著者
井上 健 岩城 明子 黒澤 健司 高梨 潤一 出口 貴美子 山本 俊至 小坂 仁
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.435-442, 2011 (Released:2014-12-25)
参考文献数
16

先天性大脳白質形成不全症は, Pelizaeus-Merzbacher病 (PMD) を代表とする主に遺伝性の原因により大脳白質の髄鞘形成不全を特徴とする疾患群の総称である. これまでPMD以外の疾患については, 臨床および分子遺伝学的な分類が困難であった. しかし, ここ数年で新たな疾患概念の確立や疾患遺伝子の同定が進み, PMD以外の先天性大脳白質形成不全症に関する多くの知見が明らかになった. これらを加味した先天性大脳白質形成不全症の診断基準や疾患分類は, 臨床上有用と思われる. 本稿では, 先天性大脳白質形成不全症に関する研究班による成果による新たな診断基準や, この疾患群に含まれる11疾患の鑑別診断のためのフローチャートを含む疾患分類を中心に, 先天性大脳白質形成不全症に関する最新の知見をまとめた.
著者
山本 俊策 二之宮 謙一 合志 光平 牟田口 滋 佐々木 大 坂本 悠磨 蛯原 宗大
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.447-448, 2021-09-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
5

【緒言】手指粘液嚢腫に対する手術治療は嚢腫を切除し,皮膚欠損部に皮弁形成術を行うのが一般的である.近年,嚢腫の原因となる関節包と骨棘を切除する手術治療が報告されており当院もこの方法を実施しているので報告する.【対象】2012年4月から2018年11月までに手術治療を行った25例で,男性2例,女性23例,平均年齢73歳(51-84歳)平均経過観察期間18ヶ月(12-84ヶ月)罹患指は母指4指,示指8指,中指8指,環指4指,小指1指であった.【結果】再発は認めなかった.【まとめ】嚢腫の切除は行わず,関節包および骨棘切除を行い良好な結果が得られ有用な方法と考えている.
著者
堀内 茂木 上村 彩 中村 洋光 山本 俊六 呉 長江
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.399-406, 2007 (Released:2010-06-25)
参考文献数
20

緊急地震速報は,大きな揺れが到着する前に,震源とマグニチュードを配信し,地震災害の軽減を目指すものである。我々は,緊急地震速報を実用化させることを目的として,防災科学技術研究所のHi-net他約800点のリアルタイム地震観測データを利用して,P波が観測されてから数秒間で信頼性の高い震源を決定するシステムの開発を行った。このシステムは,P波到着時刻の他に,P波が到着してないという情報を不等式で表すことにより震源決定を行っている。この手法の利点は,到着時刻データの中にノイズや別の地震のデータが混入した場合,残差の小さい解が存在しなくなり,ノイズ等の混入を自動的に検出できる点である。本研究では,ノイズ等のデータが混入した場合,それを自動的に除去するアルゴリズムを開発した。また,2個の地震が同時に発生する場合の解析手法を開発した。その結果,99%の地震について,ほぼ正確な情報が即時的に決定できるようになった。このシステムは,気象庁にインストールされ,緊急地震速報配信の一部に利用されている。現在の緊急地震速報には,約30km以内の直下型地震に対応できない,震度推定の精度が低いという課題があるが,地震計を組み込んだ緊急地震速報受信装置(ホームサイスモメータ)が普及すると,これらの課題が一挙に解決されると思われる。
著者
靍久士 保利 金田 聡 飯田 明彦 内藤 哲也 池田 理恵 中澤 保子 若林 由紀子 山崎 明 山本 俊文
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.183-187, 2021 (Released:2022-01-25)
参考文献数
7

症例は2カ月男児.腸回転異常症・中腸軸捻転で,回盲部は残存するが残存小腸が30cmの短腸症候群となった.馴化期に入った後も,連日10回以上の排便,夜間に2~3時間ごとの排便があった.患児は体重増加が停滞し,頻便によるおむつ皮膚炎が増悪した.また,家人も頻回のおむつ交換で睡眠時間が確保できず,QOLが低下したため,以下の栄養管理の工夫を行った.①グァーガム分解物(partially hydrolyzed guar gum;以下,PHGGと略)の投与,②経管栄養剤や投与方法の検討,③五苓散の使用である.今回これらの3つの工夫を含めて5期に分類し,排便回数および夜間排便回数を比較検討したところ,probioticsとPHGGの併用,成分栄養剤とPHGGの混合液の持続投与に五苓散,離乳食を併用することで便性の改善と良好な体重増加が得られた.特に夜間排便回数が減少したことは,患児・家人のQOL改善につながったと考えられた.
著者
山本 俊幸
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.7, pp.1665-1670, 2022-06-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
14

本邦におけるサルコイドーシスの皮膚病変の分類では,特異疹,非特異疹とは別に瘢痕浸潤が記載されてきた.これに対し海外では,瘢痕浸潤という考え方を独立させずに,サルコイドーシス患者の陳旧性瘢痕が隆起してきたものはscar sarcoidosisとして特異疹に含めている.本稿では,これまでの考え方を振り返り,瘢痕浸潤はscar sarcoidosisと同一と考えてよく,本邦においても従来の瘢痕浸潤は特異疹と別扱いせず特異疹の一つのタイプに含めるという考え方を紹介し,いくつかの問題点についても言及した.
著者
山本 俊介 佐藤 栄治 中山 義紀 菅野 高弘 田邊 俊郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.693, pp.131-144, 2001 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1

コンテナ埠頭岸壁等に設置されるコンテナクレーンの地震時の挙動として, 脱輪現象が兵庫県南部地震等で確認されている. コンテナクレーンは構造形式により脱輪を起こすと転倒することも確認されている. また, 脱輪を起こさない場合でも脚部の変形・座屈により使用不能となった例が多い. 一方, クレーンを有する岸壁基礎に対しても地震時にクレーン荷重の与える影響は大きいものと推測され, さらに, クレーンが脱輪する場合はその衝撃荷重が作用するものと考えられる. そこで, 本研究では1/15縮小模型による振動台実験を行い, 地震時のクレーン脱輪現象等の影響を確認したうえでコンテナクレーンの免震化を提案し, クレーン本体, クレーン基礎に対する耐震性能の向上を確認した.
著者
三輪 富生 山本 俊行 森川 高行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.793-798, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究は、名古屋市における自転車利用実態を把握し、より良い自転車走行空間の導入とネットワーク化の計画手法を提案することを目的としている。初めに、自転車利用者の経路選択行動に関するアンケート調査を実施し、道路環境が経路選択行動に与える影響を分析する。また、仮想の自転車走行空間に対する利用意向についても調査し、今後、自転車走行空間が整備された場合に起こりうる行動変化を表現可能な行動モデルを構築する。さらに、これを組み込んだ統合均衡モデルを構築し、自転車走行空間ネットワークの整備と交通行動変化の関係について分析を行う。これらの結果、自転車走行空間が整備されても、交通手段選択の変化を大きくないこと、自転車利用経路の変更は大きく、結果として歩道上の安全性確保が今後の課題となりうることを示した。
著者
山本俊一著
出版者
本の泉社
巻号頁・発行日
2003
著者
山本 俊二
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.326-337, 1969
被引用文献数
6
著者
藤井 聡 米田 和也 北村 隆一 山本 俊行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.15, pp.489-497, 1998

本研究では, セミマルコフモデルを適用し個人の通勤手段の連続時間軸上での遷移過程を再現する行動モデルを構築し, このモデルの未知パラメータを, 複数の離散断面で実施されたパネル調査で得られたデータに基づいて推定した. 推定計算の結果, 通勤者が通勤手段としてCarpoo1を連続して利用し続ける期間は短い, すなわち, Carpoolを通勤手段として利用するという状態は他の交通機関を利用するという状態に比べて不安定であることが分かった. また, 機関別の移動速度が利用手段に影響を及ぼしていることも示された. 構築したモデルに基づいた集計化分析からは, 本研究で提案した動的な行動モデルを用いることで, 均衡状態の成立も含めたシステム全体の挙動についての解析が行える可能性があることが分かった. それとともに, 通勤手段シェアでさえも, 現状と均衡状態との間には大きな乖離がありうることが示された.
著者
山本 俊行 YAMAMOTO Toshiyuki 北村 隆一 KITAMURA Ryuichi 熊田 善亮 KUMADA Yoshiaki
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.667, no.50, pp.33-40, 2001-01

業務トリップは、通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや、複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ。本研究では、トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した、業務トリイプの経路・出発時刻選択モデルを構築した。出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い、連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した。路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ、および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した。さらに、出発時刻や経路、立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を産出し、モデルの挙動を確認した。Unlike commute trips, business trips are generated throughout business hours, and several destinations tend to be visited in a trip chain. In this study, a route and departure time choice model for a business trip chain is developed based on the hypothesis that the trip chain is made so as to minimize the total cost, including costs associated with other business activities before and after the trip chain, as well as costs associated with travel time, toll fees, and the probability of being late. The empirical analysis is carried out using a data set obtained from a survey of business trip drivers. The properties of the estimated model are examined on a sample case
著者
山本 俊郎
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.p49-58, 1979-01

単純子宮全剔術を行った患者につき,手術前後数日間に亘り血中LH,FSH,PRL,ACTH,Cortisol,Estrone(Eo),Estradiol(Ed),Progesterone(P)濃度を同一検体からRIA法により測定した.また去勢婦人にACTHあるいはEstrogenを投与しその前後の血中Steroid,PRL濃度を測定した.これらより以下述べる成績を得た.1)卵胞期には,開腹4時間後の血中Gonadotropin(G)が減少した.2)卵巣保存例の術後30日目の血中Ed,Pは前進に復した.3)黄体期をのぞき,手術直後の血中Eoに減少傾向を見た.4)手術後1日目から血中Ed,Pは減少傾向を示した.5)手術直後の血中Pは上昇し,卵巣剔出直後に於いても一過性に42%増加した.6)ACTH負荷後,6時間後の血中Colitisol,Ed,P,Pregnenolone,DHEAは何れも前値の2.3~8.3倍に上昇した.7)手術直後,PRLは2.7~4.2倍に上昇し,翌日は前値を復した.特に黄体期の増加率が著しかった.8) Estrogen投与後のPRLは1.7倍と有意に上昇した.以上の成績から次の事柄が示唆された.[○!1]GとACTH間には,手術のStressによる分泌のShift減少が存在する.[○!2]手術後,Eo,Ed,Pが減少するのはG分泌抑制と,卵巣に流入する子宮卵菅側吻合枝の遮断で一過性に卵巣機能低下を来す為である.[○!3]手術直後は一過性のACTH分泌亢進に起因する副腎性P増加がある.[○!4]PRLはStressに対し一過性の急激な分泌亢進を示し,またEstrogenなどの作用で徐々に分泌増加を来す.
著者
津野 靖士 明田川 保 山中 浩明 翠川 三郎 山本 俊六 三浦 弘之 酒井 慎一 平田 直 笠原 敬司 木村 尚紀
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.5_102-5_116, 2012
被引用文献数
7

2011年東北地方太平洋沖地震の本震と余震の強震記録を用いて、首都圏および周辺地域に於ける周期2秒以上の地震動特性とサイト増幅特性を評価した。約650点の本震記録を用いたPGVとPGAから地震動が首都圏で複雑な分布を示すこと、擬似速度応答スペクトル分布から川崎~品川付近の東京湾沿岸部で周期2秒と3秒の速度応答が極めて大きいことが分かった。地表/地中の速度応答スペクトル比から算出したサイト増幅特性は、周期3秒以上の地震動に対して震源の位置に依存し、首都圏およびその周辺地域では東北地方の地震よりも長野県北部や静岡県東部の地震による地震動が大きく増幅されることが分かった。
著者
佐藤 義彦 土師 岳 叢 花 潘 儼 上田 恵理子 間瀬 誠子 山本 俊哉 山口 正己 廬 春生
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
植物遺伝資源探索導入調査報告書 = Annual report on exploration and introduction of plant genetic resources (ISSN:24347485)
巻号頁・発行日
no.23, pp.137-151, 2007-11

A survey for the distribution, utilization and conservation of fruit tree genetic resources was conducted in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District of China in cooperation with scientists of Xinjiang Academy of Agricultural Sciences from September 2 to 10, 2006. The abundance and diversity of the pear and stone fruit were observed in the region visited. Local varieties and seedlings of peach (Prunus percica ) and Xinjiang peach (P. ferganensis ) were observed in the region surveyed. Local variety 'Suan Mei', which is thought to be P. domestica , is cultivated in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District. Local varieties of three Pyrus species, P. × bretschneideri, P. armeniacaefolia and P. communis and their interspecific hybrids are distributed mainly in south-western part of Xinjiang Uygur Autonomous District. Besides these three species, P. betulaefolia is used as rootstock for Pyrus. But the diversity of these local varieties is rapidly declining with the spread of commercial cultivars that were introduced from other provinces. Analyses for genetic diversity of pear and stone fruits based on molecular markers were carried out.