著者
安井 拓未 中村 篤祥 田中 章 工藤 峰一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-116, no.15, pp.1-4, 2017-08-17

音響的に類似している部分が周期的に連続して現れることを用いて,楽曲 PCM ファイルからループを検出する手法を提案する.ゲーム音楽用 MIDI ファイルを WAVE 形式に変換したファイルを用いた実験によれば,再生時間の 1/7 の時間で,222 曲中 199 曲で聴覚的に違和感のないつなぎ目で繋げてループさせることに成功した.
著者
工藤 雅子
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.233-237, 2019 (Released:2019-11-25)
参考文献数
11

Tension type headache (TTH) is the most frequent headache among the primary headaches, and it is often encountered by a doctor in routine practice.The severity of tension type headache is mild to moderate. However, among patients with chronic or frequent episodic tension type headache it often disturbs their QOL (quality of life) in daily livings.The most important thing in managing TTH is correct diagnosis. In order to reach the proper treatment, it is important to exclude secondary headache, migraine and other primary headaches.The first line of acute treatment of TTH is administration of the abortive drugs such as NSAIDs and analgesics. However attention must be paid not to administer them loosely because these drugs sometimes induces medication overuse headache (MOH). As a preventive medication, antidepressants such as amitriptyline and muscle relaxants are recommended. It is also important to combine non–medication therapy such as psyco–behavioural therapy, relaxation or physical therapy. Understanding the stress and environmental factors of each case, and their management according to their condition are another important issues.
著者
工藤 健
巻号頁・発行日
2008-03-21

授与大学:弘前大学; 学位種類:修士(教育学); 授与年月日:平成20年3月21日; 学位記番号:修第413号
著者
藤田 暢一 服部 憲明 森 正志 工藤 俊介 宮井 一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0102, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】歩行障害を有する患者を対象にしたリハビリテーション治療において,どのタイミングで問題が生じているかなど,歩行能力を詳細に評価することは重要である。しかし,従来の計測装置は高価で,空間的制約が大きいため臨床での利用には制約がある。そこで,今回我々は,安価で簡単に客観的な歩行周期を計測できる①スプリット型フットスイッチ(Split foot switch:SFS)を作製し,②加速度センサー(Accelerometer:AM),③圧センサー(Pressure sensor:PS)との歩行周期計測の比較検討を行った。【方法】対象は健常成人男性9名,年齢は27.1±2.7歳であった。測定課題は,被験者の主観的快適速度での歩行とした。測定機器と取り付け位置は,①SFS:マットセンサー(竹中エンジニアリングM-68)を用いて,踵部と爪先部の2つのセンサーを作製し,本人持ちの右側靴底の踵と爪先部に両面テープにて貼り付けた。②AM:小型無線多機能センサー(ATR-Promotions社製TSND121)を背面第3腰椎部にホワイトテープと軟性バンドで固定し,体幹の三軸方向(上下・左右・前後)の加速度を計測した。③PS:Flexiforce(ニッタ社製A201-100)を右足の踵と母趾球部にホワイトテープで固定した。これらの機器を同時に,サンプリング周波数100Hzで計測を行い,歩行が定常状態となった区間の立脚期のデータを10周期分採用した。各機器の踵接地・爪先離地の決定基準は,①SFS:踵接地は踵センサーのON,爪先離地は爪先センサーのOFF,②AM:踵接地は加速度前後成分上方ピーク,爪先離地は加速度上下成分下方ピーク,③PS:踵接地は踵センサーの上昇開始点,爪先離地は爪先センサーの上昇ピークとした。この基準より一歩行周期の時間,一歩行周期に対する立脚期の割合を計算した。解析は,被験者毎に,機器間の計測値の差に関しては,計測値に正規性・等分散性が認められた場合,一元配置分散分析で比較し,Tukey法にて多重比較を実施,認められなかった場合はfriedman検定後,Bonferroni補正されたWilcoxon検定を実施した。また,機器間の計測値の相関に関しては,Spearman順位相関係数を用いて計算した。更に,これらと同様の解析を各被験者の計測値の平均値を元にグループレベルでも行った。解析にはR version 2.8.1を使用し,有意水準を5%に設定した。【倫理的配慮,説明と同意】当院の倫理委員会により承認を得て,被験者には十分な説明の後,同意を得た後に実施した。【結果】9名全体の一歩行周期(秒)に関しては,平均時間±標準偏差(変動係数)はSFSが1.08±0.27(2.53),AMが1.08±0.27(2.54),PSが1.08±0.25(2.29)であった。立脚期の割合(%)はSFSが58.8±0.91(0.015),AMが68.4±1.8(0.026),PSが49.2±2.8(0.059)であった。計測値の差の検定では,一歩行周期の時間は,全ての被験者およびグループレベルで,機器間の有意差は認められなかったが,立脚期の割合ではSFS<AMと有意差を認めた者が9名中7名,SFS>PSと有意差を認めた者が8名であり,グループレベルでもPS<SFS<AMと有意差を認めた。相関の検定では,一歩行周期でSFS-AM間の有意な相関関係を示した者が7名,SFS-PS間では9名であり,グループレベルでもSFS-AM間でr=0.996,SFS-PS間でr=0.997,AM-PS間でr=0.997と強い相関を認めたが,立脚期の割合ではSFS-AM間の有意な相関関係を示した者が1名のみ,SFS-PS間では0名であり,グループレベルでも有意な相関関係は認められなかった。【考察】一歩行周期では機器間で計測値に差が無く,相関も高かった事から,いずれの機器も高い精度で歩行周期を計測できていると考えられた。一方,立脚期の割合では,多くの被験者で機器間に共通した差が認められ,また機器間で有意な相関を示しているものは少なかった。差が認められたことに関しては,AMの加速度波形から踵接地・爪先離地を決定する方法の特性とPSの接地面積の少なさなどが影響していると考えられた。相関が認められなかったことに関しては,立脚期の割合の変動係数が,SFSに比べAMやPSで大きいことが影響していると考えられた。一見より変動係数の小さいSFSが歩行計測には有効と考えられる。しかし,歩行時の体幹や下肢の運動は毎回僅かに異なっており,SFSで直接計測できる床接地時間という時間因子を維持するため,毎回運動学的な微調整が行われる機序をAMやPSの計測値の変動は反映していると考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から,SFSによる歩行計測は変動が小さく,臨床での計測に適当と思われたが,AM・PSの変動の原因も考慮する必要があると考えられた。これらを組み合わせることで,歩行の多様な情報を収集することが可能になると考えられた。
著者
工藤 秀明
出版者
千葉大学経済学会
雑誌
経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.165-192, 1996-03

In this paper, we analize the second volume of Marx's doctoral dissertation. As important branches of naturphilosophy are ones of atom, time, and heavenly bodies, Marx examines Demokritos' and Epikuros' views on each of these branches in detail. Sympathiz
著者
工藤 邦史 杉村 政徳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2009年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.70, 2009 (Released:2009-06-22)

島畑は一筆の水田の内部に島状に畑地としている様から、そう呼ばれる農業景観である。「刎畑」(はねばた)の別名や、「掘下田」あるいは「半田」とも呼ばれる。いずれにしても、水田と畑地の並存景観という点が特筆される。従来の、柳田国男の稲作指向や、対する坪井洋文の畑作指向の議論では説明することの出来ない形態である。島畑の最も古い成立時期の可能性として、金田(1974)では鎌倉期に遡ることを指摘している。また、江戸期の様々な絵図に描かれ、当時の人々に広く認知されるものとして存在していたことが示されている。かつて竹内(1967)によって、島畑の全国各地の分布が考察された。ところが以降長年にわたり、島畑の現状を捉えた研究はない。また、島畑そのものへのアプローチも、成立経緯の研究事例がわずかにあるだけである。さらに、「景観」に対する観光や文化、歴史的価値を強調するような流れとは無縁であり、同じ農業景観でありながら研究の盛んな、棚田とは状況を異にする。しかし前述のように、島畑の景観および歴史的価値は非常に高く、現状について調査・検討する必要がある。そこで現代においてなお、島畑景観を残す愛知県一宮市三ツ井での調査結果を報告する。島畑は、かつては対象地域のみならず、広く尾張平野に分布していたことが溝口(2002)によって指摘されている。広範に存在していた島畑が消滅していった原因として、第一に灌漑・圃場整備がある。元来島畑の形成は、水利不利条件の克服ためであり、灌漑・圃場整備が進むにつれ島畑は必要がなくなったのである。次の原因として、農耕の機械化がある。農耕を機械化する際、島畑のように水田と畑地が複雑に入り組んだ耕作地形状より、水田・畑地がそれぞれまとまった面積をもつほうが生産効率的に有利である。一方、対象地域に島畑が残っているのは、市街化調整区域に属し、圃場整備や宅地化から免れたこと、また土地所有が小口であり、農地以外への転用の意思決定の足並みが揃わないことに原因がある。現地の聞き取りから、多くの農家が自給目的で多品種少量生産を行なっていることが明らかになった。このような生産形態から、作物には農薬をほとんど使用していない。これは食の安全性の観点のみならず、生態系保全の場としても、島畑の重要性は極めて高い。加えて名古屋という大消費地に近接している点においても、歴史的な農業景観の側面のみに留まらず、農産物供給の場としての価値が潜在的にある。しかし米や一部の野菜は出荷している事例がある一方、現状では既に放棄されて荒地化した島畑も存在する。耕作者の減少や、対象地域では道路整備の予定もあり、島畑の存続は危うい状況に置かれている。島畑は、近年の棚田オーナー制度やアグリツーリズムのような動きとは無縁の状況下で、その形態を長年に亘って継承してきた稀有な農業景観である。しかしながら、とりまく状況は安泰とは程遠く、今後いつ消滅してもおかしくはない。島畑の現況をきちんと把握し、記録に残すことも、農業史・農業景観の観点から極めて重要である。
著者
森本 佑子 田辺 雄一 堀 天明 宮内 勇貴 佐藤 麻紀 工藤 道誠 菅屋 潤壹
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2314, (Released:2019-10-25)
参考文献数
23

健康なボランティアの前腕浴における皮膚血流に対する炭酸ガスおよび乳化油剤の影響を測定した.浴湯中に炭酸ガス(60ppm)のみ,乳化油剤(10ppm)のみ,炭酸ガスおよび乳化油剤を溶解させた前腕浴において,炭酸ガスと乳化油剤の併用は,炭酸ガス単独にくらべて皮膚血流量を有意に上昇させた.乳化油剤が炭酸ガスの経皮吸収を高めた結果,炭酸ガスの皮膚血管に対する実効濃度が高くなった可能性が考えられた.  さらに,炭酸ガスと乳化油剤を組み合わせた入浴剤を作製し,健常成人を対象に,2週間の連用が発汗に及ぼす影響を調べた.連用後,入浴剤群では,安静時の鼓膜温が低下傾向を示した.発汗テストによる体温変化は連用前と同等であったが,発汗量は有意に増加した.鼓膜温および発汗量,発汗波頻度を用いた解析から,発汗量の増加は,発汗中枢を介したものであることが示された.コントロール群では,これらの変化は認められなかった.以上の結果から,乳化油剤を配合した炭酸入浴剤が発汗機能に有益な効果を有する可能性があることが示された.
著者
工藤 章 宮原 昭二郎
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.209-214, 1986-03-30 (Released:2010-03-18)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.279-284, 2011-05-28
参考文献数
5

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.本研究では批評文中の人名と作品に絞り,総合的作品である映画と演劇の批評において,誰についてどの作品について中心的に語られる傾向があるのかを計量し,カテゴリー分類と共起分析を行った.結果として演劇批評は集中的であり,映画批評は分散的・個別的であること,また演劇批評は強い芸術的指向性を持つことが明らかになった.
著者
小松 真一 工藤 慎太郎 村瀬 政信 坂崎 友香 林 省吾 太田 慶一 浅本 憲 中野 隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P3017, 2009 (Released:2009-04-25)

【【目的】Fabellaとは,大腿骨外側顆の後面において腓腹筋外側頭腱の内部に位置する1cm前後の種子骨であり,15%~35%前後の発現頻度で認められる.Fabellaは大腿骨外側顆との間にfabello-femoral関節を構成するとされ,Weinerらは,fabella部の鋭い疼痛,限局性圧痛,膝伸展時痛を有する症例を同関節の変性であると考え,fabella症候群として報告している. 一方,fabellaの関節面は,関節軟骨を欠き結合組織線維に覆われている場合が多いとする報告もある.このような例では,結合組織の変性や炎症,周囲の滑膜および関節包の炎症が認められるという.また,fabellaのみでなく種子骨一般の組織学的構造に関する検討は少ない.そこで今回,fabellaの周辺を局所解剖学的に観察するとともに,fabellaの組織学的構造の観察を行い, fabella症候群および総腓骨神経麻痺との関連について検討した.【方法】愛知医科大学医学部において『解剖学セミナー』に供された実習用遺体44体を使用した.膝窩部から下腿後面を剥皮後,皮下組織を除去して総腓骨神経を剖出した.腓腹筋外側頭の起始部を切離してfabellaを剖出し,総腓骨神経との位置関係を観察した後,fabellaを摘出した.Fabellaは脱灰してパラフィン包埋後,前額面と矢状面の薄切切片(5&#13211;)を作成し,ヘマトキシリン‐エオジン, マッソン・トリクロームおよびトルイジンブルー染色を行って観察した.なお,解剖の実施にあたっては,愛知医科大学解剖学講座教授の指導の下に行った.【結果】Fabellaは44体88側中16体30側(36.4%)において確認できた.その全例において,総腓骨神経がfabellaの表層を走行し,fabella部より遠位で深腓骨神経,浅腓骨神経,外側腓腹皮神経に分岐していた.Fabellaは,頂点を表層に向けた三角円錐形を呈していた.組織学的には,fabellaの辺縁部は関節面を含め線維芽細胞を含む膠原線維で被覆されていた.内部の組織学的構造は,髄腔を有する骨組織からなる例と,硝子軟骨組織からなる例が見られた. 【考察】Fabellaの関節面は関節軟骨を欠き,結合組織によって周辺の関節包や腱に癒合していた.また,fabellaはfabella-腓骨靭帯などの後外側支持機構によって支持されるため,可動性に乏しいことが示唆された.さらに,内部の組織学的構造から,fabellaは軟骨組織が機械的刺激によって骨組織に置換されて形成されると考えられた.このようなfabellaの組織学的構造やその個体差が, fabella症候群や総腓骨神経麻痺の発症に影響することが示唆された. Fabellaの表層を総腓骨神経が走行することから,総腓骨神経麻痺の症状の有無を考慮することが,fabella症候群の診断に有用であると示唆された.換言すれば,腓骨頭直下における総腓骨神経麻痺との鑑別が必要であると考えられる.
著者
中村 翔 小林 一希 颯田 季央 工藤 慎太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0152, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】外側広筋(VL)は膝関節の主要な伸展筋であり,さらに内側広筋と共同して膝蓋骨の安定性に寄与している。しかし,臨床で遭遇するVLの過緊張は内側広筋とのアンバランスを引き起こし,膝蓋骨の正常な運動を阻害する。そして膝蓋大腿関節症といった膝周囲の疼痛を引き起こす原因となるため,膝蓋大腿関節の機能改善のためには,VLに対する治療が重要となる。我々は先行研究において超音波画像診断装置を用いて膝関節屈曲運動時のVLの動態を観察した結果,膝屈曲運動時にVLは後内側に変位することを報告した(中村2015)。そしてEly test陽性例に対して,VLの動態を考慮した運動療法を行った結果,VLの動態の改善や筋硬度の減少といった結果が得られたことを報告した(中村2015)。しかし,我々が考案した運動療法と従来から行われているストレッチングの効果について比較をしていない。そこで今回は両介入における即時効果の比較検討をしたので報告する。【方法】対象はEly testが陽性であった成人男性20名40肢とした。対象を無作為にVLの動態を考慮した運動療法を行う群(MT群)とストレッチングを施行する群(ST群)の2群に振り分けた。MT群は膝関節自動屈曲運動に伴い,VLを徒手的に後内側に誘導する運動療法を行った。回数は10回を1セットとし,3セット行った。ST群は他動的に最終域まで膝関節を屈曲するストレッチングを行った。回数は30秒を1セットとし,3セット行った。測定項目は膝関節屈曲運動時のVL変位量(VL変位量)と筋硬度を介入前後に測定した。VL変位量は超音波画像診断装置を用いて,Bモード,リニアプローブにて,膝関節自動屈曲運動時のVLの動態を撮影した。そして,得られた動画を静止画に分割し,膝関節伸展位と屈曲90度の画像を抜き出し,VLの移動した距離をImage-Jを使用して測定した。筋硬度は背臥位,膝伸展位で筋硬度計を用いて,大腿中央外側にて測定した。統計学的処理にはR2.8.1を使用し,介入前後の比較にはWilcoxonの符号付順位検定を行い,群間の比較にはMann-Whitney検定を行った。いずれも有意水準は5%未満とした。【結果】介入前の両群間の各変数に有意差は認めなかった。介入前のVL変位量は,MT群8.3mm(7.5-9.7),ST群8.7mm(8.1-10.2),介入後はMT群12.5mm(11.7-13.5),ST群11.9mm(11.1-13.4)であり,両群とも介入前後で有意差を認めた(p<0.05)。介入前の筋硬度は,MT群1.5N(1.5-1.6),ST群1.5N(1.4-1.5),介入後はMT群1.4N(1.4-1.5),ST群1.5N(1.4-1.5)であり,両群とも介入前後で有意差を認めた(p<0.05)。介入後の両群間の比較では,VL変位量,筋硬度ともに有意差を認めた(p<0.05)。【結論】筋の動態を考慮した運動療法はストレッチングと比較して,膝関節屈曲運動時の筋の動態および筋硬度が改善したことより,本法は短軸方向への筋の柔軟性改善に有効な手段であることが明らかとなった。
著者
甲本 亮太 工藤 裕紀 髙津 哲也
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.615-630, 2011-12-20

秋田県沿岸におけるハタハタ仔稚魚の水深別分布と摂餌生態を調べるため、2009年2-5月に仔稚魚の分布密度と食物組成および餌サイズ組成を調査した。仔稚魚は水温7.3-12.2℃の底層に分布し、水深0.5-5mの産卵場から個体発生的に水深60m以深に移動した。また稚魚は、水温13.2℃以上の底層には分布しなかった。ハタハタの孵化仔魚は脊索長が約12mmあり、他の海産魚類の仔魚に比べて口器および形態が発達した段階で孵化していた。体長12-30mmの仔魚の餌は浮遊性あるいは底生性のカイアシ類コペポダイトが高い割合を占め、40mm以上ではアミ類が優占した。コブヒゲハマアミはハタハタ稚魚の成育場に同期的に出現し、他の浮遊性あるいは底生性の甲殻類に比べて大型であることから、稚魚の重要な餌生物の一つであると考えられた。
著者
工藤 彩 川端 博子 生野 晴美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.59, 2011

<B>目的</B> 授乳期においては体型の変化や授乳により妊娠前とは違った衣服が求められ、ブラジャーに関しては授乳専用品が利用される。授乳専用ブラジャーは一般に母乳パッドと共に使用され、乳頭部の保護と母乳を吸収する役割を果たす。本研究では、綿の授乳専用ブラジャーに3種のパッド(不織布と吸水ポリマーからなる使い捨て、綿100%布製、ポリエステル100%布製)を装着し、パッド内部の温度・湿度環境の実態把握と着用感の比較を目的とする。<BR><B>方法</B> 授乳期の女性の協力を得て、日常生活の中でパッドに付着する母乳の量と、パッド内部の温度・湿度の推移を把握した。室温28℃・湿度60%の人工気候室内で、女子学生被験者15名が30分間安静を保ち着用感の評価をした後、母乳にみなした37℃の温水を4mlパッド内部に注入し、安静30分後に再び着用感評価を行なった。5名については、小型のロガー付きセンサーを用いてパッド内部の温度・湿度を測定した。<BR><B>結果</B> 交換時までに使い捨てパッドに付着する母乳量には、同一人物でも、左右差があるなど一定の傾向はみられない。多い時には10gを超えるケースもある。パッド内部の温度は36℃前後、湿度は90%を超え、高温多湿である。一方、女子学生では温度33℃、湿度40~50%前後であった。<BR> 人工気候室内の被験者5名の水注入前のパッド内温度・湿度の平均は35℃、60%前後で、3試料間には温度・湿度ともに差はみられない。水注入後には、使い捨てでは温度・湿度はほとんど変化しないが、綿とポリエステル製では温度はともに下降した。湿度は、綿では急激に、ポリエステルでは緩やかに上昇するが、30分後には両者とも約90%になる。このことから、布製では母乳の漏れがある時にドライな環境を保つのが難しいと考えられる。不快感においても、水注入前には3試料間に差はみられないが、水注入後には使い捨てがもっとも優れていると評価された。
著者
村田 希吉 大友 康裕 久志本 成樹 齋藤 大蔵 金子 直之 武田 宗和 白石 淳 遠藤 彰 早川 峰司 萩原 章嘉 佐々木 淳一 小倉 裕司 松岡 哲也 植嶋 利文 森村 尚登 石倉 宏恭 加藤 宏 横田 裕行 坂本 照夫 田中 裕 工藤 大介 金村 剛宗 渋沢 崇行 萩原 靖 古郡 慎太郎 仲村 佳彦 前川 邦彦 真山 剛 矢口 有乃 金 史英 高須 修 西山 和孝
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-347, 2016-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

【目的】重症外傷患者における病院前輸液と生命予後, 大量輸血および凝固異常との関連について明らかにする. 【対象と方法】Japanese Observational Study of Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) で後方視的に収集したISS≧16の外傷796例について, 28日死亡, 大量輸血 (24時間Red Cell Concentrate : RCC10単位以上), 外傷性血液凝固障害 (Trauma–Associated Coagulopathy : TAC : PT–INR≥1.2と定義) の3つを評価項目として, 病院前輸液施行の有無の影響を検討するために多変量解析を行なった. さらに年齢 (65歳以上/未満), 性別, 重症頭部外傷合併の有無, 止血介入 (手術またはIVR) の有無により層別化解析した. 【結果】病院前輸液施行85例, 非施行711例であり, 両群間における年齢, 性別, 28日死亡, 大量輸血, 止血介入に有意差を認めなかった. 病院前輸液群ではISSが高く (中央値25 vs. 22, p=0.001), TACが高率であった (29.4% vs. 13.9%, p<0.001). 病院前輸液は28日死亡, 大量輸血の独立した規定因子ではなかった. TACの有無を従属変数とし, 年齢・性別・病院前輸液の有無・ISSを独立変数とするロジスティック回帰分析では, 病院前輸液 (オッズ比 (OR) 2.107, 95%CI 1.21–3.68, p=0.009) とISS (1点増加によるOR 1.08, 95%CI 1.06–1.10, p<0.001) は年齢とともに独立したリスク因子であった. 層別解析では, 65歳未満 (OR 3.24, 95%CI 1.60–6.55), 頭部外傷合併 (OR 3.04, 95%CI 1.44–6.42), 止血介入例 (OR 3.99, 95%CI 1.40–11.4) において, 病院前輸液は独立したTACのリスク因子であった. 【結語】ISS≧16の外傷患者に対する病院前輸液は, 28日死亡および大量輸血との関連は明らかではないが, TAC発症の独立したリスク因子である. 特に65歳未満, 頭部外傷合併, 止血介入を要する症例に対する病院前輸液は, TAC発症のリスクとなる可能性がある.