著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.101-104, 2020

<p>【はじめに】広範囲腱板断裂手術例(massive rotator cuff tear,以下m-RCT)は,肩関節可動域(range of motion,以下ROM)制限が主訴となることが多い.一方,ROMの回復に関して,術後患側と非手術側(以下,健側)とを比較した報告は少ない.本研究ではm-RCTの術後ROMとROM患健比を検討したので報告する.【対象および方法】m-RCTに対し一次修復術が可能であった29例29肩を対象とした.平均年齢は66.5歳,平均経過観察期間は46カ月であった.調査項目は健側ROM(屈曲・外旋・内旋:内旋はJOAスコアに基づき点数化)と術前後患側ROMとを調査し,術前後の患側ROM変化とROM患健比を検討した.【結果】平均健側ROMは屈曲153°,外旋61°,内旋5.6点であった.患側ROMは術前(屈曲88°,外旋38°,内旋3.9点)が術後(142°,52°,5.3点)と有意に改善した(各々,p<0.05).術後ROM患健比は屈曲93%,外旋85%,内旋95%であった.【まとめ】RCTに対する一次修復術後ROMの回復は,患健比の比較でも良好な結果であった.</p>
著者
中島 晶 眞野 成康 富岡 佳久 山口 浩明
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

新たに見出された薬物トランスポーターSLC10A4の安定発現細胞を作製し、胆汁酸であるケノデオキシコール酸およびウルソデオキシコール酸の輸送に寄与することを明らかにした。SLC10A4を発現している小脳由来TE671細胞を用い機能解析を行った結果、プロテアーゼであるトロンビンによってタウロコール酸の輸送活性が上昇することを発見し、その基質結合能が既知の胆汁酸トランスポーターに比較して高いことを明らかにした。
著者
郎 豊群 山口 浩 仲川 博 佐藤 弘
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.271-278, 2012-07-01 (Released:2012-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

SiCパワーデバイスをNi(P)拡散バリア付きの配線基板(Si3N4/Cu/Ni(P))上にAu–Geはんだで接合させた後,300°C以上の高温保持状態に置くと,Ni(P)拡散バリアのNiがAu–GeはんだのGeと反応し,はんだとNi(P)の界面にNiGe,Ni5Ge3およびNi3Pの金属間化合物が生成することがわかった。Ni5Ge3金属間化合物は成長が速く,パワーデバイスの接合強度を著しく低減させる。これを防ぐため,Si3N4/Cu/Ni(P)配線基板の表面にスパッタ法で約200 nm厚みのTa/TaN/Ta拡散バリアを形成することで,SiC–SBDパワーデバイスの高温接合信頼性を改善することができた。330°C,1,600 h高温保持試験後,デバイスの接合強度はほぼ低下することなく,50 MPa以上を維持した。接合を含むデバイスの電気抵抗は低い数値で変化が見られなかった。また,Ni(P)/Ta/TaN/Ta拡散バリアは−40–300°Cの冷熱サイクル条件下においても剥離などは観察されなかった。
著者
渡部 雅也 楊 坤 Dinesh Malla 坂本 克好 山口 浩一 曽我部 東馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ディープラーニングと強化ラーニングは近年急速に発展しています。ゲームやロボット制御などの分野にディープラーニングを適用する多くの研究が大きな成功を収めています。本論文では、強化学習アルゴリズムであるAlphaZeroをゲームAIのためのこれまでにないレベルの多用途性を最適制御問題に適用する可能性を検証する。従来の制御メカニズムを使用することによって処理することが困難であると考えられているノイズの多い環境下で動作を制御するその能力についての洞察を得ることを目指している。
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 前原 博樹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.56-59, 2019

<p>三角筋断裂を伴う広範囲肩腱板断裂の治療にはしばしば難渋する.我々は三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂の2例を経験したので報告する.症例1 69歳女性.5年前から右肩痛を自覚.1年前より近医受診で内服,ステロイド注射を行っていた.3カ月前に突然右肩挙上困難出現,MRIで三角筋断裂を合併した広範囲肩腱板断裂を指摘され当科を紹介.初診時身体所見は右肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲20度,外旋30度,内旋Th8でJOAスコアは45点であった.腱板一次修復術と三角筋修復術を施行し,術後64カ月で自動肩関節可動域屈曲105度,外旋65度,内旋Th8,JOAスコア86.5点へ改善を認めた.症例2 82歳女性.3年前より右肩痛,可動域制限を自覚.1週間前より誘因なく右肩関節腫脹,皮下出血を認め近医受診.三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂を認め,手術目的に当院紹介.初診時身体所見は肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲0度,外旋10度,内旋Hip,JOAスコアは25点であった.腱板修復術に大胸筋移行術を併用し,三角筋修復術を施行し,術後12カ月で自動肩関節可動域屈曲65度,外旋45度,内旋L1,JOAスコア58点へ改善傾向を認めた</p>
著者
辻井 重男 山口 浩 只木 孝太郎 五太子 政史 藤田 亮
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.42, pp.1-8, 2013-07-11

受信暗号文の各部分 (各章) を,受信側組織の代表者・管理者が,総合的・適応的で,非定常的・臨機応変的な判断により,それぞれ適切な担当者達に暗号化状態のまま配信し得るような組織間機密通信方式を提案する.例えば,職員の職務のみでなく,人柄・適性や仕事量,あるいは勤務状況なども勘案して,上司が適任の部下を選ぶ,と言うような状況を想定している.本提案では,階層型組織やフラット型組織などの組織形態に応じて,多変数公開鍵暗号,及び,楕円エルガマル暗号等を活用しつつ,このような組織間機密通信システムを構成する.As to the application of public key cryptosystem to social organizations, Attribute Based Encryption and Functional Encryption are extensively being developed. In such encryption systems, a sending organization has to identify or decide the qualified receiver in the receiving organization by embedding the capacity of decryption of sending information in the encrypted data or the encryption key. As an example, it is easy for broadcast companies to embed the capacity of viewing of charged television. However, it is often difficult for sending organization to decide the qualified receiver. In such cases, secret communication systems proposed in this presentation seems to be crucial. Although there are various types of social organizations, typically they are divided types; one has hierarchical structure and the other has flat structure. In this paper we propose the Multivariate Public Key Cryptosystem (MPKC) for organizations with hierarchical structure and the elliptic curve cryptosystem for organizations with flat structure. As to MPKC, the structure with Perturbed TSK-MPKC and PQ type TSK-MPKC proposed in Third international conference on Symbolic Computation and Cryptography (SCC 2012, in Castro Urdiales, Spain) can be used.
著者
高橋 慧 沼尻 匠 曽我部 完 坂本 克好 山口 浩一 横川 慎二 曽我部 東馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を非画像データに適用する方法を提案する。 CNNは、画像処理や音声認識などの多くの分野で成功しています。一方、csvファイルなどの非画像データにCNNを適用することは困難でした。画像のような低次元グリッド構造のデータの順序は意味を持ち、CNNはその順序を画像の特徴として認識して処理する。したがって、CNNは、構造を変更できる非画像データに対して特徴認識を行うことができなかった。我々は、非画像データのシーケンスに意味を与えることによってCNNを適用可能にする方法に焦点を当て、改善を加えることによって提案手法の有効性を実証した。
著者
山口 浩二 笹部 哲也 倉恒 弘彦 西沢 良記 渡辺 恭良
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.533-542, 2008-06-15

はじめに 「疲労」は誰もが日常生活の中で感じることのある一般的な感覚で,また大多数の疾患において程度の差こそあれ経験する症状の1つであり,心身の疲弊を自らに知らせ,休息を求める生体のアラームである。ありふれた感覚ではあるが,今まで,医学の対象として重要視されていなかった。その理由として考えられることは,疲労が多数の因子が関与した複雑な現象であること,個人により,また同一個体でも状況により感じ方が異なることにより,客観的評価が困難で,科学の対象として扱い難いということに帰している。また,疲労を表現する言葉が,関西では「しんどい」というが,関東では「だるい」,九州では「きつか」,東北では「こわい」というように,狭い日本の国内においても種々の表現があり,その意味する内容も微妙に異なっていることも客観的評価を困難にしていると思われる。このように疲労は主観的な感覚であるため,これまでの評価は各種問診表やvisual analogue scale(VAS)を用いた自己申告式のものが中心となっており,評価として十分に耐え得るものとは言い難かった。一方,なんらかの課題を行った際の反応時間の遅延や,誤反応の増加,多重注意の困難といった疲労時におけるパフォーマンスの低下をもって疲労を評価する手法もあるが,疲労感とこれらパフォーマンスの低下が乖離することが多々あることも我々は日常生活でよく経験し,こういった事情が疲労の客観的評価を困難にしている。 ところで,慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は,ウイルス感染やストレス曝露を機に発症する疾患であるが,高度の全身倦怠感をはじめ,微熱や全身の疼痛,脱力感などの身体症状や,思考力・集中力低下,抑うつなどの精神症状,睡眠障害などの症状が長期間持続し,健全な社会生活が困難となる症候群で,今もって原因は不明とされている。診断は日本疲労学会による診断指針や米国CDCの診断基準に基づくが,いずれにおいても,高度の疲労により日常生活に支障を来していることが診断の必要条件となっている。しかし,高度の疲労か否か,疲労を訴える患者の疲労を客観的に評価することは難しい。 そこで,本稿では,今まで定量化手法を持ち合わせていなかった疲労という現象に対し,加速度脈波を用い,自律神経機能や複雑系の観点から,疲労を定量化する試みについて,CFSを例に紹介することとし,最後にいくつかの慢性疾患の疲労についても検討した結果を例示する。
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.546-551, 2018

<p>中高齢者の広範囲腱板断裂を合併した反復性脱臼の治療には難渋する.今回,我々の術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対して関節唇・腱板修復術を施行した8例8肩である.内訳は男性5肩,女性3肩,平均年齢は66歳,平均経過観察期間は25カ月であった.術前後の肩関節可動域(以下,ROM)(屈曲・外旋・内旋),日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(以下,SISスコア),再脱臼・再断裂を調査した.ROMは術前(屈曲78°・外旋24°・内旋1点)が術後(130°・56°・4点),SISスコアは術前23点が術後73点に改善した.再脱臼はなく,亜脱臼を1例,関節症性変化を1例,腱板再断裂を1例に認めた.広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する関節唇・腱板修復術は有用な術式と考えられた.</p>
著者
山口 浩司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.554-562, 2017-08-05 (Released:2018-07-25)
参考文献数
59

ここ10年ほどの間,最先端の微細加工技術を用いて作製した微小なメカニカル共振器に関する研究が大きな広がりを見せている.微小メカニカル共振器はそのサイズに応じてマイクロメカニカル共振器,あるいはナノメカニカル共振器と呼ばれるが,微細化のメリットは周波数を高くできることにある.素子応用などを考えた際,周波数が高くできるということは,それだけ動作速度を早くできるということであるが,一方,基礎物理の側面からも極めて重要な性質である.サブミクロンスケールの構造の共振周波数は1 GHzを超え,この系を調和振動子として見なしたときのエネルギー量子は温度に換算して50 mKとなり,市販の希釈冷凍機で容易に到達可能な領域である.すなわち,このような高周波のメカニカル共振器を冷却すると量子力学的な調和振動子として扱えることになる.この領域のメカニカル共振器は数百万から数億という膨大な数の原子から構成され,いわゆる巨視的物理系の量子力学的な性質が観測できるのではないか,という点が大きな注目を集めているのである.一方,このようなエネルギー量子は,別の考え方をすると構造に閉じ込められた音響フォノンであり,一個一個の量子力学的なフォノンの振る舞いを調べるという視点でも,興味深い研究対象となっている.マイクロ・ナノメカニカル共振器のもう一つの特徴は,非線形性の出現である.両持ち梁などの共振器構造においては振動振幅が大きくなると構造全体に張力が発生し,これが起因して非線形相互作用,すなわちフォノンの非調和性が現れる.一般の場の理論と同様に共振器のハミルトニアンは固有モードに分解すると調和振動子の集団として記述することができるが,この非線形相互作用は異なるモード間の生成消滅演算子の3次以上の積として書くことができる.すなわち,この非線形相互作用は異なるモードのフォノンの生成や消滅,あるいは反応などをつかさどることになる.この効果はメカニカル振動の周波数変換やフォノンの3波あるいは4波混合などととらえることができ,多彩なメカニカル振動の制御が可能となる.これはデバイス応用上の重要性だけではなく,量子力学的な領域においても,量子ノイズのスクイージングやフォノンのコヒーレント制御など,基礎物理の視点において興味深い現象が実現できる可能性を与える.我々は,このような視点から圧電材料である化合物半導体を用いて微小メカニカル共振器を作製し,振動により生成する張力を介した非線形相互作用を用いて,様々な実証実験を行うことに成功した.特に二つのモード間の相互作用を外部からの張力変調により電気的に制御できることを示し,二つのモード間における振動エネルギーの操作や,コヒーレンスが低い振動からコヒーレンスが高い振動を生成するフォノンレージング動作,さらには両者の熱揺らぎに対して相関を引き起こす2モードスクイージングを実現した.現在量子領域における実験を念頭に,量子ドットをはじめとする様々な半導体量子構造とのハイブリッド素子化を進めている.
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.526-528, 2018

我々は広範囲腱板断裂に対し,初期固定力が高く,縫合糸による腱内応力の集中が少ないと報告されているSurface-holding法を用いて手術を行ってきた.今回,一次修復が可能であった術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂に対して直視下Surface-holding法を用い一次修復術を施行した56例56肩中,1年以上経過観察可能であった50例50肩を対象とした.性別は男性38肩,女性12肩.平均年齢65歳,経過観察期間26カ月.調査項目はJOA スコア,自動屈曲,外旋,内旋(JOA スコアを用いて点数化),Sugaya分類を使用した術後腱板修復状態(type4,5を再断裂)とした.JOAスコアは術前平均57点が術後89点,屈曲は術前平均91&deg;が術後143&deg;,外旋では術前平均39&deg;が52&deg;,内旋は術前平均3.7点が4.9点へ有意差をもって改善を認めた.Sugaya分類typeⅣが3肩,typeⅤが0肩で,再断裂は3肩(6%)であった.Surface-holding法は,再断裂率の低い有用な術式と考えられた.
著者
高下 純平 林 信太郎 山口 浩雄 立石 貴久 村井 弘之 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.667-671, 2016
被引用文献数
1

<p>症例は37歳男性.23歳よりけいれん発作を繰り返した.35歳から難聴や歩行時のふらつきが出現し当科に入院した.近親婚の家族歴があった.低身長で,腱黄色腫はなかった.mini-mental state examinationは19点,感音性難聴,断綴性発語,嚥下障害,四肢の痙縮,小脳症状を認めた.血中と脳脊髄液中の乳酸とピルビン酸が増加していた.頭部MRIで小脳半球,脳幹,内包に対称性の病変を認めた.ミトコンドリア病を疑ったが,筋生検とミトコンドリアDNA遺伝子解析に異常なかった.血清コレスタノール高値,CYP27A1遺伝子の新規遺伝子変異(c. 43_44delGGのホモ接合体)を認め,脳腱黄色腫症と診断した.</p>
著者
高橋 静恵 大塚 功 山崎 慎也 高井 浩之 両角 淳平 原 寛美 山口 浩史 安井 匡
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BcOF1034-BcOF1034, 2011

【目的】<BR>脳卒中患者が使用する下肢装具には、正常歩行に近似した歩行動作を獲得するための代償的機能が求められる。今回Shoehorn Brace(以下SHB)使用し自立歩行を獲得した回復期脳卒中患者に対し、Gait Solution Design (以下GSD)を使用し歩行練習を実施することで、正常歩行により近い歩行動作を獲得した症例を経験した。その歩容評価と装具療法に関する新しい知見を得たので考察を加えて報告する。<BR>【方法】<BR>症例は47歳の女性。平成21年11月21日、脳梗塞発症。右片麻痺・失語症を呈した。I病院搬送。t-PA施行するも再開通せず、血栓溶解療法を追加したが、頭部CT上左内包から放線冠にかけて梗塞を認めた。31病日、回復期病院へ転院、SHB作製。屋外自立歩行を獲得した。166病日自宅退院。182病日CI療法目的にて当院入院。入院時、上田式片麻痺機能テスト右上肢9手指5下肢6、右足関節関節可動域背屈0°。下腿三頭筋の筋緊張はModified Ashworth Scale(以下MAS)3。MMT右下肢股関節屈曲3・伸展2、膝関節屈曲2・伸展4、足関節背屈2・底屈2。FIM126/126点。踵ロッカー機能に伴う底屈モーメント(1stピーク)4.06Nm、前足部ロッカー機能に伴う底屈モーメント(2ndピーク)0.24Nmであった。196病日当院退院。平成22年7月2日より当院外来リハ通院。当院入院当日よりSHBからGSDへ変更し、評価として、歩行周期中にGSD足継手が発揮する底屈制動力と足関節の関節運動の測定を可能とするシステムであるGait Judge(安井ら、2009)を使用し、1stピーク(踵接地時の前脛骨筋による底屈モーメント)と2ndピーク(踵離地~足趾離地時の下腿三頭筋のStretch Shortening Cycle)の底屈モーメントを測定し、その平均値から歩容を数値化し入院時から退院時かけての変化を比較検討した。<BR>【説明と同意】<BR>本症例には症例報告をさせていただく主旨を説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR>退院時、上田式片麻痺機能テスト右上肢10手指5下肢7、右足関節可動域背屈5°。下腿三頭筋の筋緊張MAS1 。MMT右下肢股関節屈曲4・伸展3、膝関節屈曲4・伸展5、足関節背屈3・底屈3。1stピーク3.93Nm、2ndピーク1.15Nmに改善した。しかし、足趾離地からの足関節底屈が持続しており、Extention thrust putternが出現し、足関節分離運動の不十分な波形となっていた。<BR>【考察】<BR>SHBの様な足関節固定式短下肢装具は、足関節底背屈運動が妨げられる。しかし、GSDは底屈制動・背屈フリーであるため、立脚初期では踵接地から滑らかな足底接地となり(踵ロッカー)、立脚中期では足関節背屈運動を妨げずに下腿三頭筋の筋収縮を可能とし(足関節ロッカー~前足部ロッカー)、遊脚期ではクリアランスの確保が可能となる。よって、本症例に対し、入院初期よりSHBからGSDへ変更した。しかし、入院時評価では2ndピークが0.24Nmであり、前足部ロッカーが機能していない数値となった。この結果となった原因として、下腿三頭筋の筋短縮による右足関節の背屈可動域制限と、足関節底屈・背屈筋群の歩行周期中の筋活動が不十分であることと考えた。<BR>この原因に対し、物理療法(低周波)を含めた足関節可動域訓練、足関節底屈・背屈筋群や下肢伸展筋群に対する筋力強化訓練を行い、下腿三頭筋の筋活動を得るために、段差を利用したステップ訓練等を行なった。さらに、退院後の自主訓練として、セラバンドを用いた下肢筋力強化、超音波機器やストレッチボードを利用した下腿三頭筋のストレッチを指導した。上記のリハビリテーションプログラムを施行したことにより、退院時のGait Judge評価結果では2ndピーク1.15Nmとなり、入院時と比較して向上した。つまり、前足部ロッカーの出現が認められた。また、Gait Judgeのデータから得られた歩行周期中の底屈モーメントの波形を視覚的フィードバックしながらの運動学習が可能となり、歩行練習に対するモチベーション維持につながったものと思われる。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>本症例においてGSDを使用することで、歩行中の前足部ロッカー機能が再獲得された。片麻痺患者に対する歩行練習では、正常歩行に見られるロッカー機能を阻害しない装具の使用と、正常歩行に近似した下肢アライメントの筋活動を引き出す歩行練習を実施することが重要と思われる。さらに、視覚的フィードバックを活用した動作訓練をすることにより、対象症例に自らの歩行動作を確認しながら正常歩行に近い歩行動作を学習することが可能であることが分かったことは今回の研究において意義のあるものとなったと考えられる。
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.364-366, 2018

<p>外傷後急速に破壊が進行した肩関節症に対し,人工肩関節全置換術を行った症例を報告する.84歳,女性.1.5カ月前に転倒,右肩関節を打撲した.近医を受診し単純X線像では異常は指摘されなかった.その後,疼痛が増悪したため,当院を紹介された.初診時所見は,肩関節屈曲10度,外旋-30度,内旋L1,JOA scoreは36点であった.当院初診時単純X線像,CTでは上腕骨頭の扁平化,関節窩骨欠損を認めたが,MRIでは腱板断裂を認めなかった.急速破壊型関節症と診断し,関節窩骨欠損部への骨頭骨移植を併用した人工肩関節置換術を施行した.術後24カ月で疼痛はなく,肩関節可動域は屈曲130度,外旋40度,内旋L1(健側は屈曲130度,外旋40度,内旋Th8)でJOA scoreは85点まで改善した.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.11-15, 2018
被引用文献数
1

<p>我々は,腱板断裂関節症(Cuff Tear Arthropathy:以下CTA)に対し,小径人工骨頭置換(Small Humeral head replacement:以下s-HHR)と腱板修復術または筋腱移行術を施行しているので,その治療成績を報告する.対象は術後1年以上経過観察可能であった17例17肩.平均年齢は73.9歳,性別は男性5肩,女性12肩.術式はs-HHR+腱板修復術7肩,s-HHR+筋腱移行10肩(肩甲下筋部分移行2肩,大胸筋移行術8肩).調査項目は,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下JOAスコア),平均肩関節可動域(屈曲,外旋,内旋:JOAスコアを用いて点数化),とした.結果はJOAスコアが術前45点から術後79点,術前屈曲55度,外旋26度,内旋1.6点から,術後屈曲123度,外旋26度,内旋3.7点と改善した.CTAに対するs-HHRおよび腱板修復術または筋腱移行は,有用な術式と考えられた.</p>
著者
辻井 重男 山口 浩 北沢 敦 黒澤 馨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.426, pp.45-52, 1998-11-20
被引用文献数
1

電子投票や電子サーベイにおいては、投票者のプライバシを保護しつつ、二重投票、非有権者投票などの不正投票を防止できることが重要であり、本稿では、これら矛盾する要求を満たす投票プロトコルの方式を提案する。本文のポイントは、高次剰余暗号の準同型性を利用すること、及び票の集計処理と開票処理を分離させたモデル構成をとることにあり、これらとユニバーサルな検証性、柔軟なシステム構成可能性を併せて、実用性の高い投票システムを提案する。
著者
山口 浩 大久保 美也子 北沢 敦 辻井 重男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.43, pp.19-24, 2002-05-23
被引用文献数
4

投票者のプライバシを守りつつ不正投票を防止する方式としてこれまでにブラインド署名、ミックスネット匿名チャンネル、準同型暗号系を利用した方式が提案されている。これら方式の特長を研究の流れに沿って列挙、比較検討を行う。また近い将来、これら提案された方式を適用した電子投票システムの実用化が近いことを考慮し、計算機器、通信機器がこれら提案された方式において必要とされる計算量、通信量、信頼性にどの程度対応可能であるかを考察する。併せて運用性の問題も考察する。Many papers have been written on the electronic voting schemes discussing the required properties of elections, among which are privacy, universal verifiability and various forms of robustness, Recent advancements have also been concerned with performance aspect. We will compare different features of three schemes using blind signatures, mix-net anonymous channel, and partially compatible homomorphisms. We also discuss the new properties particularly concerned with the computation and communication capabilities, reliability of computer and communication systems and operationability.