著者
藤田 米春 徃住彰文 小方 孝 太田究三郎 赤星 哲也 森田 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.5, pp.45-52, 1999-01-22

本報告では、日本認知科学会の中に設立した研究分科会「文学と認知・コンピュータ」の設立趣旨、研究分野、研究手法、設立までの経緯・活動等について述べ、今後の展望と「人文科学とコンピュータ」研究会の新しい展開への期待を述べる。In this report, we describe prospect, research areas, research methods and activity of the special interest group "Literature in Cognition and Computer" and mention an expectation of new development of the SIG:Computer and Humanity.
著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.138-143, 2009-05-16
参考文献数
4
被引用文献数
1

音楽の様式は刻一刻と連続的な変化を遂げていくため,これらに対して,音楽美学や音楽史学において議論されるような区分,例えば,古典主義音楽,ロマン主義音楽といった確定的な定義を与えることは難しい問題である.しかしながら,時代によって特徴や差異が確認されることは否めない.本研究では,音楽概念を構造的に抽出・体系化することで,音楽概念がどのような差異・変遷をもつものか検討する.具体的には,音楽評論雑誌『ポリフォーン音楽評論の開かれた場』全13冊から,言及対象が20世紀以前の西洋音楽に該当する記事と,20世紀以後の西洋音楽に該当する記事とに試験的に分類し,ネットワーク分析を用いて語彙間の共起関係からそれぞれの音楽評論の思考の中心概念を構造的に抽出する.結果,前者は「世紀」「時間」,後者は「音」「主義」を音楽概念の中心性に強く据えていることが確認された.
著者
松本 斉子 平井 葉子 徃住 彰文
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.385-400, 2003-09-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
33
被引用文献数
1

As an unprecedented phenomenon that might characterize new relations between people and domestic artifacts, a craze for a toy doll was analyzed in middle-aged people. The makers of the doll, which is modeled on a virtual character, have sold more than 700 thousand over the last three years in Japan alone, and the age distribution of buyers indicates a modal age of 51-60 year old. In this paper, 51 fan letters and 271 Web postings spontaneously sent to the toy maker were analyzed in terms of communicative functions and affective-cognitive contents. The results indicate that (a) the doll owners believe that the doll facilitates their interaction with family members and with friends, and (b) the doll owners attribute positive feelings in terms of both mental and physical states to the doll. The effects of affective attachment are discussed in terms of human emotion model.
著者
徃住 彰文 村井 源 井口 時男 モートン リース 高岸 輝
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

人類が蓄積してきた膨大な知識資源を効果的に利用する方策のひとつとして,人間の知的活動や感性的活動にできるだけ近似した知識表現形を機械可読な形で提供したい.文学,芸術,政治,宗教といった,人間の能力の最高の活動場面で流通している言語テキストを対象としてオントロジーの構築を試み,多分野,多言語における検討をおこなった.
著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.138-143, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)

音楽の様式は刻一刻と連続的な変化を遂げていくため,これらに対して,音楽美学や音楽史学において議論されるような区分,例えば,古典主義音楽,ロマン主義音楽といった確定的な定義を与えることは難しい問題である.しかしながら,時代によって特徴や差異が確認されることは否めない.本研究では,音楽概念を構造的に抽出・体系化することで,音楽概念がどのような差異・変遷をもつものか検討する.具体的には,音楽評論雑誌「ポリフォーン 音楽評論の開かれた場」全13冊から,言及対象が20世紀以前の西洋音楽に該当する記事と,20世紀以後の西洋音楽に該当する記事とに試験的に分類し,ネットワーク分析を用いて語彙間の共起関係からそれぞれの音楽評論の思考の中心概念を構造的に抽出する.結果,前者は「世紀」「時間」,後者は「音」「主義」を音楽概念の中心性に強く据えていることが確認された.
著者
松本 斉子 平井 葉子 徃住 彰文
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.385-400, 2003-09-01
参考文献数
33
被引用文献数
8

As an unprecedented phenomenon that might characterize new relations between people and domestic artifacts, a craze for a toy doll was analyzed in middle-aged people. The makers of the doll, which is modeled on a virtual character, have sold more than 700 thousand over the last three years in Japan alone, and the age distribution of buyers indicates a modal age of 51-60 year old. In this paper, 51 fan letters and 271 Web postings spontaneously sent to the toy maker were analyzed in terms of communicative functions and affective-cognitive contents. The results indicate that (a) the doll owners believe that the doll facilitates their interaction with family members and with friends, and (b) the doll owners attribute positive feelings in terms of both mental and physical states to the doll. The effects of affective attachment are discussed in terms of human emotion model.
著者
村井 源 松本 斉子 佐藤 知恵 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.6-17, 2011
被引用文献数
1

本論文では,計量的な物語構造の分析を実現するために,人文的な物語分析の古典的手法であるプロット分析を援用し,分析結果に対する計量的解析を行った.プロット分析は人文学的手法であるが,一致度の計算を実施することでプロット分割と分類の正当性の数値的評価を行った.プロット分類の結果に対してn-gram分析を行うことで物語構造の連続的パターンを抽出した.また同様にχ二乗検定を用いて頻出プロットの時代的変化を抽出した.さらに,テーマとプロットの関係を分析するために計量的手法で物語のテーマ語を抽出し,作品をテーマごとに分類した.このテーマの分類結果を用いて,各テーマのプロット的な特徴を抽出した.本論文での分析はプロットへの分割と分類を計量的指標を用いつつも人手で行うという点で,完全な自動化の実現ではないが,本論文の成果は将来的な物語分析の完全な自動化の基礎になると期待される.
著者
高寺 政行 大谷 毅 森川 英明 乾 滋 南澤 孝太 佐藤 哲也 鋤柄 佐千子 大塚 美智子 金 キョンオク 宮武 恵子 松村 嘉之 鈴木 明 韓 載香 柳田 佳子 古川 貴雄 石川 智治 西松 豊典 矢野 海児 松本 陽一 徃住 彰文 濱田 州博 上條 正義 金井 博幸 坂口 明男 森川 陽 池田 和子 鈴木 美和子 北折 貴子 鄭 永娥 藤本 隆宏 正田 康博 山村 貴敬 高橋 正人 中嶋 正之 太田 健一 堀場 洋輔
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

我が国ファッション事業の国際化に寄与する研究を目指し,国際ファッション市場に対応する繊維工学的課題の解決,国際ファッション市場に通用するTPS/テキスタイル提案システムの構築を行った.国際市場に実績ある事業者を対象とし,現場の調査,衣服製作実験,商品の評価を行い我が国との比較を行った.欧州・中国と日本における衣服・テキスタイル設計,評価および事業の違いを明らかにし,事業と技術の課題を明らかにした.デザイナーのテキスタイル選択要件を調査し,テキスタイルの分類法,感性評価値を組み込みTPSを構築した.日欧で評価実験を行い有効性を確認した.また,衣服・テキスタイル設計評価支援の技術的知見を得た.
著者
村井 源 山本 竜大 徃住 彰文
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-128, 2008
被引用文献数
1

複雑な人間関係を数理的に解析するために、近年ネットワーク解析が盛んに用いられるようになった。また、解析用のネットワークを構築するための基礎データとして、WWWのハイパーリンクが用いられるケースが増えてきている。本論文では政治家間の人間関係を示すネットワーク構造の構築に、ハイパーリンク関係を用いる妥当性を検討するため、日本の国会議員のWebページをデータとして用い、議員間のハイパーリンクと議員の名前のテキスト上での言及関係によって二種類のネットワークを構築した。また、得られたネットワークに対してネットワーク解析の手法中心性とクリーク分析の解析を適用し、結果を比較した。得られた結果より、言及関係によるネットワークは、集団における重要性を表す指標としての妥当性があり、ハイパーリンクによるネットワークでは派閥の分析が可能であることが分かった。現状として、大規模政党においては、比較的Webの利用は進んでいないが、今後政治領域でもWebの利用がより一般化することが期待される。このため、将来的にはより多様な関係性の計量的解析にWebデータが利用可能になると考えられる。
著者
徃住 彰文
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1235-1236, 1986-10-01

会話場面における"適格な応答"を規定している要因はどのようなものであろうか。ある聞き手が他の話し手によって発話された文を受理し、その文に対する適切な応答を産出する機構を考えるときこの問題は重要である。まず関与する要因の一つとして話題内容の一貫性あげることができる。これについては近年、ゴール-プラン構造といった、対話に内在する構造を使って発話のゴール指向性を確保しようというアプローチがみられる。しかしながら、そうした世界知識や対人的交渉戦術の問題などに展開されるようなゴール指向性とは独立に、言語上の行為としてのゴール指向性が発話の適格性(well-formed-ness)に関与している部分もみのがすわけにはいかない。ある発話が、後続する発話に対し、発話列としての適格性を維持するためにどのような拘束をどのような標識で与えているのかという問題である。パーザの観点からすると、この問題は、人力文のどの要素、もしくはどの構造から発話列の適格性を維持するためのどのような拘束を引き出すことができるか、またそのためにはどのような機構および媒介概念が必要かという問題に言い替えることができる。ここではゲーム理論的意味論に基づいて、平叙文を疑問文からなる発話を対象として分析を試み、またそのボトム・アップ・パーザ上での実現を試みた。
著者
村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.120-125, 2009-05-16
参考文献数
4
被引用文献数
3

本研究では,テキスト批評における中心的概念とそれらの関係を調べるため,ジャンルによる中心的概念の相違とそれらの構造を計量的に抽出した.データとしては,「Web本の雑誌」で公開されている,新刊書籍への全書評(960件,5521冊分)を対象とし,全批評テキストと各ジャンルのみの批評テキストでの出現頻度の差異からジャンルに特徴的な語彙を抽出した.また,出現頻度の高い語彙の共起ネットワーク化を行って,テキスト批評で用いられる概念の構造を可視化した.
著者
大谷 毅 高寺 政行 森川 英明 乾 滋 徃住 彰文 柳田 佳子 宮武 恵子 矢野 海児 濱田 州博 池田 和子 鈴木 美和子 鈴木 明 正田 康博 上條 正義 松村 嘉之 菅原 正博 藤本 隆宏 肖 文陵 高橋 正人 韓 載香 金 キョンオク 李 宏偉 佐野 希美子 NAKANISHI-DERAT Emi 雑賀 静
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本のファッション衣料の国際プレゼンスが低い原因は、国境を超えた着用者への製品の提案力の欠如にあった。日本のmodelismeは良好だがstylisme(ことに一次設計)は脆弱だ。スタイルの代替案想起・期待・選択作業は、設計者に対し、グローバルな着用者の行動空間に関する知見を求める。これはまた事業者の決定の価値前提の問題に関係する。大規模なファッション事業者の官僚組織が生み出す「逆機能」とも密接に係る。単にブランドの問題だけではなく、事業規模・裁量・ルーチン・経営資源配分に関わることが判明した。製品展示を半年以上前倒しするテキスタイル設計過程は、衣服デザイナーの決定前提の一部を説明していた。
著者
川島 隆徳 徃住彰文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.61, pp.17-24, 2008-06-25

オントロジーの知識を持った専門家だけが構築できる伝統的なオントロジーに対して,専門的知識無しで構築できるオントロジーは,オントロジー構築の敷居を下げるばかりでなく、新しい機能や用途を持つ可能性がある.フォークソノミーの手法を応用したオントロジーとしてフォークオントロジーを定義し,その概念的な枠組みの特徴づけをおこなった.1) 多義性を許し,2) 大規模性を前提とするフォークオントロジーの,大人数による協調構築をサポートする GUI エディタとして, Folk Ontology Workspace (FOWS) を設計し実装した.A major obstacle for ontology construction is that it requires high levels of both domain expertise and ontology skills to maintain internal consistency. In this paper, we propose a conceptual framework for a folk ontology which people can construct with only the appropriate domain knowledge. In order to realize this collaborative ontology construction, we have developed the Folk Ontology Workspace (FOWS), which is an ontology editor for distributed environments implemented in Java.
著者
良峯 徳和 徃住 彰文
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.384-391, 2001-12-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Differences in discourse type or genre produce various effects upon readers. Recent empirical research on the cognitive processes of discourse comprehension shows that mature human readers utilize cognitive processes called “comprehension control systems”. These develop in a specialized way for each type or genre of discourse. Comprehension control systems for natural language discourse have to be built-in if they are to be as flexible as those of adult human readers, so they must be designed and constructed as such. This is expected to enable the discourse comprehension system to utilize efficiently the fictional information in literary texts without confusing fictional and actual situations.
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.187-202, 2012-10-10 (Released:2012-11-30)
参考文献数
21

本論文の目的は,物語の推移に伴った単語の布置と変化から,並行形式小説がどのような構造を持っているのかを明らかにすることである.対象としたデータは,村上春樹の小説『1Q84』とし,二人の主人公である青豆と天吾のそれぞれの章に対して,語彙頻度を測度とした因子分析と変化率分析を行った.その結果,因子分析からはお互いのBOOK2までの特徴がBOOK3で相手の側に現れ,未消化だった二人の再会の物語を完結させるためにBOOK3が書かれたことが明確になった.変化率分析からは,物語進行に従って対称的に登場する二人の人物が発見された.また文芸批評との比較も行い,本研究の分析手法が物語の理解に有効であることを確認した.
著者
徃住 彰文 Akifumi Tokosumi 聖心女子大学文学部心理学科
雑誌
コンピュータソフトウェア = Computer software (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.273-279, 1988-07-15

1988年12月の日本認知科学シンポジウムにおける,カナダ,ウェスタン・オンタリオ大ゼノン・ピリシン教授の講演要約を中心に,認知を記号表現の上での計算とみなす古典的計算主義の立場からのコネクショニズム批判の現況を紹介した.
著者
梅室 博行 徃住 彰文 福田 亮子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「ユーザに感情反応を引き起こす技術製品・サービス」をアフェクティブ・テクノロジーと定義し、その概念および方法論を確立することを目的とした。まず概念を定義した後、製品・サービス側の要因(原因系)とユーザの感情反応(結果系)それぞれについて要因を分類・体系化するとともに測定方法を確立した。さらに原因系・結果系の両要因の関連を明らかにし、実際にアフェクティブ・テクノロジーを造り出すための方法論を提案した。また造り出す組織に求められる資質やその評価方法について明らかにした。
著者
村井 源 山本 竜大 徃住 彰文
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-128, 2008-06-30 (Released:2008-08-11)
参考文献数
9

複雑な人間関係を数理的に解析するために、近年ネットワーク解析が盛んに用いられるようになった。また、解析用のネットワークを構築するための基礎データとして、WWWのハイパーリンクが用いられるケースが増えてきている。本論文では政治家間の人間関係を示すネットワーク構造の構築に、ハイパーリンク関係を用いる妥当性を検討するため、日本の国会議員のWebページをデータとして用い、議員間のハイパーリンクと議員の名前のテキスト上での言及関係によって二種類のネットワークを構築した。また、得られたネットワークに対してネットワーク解析の手法中心性とクリーク分析の解析を適用し、結果を比較した。得られた結果より、言及関係によるネットワークは、集団における重要性を表す指標としての妥当性があり、ハイパーリンクによるネットワークでは派閥の分析が可能であることが分かった。現状として、大規模政党においては、比較的Webの利用は進んでいないが、今後政治領域でもWebの利用がより一般化することが期待される。このため、将来的にはより多様な関係性の計量的解析にWebデータが利用可能になると考えられる。