著者
山田 高誌
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.No.5, 2018-03-31

本論文は, 18世紀後半のナポリの諸劇場と関わりをもった作曲家, 台本作家, 演奏家, それぞれの待遇の経年変化, キャリアの変化について, ナポリ銀行歴史文書館所蔵, 興行師による支払い文書史料113点の支払い文書全訳とともに, その労働条件, 職務を解明するものである.
著者
宮丸 友輔 江村 伯夫 山田 真司
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.625-637, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
29

ポピュラ音楽のノリは総じてグルーヴ感と呼ばれ,これは演奏音の時間的逸脱や音の強弱といった演奏上の操作によって表現されることが知られている。しかしながら,グルーヴ感の多様性や,それらと演奏上の操作との定量的関係について明らかにした報告はない。本論文では,種々のグルーヴ感に関連する音楽様式や印象について問うアンケート調査を実施することにより,グルーヴ感がドライブ感とレイドバック感の2種に大別できることに加え,それらを表現するための奏法上の操作として,ドラムス演奏におけるスネアの打叩タイミングとハイハットのアクセント位置が重要な要素であることを明らかにしている。スネアの打叩タイミングとハイハットのアクセント位置を様々に制御した演奏音を対象とした印象評定実験を実施した結果,ドライブ感は,表拍にハイハットのアクセントを付け,スネアの打叩タイミングをジャストから10msから20ms前に逸脱させることによって最も強く感じる一方で,レイドバック感は裏拍にハイハットのアクセントを付け,打叩タイミングをジャストから20ms後に逸脱させることによって最も強く感じることを明らかにすると共に,いずれの場合においても30ms逸脱させると極端にグルーヴ感が損なわれてしまうことを示唆している。
著者
西山 昴志 當間 愛晃 赤嶺 有平 山田 孝治 遠藤 聡
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2020-CVIM-220, no.4, pp.1-3, 2020-01-16

日本においてアニメの歴史は長くそれに伴い様々な変化を経ている.例えば 1980 年代はセルアニメーションの作品が多かったが,現在ではコンピュータの発展に伴い,ほとんどがコンピュータアニメーションとなっている.製作方法の変化や技術の発展に伴い,アニメ作品の画風 (絵タッチ,背景,色合い等) も同様に変化していると考えられる.画風を変換する研究分野においては,芸術絵画や写真の画風を別の画風に変換する方法が提案されている.そこで,対象画像をアニメの静止画像とし,セルアニメーションが主流であった年代のアニメ画像を,現代のデジタル作画のアニメの画風に変換するタスクを考えた.本研究では,Image-to-image の手法の 1 つである CycleGAN をベースにアニメ画像の画風変換結果を報告する.
著者
廣瀬 正幸 平川 昭彦 中野 裕子 田島 康介 山田 成樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.702-706, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
17

目的:一般用医薬品による急性薬物中毒の現状と地域の薬剤師や薬局の問題点を検討する。方法:過去8年間に一般用医薬品を過量服薬した86例を対象に,年齢・性別,製剤の種類,患者数の推移,致死量摂取例の成分について検討した。また,販売者である地域の薬剤師50 名にアンケート調査を行い,薬剤師や薬局の問題点について調査した。結果:患者数の割合は年々増加傾向であり,総合感冒薬の摂取が29%ともっとも多く,致死量に達した成分別ではカフェインが46%であった。アンケート調査では「流行している中毒やその対応方法などの情報を入手する機会がない」と回答した薬剤師は78%であった。結論:一般用医薬品による薬物中毒患者は増加傾向であり,さまざまな対策が必要である。救急常駐薬剤師と地域の薬剤師との連携は,過量服薬の防止につながると考えられ,中毒患者への対応・対策が病院の救急領域だけでなく,地域社会にも広がることを期待したい。

27 0 0 0 OA 剣道集義

著者
山田次郎吉 著
出版者
水心社
巻号頁・発行日
vol.続, 1923
著者
坪木 和久 伊藤 耕介 山田 広幸 中山 智喜 篠田 太郎 高橋 暢宏 新垣 雄光 大東 忠保 山口 宗彦 森 浩一 松見 豊
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

2017年度および2018年度に航空機を用いて観測した2つの台風について、ドロップゾンデデータの補正を行ったうえで解析し、台風の構造の特徴をあきらかにした。2018年台風第24号の進路予報の大外し事例を対象として観測システム実験を行った。予報精度の比較的良かった数値予報センターの解析値を疑似ドロップゾンデデータとして同化しても、予報精度の改善は見られなかった。背景場の台風渦が弱く、観測データでは台風渦を適切に修正できていないことが原因と考えられた。また、衛星搭載合成開口レーダによる海上風観測の検証として、ドロップゾンデデータによる現場観測のデータが利用可能性を調査した。2018年台風第24号に関する高解像度シミュレーションを行った。その結果、台風停滞時の顕著な台風と海洋との相互作用により、中心気圧が50hPa程度上昇し、温度と水蒸気勾配を逆転させるなど、内部コア構造の変質が起きていたことが明らかとなった。2019年8月末に名古屋大学の雲レーダを沖縄県瀬底島に設置し、台風の上層雲の観測を実施した。その後、次年度の観測のため、2020年2月末に名古屋大学の雲レーダを沖縄県与那国島に設置した。台風と豪雨の研究と国際共同研究計画について、台湾において国際ワークショップを開催し、米国、台湾、韓国、及び日本の台風研究と将来計画について情報交換と議論を行った。2018年および2019年に沖縄近海を通過した合計7個の台風について、接近時の風速とエアロゾル粒子の重量濃度の関係について調べたところ、平均風速が10 m/s増加するに従い、エアロゾル粒子の重量濃度が50μg/m3程度増加することがわかった。2019年度は、沖縄島に台風が接近した台風時を含め、継続的に大気エアロゾルを採取し、海塩および溶存有機炭素濃度を調べた。大気エアロゾル中の海塩含有量は、風速とよい正の相関を示すことが分かった。
著者
山田 彩起子
出版者
明治大学大学院文学研究科
雑誌
文化継承学論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.(57)-(66), 2007-03-23

中世前期の王家をめぐる研究の進展に伴い、当該期の不婚内親王の存在が、これまでは主に女院領及びこれに付随する追善仏事に関する研究(1)や八条院暲子内親王という個別女院に関する研究(2)の中でクローズアップされてきた。さらに最近では、中世前期における女帝の存在の可能性をめぐる研究(3)においても、不婚内親王の存在が注目されている。 当該期には、前後の時代においては天皇の配偶者(又はその経験者)や生母に付与された后や女院という身位が、不婚内親王にも付与されている。その契機は、不婚内親王が近親の天皇の母に擬されたこと(以下、天皇のかような擬制的な母を「准母」と表記する)であった。すなわち、十一世紀末の白河院政期初頭に、白河の娘で当今堀河の同母姉堤子内親王(後の郁芳門院)が堀河の母に擬され、国母という理由で后ついで女院となったことを嚆矢として、度々准母が出現し、后や女院の身位を得てゆくのである。
著者
田副 博文 細田 正洋 反町 篤行 中田 章史 吉田 光明 床次 眞司 山田 正俊
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.67, 2011 (Released:2011-09-01)

東日本大震災に伴う津波によって発生した福島第一原子力発電所事故は多くの人工放射性核種を環境中へと放出した。原子力発電所周辺に設置されたモニタリングポストの計測値も3月14日から16日にかけて非常に高い空間線量率が示しており、1号機および3号機の水素爆発による拡散が主要な放出源となっていると考えられる。放出された放射性物質は川俣町、浪江町、飯舘村のある北西方向へと輸送され地表へと沈降し、不均一に分布している。弘前大学では3月16日より住民の被ばく状況調査と環境試料の採取を行った。NaIシンチレーションサーベイメータを搭載した車両を用いて青森県から福島県にかけての走行サーベイを行うとともに南相馬市、飯舘村、浪江町を含めた福島県内の土壌・植物・水試料の採取を行った。南相馬市から採取された植物試料からは131Iや134Cs、137Csが非常に高い濃度で検出されている。また、特に高線量の地域で採取された試料からはNp-239、Ce-144、Ce-141、Ra-226、129Te、Ru-103、Nd-147、Ba-140、Sr-91、137Cs、129Tem、Zr-95、Zr-97、95Nb、Tl-206、Mn-54、Ag-110m、Y-91、La-140、Sb-124など様々な核種が検出されている。131Iを含めた短寿命の核種の多くはすでに減衰しているが、Cs-131や137Csのような比較的寿命の長い核種に関しては今後もモニタリングと動植物への取り込みに関する情報を常に監視する必要がある。Sr-90やPuのような内部被ばくにかかわる核種に関してのデータの取得は限定的であることから速やかに化学分析を行うことが求められる。弘前大学では福島市内に活動拠点を設け、今後も長期的なモニタリングを継続していくことを予定している。
著者
宮﨑 圭佑 山田 純栄 川崎 聡大
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3+4, pp.87-92, 2023 (Released:2023-07-06)
参考文献数
20

【要旨】 文字や図形の認知に課題を抱える児童の視覚認知過程の弱さが報告されている。このような視覚認知過程の問題に対して、触覚を利用した学習支援が試みられており、学術的な根拠に基づいた効果の検証が求められている。本研究では、視覚性記憶検査であるRey-Osterrieth複雑図形検査 (Rey-Osterrieth Complex Figure Test:以下ROCFT)に着目し、独自に加工した立体図版を作成して触覚学習実験を行った。触覚学習がROCFTの成績向上にどのような影響を与えるかを調べることで、視覚記憶への寄与について検討した。対象者はVision-Haptic群(V-H群)とVision群(V群)の2群に分けられた計52名の健常成人である。1回目再生課題を実施した直後に、V-H群は立体図版を「見ながら触れる」再学習を、V群は通常図版による「見る」再学習を行った。この再学習から24時間後に2回目の再生課題を実施した。ROCFTの得点を従属変数、学習方法の違いによる群と学習の事前事後を独立変数とし、二元配置分散分析を行った。さらにROCF総得点に加えて、図形を3つの下位ユニット(外部、部分、内部)に分けて、ユニットごとの得点も同じ手法で分析した。結果、2群間の交互作用が有意となりV-H群はV群よりROCFT再生成績の向上が大きいことが分かった。V-H群においては、視覚と触覚の2つの手がかりを利用することで、よりROCFの外部形状を中心とした精緻かつ具体的なイメージの形成と表出が可能になったと推測する。触覚-視覚情報の認知的統合が視覚性記憶を促進させる可能性を確かめられた。
著者
上中 理香子 川田 哲史 中村 嶺 山田 実季 佐山 皓一 宇野 彩 伊藤 秀彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.645-651, 2016-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
20

目的:ビグアナイド薬長期投与におけるビタミンB12(以下Vit B12)の低下とVit B12低下に対するメコバラミン補充療法の神経障害改善効果を調査する.方法:当院通院中の2型糖尿病患者で同薬5年以上投与群28名(登録時には全例メトホルミン(以下Met)を投与)と非投与群20名を対象に,横断研究として血中Vit B12・腱反射・振動覚を測定.Vit B12低下(≦298 pg/mL)を示す9例にはメコバラミン半年間補充前後の変化を前向きに評価した.結果:Met 1日平均投与量は950 mg(250~1500 mg).血中Vit B12濃度はMet 750 mg以下では対照と変わらないが1.5 gで有意に低値を示した.補充療法は,Vit B12低下9例中6例の振動覚や腱反射を改善させた.総括:Met 1日1.5 g以上の日本人2型糖尿病ではVit B12のスクリーニングが有用である.
著者
山田 祐樹
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.296-303, 2019 (Released:2021-02-28)
参考文献数
29

In this paper, I discussed new forms of researcher evaluation in psychological research with the view of solving the reproducibility problem. I demonstrate that the current researcher evaluation system is severely biased, rather encouraging publication of less reproducible findings with fraud or bad practices. To alleviate this bias, the proposed remedies include the limitation of duplicate awards, reputation-based individual research indicators, and clarification of contributions. In addition, the evaluation by researchers from society is also biased; therefore, spins, conflicts of interest, and public involvement in research have been raised as important issues. I hope that these discussions will be noticed by interested parties who are not interested in them.
著者
西井 貴美子 山田 秀和 笹川 征雄 平山 公三 磯ノ上 正明 尾本 晴代 北村 公一 酒谷 省子 巽 祐子 茶之木 美也子 寺尾 祐一 土居 敏明 原田 正 二村 省三 船井 龍彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.14, pp.3037-3044, 2009-12-20 (Released:2014-11-28)

大阪皮膚科医会は学校における水泳プール授業時のサンスクリーン剤使用の実態調査を大阪府下の公立学校1,200校を対象に実施したが,結果は約3割以上の学校がサンスクリーン剤使用を禁止または不要としていた.禁止の理由として水質汚染の心配が多数をしめたため,2007年夏に大阪府内の公立中学校14校の協力を得てワンシーズン終了後の水質検査を実施し,プール授業開始直後の水質と比較した.結果は文部科学省の学校環境衛生の基準に定められている6項目(pH,濁度,遊離残留塩素,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタン)のうち濁度,過マンガン酸カリウム消費量,大腸菌,トリハロメタンに関しては基準値からはずれた項目はなかった.遊離残留塩素,pHについてはサンスクリーン剤使用を自由または条件付許可の学校で基準値より低値を示す傾向にあった.統計的検討はサンプル数,各校の条件の違いでむずかしいが,定期的にプール水の残留塩素濃度を測定,管理し,補給水の追加をすれば紫外線の害を予防する目的でサンスクリーン剤を使用することに問題はないと考える.
著者
伊佐次 優一 乾 淳幸 佐藤 優 廣瀬 健太 山田 拓実
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.679-683, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症患者の膝蓋骨周囲へ筋膜リリースを実施し,膝関節屈曲可動域および膝蓋下脂肪体(IFP)の厚みの変化を検討した.〔対象と方法〕対象は膝関節屈曲可動域制限を有する高齢女性の内側型変形性膝関節症患者25例(年齢は70.9 ± 9.9歳,OA gradeは2.1 ± 1.0)とした.評価方法は介入前後に殿踵間距離(HBD)を測定し,IFPの厚みは超音波画像による短軸像にて計測した.介入方法は膝蓋骨離開リリース,膝蓋骨上方・下方リリースを各3分間実施した.〔結果〕HBDは平均14.2 cmから10.1 cmと改善し,IFPの厚みは,平均21.6 mmから20.7 mmと減少した.〔結語〕膝蓋骨周囲への筋膜リリースはHBDの改善に有効であった.IFPの厚みの変化による臨床的意義に関しては,今後さらなる検討が必要である.
著者
新野直吉 山田秀三編
出版者
毎日新聞社
巻号頁・発行日
1974
著者
山田 高誌
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.No.3, 2022-03-31

本論は、18世紀後半、ナポリを中心とするナポリ王国下でのオペラ巡業とそれらを担った人々の実態について、特にカラーブリア州コゼンツァでの1777~78年のオペラ興行の契約文書(公証人史料)、プーリア州への巡業記録を基に解き明かすものである。またイタリア現地の最新研究動向を紹介しながら、17世紀から1799年までの期間についてのナポリ王国領域内(アブルッツォ州を除くモリーゼ、カンパニア、プーリア、バジリカータ、シチリア各州)各中小都市の音楽劇上演一覧を作成、分析を行うことで、南イタリアでは聖史オペラdramma sacroという世俗的宗教音楽劇の役割が大きかったことを示し、「オペラ巡業」を広い同時代文脈の中で改めて提示する。