著者
川上 浩一 近藤 滋
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

川上は、ゼブラフィッシュにおいては成魚のストライプパターン形成異常変異Hagoromoの原因遺伝子であり、マウスにおいては指形成異常変異Dactylaplasiaの原因遺伝子であるhagoromo遺伝子(Dactylin遺伝子)の産物の機能解析を.行った。すなわち、マウスDactylin遺伝子産物の生化学的解析を行い、特異的なターゲット蛋白質をユビキチン化し、蛋白質分解経路へ導く働きをするSCFユビキチンリガーゼの構成成分であることを明らかにした。近藤は、ゼブラフィッシュストライプパターン形成を制御する普遍原理の研究をさらに発展させた。縦じまと横じまをもつ近縁な熱帯魚種間でのパターン変化を説明する新しい理論を考案し、簡単なパラメーターの変化でパターンが変化しうることを証明した。これは、熱帯魚の体表面のストライプパターンが、「反応拡散システム」で作られるという近藤の従来からの仮説を強く裏付けるものである。
著者
松岡 晃弘 矢島 健司 渡部 秀憲 川上 民裕 相馬 良直
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.98-101, 2008-04-10

要約 シクロスポリン内用液含嗽療法は,扁平苔癬や天疱瘡による難治性口腔内病変に対して,その有効性が報告されている.筆者らは,78歳の女性の天疱瘡患者の,ステロイド内服治療に抵抗する口腔内病変に対し,ネオーラル®内用液含嗽療法を行い,その良好な治療効果を確認した.含嗽時に口腔内灼熱感と疼痛がみられたが,粘膜症状の改善とともに軽減した.その他の副作用はなく,シクロスポリンの血中濃度も測定感度以下であった.シクロスポリン内用液は天疱瘡に対する保険適用がなく,含嗽という投与形態も認められていないため,天疱瘡に対するシクロスポリン内用液含嗽療法は安易に行ってよい治療法ではない.しかし,適切に使用すればほとんど副作用はなく,高い効果が期待できることから,ステロイド増量や免疫抑制薬内服が困難な患者に対しては,十分なインフォームド・コンセントを得たうえで,試みてもよい治療法であると思われた.
著者
尾崎 吉郎 木畑 佳代子 田中 晶大 嶋元 佳子 安室 秀樹 横井 崇 孫 瑛洙 川上 勝之 伊藤 量基 西 憲一 野村 昌作
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.207-213, 2011-09-30 (Released:2015-12-16)
参考文献数
8

膠原病関連血管炎では肺胞出血を伴うことがあり,強力な免疫抑制により治療されるが長期の機械的人工換気が必要となる例も多い.36歳女性,46歳女性,72歳女性の3症例のびまん性肺胞出血に対し,Airway pressure release ventilationモードでの人工換気を止血の補助療法とし,著効を得た.いずれも診断後直ちにAPRVで管理し,速やかに止血され平均第8.5日で抜管が可能であった.
著者
青木 利晃 川上 大介 千田 伸男 冨田 尭
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.236-243, 2018-08-29

近年,深層学習を代表とする機械学習が脚光を浴びており,様々なシステムへの応用が検討されている.応用対象は,エンターテイメントシステムや事務処理システムなどにとどまらず,自動車の自動運転などの高安全システムなども検討されている.高安全システムでは,安全性に関する十分なテストを実施することが必要である.一方,機械学習システムの安全性をテストする手法は,まだ確立していない.そこで,本論文では,機械学習を用いて実現された分類器に焦点を当て,その安全性を系統的に評価する手法を提案する.提案手法は,データセットに基づいた安全分析とテスト結果の統計的評価方法から構成される.安全分析では,よく知られている FTA (Fault Tree Analysis) をデータセットを取り扱えるように拡張した.そして,安全分析の結果,期待される認識率の水準を求め,テストを実施する.テストでは,この水準を満たしているか統計的に評価を実施する.提案手法は,CNN (Convolutional Neural Network) による手書き文字の分類器に適用し,評価を行った.
著者
川上 貴教
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_25-2_31, 2010

&nbsp;&nbsp;&nbsp;2005~2009年度の富山大学五福地区での不要試薬取引について、リレーショナルデータベース型化学薬品管理システムによるデータ収集結果を元に調査を行った。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp;5年間で635件の不要試薬公開があり、そのうち30.7%の195件の取引が成立した。それにより&yen;1,044,814の費用節約効果が得られた。約4割の研究室は不要試薬取引所を利用しており、退官する教員の試薬が大量出品されたり、有機合成化学系の研究室が積極的に引き取る傾向がみられた。なお、85%の取引は部局内ではなく異部局間で行われた。引取りを待つ期間としては約2ヶ月が適当であり、それ以上は廃棄手続をするのが望ましい。使用している研究室の数と、取引成立率には一定の相関がみられた。特に洗浄や中和に使われる有機溶媒や酸アルカリはよく引き取られた。また、未開封であることは有利な条件であった。
著者
川上和彦
雑誌
胃と腸
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1227-1230, 1990
被引用文献数
10
著者
藤本 昌紀 堀内 克啓 内田 裕也 杉浦 勉 山本 一彦 川上 正良 杉村 正仁
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.54-62, 2001-12-31
参考文献数
23
被引用文献数
2

An alveolar bone graft, followed by the insertion of threaded titanium endosseous (Brnemark System) implants, was performed in two patients with cleft lip and palate.<br/> One patient, with bilateral cleft lip and palate, underwent an iliac bone graft after orthodontic treatment. An oronasal fistula was simultaneously closed by bilateral labial flaps and a tongue flap. Brnemark System implants were placed for treatment of congenital missing lateral incisors, 17 months after the grafting. The other patient, with unilateral cleft lip and alveolus, underwent a chin bone graft. Although necrotic bone resulting from exposure of the palatal side of the grafted bone was removed, most of the grafted bone survived. Six months later, occlusal reconstruction using Brnemark System implants was performed. The postoperative course was uneventful in both cases. Moreover, these patients were satisfied with both esthetic and functional results, which improved the patient's QOL.<br/> These results indicate that endosseous implants combined with bone grafting are more reliable than conventional procedures for occlusal reconstruction in patients with alveolar cleft.<br/>
著者
川上 浩司
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-43, 2017-08-31 (Released:2017-10-06)
被引用文献数
1 3

昨今,各種の診療情報由来のデータベースを用いた薬剤疫学研究が実施できるようになってきた.観察研究に用いられる資料としては,リアルワールドデータ (RWD) 系と疾患登録系とがある.このうち,RWD においては,診療報酬請求 (レセプト) 情報,調剤情報,DPC 情報に加えて,我が国でも医療機関における電子カルテ由来の診療情報を統合したデータベースの構築も始まっている.一方,日本では,母子保健法や学校保健安全法等に基づいて,自治体が各種の健康診断情報を所管しているが,これらのデータベース化の取組みも開始され,ライフコースデータとして予防医療や難病理解,創薬等に大いに役立つ知見を得ることが期待されている.
著者
川上 玲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.350-351, 2019-03-15

ミンスキー博士の脳の探検 -常識・感情・自己とは-」は,人工知能の父と呼ばれるマービン・ミンスキーが,脳の情報処理に関するアイディアをさまざまに記したものである.ミンスキーは,数学,コンピュータ科学,脳科学,動物学,に造詣が深く,彼の博識さから紡ぎだされる推測(具体的には,「思考素」,「意識の階層化」,「批評家-選択家モデル」など)を通じ,読者は学習や心的活動がどのような仕組でありうるかを想像することができる.感情も思考の一種に過ぎない(であろう)ことや,多くの無意識のプロセスにより意識に上る情報がいかに選択された後のものであるかを実感できる.
著者
向野 晃弘 樋口 理 中根 俊成 寶來 吉朗 中村 英樹 松尾 秀徳 川上 純
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.379a, 2013

【目的】シェーグレン症候群(SS)ではヒトムスカリン性アセチルコリン受容体M3(AChRM3)に対する自己抗体の関与が指摘されている.抗AChRM3抗体の検出は,細胞外領域に相当する合成ペプチドを用いたELISA法等が既に報告されている.今回,我々は複数貫通膜分子に対する抗体の検出に効果的であるカイアシルシフェラーゼ免疫沈降法(GLIP法)による抗AChRM3抗体測定系を評価した.【対象・方法】SS 37例,健常者39例を対象とし,GLIP法による測定を行った.全長ヒトAChRM3とカイアシルシフェラーゼ(GL)の融合組換えタンパク質をリポーターとしヒト血清(あるいは既製抗体)を反応させた後,プロテインGセファロースを用いて反応溶液中のIgGを回収した.免疫沈降物中のルシフェラーゼ活性の測定で,抗AChRM3抗体の有無を評価した.【結果】1.アミノ末端およびカルボキシル末端領域を標的とする2種類の既製抗AChRM3抗体でGLIP法を実施した結果,本法の抗AChRM3抗体検出における有効性を確認した.2.健常群血清を対象にGLIP法を実施し,カットオフをmean+3SDに設定した.3.SS 3例を抗体陽性と判定した.【結論】全長のヒトAChRM3を抗原に用いた新たな抗AChRM3抗体検出系を確立した.今後は各測定法によるvalidationを行うことを計画している.<br>
著者
柏木 孝介 貴志 真也 奥田 智史 木村 侑史 川上 基好 小林 啓晋 高崎 恭輔 山口 剛司 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.98, 2008

【目的】今回、試合中のバッティング動作において、腰痛を発症した高校野球選手のバッティングフォームを三次元動作解析したので、フォームと腰痛発症要因の関係について若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】本研究に同意を得た年齢18歳の高校野球選手で右投げ右打ちの外野手である。試合のバッティング時に内角低めを空振りして腰痛発症し、腰部椎間板障害の診断を受け、3ヶ月の理学療法により症状消失した症例である。<BR>【方法】野球のティーバッティング動作を6台の赤外線カメラ(180Hz)を有する三次元動作解析装置UM-CAT_II_(ユニメック社製)を使用して分析した。そして、内角・外角の2コースを設定し、各コースのティーバッティング動作における腰部の回旋と脊柱の側屈の動きについて測定した。腰部の回旋や側屈は、15ヶ所に貼付したマーカーのうち両肋骨下縁のマーカーを結んだ線(胸郭線)に対する両上前腸骨棘を結んだマーカーの線(骨盤線)のX軸に対する水平面上の回旋や前額面上の傾きで計測した。回旋は上から見て反時計回りを左回旋とした。また、腰椎の回旋は骨盤線に対する胸郭線の回旋とした。側屈は後方から見て骨盤線が胸郭線に対し反時計回りに傾いた状態を左凸の右側屈とした。<BR>【結果】バッティングにおける体幹の動きは、内角や外角のボールを打つのに関係なく軸脚加重期(ステップ足が離床から膝最高点)では右凸の左側屈・右回旋、踏み出し期(ステップ側の膝最高点からステップ足の床接地)では左凸の右側屈・腰椎右回旋(骨盤左回旋>胸郭左回旋)、スウィング期からフォロースルー期にかけては左凸の右側屈と腰椎左回旋(骨盤左回旋<胸郭左回旋)を行う。内角と外角のボールを打つときのバッティングフォームの違いは、スタンス期の左側屈角度、スイング期、フォロースルー期における体幹右側屈角度と腰椎回旋角度が内角を打つ動作より外角を打つ動作のほうが大きかったことである。<BR>【考察】今回行ったティーバッティング動作の体幹の動きについての分析では、内角のボールを打つときにくらべ、外角のボールを打つときには体幹の側屈角度や回旋角度は大きくなった。このことから、関節角度が大きくなる外角のボールを打つ動作は、腰椎へのストレスが大きく障害発生の危険性が高いと思われる。しかし、今回の症例では、内角のボールを打つ際に空振りをして腰痛発症している。これは、脊柱の動きが少ない内角打ちを空振りしたため脊柱の動きが急に大きくなり、関節中心軸から逸脱した腰椎回旋を生じ腰痛を発症したと考えられる。今後は、実際にボールを打ったときの脊柱の動きと空振りをしたときの脊柱の動きについて検討する必要があると思われる。
著者
鈴木 俊一 青木 広臣 川上 博人 畑 明仁 本島 貴之
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.87-98, 2009
被引用文献数
3

本稿では, 多重バリアシステムを有する放射性廃棄物処分施設の安全性能評価手法について提案する. 本稿で提案する手法は, 我が国において既存の放射性廃棄物処分施設に対しておこなわれた安全評価で用いられている移行率モデルの概念に基づいている. 提案する安全評価手法の有利な点は, 複雑な数値シミュレーションを多用することなく, 廃棄体からの溶出率を考慮した人工バリアシステム (EBS) からの放出フラックスを算定でき, さらに, 人工バリアが有する遅延性能, 低透水性能, 及び低拡散性能の3つの性能指標からなる移行率を提案・採用している点である. また, 本稿で提案する安全性能評価手法を用いて, 人工バリアからの放射性核種の放出フラックスに対して感度解析を行い, 廃棄体からの溶出率, 移行率, 及び人工バリアからの放射性核種の最大放出率による相図を作成し各パラメータの影響度を整理した.
著者
青木 広臣 鈴木 俊一 川上 博人
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.500, 2007

放射性廃棄物処分施設の安全性能評価において,地下水移行シナリオ,隆起・浸食シナリオ等の被ばく線量に支配的な影響を及ぼすパラメータである廃棄体の溶出率と,処分施設の核種閉じ込め性能を示す指標である人工バリア部の移行率の関係について整理し,最大放出率に及ぼすそれらパラメータの相対的な位置づけを理論式に基づき分析した.
著者
川上 博士 西河 厚志 吉村 幸治 駒田 将樹 鈴木 実平
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.21-28, 2017
被引用文献数
1

The properties of rotating tool spot joining joints with different rotating tools by the combination between the shoulder diameter and the probe length were investigated in this study. The shoulder diameter of rotating tool affects the tensile strength of the joint significantly. An oversize shoulder diameter decreased the joint strength. The probe length affects more the fracture mode than the joint strength. Interface fracture mode occurred with a rotating tool of short probe length. Plug fracture occurred with a rotating tool of long probe length. Rotary motion of restricted area in the joining interface by the rotating tool was confirmed by displacements of the joining interfaces. Rankin vortex was observed on the joining interface by velocity distribution of rotary motion of joining interface. Al oxide film layers were formed spirally on upper joining interfaces