著者
岡本 泰昌 岡田 剛 吉村 晋平 国里 愛彦 西山 佳子 土岐 茂 小野田 慶一 山脇 成人
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3+4, pp.140-148, 2010 (Released:2012-01-01)
参考文献数
20

【要旨】 近年、うつ病の病態を捉えるために、種々の画像解析手法を用いて脳機能を直接測定しようとする研究が精力的に行われている。これらの研究結果から、様々な生理的な機能を持つ神経回路やそれらの回路の相互作用がうつ病の症状形成に関与していると考えられる。本稿では、われわれが機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いてうつ病の認知に関わる神経生理学的基盤を明らかにするために行っている研究結果を中心に紹介する。まず、ストレスがうつ病の発症や症状持続に様々な作用を及ぼしていることから、ストレスの認知の性差について検討し、前頭前野、扁桃体が重要な働きをしていることを明らかにした。次に、既に妥当性や機能局在が明らかになっている神経心理課題や新たにうつ病の認知的特徴に関連して作成した認知課題を用いて、うつ病の脳活動の変化について明らかにした。さらに、これらの脳機能変化は治療反応性や回復の指標となる可能性について検証した。また、セロトニンのヒトの脳における神経生理学的役割に着目し、セロトニンは線条体-前頭前野回路を介して報酬の見通しを制御することを明らかにした。これらの研究結果を踏まえ、うつ病の認知、病態、治療に関わる神経生理学的基盤について考察した。
著者
岡本 恵子 井上 美智子 大政 里美 新井 志津子 山口 美穂 錦織 絵理 川崎 光記
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1171-E1171, 2007

【はじめに】軽度運動機能障害児(以下、軽度児)は、運動制限や学習の遅れに加え、ソーシャルスキル獲得や自我発達の遅れの課題も抱えているが、運動機能以外の課題に対する支援や周囲の障害理解が不足している。この結果、集団の中で自分を認められる経験や達成感を積めず、小学校高学年頃から孤立することが多くなる。当センターでも、学校の中で自己実現できない学童児が多いことが個別治療を通じて見えてきた。<BR> よって今回、軽度児が集団の中で認められる経験を積み、学校の中で主体的な生活を送れるように、「わいわいクラブ」を立ち上げ、集団による生活支援に取り組んだので報告する。<BR>【目的】軽度児同士の仲間を作り、集団の中で自己実現ができるように支援する。集団の中で軽度児の課題を明確化し、主体的に生活する力を蓄えられるように支援する。<BR>【対象】小1~小6の応用歩行から杖歩行可能な軽度運動機能障害児11名。地域の小学校に通い、知的障害の程度も軽度。<BR>【支援内容】月に1回、放課後に1.5時間のクラブを開催。活動は、楽しくて達成感を積めるもの・集団や仲間を意識しやすいものとし、1年目はクッキング、2年目は太鼓の演奏を行った。1回の内容は、ウォーミングアップのゲーム→メインの活動→クールダウンのおやつタイム。支援スタッフは、保育士6名とPT1名。<BR>【支援経過】第1に、環境設定と精神的サポートを支援の土台とした。環境設定として、活動中の姿勢変換を減らし楽な姿勢で活動に集中できるようにした。説明や指示は単純明確にし絵や具体物も提示して、内容を十分に理解した上で活動を開始した。精神的サポートとして、自分なりにやってみることが大事だと伝え、その後に認められる嬉しさを実感できるようにした。これらの結果、苦手意識を持たず十分に達成感を積め、受身ではなく積極的に活動参加できる児が増えた。<BR> 第2に、発表や意見交換の場を設け集団意識が芽生える工夫をした。集団の中で自分について話すことから始め、徐々にクラブの仲間について発表するテーマに変えていった。すると、自分中心の言動が多かった児が、友達にも目を向け周囲の状況に沿った言動をとることが増えた。<BR> 第3に、チーム制の活動を通じ集団の中で主体性を引き出す工夫をした。チームで一人ずつに役割を作り、相談し工夫する場面も設けた。この積み重ねにより、大人の介入が減り児同士で活動を展開することが増えた。<BR>【まとめ】今回の支援を通じて、児が自分を出せる場・自信を持てる場を作ることが必要だと分かった。今後は、低学年児には精神発達のサポート・高学年児にはソーシャルスキル獲得という生活年齢課題別の支援を工夫することが課題である。<BR> また、生活支援をするには個別治療だけでは限界があり集団での取り組みが重要であると実感した。今後も、軽度児に関わることの多いPT自身が広い視点を持ち、集団による生活支援に取り組んでいきたい。
著者
古賀 康男 井上 敏克 立屋敷 久志 助清 満昭 岡本 雅道 浅野 闘一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.17-25, 1997
被引用文献数
7

原子炉の解体に伴い、大量の非放射性コンクリートが発生する。環境への配慮から、このコンクリートを処理して重量比で80 %を占める骨材を回収し、新設の工事等に使用することが期待されている。そこで、コンクリート塊に加熱処理とすりもみ処理を施して骨材を回収することを検討した。  加熱処理が分離した骨材の性能に与える効果は温度が高いほど大きいが、高温になるにしたがって骨材そのものも劣化する。骨材の品質へ与える影響を考慮した効果的な加熱温度は200~500 ℃であった。加熱保持時間の影響は相対的に小さかった。また、300 ℃の加熱を施し、すりもみ効果の卓越したロッドミルおよび攪拌ミルによりそれぞれ30~120分処理したとき、建築工事標準仕様書・同解説JASS 5Nの絶乾比重および吸水率の規定値を満足する品質の粗骨材および細骨材が得られることが判明した。
著者
栗原 剛 岡本 直久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.147-155, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究では、インバウンド需要予測手法の精緻化およびインバウンド政策の評価手法確立を目指し、インバウンド需要に影響を与える政策および外的要因の分析を行った。インバウンド需要予測は旅行発生量、分布の2段階から構成される手法を用い、影響要因には海外旅行自由化および経済成長、査証規制緩和、自然災害等を挙げた。海外旅行自由化や経済成長の影響を反映したロジットモデルでそれぞれ旅行発生量が増加することが示されたほか、査証規制の緩和を旅行分布モデルに導入し、訪日中国人旅行者に対して査証免除政策を行ったときの効果が定量的に表現できることが示された。
著者
久代 裕史 岡松 孝男 八塚 正四 角田 ゆう子 岡本 信也 松村 光芳 五味 明 菅野 壮太郎 鈴木 誠 飯島 忠 中田 雅弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.445-449, 1990-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
20

小児の異物誤飲に遭遇する機会は少なくない.特に, 最近ではボタン型電池に代表される金属性の異物が増加の傾向にあって, その対処にはさまざまな方法がある.私どもは過去6年間に10例の金属性胃内異物に対してマグネットチューブを使用し, 全例入院を要さずに摘出でき, その有用性が確認できた.この摘出法は透視下で施行する必要があるものの, 簡便で安全に誰もが習得でき, 多くの磁性体金属性異物に対して推奨すべき摘出法と考える.
著者
岡本雅享著
出版者
藤原書店
巻号頁・発行日
2016
著者
野田 浩之 岡本 一利 岡田 裕史 高木 毅
出版者
海洋深層水利用学会
雑誌
海洋深層水研究 (ISSN:13458477)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-11, 2010 (Released:2011-11-15)
参考文献数
19

淡水で養成されたニジマス (体重93±38g) を, 2006年11月から駿河湾の水深687mから取水し15℃に加温した深層水 (以下, 深層水A区) で52尾, 水温無調整の表層海水 (12~16℃, 以下, 表層海水区) で51尾飼育した. 2007年4月までの日間成長率と生残率は両区で同様な値を示した. 2007年6月から, 深層水A区生残魚10尾 (体重671±541g) と, 淡水で養成後3ケ月間無加温 (7℃) の深層水で飼育したニジマス10尾 (体重337±87g, 以下, 深層水B区) を水温15℃の深層水で, 表層海水区生残魚6尾 (体重883±520g) を水温無調整の表層海水でそれぞれ飼育した. 表層海水区は7月下旬までに全て死亡した. 深層水A区とB区は2007年11月の体重が1.96±0.95kg, 1.29±0.75kgとなり, 成熟率は71%と29%であった. さらに深層水B区では2008年4月に体重3.42kgに成長した未成熟個体があった. これにより深層水をニジマスの適水温に加温することによって大型魚の生産が可能なことが確かめられた.
著者
池田 雄介 後藤 亮 岡本 直毅 滝澤 俊和 及川 靖広 山崎 芳男
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.491-499, 2006-07-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
14
被引用文献数
3

マイクロホンを用いた測定では測定対象となる点にマイクロホンを置かざるを得ない。特に多数の近接した測定点を同時に測定する場合にマイクロホン自体の影響を無視できない。本論文ではレーザCTを用いた精細な音場測定を提案しその原理と測定例を示す。レーザ干渉計を用いて音によるレーザの光路長変化を測定できる。測定対象となる音場に対しあらゆる方向から光路長変化を測定し,それらを投影として音による屈折率変化の分布を再構成する。屈折率と音庄の関係を用いて昔圧分布を求めることが可能になる。また,測定例として2ウェイスピーカと平板スピーカの生成する音場の定性的な違いを確認した。
著者
岡本 泰昌 木下 亜紀子 小野田 慶一 吉村 晋平 松永 美希 高見 浩 山下 英尚 上田 一貴 鈴木 伸一 山脇 成人
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.237-243, 2007-03-31 (Released:2016-12-01)

In this article, we present our neuroimaging studies by functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI) about the brain mechanism of cognition toward elucidation of pathophysiology in depression. The first and second data show the brain mechanism (Kurosaki et al., 2005; Ueda et al., 2003) related to dysfunctional beliefs and systematic cognitive errors identified by Beck (1967), and the third is that (Tanaka et al., 2004) related to differential activation hypothesis proposed by Teasdale (1988). Lastly, we also show the change of brain function before and after cognitive behavioral group therapy (CBGT). Depressed patients before the CBGT showed attenuated activation in the dorsolateral prefrontal cortex, parietal cortex, and striatum were activated during the task. After the CBGT, the brain activation in good responders was restored as same as that in healthy control. However, in poor responder, there was no change on brain activation between before and after CBGT.

1 0 0 0 OA 難波江

著者
岡本保孝
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻2,
著者
西川 敦子 森 まどか 岡本 智子 大矢 寧 中田 智彦 大野 欽司 村田 美穂
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.561-564, 2014-07-01 (Released:2014-08-02)
参考文献数
19
被引用文献数
6

症例は26歳の女性である.出生時に呼吸不全,筋力低下があり,5歳時,顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと臨床診断されていた.歩行の可否などが週単位で変動した.12歳時,プロテカロール塩酸塩で変動が改善,内服を継続した.26歳時,当院受診.眼瞼下垂,顔面・体幹・四肢近位筋の筋力低下,易疲労性があり,血清CK正常,抗アセチルコリン受容体抗体と抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体は陰性,僧帽筋の反復刺激試験でwaning現象をみとめた.DOK7遺伝子に新規変異をみとめ,先天性筋無力症候群と確定診断した.症状はアンベノニウム塩酸塩で悪化し,3,4-ジアミノピリジンで改善した.筋力低下の週から月単位の変動は診断に重要である.