁から兵学大助教、同少教授に昇任、明治六年に陸軍少佐になった。六年六月から十二月まで伝令使を勤めている。明治十二年に参謀本部に移り、十月に文庫課長、同十二月に翻訳課長となり文庫課長を兼任した。同十三年二月、同県に同姓名の者がいることを理由に改名を届出て、酒井忠恕から酒井清に改名している。同二十二年に陸軍省に退職を願い出、予備役に編入され、同三十年六月に死亡した.酒井は明治九年に『佛國歩兵陣中要務賓地演習軌典』を出版後、十四年に清名でその改訂版を発刊し、さらに十五年に『佛國歩兵陣中要務寅地演習軌典抄』を訳出している。最後の『實地演習軌典抄』は問答集であるが、この中で、情報に意訳を付けており、これらの添え書きから、情報を「敵情(状9)のようす、または知らせ」という意味で用いていることがわかる。したがって、情報は「情状の報告、または報知』を短縮したものと解釈することができる。野戦では斥候、偵察、間諜などを派遣して地勢や敵情を調べる。その報知を酒井は情報と訳した。その原語についてはまだ原本を確認していないが、つぎに述べる理由からフランス語のrenseignement と考えられる。(1)フランス語を主体として編集されている『五國対照兵語字書』にはinformationが採録されていない。(2)明治十八年に訳出された『佛國陣中軌典』では、情報に『ランセーギュマン」または『ランセギウマン」の添え書きがしてある。(3)一八九五年の『仏国陣中軌典携帯版』の原本ではrenseignementが対応している。(4)後述する『佛和辞典』のenseignementの項に状報が記載されている。
著者
梶田 航一 寺内 文雄 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.151, 2016 (Released:2016-06-30)

交通事故やスポーツ事故等で頚髄損傷者(以下頚損者)になると、手足が麻痺するため、一般的な身体障害者用トイレを利用することができない。そこで従来のリハビリテーションの現場では高床式トイレというものが最善と考えられている。リハビリセンターなどでは頸損者が自力で生活が行えるようになるために各種の訓練を行っているが、その中で高床式トイレを使用するための訓練として直角移乗などの訓練も行われている。高床式トイレは車椅子から直角移乗をし、いざり動作で便座まで移動して使うものである。しかし高床式トイレは住宅を大幅に改修する必要がある、外出先に無いため頚損者が長期の旅行に行く事が出来ないなどの問題がある。そこで本研究では頸損者でも一般的な身体障害者用トイレに行くことを可能にする長座位車椅子という製品を提案した。実際の使用方法としては頸損者が普段使用している車椅子から直接長座位車椅子へ直角移乗をし、一般的な身体障害者用トイレの便器の上に長座位車椅子ごと移動し、排泄を行うというものである。
著者
藤本 潔 小野 賢二 渡辺 信 谷口 真吾 リーパイ サイモン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.はじめに<br><br> マングローブ林は、地球上の全森林面積の1%にも満たないが、潮間帯という特殊環境下に成立するため、他の森林生態系に比べ、地下部に大量の有機物を蓄積している。しかし、その主要な供給源である根の生産・分解プロセスは不明のままであった。そこで本研究では、主として細根の蓄積・分解速度を、樹種別、立地環境別に明らかにすることを目的とする。対象地域は、熱帯湿潤環境下のミクロネシア連邦ポンペイ島とマングローブ分布の北限に近い亜熱帯環境下の西表島とする。対象樹種は、アジア太平洋地域における主要樹種で、ポンペイ島はフタバナヒルギ(<i>Rhizophora<br>apiculata</i>)、ヤエヤマヒルギ(<i>Rhizophora stylosa</i>)、オヒルギ(<i>Bruguiera<br>gymnorrhiza</i>)、マヤプシキ(<i>Sonneratia alba</i>)、ホウガンヒルギ(<i>Xylocarpus<br>granatum</i>)、西表島はヤエヤマヒルギ、オヒルギとする。<br><br>2.研究方法<br><br> 各樹種に対し、地盤高(冠水頻度)の異なる海側と陸側の2地点に試験地を設置し、細根蓄積速度はイングロースコア法、分解速度はリターバッグ法で検討した。イングロースコアは径3cmのプラスティック製で、約2mmのメッシュ構造となっている。コアは各プロットに10本埋設し、1年目と2年目にそれぞれ5本ずつ回収した。コア内に蓄積された根は生根と死根に分け、それぞれ乾燥重量を定量した。コア長は基盤深度に制約され20~70cmと異なるが、ここでは深度50cmまで(50cm未満のコアは得られた深度まで)の値で議論する。リターバッグにはナイロン製の布を用い、径2㎜未満の対象樹種の生根を封入し、各プロットの10cm深と30cm深に、それぞれ3個以上埋設した。<br><br>3.結果 <br><br> 1) 細根蓄積速度<br><br> ポンペイ島では、現時点でフタバナヒルギとヤエヤマヒルギ陸側の2年目のデータが得られていないため、ここでは1年目のデータを用いて検討する。細根蓄積量(生根死根合計)は、海側ではいずれの樹種も40~50 t/ha程度であったが、陸側では、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキ、およびオヒルギが25 t/ha前後と相対的に少なかった。樹種毎に海側と陸側で比較したところ、フタバナヒルギの死根と生根死根合計、マヤプシキの生根と生根死根合計、オヒルギの生根死根合計で海側の方が陸側より有意に多かった。樹種間で比較すると、海側の生根はマヤプシキが有意に多かった。陸側の死根は、ヤエヤマヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあり、陸側の生根死根合計は、ヤエヤマヒルギとホウガンヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあった。海側の死根は、マヤプシキがヤエヤマヒルギ、オヒルギ、ホウガンヒルギより有意に少なかった。<br><br> 西表島の1年目の細根蓄積量は、ヤエヤマヒルギが海側で6 t/ha、陸側で9 t/ha、オヒルギが海側で4 t/ha、陸側で6 t/haであった。海側と陸側で比較すると、1年目、2年目共、いずれの樹種も有意差はみられなかったが、樹種間では2年目の陸側生根でヤエヤマヒルギがオヒルギより有意に多かった。標高がほぼ等しいヤエヤマヒルギの陸側とオヒルギの海側では有意差はみられなかったが、ヤエヤマヒルギの海側とオヒルギの陸側では前者が有意に多かった。<br><br> ポンペイ島と西表島で比較すると、ポンペイ島の方がヤエヤマヒルギで約7倍、オヒルギで4~7倍多かった。ただし、地上部バイオマスは、西表島のヤエヤマヒルギ林が80 t/ha、オヒルギ林の海側が54 t/ha、陸側が34 t/haであるのに対し、ポンペイ島のヤエヤマヒルギ林は216 t/ha、オヒルギプロットの林分は499 t/haであった。すなわち、地上部バイオマスはポンペイ島の方がヤエヤマヒルギ林で約2.7倍、オヒルギ林で9.2~14.6倍多く、ヤエヤマヒルギは地上部の相違以上に地下部の相違が大きいのに対し、オヒルギは地上部の相違ほど地下部の相違は大きくなかった。<br><br>2)分解速度<br><br> ポンペイ島におけるリターバッグ設置1年後の残存率は、ヤエヤマヒルギの海側10cm深で7.7%と極端に低く、フタバナヒルギの陸側30cm深とオヒルギは60~85%と相対的に高かった。他の樹種はおおよそ40~50%程度であった。西表島はいずれも50~60%で有意差はみられなかった。
著者
池内 克史 大石 岳史 小野 晋太郎 岡本 泰英 鎌倉 真音
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.123-126, 2016-03-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
13

東日本大震災による被災前後の状況や震災遺構などをデジタルデータとして記録し,仮想化空間で再現することで防災啓発などを目指した取り組みについて紹介する.宮城県山元町~青森県八戸市の沿岸道路では,震災翌月から車載カメラにより360°映像を連続的・定期的に撮影・蓄積している.また岩手県大槌町では,被災した旧役場庁舎の精細な三次元CGを実測に基づいて構築するとともに,収集した写真等から震災前の街並みを擬似的に再現した.更に2015年2月には,同町内で震災前後の様子を移動しながら仮想的に体験するデモを行った.
著者
小野 健二 松島 知夫 大山 繁 Kenji ONO MATSUSHIMA Tomoo OYAMA Shigeru
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 = Bulletin of the Research Institute of Mineral Dressing and Metallurgy, Tohoku University (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-28, 1967-11-05

For the electrolysis of cobalt the separation of nickel from cobalt pregnant solution by precipitating nickel as nickel Nioxime was studied. The effect of the pH and temperature for the precipitation of nickel was determined. The cobalt electrolyte in the order of the magnitude of the ratio of Ni/Co=n×10^<-4> for electrolysis was obtained by the addition of Nioxime at the pH of 3 to 4 and the temperature of 20° to 80℃.
著者
飛田 宗重 高田 博仁 土肥 守 千田 圭二 小林 顕 関 晴朗 亀谷 剛 宮澤 幸仁 小野寺 淳一 鈴木 博義 今野 秀彦 吉岡 勝 會田 隆志 野村 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.503-507, 2003-08-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)は, いまだ病因不明で治療法未確立の難治性疾患であるが, 疫学調査を行うにも共通の登録基準さえ整備されていない状況にあった. 近年, 「神経疾患の予防・診断・治療に関する臨床研究班」(湯浅班)において, 疫学調査のための登録基準が提唱されたことを契機に, 東北ブロック政策医療神経筋疾患ネットワーク参加施設にてPSPの療養環境整備にむけた共同研究を施行した. 最初に剖検例を対象に登録基準の有用性について検討した. 病理学的に診断確定したPSP7例全例が登録基準を充たしていたが, PSPと鑑別を要する疾患群(MSA4例, PD8例, DLB4例, CBD1例)はいずれも登録基準を充たさず, 登録基準の有用性が示された. 次いで登録基準を用いて患者登録を行い, 療養環境について調査した. 今回の調査では, 入院療養への依存度が高く, 介護保険の利用が少ない実態が認められた. 重症化してから長期入院療養目的で国立医療機関へ紹介される症例が多い傾向を反映しており, 療養上の諸問題について検討した.
著者
堀 真寿美 小野 成志 山地 一禎 宮原 大樹 宮下 健輔 坂下 秀 喜多 敏博
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.65-72, 2017-11-30

インターネットは,その仕組み上,非集中型アーキテクチャの性格を強く有しているにも関わらず,今日ではアプリケーション層において集中管理の傾向が強く,誰もが何の束縛もなく自由に情報を発信できる機会を奪われているという批判がある.集中管理型アーキテクチャに起因する,多様性への対応,個人の自由度の低下に対して,ブロックチェーンに代表される非集中型アーキテクチャが今後のインターネットの重要な技術になるとみなされている.教育分野においても LMS (Learning Management System) などの学習支援システムは,集中型アーキテクチャが中心であり,我々はこれまでに,他に先駆けて,非集中型アーキテクチャを採用する学習支援システムである CHiLO (Creative Higher Education with Learning Objects) を開発してきた.本稿では,この CHiLO に,ブロックチェーンを採用することで,さらなる非集中型アーキテクチャ指向を実現し,電子書籍ストアなどの集中管理サーバーを必要としていた電子書籍の頒布,著作権に関する CHiLO Book の課題を解決するための概念実証システムを構築したことを報告する.

1 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第47冊, 1000