著者
工藤 清 島 昌秀 久米 康仁 生駒 太志 森 貞之 杉田 信之
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.40-47, 1995-01-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
13
被引用文献数
4 15

高圧二酸化炭素下, ギ酸-炭酸アルカリ金属溶融塩中における2-ナフトエ酸塩のカルボキシル化反応を検討した。アルカリ金属種による反応性を調べた結果, セシウム塩系が最も高く, セシウム>ルビジウム>カリウムの順に低くなり, ナトリウムおよびリチウム塩系ではほとんど反応しなかった。ギ酸セシウム-炭酸セシウム溶融塩中, 400気圧, 380°C, セシウム2-ナフトエ酸塩のカルボキシル化反応ではナフタレンジカルボン酸塩およびトリカルボン酸塩が容易に得られ, ジカルボン酸塩中では2,6-ジカルボン酸が主生成物であった。この反応での生成物中の全カルボキシル基収率は不均化反応の値よりも大きく, しかもナフタレンの生成がほとんど見られず, 従来のヘンケル法と違った結果が得られた。そこで, この反応の生成物収率に及ぼす二酸化炭素圧力, 温度, および炭酸塩の添加量の効果を調べた。13Cで標識した二酸化炭素を用いた反応結果, 加圧二酸化炭素による直接カルボキシル化反応が進行していることが明らかとなり, その反応機構について考察を行った。
著者
早川 雄貴 滝沢 穂高 工藤 博幸 岡田 俊之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.77-80, 2016

本報告では,腹部X線CT画像の位置合わせ手法について述べる.はじめに空気領域の非対応の問題に対応するため,粘性流体力学に基づく非剛体変形により2枚の画像の空気抜きを行う.次に撮像範囲の異なる2枚の画像間においても柔軟に同一組織の位置合わせを行えるようにするため,CT画像から骨領域を抽出し,その構造情報を基に大まかな位置合わせを行う.最後に,マクスウェルの悪魔アルゴリズムと局所的なアフィン変形のモデルに基づく変形場近似のアルゴリズムを用いて非剛体の位置合わせを行い,より詳細な位置合わせを行う.本報告では,本手法を実症例画像に適用した結果を示し,本手法の有効性を検証する.
著者
藤代 準 堀 哲夫 金子 道夫 小室 広昭 楯川 幸弘 瓜田 泰久 工藤 寿美 星野 論子 神保 教広 坂元 直哉
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.226-230, 2011
参考文献数
13

直腸刺杭創は転落・転倒等により生じる稀な鈍的外傷であり,一般に深部の臓器損傷と体表創の程度が必ずしも一致しないため,受傷程度の評価が難しく,診断・治療に難渋することもある.われわれは腹膜翻転部の上下に2箇所の穿孔を生じた稀な直腸刺杭創の1例を経験したので報告する.症例は6歳女児で,ビニールプールで遊んでいた際水鉄砲の内筒が肛門に刺入した.出血が止まったので自宅で様子を見ていた.同日夜より腹痛・発熱を認めたため翌日前医受診,CT検査にて消化管穿孔と診断され,当科搬送となった.直腸刺杭創が原因と考え,同日緊急手術を施行した.腹膜翻転部直上の直腸前壁に2.5cmの穿孔を認め,穿孔部閉鎖,洗浄,人工肛門造設術を施行した.術後の直腸造影にて腹膜翻転部より肛門側に別の穿孔部を認めた.受傷後5か月で人工肛門閉鎖術を施行した.直腸刺杭創の治療の際には,術中に腹腔側から観察できない腹膜翻転部以下の下部直腸の精査が重要である.
著者
倉根 修二 工藤 翔二
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.573-580, 2003-09-15
参考文献数
8
被引用文献数
2

2002年1月, 全国80の大学医学部付属病院に対し, 結核の診療・教育・感染対策に関するアンケート調査を実施した.最終回答率は内科75%, 感染症科65%であった。回答医師の施設の結核病床保有率は27%であった。結核病床を持たない (無床) 施設における年間の診療結核患者数は, 概ね20人以下で, 診療に占める結核患者の割合は高くはないが, 回答医師の90%以上が結核患者の収容施設の必要性を認めており, 大学付属病院で診療すべき患者として "基礎疾患を有する患者" を挙げていた。結核教育に関しては系統講義のみならず, 無床施設の31.8%で結核専門病院での研修が実施されており, また60.8%の施設において, 結核感染対策に関する教育が実施されていた。一方学生に二段階ツベルクリン反応検査 (ツ反) を実施している施設は47.1%で, このうちの54.9%の施設ではツ反陰性者に対しBCG接種が実施されていた。結核緊急事態宣言以後, 大学付属病院における結核への対応は, 以前の調査と比較して若干の改善がみられるが, 結核 (感染症) 患者用病床の確保や結核専門施設との連携等, より一層の積極的な取り組みの重要性が示唆された。
著者
岡村 良久 原田 征行 工藤 正育 津田 英一 小野 睦
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.102-106, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
10

腰椎椎間板ヘルニアの保存的治療法には,薬物療法,理学療法,各種ブロック療法などがあるが,その効果が明らかに証明されているものは少ないものの,長期自然経過は良好とされている.しかし,スポーツ選手,特に若年者の場合には時間的制約もあり,速やかに腰下肢痛を改善させて競技復帰をめざすことが大切である.1997 ∼ 2002年までの5年間に治療した男性43名,女性12名,計55名のスポーツ選手の腰椎椎間板ヘルニアの治療結果から保存的治療成績について検討した.仙骨裂孔ブロック,神経根ブロック,ストレッチを中心とした3週間の運動療法で29例,52.7%に運動時痛の改善を認めた.さらに,体幹の筋力訓練を継続して平均15.6カ月の経過観察では45例,81.8%がスポーツ復帰,継続可能であった.3週間で症状が全く改善しないもの,6週間でも運動時痛がとれない症例には治療法を再検討して,最終的には4例に手術を施行した.
著者
Yamada R. Tao G. Zheng J. KOJIMA R. FUJIKAWA Y. SASAKI T. 工藤 章
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 = Environmental conservation engineering (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, pp.931-939, 1999-12-20
参考文献数
51

Studies on ice cores drilled in Antarctic, Greenland and Canadian Arctic ice caps provide the environmental composition and the climate in the past. This information and further study will help in the understanding of the basic natural processes and the extent of human impact on the environment and climate. This will eventually enable us to predict the future of the environment. This review summarizes the state of the art methodologies used in ice core studies, with highlights on the recent studies in this group.
著者
酒井 正士 片岡 豪人 工藤 聰
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.85-90,66, 2002

ホスファチジルセリン (PS) は脳に存在する主要な酸性りん脂質であり, 古くから脳機能との関連で研究が進められてきた。<BR>1986年にはDelwaideらが, 牛脳由来ホスファチジルセリン (牛脳PS) を老人性痴呆症患者に経口投与することにより症状が回復することを初めて報告した。これ以後, 欧米で10件を超える二重盲検試験が行われ, いずれの場合にも老人性痴呆症に対する有効性が確認されている。特に494人の老人患者を対象としたイタリアにおける臨床試験では, 抗痴呆剤として牛脳PSを摂取することにより, 副作用は認められず行動と知的能力のパラメータが改善されることが示されている。<BR>しかしながら, 牛脳には感染性スポンジ脳症を媒介する恐れもあることから, 安全性の観点から見て食品素材としては適していない。また, 牛脳から得られるPS量はそれほど多くなく, 安全で充分な量を確保できる天然素材は他に見当たらない。この問題を解決するため, ホスホリパーゼDを用いて大豆レシチンとL-セリンとを原料にPS (大豆転移PS) を製造する技術が開発された。<BR>大豆転移PSの脂肪酸組成は牛脳PSとはかなり異なるが, 牛脳PSと同様にスコポラミンで誘発した齧歯類の記憶障害を回復させた。さらに, 老齢ラットに大豆転移PSを連日投与した結果, 牛脳PSと同様に水迷路試験の成績が回復したことから, 大豆転移PSも牛脳PSと同様の効果を持つことが期待される。
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
プリマ オキ ディッキ A. 吉田 武義 工藤 健 野中 翔太
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.173-183, 2012-12-31 (Released:2019-02-28)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

Many studies have investigated the relationships between gravity data and subsurface caldera structure beneath the area. Difficulties may arise, however, for these analyses because of different interpretations of the buried rims of the calderas. For buried calderas, ground deformations and erosional processes including landslides have significantly reduced the appearance of the original caldera rims. Generally, the interpretation of caldera rims is based on gravity data together with geological observations, because the preserved rim has a large negative gravity anomaly that reaches minima over the marginal low-density ridges. In this study, we propose an effective method to enhance the delineation of caldera rims from gravity data using watershed delineation in GIS. The proposed method incorporates a correlation analysis to appropriately assume a rock density to correct the gravity anomalies, and a band pass filter to eliminate noises in the data. Using gravity anomalies corrected with 2.60 g/cm3 of assumed rock density, and with bandpass filter that spanned the size-range of calderas, we have successfully extracted rims of the late Cenozoic calderas from NE Honshu, Japan.
著者
緒方 さつき 森松 嘉孝 幸崎 弥之助 工藤 昌尚 田尻 守拡 井 賢治 渡邉 健次郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.99-103, 2006

症例は42歳の男性。400ccの自動二輪車運転中に左側の駐車場から無灯火で出てきた普通車の右側面に衝突し,当院へ搬送された。来院時,呼吸は腹式呼吸で,両上下肢の知覚が消失し,両上下肢で徒手筋力テスト0であった。病的反射の出現は認めなかったが,肛門反射が完全に消失していた。重症の下位頸髄損傷を疑うも,頸椎単純X線,頭部CT,頸髄・胸髄・腰髄MRI検査にて異常所見は認めなかった。その後,6年前の急性一過性精神病性障害の既往が判明し,転換性障害の診断にて入院となった。徐々に症状の改善がみられ,リハビリテーション目的にて第13病日に他院へ転院となった。救急の現場において,症状と検査所見が一致しない事例をみた場合,精神病性障害である可能性に留意すべきである。
著者
永井 智之 島田 宗昭 湊 敬道 田中 恵子 土岐 麻実 工藤 敬 橋本 千明 星合 哲郎 徳永 英樹 八重樫 伸生
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.92-97, 2019 (Released:2019-06-08)
参考文献数
11

Objective: To evaluate the usefulness of diagnostic laparoscopy in patients with advanced ovarian cancer.Methods: We retrospectively analyzed nine patients for whom primary debulking surgery was considered unfeasible. We evaluated whether laparoscopic procedure was adequate in making pathological diagnosis and intraabdominal assessment.Results: Median age was 63 years (range, 47-79 years), and median operation time was 59 minutes (range, 43-103 minutes). All nine patients were pathologically diagnosed with high-grade serous carcinoma and were considered unfit to undergo primary debulking surgery. All patients received chemotherapy. Six patients underwent interval debulking surgery. Only one patient showed mild adhesions between the omentum and the abdominal wall. Conclusion: Diagnostic laparoscopy is safe and feasible in advanced ovarian cancer patients.
著者
工藤 伸一 長沢 栄史
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.33, 2006

青森市郊外のスギ植林地内草地で採集された2種のきのこを調査した結果,それぞれアカヤマタケ属のアカヤマタケ節(sect. <I>Hygrocybe</I>)およびベニヤマタケ節(sect. <I>Coccineae</I>)に所属する新種と考えられたので報告する. 1)<I>Hygrocybe niveoconica</I> (sp. nov.)_-_トガリユキヤマタケ(新称):子実体は中形で,全体が淡クリーム白色_から_白色.傘は平滑,湿時弱い粘性あり,初め円錐状鐘形,のち開くが中央突出する.ひだは柄に湾生し狭幅,やや密.柄は細長く,基部で多少細まり,中空.表面は平滑.胞子は楕円形,7_-_10×5_-_7μm.担子器は通常4胞子性,ときに2胞子性.アカヤマタケ節に所属し,アケボノタケ <I>H. calyptriformis</I> (Berk.& Br.) Fayodに最も近縁と考えられる.しかし,同種は傘がライラック色を帯び,胞子が6.5_-_7.5×4_-_5μmと小形,また側および縁シスチジアをもつなどの点で異なる.外観的には北アメリカの <I>H. pura</I> (Peck) Murrill(ナナイロヌメリタケ節 sect. <I>Subglutinosae</I>)にも多少似るが,同種は柄に強い粘性があり,また傘および柄の傷んだところがピンク色を帯びると言われている (Hesler & Smith, 1963).2)<I>Hygrocybe ramentacea</I> (sp.nov.)_-_クロゲヤマタケ(新称):子実体は中形.傘は黄色の地に暗褐色の顕著な繊維状小鱗片を生じ,初めやや円錐状丸山形,のち開いて中高の平らとなる.ひだは直生_から_上生あるいは多少垂生し,広幅,疎,淡黄色.柄は下方で多少太まり,中空.表面は黄色,基部で淡黄白色,繊維状.胞子は楕円形_から_長楕円形,8_-_11(_-_13)×5.5_-_7(_-_8)μm.担子器は4胞子性.側および縁シスチジアをもつ.ベニヤマタケ節に所属し,小笠原の母島から報告のあるクロゲキヤマタケ <I>H. hahashimensis</I> (Hongo) Hongoに極めて近縁な種と考えられる.しかし,同種は胞子が7_-_9.5×4.5_-_6.5μmと小形,縁および側シスチジアを欠くと言われている(本郷, 1987).