著者
長手 尊俊 杉田 和彦 沼田 和生 小野 武夫 宮地 純子 森川 悦子 大村 貞文
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.129-155, 1988

TE-031の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌力をErythromycin (EM), Josamycin (JM) および他の抗生剤と比較検討し, 次の結果を得た。<BR>1. TE-031は, EMと同様の抗菌スペクトルを有し, 好気性グラム陽性菌, 好気性グラム陰性菌の一部 (<I>B. catarrhalis, N. gonorrhoeu, H. influenzae</I>), 嫌気性菌, L型菌およびマイコプラズマに対して優れた抗菌活性を示した。<BR>2. TE-031は臨床分離株388株に対して, EMと同等ないしやや強く, JMより強い抗菌力を示した。<BR>3. TE-031はEMと同様<I>H.influenzae</I>に対して殺菌的に作用した。<BR>4. TE-031はマウス実験的全身感染症, 皮下感染症および呼吸器感染症に対してEM, JMよりも優れた<I>in vivo</I>抗菌力を示した。
著者
小野 百合 三沢 和史 工藤 守 岡崎 裕子 天日 和子 中川 昌一 近藤 光
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.343-346, 1987

The prevention of diabetic microangiopathy, especially retinopathy, is the last goal of treatment of diabetic patients. Retinopathy is found to progress following rapid control of blood glucose or surgical treatment. To investigate the deterioration of retinopathy, the changes of platelet aggregation induced by ADP, collagen, PAF and epinephrine, of the arachidonate cascade (TXB<sub>2</sub> and 6-keto PGF<sub>1α</sub>), and of blood viscosity were measured during and after surgical treatment or after rapid control of blood glucose. Blood was obtained from 22 diabetics with rapid control of blood glucose and from 11 diabetics undergoing surgical treatment.<br>Platelet aggregation induced by all aggregators was increased after rapid control of blood glucose and after surgical treatment, but decreased during operation. When platelet aggregation before surgical treatment was exaggerated, retinopathy tended to be worsened after surgical treatment. Concerning the arachidonate cascade, both TXB<sub>2</sub> and 6-keto PGF<sub>1α</sub> were increased and the TX/6-keto PGF<sub>1α</sub> ratio was decreased during operation.
著者
竹本 美由紀 小野 舞子 棗田 将光 藤森 美鈴 高杉 幸司 江澤 和彦 原田 遼三 西田 圭一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.36-44, 2017-03-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
16

目的:関節リウマチ(RA)の実臨床において,足関節より末梢の関節病変による足趾の変形のほか,皮膚に胼胝・感染等を有する症例は多く,近年ではフットケアの介入が提唱されている.RA患者のフットケアの有効性を評価するためには足病変の定量化が重要であると考え,独自のフットケアスコアを考案し,背景因子や病態との関連性を調査した.対象:当センターで2016年1月~5月にフットケアを施行したRA患者42例を対象とした.方法:フットケアチェックシートに,症状(S)・変形(D)・胼胝(C)・感染(I)について有所見の総合スコアを60点として評価し,スコアと種々の背景因子(年齢・罹病期間・Class・Stage・疾患活動性・HAQ-DI・VAS・治療薬剤)との関連性を解析した.結果:総合スコアはClass進行群で有意に高く,年齢及び罹病期間に有意相関があり,特にHAQ-DIとの間に強い相関を認めた.各コンポーネントのうち,症状(S)はDAS28及びHAQ-DIと,変形(D)は罹病期間と,感染(I)は年齢及びHAQ-DIとの間に有意な相関を認めた.胼胝(C)はどの背景因子とも相関はみられなかったが,他のフットケア各コンポーネントとの相関をみると,変形(D)との間に有意な相関を認めた.生物学的製剤(bDMARD)使用の有無でフットケア各コンポーネントスコアを比較した結果では,感染スコアがbDMARD使用群で有意に高かった.結論:RA患者のフットケアに関わる足病変を定量化することで,足病変と患者背景因子との関連が初めて明らかとなった.今後は患者満足度向上を目指すうえで,フットケア介入の有効性や限界を調査し,数値目標の設定を行っていく必要がある.
著者
岸 健太郎 小野 博宣 山本 浩平
出版者
中部大学
雑誌
中部大学工学部紀要 (ISSN:09108629)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35-40, 2003-12-15

As is known, smelting dust has been reclaimed so far. But, it has the possibility of being used as a recycled material. When it is used as a substitute for cement, the amount of cement can be decreased. However, there is a problem with this; the amount of the hydroxide calcium in the concrete will also be reduced, thereby affecting the strength and the durability of concrete due to neutralization and other influencing factors. This research has clarified the reactivity of smelting dust and hydroxide calcium. First, the change over time of the amount of the hydroxide calcium in the paste was measured. Then, some basic experiments were conducted concerning fresh properties and the coagulation stiffening reaction of the concrete when some percentage of the cement is substituted for smelting dust. We have tried to detect how much the substitution addition rate affects various physical properties of the concrete.
著者
梅邑 晃 吉川 智宏 小野寺 ちあき 西成 悠 秋冨 慎司 小鹿 雅博 井上 義博 遠藤 重厚
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1063-1066, 2011

症例は53歳,女性。自宅で家族と口論となり発作的に自分の腹部を出刃包丁で刺したため救急車で当院へ搬送された。来院時上腹部に深い刺創があり,腹部CT検査で肝S4にIIIa型損傷を認めた。初期輸液療法に反応したため保存的加療目的に入院となった。受傷2日目に施行した腹部CT検査で左肝動脈の仮性動脈瘤形成と動脈瘤を介した門脈本幹とのarterio-portal(A-P)シャントを認めたため,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行した。TAE後,A-Pシャントは消失し,以降順調に経過したため神経精神科へ転科となった。肝外傷後の肝動脈瘤は通常仮性動脈瘤であり,肝損傷後の約1%にみられる合併症である。遅発性肝破裂や胆道出血の原因となるため生命予後を左右する合併症であるが,動脈瘤形成までは受傷後数週間を要するとされる。本症例は,受傷後早期にA-Pシャントを伴う仮性肝動脈瘤を形成した非常にまれな症例であり,TAEにより治療しえたので報告する。
著者
小野 靖
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.921-923, 2004 (Released:2005-07-14)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

High-beta ST research is motivated by its high normalized current Ip/aBT0 achievable at a low aspect ratio and its direct access to second stability for ballooning modes. Key issues for the high-beta ST sustainment are profile control for ballooning/ current-driven kink stabilities and positioning of the conductive wall for mode suppression. ST termination by resistive wall modes (RWM) revealed that velocity shear is a useful tool for the better stability.
著者
鞠子 正 河田 真伸 三浦 充 小野 周平
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.337-354, 1996-12-01
参考文献数
47
被引用文献数
10

神岡鉱山茂住スカルン型Zn-Pb-Ag鉱床は飛騨片麻岩類の結晶質石灰岩中に産する,その鉱化プロセスは5期に分けることができる.最初の単斜輝石―亜鉛―鉛鉱化期は第1ステージ(400-330℃)での大量の単斜輝石(Di<SUB>10-35</SUB>Hd<SUB>43-75</SUB>Jo<SUB>11-35</SUB>)の生成に始まる.これに伴って少量のグランダイト系ざくろ石(Ad<SUB>16-78</SUB>),方解石,石英,含銀・蒼鉛方鉛鉱,自然蒼鉛,輝蒼鉛鉱, Ag-Pb-Bi-S系鉱物および鉄に乏しい閃亜鉛鉱(3-8 FeS mole%)が晶出する.この期の第2ステージ(320-240℃)は,第1ステージに晶出が始まった硫化鉱物生成の最盛期となる.第2ステージ末期には鉱化流体の鉄濃度が上がり早期生成の単斜輝石および閃亜鉛鉱の一部を交代して,それぞれヘデンベルグ輝石質輝石(Hd<SUB>59-88</SUB>)と鉄に富む閃亜鉛鉱(9-14FeS mole%)を生成している.数の方解石―石英―鉛―亜鉛鉱化期の第1ステージ(400-300℃)には早期方解石,早期石英および鉄に乏しい閃亜鉛鉱(3-7 FeS mole%)が含銀・蒼鉛方鉛鉱,自然蒼鉛,輝蒼鉛鉱, Ag-Pb-Bi-S系鉱物を伴い石灰岩あるいは一部の単斜輝石―亜鉛―鉛鉱を交代して生成した.第2ステージ(300-230℃)には,浸透してきた鉄に富む鉱化流体が早期の閃亜鉛鉱を一部鉄閃亜鉛鉱(7-21 FeS mole%)に置換し,少量の黄銅鉱,黄鉄鉱磁硫鉄鉱,硫砒鉄鉱磁鉄鉱を生成した.また含銀・蒼鉛方鉛鉱,自然蒼鉛,輝蒼鉛鉱, Ag-Pb-Bi-S系鉱物の晶出もひき続いた.第3ステージ(230-150℃)にはいると,鉄に富む閃亜鉛鉱(10-14 FeS mole%),含銀四面銅鉱とともに後期方鉛鉱(銀に乏しい)が生成された.このステージの末期には少量の赤鉄鉱が,後期方解石,後期石英,緑廉石とともに生じている.第3のアクチノ閃石―銅鉱化期は早期に形成された単斜輝石不毛スカルンおよび単斜輝石―亜鉛―鉛鉱に対する加水分解および鉄・銅付加作用により特徴づけられる.すなわち,鉱床下部で単斜輝石はアクチノ閃石により広く交代され,これに伴い石英,硫石比鉄鉱,磁鉄鉱,黄鉄鉱,磁硫鉄鉱,黄銅鉱,鉄閃亜鉛鉱などが晶出した.第4の石英―方解石―銅鉱化期および第5の石英―銀鉱化期の鉱化作用は局部的である.以上の各鉱化期の鉱化作用は,熱源としての火成岩は共通しているが,それぞれ独自の通路を持った循環熱水系により行われたと考えられる.
著者
木原 隆幸 小野 寛太 奥田 太一 原沢 あゆみ 尾嶋 正治 横尾 篤 木下 豊彦
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4_2, pp.1059-1062, 2001 (Released:2007-02-02)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

The magnetic properties of thin films with reduced lateral dimension are significantly different from those of materials in the bulk state, and have provided a wealth of scientific interest and potential technological applications. It is therefore very important to study magnetism in microstructures or small magnetic domains, and one of the most powerful tools for investigating such magnetism is the photoelectron emission microscope with synchrotron radiation as its light source (SR-PEEM).We report in this paper our set-up of a new SR-PEEM system, and present the preliminary results.
著者
小野 憲司 赤倉 康寛 神田 正美
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

2011年の東日本大震災によるサプライチェーンの寸断から我が国のモノづくり産業が全国規模、世界規模で操業停止した経験に鑑み本研究では、震災の影響が著しかった自動車産業サプライチェーンのモデル化と、災害がサプライチェーンに及ぼす負のインパクトの測定、サプライチェーンマネジメント(SCM)改善策の効果の評価を行った。SCM改善策の評価結果は、①部品在庫の積み増しの効果は低い、②部品調達は海外よりも国内への分散化が効果的、③災害によって生じたサプライチェーンの隘路に対する共同復旧支援の効果は高い等の結果が得られ、我が国の製造業全般の災害時SCMのあり方に示唆を与えるものとなった。
著者
小野 三嗣 宮崎 義憲 渡辺 雅之 原 英喜 湊 久美子
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.114-121, 1981-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5
被引用文献数
2 3

保健体育科男女大学生, 大学における運動部員, 中年までの肉体労働者及び事務職員, ウェイトリフターに反復握力の計測を行った結果, 概ね次のような成績を得た。1) 女子は男子より握力反復計測による維推率が小さいが, 両性とも朝・夕での差はなかった。2) 大学運動部員の場合, 野球部員の維推率は大きく, 柔道部員がこれに次ぎ, バレーボール, テニス部員などはそれが小さかった。3) 中年までの男子の場合, 肉体労働者の維推率は大きく, 事務職者の場合は小さかった。4) ウェイトリフターは経験の少ない若い選手の方が, 鍛練度の進んだ選手よりも握力反復による維推率が小さかった。5) 右手と左手の反復握力による維推率には, スポーツ種目により若干の傾向差が見られるものもあるが, 他種目との比較の場合より少なかった。ただし個人では左右で大差の認められるものもあった。6) 最大握力と反復測定による維推率との間には有意の相関が認められなかった。
著者
笠野晃平 熊野雅仁 小野景子 木村昌弘
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.81-82, 2014-03-11

近年、ウェブ空間に観光情報が溢れるに従い、自ら旅行計画を立てるユーザが増えつつある。しかし、旅行前の調査では主要な情報が得られるものの、得られた情報は断片的で観光先相互間の移動や、相互の距離感ならびに関係において調査不足が弊害を招く場合や、事前調査では見逃した興味が湧く対象に出くわしても、突然の経路変更に対応できない場合もあり得る。本研究では、3D模擬地球に没入し、嗜好に合う観光先周辺を実環境を考慮してより詳しく調べ、旅行前に観光経路のプランを練り上げ得る、没入型3Dシステムを提案する。京都市を観光先と想定し、京都の主要交通機関のうち、バス路線に沿った実験を通じて、提案システムの有効性を検証する。
著者
小野 倫太郎 本村 知華子 高松 伸枝 近藤 康人 赤峰 裕子 松崎 寛司 村上 洋子 網本 裕子 田場 直彦 本荘 哲 柴田 瑠美子 小田 嶋博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-155, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は10歳女児.柑橘類を摂取後の運動負荷でアナフィラキシーを起したエピソードを3回認めた.柑橘類による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)を疑い,負荷試験を行った.オレンジ摂取と運動負荷の組み合わせは陰性であったが,アスピリン内服とオレンジ摂取の組み合わせで眼瞼腫脹,喘鳴を認め,オレンジによるFDEIAと診断した.フルーツアレルギーではOral allergy syndrome(OAS)の症例が多く,FDEIAは稀である.本症例ではイムノブロット法にて9kDa,39kDa,53kDaの抗原を認め,オレンジによるインヒビションにて39kDa,53kDaの抗原が特異抗原アレルゲンと考えた.本症例はスギ特異的IgE抗体強陽性であったが,スギ抗原とは共通抗原性は認めなかった.オレンジ抗原として知られるCit s群とは異なる39kDa,53kDa蛋白が原因となるFDEIAは報告がない.
著者
清水 孝一 山本 潮 小野里 好邦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.56, pp.59-64, 1999-07-15
参考文献数
2
被引用文献数
2

近年のインターネットの普及により,仮想空間をネットワーク上に展開することによって,人々のコミュニケーションの場として様々なサービスに発展してきている.しかし,参加者の増加に伴いサーバに対する負荷が懸念されており,多くのユーザをサポートするための研究が盛んに行なわれている.そこで,多くのユーザを仮想空間内に投影させる方式の一つとして,サーバを複数用意し,一つのサーバが管理する領域を分割し,多くのユーザをサポートすることが可能な方式が考えられ実装されている.しかし,任意の管理領域にクライアントが集中した場合,この空間分割方式では効果をあげることができない.最悪の場合,一つの空間に全てのクライアントが集中してしまう恐れもある.本稿では,この分割管理されているサーバ管理領域を動的に変化させ,サーバの負荷を分散させるための方式を提案する.また,本方式を用いてプロトタイプを作成したので,従来の方式と比較し考察する.Recently, according to increasing Internet users, various services have been developed. One of such services is providing virtual environments where the users communicate with each other. However, by the number of users increases, much reearch effort has been devoted to support large number of users. One of such methods is that a virtual space is devided into some blocks and each block is managed by each server. However, each server manages each fixed virtual space and take care of users in its managing region, and such approach is not effective, in case that many users concentrate in some part of virtual space. In the worst case, all of the users concentrates in one block of virtual space. In this paper, we propose the multi server-managed virtual space model in which the load of managing virtual space is well-balanced to servers by dynamically changing managed regions. We demonstrate a prototype system, as a result of comparing our prototype system with multiple server system without dynamic change of managed system.
著者
小野寺 光永 井須 芳美 長嶋 雲兵 吉田 裕亮 細矢 治夫 永川 祐三
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Chemical Software (ISSN:09180761)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.113-128, 1999-09-15 (Released:2000-03-28)
参考文献数
7
被引用文献数
2

生体の断層イメージを測定する核磁気共鳴(NMR)のシグナルや、Belousov-Zhabotinsky反応(BZ)などの振動反応の酸化還元ポテンシャルには、測定環境によりSN比が急激に悪くなる時系列データが見られ、そのノイズ除去が問題となっている。また、生体における時系列データの一つである心電図においても、ノイズによる心電図解析の妨げが問題となっている。そこで本研究では、フーリエ変換、ベイズモデル、トレンドモデルの3手法を用いたノイズ除去を行い、それぞれのモデルによる結果の比較、検討を行った。数値実験には、NMRのシグナルに代表的なMultiple nonstationary frequenciesの近似関数と心電図の2種類のデータを用いた。その結果、Multiple nonstationary frequenciesの近似関数では、ベイズモデルが最も有効であった。心電図では、フーリエ変換により、基線の揺れを抑えることができ、ベイズモデルやトレンドモデルを用いて平滑化を行った後に、フーリエ変換によってノイズを除去する方法が有効であることが示唆された。