著者
杉山 貢 徐張 嘉源 山中 研 Keiichi WATANABE 施 清源 山本 俊郎 門口 幸彦 片村 宏 佐藤 芳樹 土屋 周二
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.2129-2133, 1986 (Released:2011-03-02)
参考文献数
22

胃切除後の107例に対して無選択的にmicrodensitometry法による骨塩量の測定を行い, 胃切除後骨障害の発生頻度をまたCa infusion試験によりその病態を研究した.胃切除後骨障害の発生率は38%であり, 術後5年以上経過すると, 胃全摘後では62%に, 胃部分切除後では55%に骨代謝異常を認めた.胃切除後, 骨障害度の初期になるのにかかる期間は胃全摘後で1年6ヵ月, 胃部分切除後では5年であった.Ca infusion試験によると, 胃切除後の骨障害例とくに重症例の多くは, Nordinの基準による28%以下で骨軟化症を呈していた.
著者
安藤 章 森川 高行 三輪 富生 山本 俊行
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.907-912, 2007-10-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

ロードプライシングは、渋滞問題を解決する最も有効な政策のひとつと考えられているが、合意形成の困難さゆえ、国内での導入実績は皆無であるし、また海外においてもロンドン、シンガポールのように限定的なものになっている。筆者らは、受容性の高い新型ロードプライシングとして駐車デポジットシステム(PDS)を提案している。従来のロードプライシングとPDSの需要面の相違を把握するため、2006年秋に名古屋都心来訪者を対象としたアンケート調査を実施した。本研究は、このデータを用いて、ロードプライシングに対する地域住民の意識構造を解明するとともに、賛成派・反対派の意識構造の相違を明確にすることで、合意形成戦略の視点を明らかにした。最後に、この意識構造方程式を用いて、ロードプライシングと比較した場合のPDSの有効性を検証した。
著者
堀内 茂木 上村 彩 中村 洋光 山本 俊六 呉 長江
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.399-406, 2007

緊急地震速報は,大きな揺れが到着する前に,震源とマグニチュードを配信し,地震災害の軽減を目指すものである。我々は,緊急地震速報を実用化させることを目的として,防災科学技術研究所のHi-net他約800点のリアルタイム地震観測データを利用して,P波が観測されてから数秒間で信頼性の高い震源を決定するシステムの開発を行った。このシステムは,P波到着時刻の他に,P波が到着してないという情報を不等式で表すことにより震源決定を行っている。この手法の利点は,到着時刻データの中にノイズや別の地震のデータが混入した場合,残差の小さい解が存在しなくなり,ノイズ等の混入を自動的に検出できる点である。本研究では,ノイズ等のデータが混入した場合,それを自動的に除去するアルゴリズムを開発した。また,2個の地震が同時に発生する場合の解析手法を開発した。その結果,99%の地震について,ほぼ正確な情報が即時的に決定できるようになった。このシステムは,気象庁にインストールされ,緊急地震速報配信の一部に利用されている。現在の緊急地震速報には,約30km以内の直下型地震に対応できない,震度推定の精度が低いという課題があるが,地震計を組み込んだ緊急地震速報受信装置(ホームサイスモメータ)が普及すると,これらの課題が一挙に解決されると思われる。<br>
著者
山本 俊樹 津田 博史 ヤマモト トシキ ツダ ヒロシ Yamamoto Toshiki Tsuda Hiroshi
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-40, 2015-04

観光産業は、日本の主要産業であるが、平成18年度に旅行消費額が30兆円に至ったものの、平成22年度は、約24兆円へと低下した。そのため、日本政府は、観光産業の活性化を図るため「平成28年度までに国内における旅行消費額を30兆円に拡大する。」という観光立国推進計画を平成24年3月30日に発表した。一方、昨今、ネット社会が急速に広がる中、cyber worldを利用したビジネスが急速に拡大してきており、観光産業においても例外ではない。ここ最近では、各旅行会社が企画・運営している旅行プランに満足できず、旅行会社に企画してもらうのではなく、自分で旅行プランを立てる人の数が増加してきている。このような人々は個人旅行者と呼ばれ、個人旅行者の多くはインターネットを利用して宿泊場所や宿泊プランの予約を行いつつある。今後のIT産業の発展を考慮に入れると、このようにインターネットを通して宿泊予約をする個人旅行者の数が増加することが予想される。そこで、本研究では、世界的な観光都市である京都の宿泊施設に焦点を当てた。京都を訪問する観光客は個人旅行者の割合が多いのが特徴である。Webサイトから収集した京都市内の宿泊施設の宿泊プランの空室数と価格のデータを用いて、京都市内の宿泊施設の客室稼働率と経済規模を日次で推定することを試みた。推定した客室稼働率と経済規模から季節変動や曜日効果などを見出したと共に、京都駅からの距離や宿泊施設の規模などで宿泊施設を分類することにより、新しい知見が得られた。Tourism is a key industry in Japan. However, although domestic travel expenditure reached 30 trillion yen in fiscal 2006, it subsequently declined to approximately 24 trillion yen in fiscal 2010. For this reason, on March 30, 2012, the Japanese government announced a tourism nation promotion plan to stimulate the tourism industry with the objective of increasing domestic travel expenditure to 30 trillion yen by fiscal 2016. At the same time, the rapid spread of the Internet in society has brought a rapid expansion of business conducted utilizing the cyber world, with the tourism industry being no exception. In recent years, the number of people who are not satisfied with tours planned and operated by travel agencies and who construct their own travel plans instead of relying on travel agencies has been increasing. Many of these people, called free independent travelers, are using the Internet to book lodgings. Taking into account future developments in the IT industry, an increase in the number of such individual travelers is expected. Accordingly, the present study focuses on lodging facilities in Kyoto City, a global tourism destination. A large proportion of the tourists who visit Kyoto are individual travelers. Using data on the number of room vacancies and prices for accommodation packages at lodging facilities in Kyoto City collected from websites, we estimated the daily occupancy rates of lodging facilities and the economic scale of Kyoto City. From these estimates, we could also gain such information as seasonal variations and day-of-the-week effects. Additional information was obtained by classifying lodging facilities according to factors such as their distance from Kyoto Station and the number of rooms of lodging facility.
著者
河尻 陽子 金森 亮 山本 俊行 森川 高行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_487-I_500, 2014
被引用文献数
2

各都市でカーシェアリングサービスの拡充が進んでいるなか,本研究では名古屋市を中心に事業展開されているカーシェアリングの利用実態の把握を目的に,運営管理データを分析する.用いた運営管理データは数カ月間の車両GPSデータや予約データであり,利用車両軌跡の追跡による利用目的の把握,クラスター分析による利用パターンの把握,地域特性を考慮した利用目的判別モデル(決定木)を構築する.分析結果から名古屋のカーシェアリングは男女で利用パターンが異なること,利用直前の予約が多いこと,私事目的での利用が最も多いこと,を明らかにした.
著者
稲垣 俊明 山本 俊幸 新美 達司 橋詰 良夫 水野 友之 稲垣 亜紀 小鹿 幸生
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.172-177, 1995-03-25
被引用文献数
1 2

113歳で生存中の高齢者のなかで日本最長寿者になり, 現在115歳 (1994年9月時) で生活中の女性例の臨床病態について検討した結果を報告した. 社会医学的な面では, 遺伝的因子の関与, 食事は偏食がなくバランス良くとり, タバコ・酒はたしなまず, 睡眠は充分にとり, 青壮年期は農業に従事し, 老年期ではラジオ体操などの適度な運動を行っていた. 精神心理学的, 老年者の総合的機能評価法では, 性格は執着性であり, 107歳まで日常生活動作能力はほぼ自立し, 明らかな痴呆がみられなかった. 医学的には, 血圧は時々一過性の高血圧を示したが, 心電図は完全右脚ブロックであり, 超音波心臓検査は左室機能が保たれており, 末梢血および生化学検査値は赤血球数, ヘモグロビン, ヘマトクリット, アルブミンが軽度の低下, 尿素窒素が軽度の上昇を示したが, 免疫系を含めた他の検査値は正常範囲内であった. 本例は109歳以降, 頻回に呼吸器感染症 (主に肺炎), 尿路感染症を併発しているが, 附属病院に入院し, 適切な医療を受けたことが長寿達成に重要な役割を果しているものと考えられた.
著者
北村 隆一 山本 俊行 神尾 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.171-180, 1999
被引用文献数
1

本研究では世帯の交通エネルギー消費量, 通勤交通機関, 自動車保有台数, 通勤距離を内生変数とする構造方程式モデルを1990年京阪神パーソン・トリップ調査結果を用いて推定し, 世帯の交通エネルギー消費性向に考察を加えると同時に, このモデルを土地利用政策のエネルギー消費削減効果の分析に適用している. モデルの推定結果は, より高密度で職住近接型の土地利用を推進することにより世帯の交通エネルギー消費を削減することが可能であることを示唆している. しかしながら, 既に高密度・混在型の土地利用が展開し自動車利用率が比較的低い京阪神都市圏で世帯交通エネルギー消費の大幅な削減を図るとすれば, 都市圏外延部に居住し長距離通勤を行う世帯を対象とする土地利用政策が必要となることを本研究の結果は示唆している.
著者
菊池 輝 山本 俊行 芦川 圭 北村 隆一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.503-508, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

本研究では, 従来より用いられてきたゾーンシステムにおける問題点に着目し, 空間表現技法として直交座標系でトリップ目的地点を表現する座標システムを用いた目的地点選択行動の再現手法を開発した. 巨大となる目的地選択肢集合に対処するため, MCMC法を適用することで効率的なサンプリングを行った. 仮想的な領域を想定したシミュレーションの再現値は, 設定した効用関数より算定した理論値とほぼ一致し, 本研究による計算法の妥当性を確認した. また京都市中心部を対象としたシミュレーションにおいても, 推定したパラメータの影響を反映する再現値が得られ, 目的地選択行動の再現方法として有用な手法であることが示された.
著者
森谷 茂樹 岩波 宏 古藤田 信博 髙橋 佐栄 山本 俊哉 阿部 和幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.279-287, 2009-07-01
被引用文献数
1 29

カラムナータイプリンゴの育種を進展させるため,ゲノム上の <i>Co</i> 周辺領域について連鎖地図を構築し,実際の育種においてカラムナータイプの実生を正確かつ効果的に選抜できる DNA マーカーを同定した.3つのマッピング集団においてリンゴ第10連鎖群の連鎖地図を構築し,2つの集団,'ふじ' × 8H-9-45 と'ふじ' × 5-12786 において <i>Co</i> がマッピングされた.<i>Co</i> 近傍にマップされた DNA マーカーである SCAR<sub>682</sub>,SCAR<sub>216</sub>,CH03d11,Hi01a03 について,カラムナータイプの33品種・系統と,カラムナータイプではない日本のリンゴ育種における7つの祖先品種のマーカー遺伝子型を決定した.Hi01a03 の 174 bp の増幅断片は全てのカラムナータイプ品種・系統および'旭'で検出されたが,その他の祖先品種では検出されなかった.SCAR<sub>682</sub> の 682 bp,CH03d11 の 177 bp の増幅断片は1系統を除く全てのカラムナータイプ品種・系統および'旭'において検出されたが,その他の祖先品種群では検出されなかった.また,18 交雑組合せから得られたカラムナータイプ個体全 170 個体において,<i>Co</i> 近傍にマップされたマーカーを検出した結果,SSR マーカー CH03d11 の 177 bp のアリルが全ての個体で検出されたことから,CH03d11 が <i>Co</i> と最も近接するマーカーと考えられた.これらの結果より,CH03d11 がマーカー選抜においてカラムナータイプとカラムナータイプでない個体を区別する最も信頼できるマーカーであると考えられた.5-12786 などの,果樹研究所における現在最も改良の進んだ 2 つのカラムナータイプ選抜系統は,いずれもカラムナー性の起源品種'Wijcik'に由来する CH03d11 の 177 bp と Hi01a03 の 174 bp(<i>Co</i> 連鎖アリル)を保持していることから,育種プログラムにおいてこれらの系統をカラムナータイプの交雑親として用いる際は,CH03d11 と Hi01a03 によってカラムナータイプ個体を効率的に選抜することが可能となる.<br>
著者
鈴木 幹三 岸本 明比古 山本 和英 足立 暁 山本 俊幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1004-1010, 1986

Ceftizoxime500mg (力価) を含有する新規の抗生物質坐剤CZX-Sの高齢者における体内動態および尿路感染症に対する有効性・安全性について検討し, 次の成績を得た。<BR>1) CZX-S500mg1回投与後の血清中濃度の平均は投与後30分で0.93μg/ml, 1時間で1.31μg/ml, 6時間後は0.40μg/mlであり, 半減期3.02時間であった。<BR>2) 尿中濃度は0~2時間37.9μg/ml, 2~4時間86.8μg/ml, 4~6時間43.0μg/mlであり, 投与後6時間までの平均尿中回収率は2.15%であった。<BR>3) 臨床成績は有効9例, やや有効2例で, 有効率81.8%であった。<BR>4) 細菌学的効果では, 13株中7株が菌消失し, <I>E.coli, E.aggiomerars</I>などに有効であった。<BR>5) 副作用は認められず, 臨床検査値異常は, 好酸球増多2例であった。<BR>以上の成績より, CZX-Sは抗生物質の経口または静脈内投与に制約・困難が伴う高齢者の尿路感染症に対し有効な薬剤と考えられた。
著者
山本 俊明 瀧本 義彦 寺川 仁 山田 容三 藤井 禧雄 佐々木 功
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.p247-257, 1986-01
被引用文献数
1

本研究は林業機械作業における作業者の生理負担に関する研究の一環として最近特に機械化が進んでいる枝打ち作業について作業者の作業中の生理負担について調査したものである。調査を行なった場所は京都大学農学部付属和歌山演習林内, 11林班ヒノキ人工林, 7林班スギ人工林である。作業者は演習林職員1名, 作業員2名の計3名で, 枝打ち機械による作業とナタとハシゴによる手作業について作業中の心拍数を心拍メモリ装置を使って測定し生理負担を推定した。この他, 1時間当りの枝打ち本数についても調査した。作業者の作業中の生理負担の推定は, 各作業者の作業中の心拍数を踏み台昇降運動 (ステップテスト) の物理仕事量に換算し, しかる後次式によりエネルギ一代謝量 (Kcal/分) を推定した。エネルギ一代謝量 (Kcal/分)=0. 0163×体重 (Kg)×台高 (m)×昇降回数 (回/分)+安静時エネルギ一代謝量 (Kcal/分) 結果, 作業中平均心拍数と1時間当りの枝打ち本数は, 手作業の場合ヒノキで77. 2 - 115. 3拍/分, 15. 6 - 27. 9本/時, スギで92. 0 - 111. 0拍/分, 11. 3 - 18. 1本/時, 機械作業の場合, ヒノキで81. 2 - 122. 5拍/分, 13. 6 - 15. 4本/時, スギの場合, 77. 6 - 112. 8拍/分, 9. 6 - 12. 8本/時, の範囲であった。作業中の生理負担については, はっきりした傾向はみられないが, 6. 0Kcal/分 - 7. 0Kcal/分の間であると推定出来る。
著者
津田 博史 多田 舞 山本 俊樹 一藤 裕 曽根原 登 椿 広計
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.442-451, 2013-12-07 (Released:2014-02-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究の目的は,地域観光の政策実行主体である自治体やホテルなどの宿泊施設事業者が,データに基づいた合理的な観光政策,事業経営を実施するための情報収集・データ解析理論,方法を研究することである.本研究では,Webサイトから収集したホテル空室データや観光情報を用いて,日次で宿泊施設の稼働率を推定し,また,宿泊施設であるホテルの人気の要因を分析した.今回の研究目的の1つ目として,京都市の観光政策の経済波及効果を捉えるために,京都市内のホテルの客室稼働率を推定することとした.2つ目の目的として,人気ホテルの要因を解明することとした.実証分析結果により,京都市内のホテルの客室稼働率,および,ホテルの人気の要因に関して新しい知見が得られた.
著者
竹之下 秀雄 山本 俊幸 藤山 幹子 橋本 公二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.476-482, 2009-11-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

59歳,女性。非定型精神病のためカルバマゼピンが処方され,約1か月後に発熱と皮疹が出現した。当科初診時,38°C台の発熱,全身性に浮腫性の播種性紅斑丘疹型の皮疹がみられ,紅皮症状態を呈し,頸部リンパ節が腫脹し,肝機能障害もみられた。初診の3日目には急性汎発性発疹性膿疱症様状態となった。プレドニゾロン50mg/日の全身投与を開始し,徐々に改善傾向を示した。経過中,軽度の膵炎を発症したが治療の必要はなかった。ヒトヘルペスウイルス6型DNAが,全血中より2期間にわたって検出され,この期間は,血清中のアミラーゼ値とリパーゼ値の上昇期間と一致していた。以上より本例を,経過中に急性汎発性発疹性膿疱症を呈し,膵炎を発症したカルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群と診断した。
著者
山本 雅史 高田 教臣 山本 俊哉 清水 徳朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ナシにおいて原品種と同じ遺伝子型を備える葉を材料とした染色体分析法を開発した。幼葉を材料とした酵素解離法による最適条件は、酵素組成が4%セルラーゼオノズカRS、1.5%マセロザイムR200および0.3%ペクトリアーゼY-23、37℃、60~75分であった。ニホンナシ黒斑病のナシにおける本病因遺伝子座の染色体上の位置を検出した。この領域を含むBACクローンを用いたFISHを行ったところ、2本の染色体の端部にシグナルが観察できた。ナシと同じくバラ科ナシ亜科に属するリンゴの染色体構成をナシと比較した。両者の染色体構成は極めて類似していた。