著者
山崎 圭
出版者
国文学研究資料館
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

当初たてた研究計画は、(1)組合村-惣代庄屋制の解体過程の解明、(2)取締役など特権的豪農の活動の解明、(3)明治地方自治の解明、の3点を柱としながら信州幕領をフィールドとして分析を深めると同時に、他地域との比較研究も行うというものであった。今年度はポイントをしぼって上記課題の(2)について集中的に検討した。まず第一に、郡中取締役の阿部家について金融を中心とした経済的活動のあり方を検討し、同家は18世紀半ば以降諸領主や酒造家への大口貸金などによって経営を伸ばし、18世紀末に領主貸が行き詰まると、当時盛んになりはじめた繭・綿・細美などの農間商いを行う南佐久の百姓たちを相手にした商仕入金などの貸付を急増させて、一層の経営発展を遂げたこと、天保期後半に貸付が停滞すると資金を土地集積に振り向けて地主経営にウェイトを移し、金融も貸出対象の範囲を上層に限定して継続したこと、このような活動が明治期の伊那県商社、第19国立銀行などに関与する前提となっていること、などを明らかにした。第二に、この地域の政治構造については上記のような阿部家を一つの核とするような経済構造とはあまり関係なく、年番名主制や組合村制などが展開していく傾向があるが、文久期以降社会情勢が緊迫していく中で郡中の豪農層が郡中取締役に就任し、政治的な秩序のあり方に大きな変化をもたらしたことを明らかにした。この問題は課題(3)の「明治地方自治の解明」にもつながっていくテーマであるが、見通しを持つにとどまったので今後の課題としておきたい。なお、以上の成果の一部を組み込みながら歴史学研究会2001年大会で「地域社会構造の変容と幕領中間支配機構」という題のもとに報告を行う予定である。
著者
山崎 正和 坂本 多加雄
出版者
読売新聞社
雑誌
This is読売 (ISSN:09164529)
巻号頁・発行日
vol.8, no.7, pp.38-57, 1997-09
著者
清水 龍瑩 岡本 大輔 海保 英孝 古川 靖洋 佐藤 和 出村 豊 伊藤 善夫 馬塲 杉夫 清水 馨 山崎 秀雄 山田 敏之 兼坂 晃始
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.69-89, 1994-10-25
被引用文献数
1

企業の活性化,個性化は優れた企業の条件である。企業の活性化とは,企業の全経営過程に好循環が起き,企業内のすべての構成員が新しいことへの挑戦意欲をもやし,創造性を発揮している状態をいう。企業の個性化とは,他社にまねられない強みをたえず強化,拡大していくことである。このうち,企業の活性化については,過去30年間,日本企業について行った実証研究による仮説の構築と検証の繰り返しから,ある程度理論が出来上がってきた。しかしながら,個性化については未だ十分な実証研究が行われていない。そこで今回,「企業の個性化」に焦点を絞って,アンケート調査を行ってみた。我々はまず,個性化指標を作成した。議論の中で,考えうる様々な個性化現象のうち,プラスの太い効果に注目しなければ,意味が消失してしまうことが明らかになった。このような観点で,他社にまねられない幾つかの強みを合成し,指標を作成した。更に,他社にまねられない強みの強化・拡大と業績との関連を考えた。そして"個性化している企業は業績をあげている"という体系仮説を基盤として,個性化を推進する変数(トップマネジメント,人事管理方針,製品開発,主力製品,経営管理方針,財務管理方針)と個性化,業績についての多くの単称仮説を構築し,QAQF(Quantitative Analysis for Qualitative Factors)を用いて分析を試みた。調査の結果,様々な体系仮説の構築が可能になった。たとえば,"大企業では経営者の個性化が企業業績の向上に貢献し,中堅企業では製品の個性化が企業業績の向上に貢献する","現在の日本企業では,技術,市場について個性的な戦略をたて,経営管理を行っている企業は高い業績をあげている"などである。もちろんこれら体系仮説が理論にまでなるには,今後相当期間調査が繰り返され,仮説の構築,検証が必要となるであろう。
著者
山崎 修 森実 真 金子 淳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

パントンバレンタインロイコシジン(PVL)は黄色ブドウ球菌が産生する好中球により特異性の高い毒素で、PVL陽性の黄色ブドウ球菌はおできや市中肺炎に強く関連する。我々はPVL陽性のおできの特徴は基礎疾患のない若年者に多く、多発性で発赤が強いことを明らかにした。しかしながら、せつ腫症におけるPVLの役割は明らかではない。我々はPVLの毒素産生制御因子を解析し、PVLのケラチノサイト、線維化細胞、血管内皮細胞に与える影響について検討した。さらにせつ腫症におけるPVL変換ファージの多様性について調査した。
著者
堀内 匡 加藤 聡 山崎 真克
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,認識対象の古文書文字の字種数を限定したうえで,認識部を大分類部と細分類部に分けた階層的な識別器を用いた高精度の古文書文字認識を実現した.さらに,古文書文字認識の応用として,高精度の認識手法を用いて,初心者が読解困難な文字に対する読みの候補文字を複数個提示することにより古文書読解を支援するシステムを構築した.
著者
吉田 雅治 天海良治 山崎 憲一 中村 昌志 竹内 郁雄 村上 健一郎
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.98(1995-ARC-114), pp.17-24, 1995-10-19

記号処理システムの核となるプロセッサSILENTのアーキテクチャ,実験機構成,及び簡単な性能評価について述べる.SILENTは記号処理のみならず,知能ロボットやコンピュータグラフィックス等の分野への適応も考慮し,画像生成計算機SIGHT?2で提案したTARAI演算器と密結合マルチプロセッサを構成することを前提としている.SILENT?CPUは0.7μCMOSゲートアレーで作成した.LSIの回路規模は97kgates,33MHzで動作している.SILENTアーキテクチャの性能評価のために実験機を作成し,マイクロプログラムでLispの処理系を実装した.関数呼び出しのオーバーヘッドを計測するtarai関数の実行時間を比較したところ,SILENTはELISの10倍以上の性能を得た.
著者
湊 太郎 宮内 宣宏 山崎 正一 佐藤 義夫 福江 正治
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.181-186, 2006 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10

本研究では, 大阪湾の湾奥に位置する尼崎港と尼崎運河において行った実証実験の結果をもとにして, 海水浄化船による水質汚濁物質の削減の可能性について検討した. その結果, 海水中のSSの中で粒状態有機物の占める割合が大きいほど, 海水浄化船を稼動させてSSを除去することによって, 海水中から水質汚濁物質である有機物を除去することが可能であるということが判明した. また, 植物プランクトンは, 海水中に溶存する無機栄養塩類を取り込み固定している. つまり, SSとして植物プランクトンをより多く除去することができれば, それに伴って海水中の栄養塩類の濃度をある程度まで低減させることが可能になると思われる. これらのことから, 大阪湾の湾奥のように, 植物プランクトンが大規模に増殖する海域では, 海水浄化船によるSSの除去に伴う水質改善が, より効果的に行われると考えられる.
著者
山崎 徹 足立 大樹 藤田 和孝 網谷 健児 三浦 永理 早乙女 康典
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

ナノ結晶合金やアモルファス合金は高強度材料ではあるが、塑性変形中の加工硬化は生じない。このため、引張や圧縮変形時には塑性伸びを殆ど生ずることはなく、局所的なせん断帯を生じて脆性的に破壊し、これが、これら高強度合金の実用化への大きな障害となっている。本研究では、電解析出法によりナノ結晶相とアモルファス相の複合組織を有するNi-W合金を作製し、塑性変形誘起のナノ結晶粒成長を利用した加工硬化性の発現と高延性化を実現できた。さらに、アモルファス構造を有するZr基金属ガラスに貴金属を添加することにより、塑性変形誘起のナノ準結晶相の析出を促進させ、加工硬化性を発現させることができた。
著者
立花 陽明 後藤 建 山崎 克彦 二ノ宮 節夫
雑誌
関節鏡 (ISSN:0910223X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.199-202, 2003-10-29
被引用文献数
3
著者
山崎 由大
出版者
一般社団法人日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 = Journal of the Japan Institute of Energy (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.1019-1025, 2005-12-20
被引用文献数
5

This report introduces five biomass gasification power generation plants in Europe, three nations, Switzerland, Austria and Germany, where the author visited November 2004. PYROFORCE in Switzerland used fixed bed gasification system with 200kW GE-Jenbacher gas engine. This gasification system promotes very little tar even as a fixed bed gasifier because of optimization of shape of reactor and airflow. Gussing in Austria uses internally circulating fluidized-bed gasification system. Characteristic of this system are to promote medium calorific gas because of using steam and to use combustion heat efficiently for gasification. This plant is equipped with 2000kW GE-Jenbacher gas engine. Electricity is sold for homes and factories, heat is supplied to regional heating system in the city. Future Energy GmbH and CHOREN GmbH in Germany operate the entrained bed gasification system. In Future Energy, there are three type entrained bed gasification systems for fuel types. CHOREN has established Carbo-V system with entrained bed with the charcoal fire pit. All of plants use woody biomass. Thus, the author thinks it difficult to transfer European techniques to Japan without modifications because of different surroundings. It is also needed to develop not alone technology, but policy to adopt biomass generation in Japan.