著者
後藤 嘉宏 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 26.13 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2002-02-08 (Released:2017-06-23)
参考文献数
9

インターネットにおける新たなネットワークモデルとして、ピア・ツー・ピア(P2P)サービスが注目されている。しかしながら、現在のP2Pサービスが構成する分散ネットワークは必ずしも実ネットワークのトポロジーを考慮しておらず、物理ネットワークの状況によって品質に大きな影響が出る可能性がある。そこで本研究では、物理ネットワークを考慮した分散ネットワークトポロジーの構築手法を提案する。まず、P2Pサービスの論理ネットワーク構築のためのパラメータについて、トラヒック計測よりその特性を明らかにし、適切なパラメータ導出法を示す。また、サービス中に発生する制御トラヒックについても考察し、パラメータによる影響を明らかにする。さらに、物理ネットワーク計測にもとづくピア選択手法を新たに提案し、シミュレーションおよび実測評価を用いてその有効性を検証する。
著者
川合 亮佑 藤野 雅彦 宮田 完志 湯浅 典博 竹内 英司 後藤 康友 三宅 秀夫 永井 英雅 小林 陽一郎 伊藤 雅文
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.549-555, 2011

症例は73歳の男性で,66歳時に十二指腸乳頭部腺腫に対して内視鏡的乳頭切除術が施行されている.68歳時に悪性リンパ腫に対して化学療法を施行され完全寛解を得ている.平成20年9月,心窩部痛を主訴に当院を受診した.内視鏡的逆行性胆管膵管造影で総胆管結石と中部胆管の狭窄を認め,切石と狭窄部の生検,内視鏡的経鼻胆管ドレナージを行った.生検で腺癌と診断されたため,肝外胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.胆管癌は肉眼的に乳頭浸潤型で表層拡大進展を呈した.病理組織学的に浸潤部はほとんど扁平上皮癌であったが,表層拡大進展部の粘膜内および線維筋層浸潤部に腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた.また,固有筋層に浸潤する胆嚢癌も伴っていた.肝外胆管原発腺扁平上皮癌の本邦報告43例の中で,粘膜内で腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた症例はなく,自験例は腺扁平上皮癌の組織発生を考察するうえで貴重な症例である.
著者
嶋田 豊 後藤 博三 引網 宏彰 関矢 信康
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、脳虚血による神経細胞障害に対する和漢薬(漢方薬)の保護作用とその作用機構をin vivoの基礎研究によって明らかにすることである。スナネズミー過性脳虚血モデルを用いて、漢方薬の経口投与の海馬CA1領域の錐体細胞の遅発性神経細胞死に対する効果、脳虚血後の海馬及び皮質における過酸化脂質(LPO)、一酸化窒素(NO)代謝物、スーパーオキサイド(O_2^<-・>)とヒドロキシルラジカル(HO^・)消去活性、ならびに抗酸化酵素活性に及ぼす効果について検討した。漢方薬は虚血7日前から、最長で7日後まで投与した。その結果、漢方方剤・釣藤散あるいは生薬・釣藤鈎の経口投与は、虚血7日後の海馬CA1領域の錐体細胞の遅発性神経細胞死を抑制した。また両者とも、虚血後の海馬におけるLPOとNO代謝物の生成を抑制した。虚血を行わない実験で、釣藤散あるいは釣藤鈎の経口投与は、海馬及び皮質ともにO_2^<-・>及びHO^・の消去活性を増強し、虚血後も海馬及び皮質ともにO_2^<-・>及びHO^・の消去活性を増強した。抗酸化酵素活性については、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)及びグルタチオンパーオキシダーゼ(GSH-Px)を測定した。虚血を行わない実験では、海馬及び皮質ともにCAT活性が上昇したが、SOD及びGSH-Px活性は変化がなかった。虚血後のCAT活性は、釣藤散あるいは釣藤鈎投与によって海馬及び皮質ともに増強を認めた。以上の成績より、一過性脳虚血モデルにおいて釣藤散あるいは釣藤鈎の経口投与は遅発性神経細胞死に対して保護作用を有し、その機序の一つとして脳内のCAT活性の増強を介する抗酸化作用の関与が示唆された。
著者
後藤 和史
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.51, pp.101-110, 2021-09-30

〔査読有り〕の原著論文日本でも教職員のわいせつ行為は問題となっている。学齢期の児童や青少年に対する女性教育者のわせつ行為を明らかにするため、ニュース記事のテキストデータを対象にテキストマイニングを行った。女性教育者は1225ケース中20名(1.6%)であった。さらに分析したところ、彼らのわいせつ行為のタイプは主に10代の生徒との性的交際だった。また一方的性的接触は少なかった。その原因を考察し、教職員と教職志望者向けの教育の今後の方向性を示唆した。
著者
青木 龍克 後藤 久貴 末次 宏晃 水光 正裕 内山 迪子 小林 恭介 田中 奈津美 鳥越 雄史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.37-39, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
7

人工関節置換術(THA)後に腸腰筋インピンジメントを生じ,前方より直視下腸腰筋切離を行った2例を報告する.【症例1】61歳女性.58歳時に右THAを施行し,術後1年で下肢伸展挙上(SLR)時の鼠径部痛が出現した.カップの前方突出を認め,腸腰筋エコーガイド下ブロックが著効し,腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後1週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【症例2】66歳女性.64歳時に右THAを施行し,術後1年でSLR時に大腿前面の痛みが出現した.明らかなカップの設置不良はなかったが,腸腰筋ブロックで疼痛改善を認め,術後2年3か月で腸腰筋インピンジメントと診断した.腸腰筋切離を行い,術後3週で疼痛は改善し,SLRが可能となった.【考察】腸腰筋インピンジメントに対してはカップの再置換術も選択肢となるが,カップの設置に大きな問題がない場合や,カップ再置換のリスクが高い場合には,腸腰筋切離の良い適応と考えられる.
著者
後藤 丹十郎 石井 真由美 藤原 一毅
出版者
岡山大學農學部
巻号頁・発行日
no.100, pp.25-29, 2011 (Released:2012-12-03)

ブプレウルム(Bupleurum rotundifolium L.)は,種子のロットによって発芽や生育が異なることが生産上大きな問題となっている。本実験では種子のロット(No.021793,025090,026247,027668)および採種時期が生育,発芽および開花に及ぼす影響を調査した。ロットによって発芽率は異なった。発蕾および開花は025090で最も早く,026247で最も遅く,027668と021793はその中間だった。自家採種種子は採種時期により発芽が異なり,6月中旬から7月上旬の高温期に採種した種子は発芽率が著しく高かった。しかし,高温期採種種子は著しく開花が遅れ,節数が多く,切り花品質が低下したのに対し,低温期採種種子は開花が早く,切り花形質が優れる傾向があった。種子のロットによって生育や開花が異なった。親個体のロットによる違いがほとんど認められなかったので,採種種子の性質の違いは親個体のロットによる違いよりも採種時期の環境条件の方が大きく影響していると考えられた。
著者
生田 旭洋 太田 友規 大野 善隆 後藤 勝正
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0233, 2008

【目的】骨格筋は、力発揮という力学的な仕事をする器官である。そのため、骨格筋を構成する骨格筋細胞は他の細胞とは異なった特有の形態と構造を持っている。形態的な大きな特徴の1つは、筋の収縮方向に(筋が力を発生する方向に)細く長いことである。この形態的特徴から、骨格筋細胞は骨格筋線維あるいは筋線維と呼ばれている。骨格筋は力学的な仕事の負荷に応じて機能的かつ形態的な適応を示すことは良く知られているが、組織としての適応は個々の筋線維の適応変化による。一般に、骨格筋線維は遅筋線維と速筋線維の2種類に大別される。例えば、遅筋線維はエネルギー産生オルガネラであるミトコンドリアを多く含むことから酸化系酵素活性が高く持久性に優れるが、ミオシンATPase活性は低く収縮速度が低いという性質を持つ。一方、速筋線維ではミトコンドリア含有量は少ないがグリコーゲン顆粒が多く含まれ、解糖系酵素活性値が高く、そしてミオシンATPase活性が高く収縮速度が高いという特性を持つ。さらに、筋線維の直径を比べると、遅筋線維に比べ速筋線維が太いとされている。しかしながら、ラットのヒラメ筋では遅筋線維は速筋線維に比べて太いことが知られており、必ずしも遅筋線維が速筋線維に比べて細いとは言えず、組織としての骨格筋の存在様式や収縮機能などの特性に応じて、筋線維の太さが決定されている可能性が指摘されている。そこで本研究では、異なる存在様式ならびに収縮機能を有する骨格筋における遅筋線維と速筋線維の形態的特徴を比較検討し、骨格筋の機能的特性と筋線維タイプの関係を明確にすることを目的とした。<BR>【方法】実験には、生後8週齢の雄性マウス(C57BL/6J)を用い、両後肢よりヒラメ筋、長趾伸筋、足底筋ならびに腓腹筋を摘出した。摘出した各筋は結合組織を除去後に秤量し、即座に液体窒素により急速凍結し、-80&deg;Cにて保存した。凍結組織をクリオスタットにて、厚さ10 μmの連続凍結切片を作成し、HE染色ならびにミオシンATPase染色(前処置pH 4.35)を施した。染色した切片は顕微鏡にて観察・撮影し、筋線維タイプの同定ならびに筋線維直径の計測を行った。<BR>【結果】ヒラメ筋では遅筋線維が多数を占め、断面積に占める割合も大きいものであった。個々の筋線維の断面積を比較すると、ヒラメ筋では遅筋線維が、長趾伸筋、足底筋ならびに腓腹筋では速筋線維が高値を示した。<BR>【考察】以上より、速筋線維が太く遅筋線維が細いという法則は必ずしも全ての骨格筋に当てはまるものでなく、組織としての収縮機能に適合するように数的に多くを占める線維が大きな直径を有することが明らかとなった。<BR>【まとめ】リハビリテーションを行う上で筋機能に配慮した処置が必要になると考えられた。<BR>
著者
後藤 隼人 辰村 光介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.4, pp.110-117, 2021-04-01

組合せ最適化は社会や産業の様々な場面で頻繁に現れる重要課題である.組合せ最適化問題に特化した量子コンピュータである量子アニーラが商用化されて以来,量子コンピュータに限らず,組合せ最適化問題に特化した計算機ハードウェアの研究開発が活発化している.本論文では,著者らが考案した量子インスパイアドの組合せ最適化アルゴリズムであるシミュレーテッド分岐アルゴリズムと,それを並列計算機で高速実装した組合せ最適化マシンについて解説し,シミュレーテッド分岐アルゴリズムを用いた大規模組合せ最適化の将来を展望する.
著者
後藤,恵之輔
出版者
土質工学会
雑誌
土と基礎
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, 1996-01-01
著者
水野 峰雄 後藤 一郎 藤岡 綱昭 安池 由幸 池田 泰久 高島 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.221-231, 2000

現行の再処理において採用されているチョップ・アンド・リーチ法では,大型剪断装置を必要とし,かつ使用済み燃料を酸難溶性のジルカロイ被覆管を付けたまま高温・高濃度の硝酸溶液で処理するため,溶解工程における負荷が大きいものとなっている.   本研究では,このような現行のヘッド・エンド・プロセスの抱える課題を解決するため,燃料集合体を解体し,燃料を被覆管より取り出した後,燃料のみを現行法より温和な条件で連続的に溶解させるとともに,燃料内のトリチウムやヨウ素を除去することによる溶解以降の工程の負荷軽減にも寄与しうる新ヘッド・エンド・プロセス技術の開発を行っている.   本報では,新ヘッド・エンド・プロセスの要素技術である燃料取出技術,ボロキシデーション技術,燃料溶解技術に関する研究成果の概要について報告する.
著者
二宮 誠 増田 勝也 鈴木 光久 後藤 学 石松 隆和
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 = Bulletin of the Japanese Society of Prosthetic and Orthotic Education, Research and Development (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.228-236, 2008-10-01
参考文献数
4

膝の機能を持たない大腿切断者が, 大腿義足で交互歩行による坂や階段のスムーズな昇降を行うためには, 膝継手に設けた油圧シリンダーを制御する必要がある. つまり, 階段の上りでは膝が任意の角度で屈曲ストップし, 階段の下りでは膝のイールディングが行われなければならない. 今回我々は, その必要な制御機能を持つ膝継手を開発した. 最初は2個のソケット内センサーによる随意制御を考えたが, 最終的には足部の接地状況を, 膝下のリンク機構によりシリンダーに伝えるバウンサー機構を考案した. この膝継手NAL-Knee により, バッテリー等も必要なく, 平地の自由な速度での歩行や, 坂, 階段の交互昇降が可能となった.
著者
杉浦 太紀 小口 和代 後藤 進一郎 河野 純子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1117-1120, 2019-11-10

要旨 【目的】ADL維持向上等体制加算病棟(以下,ADL病棟)におけるリハビリテーション介入の標準化を検討する.【対象】2017年8〜10月に刈谷豊田総合病院(以下,当院)のADL病棟3病棟に入院した641例とした.【方法】専従療法士の介入種類を入院時Barthel Index(BI),年齢,入院前日常生活動作(activities of daily living;ADL)により,評価群,指導群,療法群の3群に分類するアルゴリズムを作成した.評価群はBI 65点以上かつ年齢75歳未満の患者,指導群はBI 65点以上かつ年齢75歳以上の患者とBI 30点以上60点以下の患者,療法群はBI 25点以下の患者とした.BI 25点以下の患者で,入院前と比べADLの低下がない場合は指導群とした.アルゴリズムによる分類と療法士の主観的判断を比較した.【結果】療法士介入アルゴリズムによる3群の構成割合は,評価群338例(52.7%),指導群261例(40.7%),療法群42例(6.6%)だった.アルゴリズムと療法士の判断に相違があった患者は641例中54例であり,全体の8.4%であった.【考察】アルゴリズムの使用は,専従療法士間の介入判断の差を減少させ,専従療法士のリハビリテーション介入基準を一定に保つと考えた.