著者
山田 雄司
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

米国議会図書館には戦前陸軍が所有していた兵法関係書が多数所蔵されており、その中には忍者・忍術に関する重要な史料も含まれている。これら写本類は他に見られない価値の高いものが多いが、これまで目録が作成されているだけで内容については全く知られていない。本研究ではそれらの調査を行い、書誌的情報、内容の検討を行っていく。さらに一部は翻刻を行うことにより紹介し、忍者・忍術研究だけでなく兵法研究にも資する基礎的史料の提供を行う。
著者
狩野 学 手計 太一 木内 豪 榊 茂之 山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.193-198, 2004-02-01 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
4 4

The large-scale social experiment, which many citizens including media representative participated for evaluating the effects of the watering on the “Heat Island Effect”, was carried out in Tokyo Metropolitan in Aug. 25 2003. About 14000l. water were sprinkled for about 20 minutes from noon. Air temperature and humidity were measured by moving observation system and fixed observation system at watering area in Eastern Tokyo. After the watering, the air temperature difference between outside and inside of watering area increases, and its difference was about 0.5°C. Temperature of watering area is lower than the temperature of outside area of watering after the watering. The effect of the watering was verified using the numerical simulation based on MM5. As a result of this analysis, air temperature degreased 2-2.5°C in watering area after the watering.
著者
石井 正和 加藤 大貴 山田 智波 高木 麻帆 市川 瑞季 栗原 竜也 河村 満
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.43-51, 2014 (Released:2014-10-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

We encountered cases of headache exacerbation in migraine patients living in the Tokyo metropolitan area following the Great East Japan Earthquake in the present study. We investigated the effects of the disaster situation on patients with migraine headaches following the Great East Japan Earthquake as well as their physical symptoms and psychological states using a questionnaire. The questionnaire survey was also conducted to clarify the prevalence of patients with headaches prior to earthquakes. The recovery rate was 65.7% (71/108 people). The seventy-one patients with migraines included 68 female patients (95.8%) and 19 patients that had migraines with an aura (26.8%). The exacerbation of headaches was observed in 24.6% of the migraine patients after the earthquake. Furthermore, a degraded psychological state was noted in patients with worsening headaches who began taking medication for insomnia. However, the disaster situation did not directly affect headache symptoms. Some of the patients examined (7.0%) had headaches prior to earthquakes in the Tokyo metropolitan area. These results indicate that the exacerbation of headaches was observed in migraine patients who exhibited co-morbidities including insomnia and anxiety in the Tokyo metropolitan area away from the affected area. We also showed that some of these patients had headaches prior to earthquakes.
著者
福永 寛 櫻木 悟 藤原 敬士 藤田 慎平 山田 大介 鈴木 秀行 宮地 剛 川本 健治 山本 和彦 堀崎 孝松 田中屋 真智子 片山 祐介
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.2, pp.S2_154-S2_158, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
3

Kounis症候群とはアレルギー反応に伴い急性冠症候群をきたす症候群であり, 冠攣縮に合併したタイプ1とプラーク破裂に伴う血栓形成に起因するタイプ2に分類される. 今回, われわれはKounis症候群により心肺停止をきたした2症例を経験したので報告する.症例1: 76歳, 男性. 腰部脊中柱管狭窄症の術中にセフォペラゾンを投与したところ, アナフィラキシーショックを発症した. 下壁誘導にてST上昇を認めたため急性冠症候群と診断, 緊急冠動脈造影にて右冠動脈#1に血栓および#4AVに完全閉塞を認めた. 血栓吸引療法のみで再疎通が得られた.症例2: 61歳, 男性. 起床時より四肢・体幹に蕁麻疹を認め, その後, 心肺停止となり, 当院へ搬送された. 心肺蘇生術にて心拍再開したが, その後, 心室頻拍が頻発, 急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影を施行した. 冠動脈に有意狭窄は認めなかったが, 心電図上胸部誘導で一時的にST上昇を認めたため, 左前下行枝の冠攣縮と診断した.
著者
堀口 裕治 山田 稔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.39-43, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
18

75歳,男性。スッポンの卵を生で食べた約8週後,右側腹部にそう痒を伴う赤い結節が生じた。初診時,径約 15mm の隆起性で柔らかい赤色結節が見られ,近傍の皮下に浸潤をふれた。パンチ生検を行ったところ,結節の中に白色の紐状の寄生虫をみとめた。その表面の性状,頭部の形,虫体内の石灰小体の存在からマンソン裂頭条虫のプレロセルコイドと同定した。また,血清中の抗マンソン裂頭条虫抗体価の上昇を確認した。生検時に幼虫を除去したのちには再発はみられず,3ヶ月の経過で抗体価は減少した。本例をスッポンの卵の生食により罹患した早期のマンソン孤虫症と診断した。文献的にもスッポンの生食は寄生虫に感染する可能性があると考えた。(皮膚の科学,12: 39-43, 2013)
著者
清水 勝 時田 元 越野 陽介 星山 直基 山田 昌夫 高橋 善弥太 西川 佳秋
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.690-694, 1989-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

アセトアミノフェン大量服用による急性肝不全はよく知られている.今回著者らは40歳,女性のアルコール常用者が,アセトアミノフェン4.8g(セデスAR錠60錠)をアルコールとともに服用し,急性肝不全で死亡した1例を経験した.剖検肝重量は750g,広汎性部位により亜広汎性肝細胞性壊死が存在し病理学的に急性肝萎縮と診断された.本例の服用アセトアミノフェン量は4.8gと比較的少量であるが,急性肝不全をきたした原因として,1)アルコール常用者であったこと,2)アセトアミノフェンがカフェインとの合剤で服用されておりその相互作用が考えられ文献的に考察した.アセトアミノフェンの使用にあたっては,予想以上に重篤な肝障害発生の危険もあり注意が必要である.
著者
杉田 精司 巽 瑛理 長谷川 直 鈴木 雄大 上吉原 弘明 本田 理恵 亀田 真吾 諸田 智克 本田 親寿 神山 徹 山田 学 早川 雅彦 横田 康弘 坂谷 尚哉 鈴木 秀彦 小川 和律 澤田 弘崇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

リュウグウの近接観測の本番が目前に迫っている。これに備えて、我々は3つの重要な準備を進めている。1) 低アルベド小惑星の可視スペクトルの見直し。2)リュウグウの地上観測スペクトルの解析とメインベル小惑星との比較。3)可視分光カメラONC-Tのスペクトル校正観測。本講演では、これらについて簡潔に紹介する。 まず、メインベルトの低アルベド小惑星のスペクトル解析である。先駆的な小惑星のスペクトルのサーベイ観測であるECAS(Tedesco et al.,1982)の後、地上望遠鏡による多バンド分光のSDSS(Ivezic et al. 2001)、地上望遠鏡のよる連続スペクトルのデータベースであるSMASS2の整備(Bus and Binzel, 2002)、天文衛星WISE/NEOWISEによる多バンド分光のデータベース(Masiero et al. 2011)など多数の強力な小惑星のスペクトルのデータベースが整備されてきた。特に、SDSS やWISE/NEOWISEによって膨大な数がある小さな小惑星のスペクトルアルベドの分布が定量的に計測されたおかげで、RyuguやBennuが由来するメインベルト内帯の低アルベド族の分布については最近に大きな理解の進展があった。まず、以前にNysa族と言われていた族は、E型スペクトルのNysa族の中にF型(or Cb~B型)のPolana族とEulalia族が隠れていることが明らかになった。さらにPolana族とEulalia族は形成時期が古くて広範囲に破片を分布させており、ν6共鳴帯にも多くの1kmクラスの破片を供給していることが分かった。その一方で、より若いErigone, Klio, Clarrisaなどのぞくはずっと若いため、ν6共鳴帯への大きな破片の供給は限定的であることが分かってきた。この事実に基づいて、Bottke et al. (2015)はRyuguもBennuもPolana族由来であると推論している。 このようにSDSS やWISE/NEOWISEのデータは極めて強力であるが、0.7μmのバンドを持たないため、広義のC型小惑星のサブタイプの分類には適さない。その点、ECASは、小惑星スペクトル観測に特化しているだけあって0.7μmのバンドの捕捉は適切になされている。しかし、ECASではあまり多くのC型小惑星が観測されなかったという欠点がある。そのため、現時点ではSMASS2のデータが広義C型のスペクトル解析に適している。そこで、我々はSMASS2の中の広義のC型の主成分解析を行った。紙面の関係で詳細は割愛するが、その結果はCg, C, Cb, Bなど0.7μm吸収を持たないサブタイプからなる大クラスターと、Ch, Cghなど0.7μm吸収を持つサブタイプからなる大クラスターに2分され、両者の間にPC空間上の大きな分離が見られること、またこの分離域はPC空間上で一直線をなすことが分かった。この2大クラスターに分離する事実は、Vernazza et al. (2017)などが主張するBCGタイプがCgh, Chと本質的に異なる起源を持っていて水質変成すら受けていない極めて始源的な物質からなるとの仮説と調和的であり、大変興味深い。 これに引き続き、世界中の大望遠鏡が蓄積してきた23本のRyuguの可視スペクトルをコンパイルして、SMASS2と同じ土俵で主成分解析に掛けた。その結果は、Ryuguの全てのスペクトルがBCGクラスターに中に位置しており、その分布は2大クラスターの分離線に平行であった。これはRyuguが極めて始源的な物質であることの現れかもしれず、BCGクラスター仮説の検証に役立つ可能性を示唆する。 しかし、現実は単純ではない。Murchison隕石の加熱実験で得られたスペクトルもPC空間ではRyuguのスペクトルの分布と極めて近い直線的分布を示すのである。これは、Ryuguのスペクトル多様性がMurchison隕石様の物質の加熱脱水で説明できるとの指摘(Sugita et al. 2013)とも調和的である。この2つの結果は、Ryuguの化学進化履歴について真逆の解釈を与えるものであり、はやぶさ2の試料採取地の選択について大きな影響を与えることとなる。 この2つの解釈のどちらが正しいのか、あるいは別の解釈が正しいのかの見極めは、0.7μm吸収帯の発見とその産状記載に大きく依存する。もし、Murchison隕石様の含水鉱物に富む物質がRyuguの初期物質であって加熱脱水で吸収帯が消えただけの場合には、Ryugu全球が表面下(e.g., 天体衝突などで掘削された露頭)まで含んで完全に吸収帯を失ってしまうことは考えにくい。したがって、0.7μm吸収帯が全く観測されない場合には、VernazzaらのBCG仮説やFやB型の水質変成によってCh, Cghが生まれたと考えるBarucciらのグループの仮説(e.g., Fornasier et al. 2014)が有力となるかも知れない。しかし、0.7μm吸収が見つかって、熱変成を受けやすい地域ではその吸収が弱いことが判明すれば、スペクトル多様性は加熱脱水過程でできたとの考えが有力となろう。 最後に、はやぶさ2ONCチームは打ち上げ後も月、地球、火星、木星、土星、恒星など様々な天体の観測を通じて上記の観測目標を達成できるための校正観測を実施している。それらの解析からは、0.7μm帯および全般的なスペクトル形状の捕捉に十分な精度を達成できることを示唆する結果を得ており(Suzuki et al., 2018)、本観測での大きな成果を期待できる状況である。引用文献:Bottke et al. (2015) Icarus, 247 (2015) 191.Bus and Binzel (2002) Icarus, 158, 146.Fornasier et al. (2014) 233, 163.Ivezic et al. (2001) Astron. J.、 122, 2749.Masiero et al. (2011) Astrophys. J. 741, 68.Sugita et al. (2013) LPSC, XXXXIII, #2591.Suzuki et al. (2018) Icarus, 300, 341Tedesco et al. (1982) Astrophys. J. 87, 1585.Vernazza et al. (2017) Astron. J., 153,72
著者
山田 悟郎
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

14世紀から18世紀の、23個所の集落跡から検出された作物種子、17個所の畠跡、6遺跡から出土した鉄製農具の検討から、次のことが明らかになった。(1)14世紀から18世紀初頭の遺跡から鋤・鍬といった鉄製農具が出土しており、アイヌ民族は18世紀初頭まで鉄製農具を使用した広幅の畝からなる畠を造成していた。(2)該当期の畠跡は、アイヌ民族によったことが明らかな土地の傾斜に関係なく各方向に畝を造り、同じ台地上で場所を変えながら小規模な畠を継続していたものと、東北地方のアラキ型焼畑との関係を示す、傾斜地に火入れを行い傾斜に沿って縦畝を造成したものや、溝だけの畠を造った二つのグループに区分でき、後者はアイヌ民族によったものではなく、東北地方北部から渡道もしくは季節的に渡道した和人によったものと考えられる。(3)炭化種子が出土した大部分の遺跡からヒエとアワを主とした14種類の作物種子が出土しており、特にヒエが多く出土し、アイヌ民族の伝承にもあるようにヒエとアワが重要な作物であったことが判明した。(4)擦文文化期にはアワとキビが主要作物であったが、14世紀以降主要作物からキビが脱落して、ヒエとアワが主要作物となるが、その背景には気候の悪化があったものと考えられる。(5)18世紀末には川原端で、農具を使用せず木の股や刀子で土を耕して畠を造った姿が描かれているが、その要因として「シャクシャインの戦い」以後の松前藩によった刀狩り、鉄の供給制限、鉄製品の粗製化と、交易形態が「場所請負制度」に変わり、アイヌ民族の労働力の収奪が行われた結果と考えられる。
著者
大櫛 陽一 小林 祥泰 栗田 由美子 山田 敏雄 阿部 孝一 脳卒中急性期患者データベース構築研究グループJSSRS
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.125-137, 2008 (Released:2015-03-20)
参考文献数
40

血圧の基準が下げられ健診で高血圧とされる人が増え,高血圧治療費と降圧剤はそれぞれ医療費および薬剤費の1位になっている.このような治療の背景となっている高血圧治療ガイドラインについて検証した.①住民コホートによる血圧レベルと総死亡の比較,②血圧レベルと原因別死亡率の比較,③降圧治療群と非治療群での総死亡率の比較,④一般住民と脳卒中患者との高血圧およびその治療率の比較,により検討した.160/100mmHgまで総死亡率および循環器疾患による死亡率の上昇はみられなかった.ベースラインで180/110mmHg以上の群では,160/100未満に下げると緩やかな降圧群に較べて死亡率が4倍であった.脳梗塞群での高血圧治療オッズ比が有意に高かった.160/100mmHgまで治療の必要はない,薬物による降圧は20mmHg程度に抑える必要がある,高血圧治療ガイドラインはエビデンスに基づいて修正すべきである.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.4_9-4_17, 2010-04-01 (Released:2010-11-01)
参考文献数
25

中嶋章は1930年代に独自にブール代数に相当する理論を構築し,スイッチング理論の研究を行ってリレー回路設計に適用した.1935年にド・モルガンの法則を含むリレー回路構成理論を発表し,1936年には榛澤正男と共著で“+”と“×”の記号を用いてスイッチング回路を論理式で表し,この変換及び簡単化を含むスイッチング理論を発表した.Claude E. Shannon が同様の論文を発表したのは1938年である.中嶋の生誕100年にあたる2008年にフィンランドのTampere University of Technology より中嶋の全英文論文を収録した覆刻本が出版された.
著者
山田 哲夫 船橋 亮 村山 鐵郎
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.554-559, 2005-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
14

(目的) 線維筋痛症 (FM) は米国において間質性膀胱炎 (IC) の約10%に合併するとされているが本邦ではほとんど知られていない. 我々も米国とほぼ同様な割合で合併例を経験した. 合併例の実情と意義について報告する.(患者と方法) 患者はICに関する1987年 National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases (NIDDK) とFMに関する American College of Rheumatology (ACR) の診断基準を満たした過去4年間における30例で, これらの臨床所見の検討を行った.(結果) ICの symptom index と problem index の平均は各々14.9と14.6で, ACRの診断基準における圧痛点の平均は16ヵ所であった. 患者全体で9ヵ所の診療科を受診し, 患者の38%が精神病でないにも関わらず精神科受診を余儀無くされていた. 両疾患は疹痛閾値の低下やび漫性の痛み, 症状の増悪因子, 治療法などに類似点が認められた.(結論) ICの約11%がFMを合併し, 合併例は病状を理解されず全身の激しい痛みに耐えていた. ICとFM患者の臨床所見において共通点が多く認められた.

38 0 0 0 OA 便移植

著者
山田 知輝
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.811-816, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
39

再発性のClostridium difficile感染症(CDI)に対して便移植を行い90%近い治癒率が得られたとする RCTが発表され、注目を集めている。CDIは抗菌薬使用により、正常腸内細菌叢が減少し、菌交代現象が起こり増殖したClostridium difficileが毒素を産生し腸炎を発症させる病態であり、便移植は健常者(ドナー)から得た腸内細菌叢を含む糞便を投与することで、健康状態の腸内細菌叢を復元し、これを治癒しようとするものである。現在ではその適応や、ドナーの選定・スクリーニング、便の準備や投与方法につき、定まりつつあるがまだ十分ではなく、かつ安全性の問題もある。アメリカでは「便の銀行」が設立され、事前にスクリーニングされた、若くて健康なドナーの便の貯蓄により、より多くのケースで便移植ができるような体制ができつつある。今後は安全性を高めた製剤も開発中であり、日本も含め、その使用がさらに広がる可能性がある。
著者
和田 正信 三島 隆章 山田 崇史
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.229-239, 2006 (Released:2008-01-25)
参考文献数
37
被引用文献数
4 3

Repeated intense skeletal muscle contraction leads to a progressive loss of force-generating capacity. This decline in function is generally referred to as muscular fatigue. Since the work of Fletcher and Hopkins (1907), it has been known that fatigued muscles accumulate lactic acid. Intracellular acidosis due to lactic acid accumulation has been regarded as the most important cause of fatigue during intense exercise. Recent challenges to the traditional view, however, have suggested that lactic acid plays a role in muscle contraction distinct from that implied by earlier studies. This brief review presents (1) a short history of our understanding about lactic acid that explains the early acceptance of a causal relationship between lactic acid and fatigue, (2) evidence to show the temperature dependence of acidosis-induced changes and the beneficial effect of acidosis, and (3) a proposal that lactate production retards, not causes, acidosis. These findings require us to reevaluate our notions of lactic acid, acidosis and muscular fatigue.
著者
パーヴェル イリーイン 山田 晴通
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.13-41, 1995-06-30 (Released:2011-07-19)

ボリシェヴィキ革命から1991年12月の消滅に至る旧ソ連について, 人名が付けられた都市地名の改称の流れを, 長老都市地理学者が検討する. 特に注目される改称の波には,(a)政治的・軍事的指導者を讃えた1920年代・1930年代,(b)スターリン色を払拭し, 自国の作家・作曲家・詩人を讃え, 社会主義圏諸国との友好関係を持ち上げた1950年代,(c)共産主義時代の好ましくない痕跡を消し去ろうとする1980年代後半から現在に至る時期のものがある.
著者
山口 一 伊澤 康一 山田 容子 川上 梨沙 冨岡 一之
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.80, no.716, pp.945-952, 2015 (Released:2015-11-11)
参考文献数
27
被引用文献数
1

Recently attention has been focused on countermeasures against microorganisms such as viruses and microbe, in connection with pandemics of new forms of influenza or SARS, and the occurrence of bioterrorism. Also, in pharmaceutical or food production facilities, a high standard of internal environment of the facility is required, including countermeasures against microorganisms. These countermeasures from the facility point of view include partitioning of work zones (zoning), and cleaning the air using HEPA filters. However, when workers/researchers are working within a facility, dispersion of dust or adhering microbe brought in from clothes, etc., cause pollution of the air. In this report, the sterilization performance of weak acid hypochlorous solution used as the chemical substance was verified. In addition, the sterilization performance in an actual space varied not only with the chemical substance used, but also with the condition of the room, the air conditioning system, the method of spraying, etc. Therefore, from the above sterilization performance tests using chemical substances, the raw data required for a computational fluid mechanics (CFD) model were derived. A method that enables the effect of the chemical substance to be predicted under various conditions was investigated, and the results are reported.