著者
越智 啓太 喜入 暁 甲斐 恵利奈 長沼 里美
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = 法政大学文学部紀要 (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.101-110, 2015-03-15

本研究では,女性に対する蔑視的な態度を測定する尺度を構成した。大学生カップルの男性のもつ女性蔑視的態度を測定し,女性蔑視的態度の構造およびこの傾向と他のパーソナリティ尺度の関連を分析した。また,女性蔑視的態度とカップル内における各種のハラスメントの頻度との関連を分析した。その結果,女性蔑視的な態度を含む尊大さに関する傾向があらゆるハラスメント行為を促進することが示唆された。
著者
渋谷 明子 寺本 水羽 祥雲 暁代 秋山 久美子
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2013年11月(W1)、2014年5月(W2)に、15歳から29歳までのソーシャルゲーム利用者を対象に、インターネット調査を実施した。また、上位30位のソーシャルゲーム(W1時)の内容分析を行い、課金や期間限定イベントの文脈への接触度をプレイヤーごとに算出し、ゲーム依存、ゲーム接触時間、課金額などとの関連性を分析した。その結果、他のプレイヤーとの対戦継続で課金できるゲームで遊ぶプレイヤー(W1)は、6か月後のゲーム接触時間(W2)が長くなり、期間限定ガチャの最高金額が高いゲームで遊ぶプレイヤー(W2)は、6か月後の課金額(W2)が上昇しており、これらは長期的影響である可能性が示唆された。
著者
山本 耕平 安井 大輔 織田 暁子
出版者
京都大学大学院文学研究科社会学研究室
雑誌
京都社会学年報 : KJS = Kyoto journal of sociology
巻号頁・発行日
vol.23, pp.35-53, 2015-12-25

This paper aims to compare the average incomes of three groups of Japanese university graduates: medical, STEM (science, technology, engineering, mathematics), and non-STEM/M graduates. Previous studies have shown that graduates of STEM/M (STEM and medicine) earn more than non-STEM/M graduates, and have argued that this difference is because STEM graduates create higher additional value than non-STEM/M graduates. However, those studies did not consider variables that should be important determinants of income in the Japanese labor market. Moreover, there are strong doubts about the interpretation that the higher incomes of STEM/M graduates result from the higher additional value STEM graduates create. Drawing on the 2005 Social Stratification and Social Mobility national survey data, this paper examines whether STEM/M graduates earn more than non-STEM/M graduates, after controlling for other important determinants of income. The results from a multiple regression analysis estimating the effect of STEM/M on income shows that STEM/M graduates earn more than non-STEM/M graduates. When separating medical and STEM graduates, however, the estimated effect of a STEM major is not statistically significant and its value is low (1% higher than non-STEM/M). Moreover, when the sample is divided into men and women, there is a significant gender discrepancy in the effect of a STEM major: male STEM graduates earn more than male non-STEM/M graduates while female STEM graduates earn much less than female non-STEM/M graduates.
著者
富山 一 田邊 潔 茶谷 聡 小林 伸治 藤谷 雄二 古山 昭子 佐藤 圭 伏見 暁洋 近藤 美則 菅田 誠治 森野 悠 早崎 将光 小熊 宏之 井手 玲子 日下 博幸 高見 昭憲
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.105-117, 2017-07-10 (Released:2017-09-14)
参考文献数
18

詳細な野焼き頻度分布についての知見を得るために、つくば市において巡回と定点カメラによる観測によって野焼き件数の分布を調査した。2015年秋季 (9~10月) に毎日巡回して燃焼物別の日別野焼き件数を調査し、降雨前に野焼き件数が多くなることが確認されたほか、野焼き件数の57%を占めた稲作残渣は稲の収穫時期から一定期間後に籾殻、稲わらの順で焼却されることが確認された。秋季の巡回調査に続き2016年8月まで4日に1度ほどの頻度で巡回し、月別野焼き件数を比較すると9~11月に多く、1~8月に少ないことが確認された。2016年1~12月にかけて行った筑波山山頂に設置した定点カメラからの観測では、1月、10月~12月に野焼き件数が多く、2~9月に少ないことが確認され、1日の中では午前10~11時および午後2~3時に野焼きが行われやすいことが確認された。2015年秋季の調査結果にもとづいて稲の収穫時期と気象条件から稲作残渣の年間野焼き発生量に対する日別野焼き発生量比を推計する回帰モデルを構築した。回帰係数から、降雨前に野焼き件数が増えること、強風により野焼き件数が減ることが定量的に確認された。構築されたモデルに都道府県別の稲収穫時期と気象データを適用して、従前研究では推計できなかった都道府県別の大気汚染物質排出量の日変動を、2013、2014年の稲収穫時期と気象データを適用して各年の野焼き発生量比の日変動をそれぞれ推計した。
著者
玄 武岩 張 慶在 金 春玉 丁 暁婷 李 亜妤 王 瑩珞
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 = Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-77, 2012-09-20

The aim of this paper is to examine the 'ideal image of family' of Japan, Korea and China through analyzing Japanese animation Chibi Maruko-chan. Recently, various genres of Japanese animations are popular worldwide. Especially, so called Home Anime which describes everyday life in Japan is widely accepted in East Asia. Although their stories are based on Japanese settings, which are often unfamiliar to the foreign audience, Home Animes such as Sazae-san, Crayon Shin-chan and Chibi Maruko-chan enjoy great popularity in Asia, especially in China and South Korea. The paper clarifies the reason behind the popularity of this kind of animations, focusing on the image of family through literature review, text analyzing and questionnaire survey of Chibi Maruko-chan.
著者
村上 斉 松本 光史 井上 寛暁 森下 惟一 梶 雄次
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.137-148, 2008-09-05
参考文献数
27
被引用文献数
1

本研究では、色落ち海苔の有効利用の一つとして飼料原料としての利用を考えて、肥育豚への給与が飼養成績、栄養素の利用性、背脂肪厚の発達および豚肉の抗酸化特性に及ぼす影響を検討した。試験では、LWD交雑種の肥育豚去勢8頭(2腹、平均体重55kg)を対照と海苔の2区に割り当て、8週間の飼養試験を行った。対照区の豚には、肥育の前期(体重50-80kg)と後期(体重80-110kg)にトウモロコシ・大豆粕主体飼料を調製して不断給与した。一方、海苔区の豚には、対照区の飼料に色落ち海苔2%を添加した飼料を不断給与した。体重と採食量は毎週測定した。肥育前期と後期の最終週にCr2O3を用いたインデックス法により栄養素の消化率を測定した。また、飼養試験の0、2、4、6、8週目に採血と背部P2位置(最終肋骨接合部における正中線より65mmの部位)における超音波画像解析を行い、血漿中脂質過酸化物と背脂肪厚の推移を測定した。さらに、飼養試験終了後、食肉処理場でと畜して、ロース(胸最長筋)を採取し、無酸素条件で凍結保存した後、解凍後0、2、4日間冷蔵保存のロース中脂質過酸化物を測定した。その結果、対照区に比べて海苔区では、肥育前期の採食量は有意に低下する(P<0.05)ものの、増体量に差はみられず、飼料効率は向上する傾向を示した(P=0.08)。肥育後期の飼養成績に両区間で有意差はみられなかった。肥育前期において、海苔区では、乾物消化率は有意に上昇したが、肥育後期では、両区間に差はみられなかった。測定したP2部位の背脂肪厚に両区間で有意差はみられなかったが、と畜後の格付けにおいて海苔区では厚脂による格落ちは少なかった。血漿中脂質過酸化物の推移を試験前の値と比較してみると、対照区では有意な変化はみられないが、海苔区では0週目に比べて6および8週目に有意に低下した。解凍後に冷蔵2、4日間保存したロース中脂質過酸化物の値を解凍直後の値と比較してみると、対照区では有意な上昇がみられるが(P<0.05)、海苔区では有意な上昇はみられなかった(P=0.06とP=0.09)。
著者
百本 暁生
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.81, no.715, pp.527-533, 1978-06-05
著者
古村 和恵 宮下 光令 木澤 義之 川越 正平 秋月 伸哉 山岸 暁美 的場 元弘 鈴木 聡 木下 寛也 白髭 豊 森田 達也 江口 研二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.237-245, 2011 (Released:2011-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

より良い緩和ケアを提供するために, がん患者やその家族の意見を収集することは重要である. 本研究の目的は, 「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」(OPTIM)の介入前に行われた, 進行がん患者と遺族を対象とした質問紙調査で得られた自由記述欄の内容を分析し, がん治療と緩和ケアに対する要望と良かった点を収集・分類することである. 全国4地域の進行がん患者1,493名, 遺族1,658名に調査票を送付し, 回収した調査票のうち, 自由記述欄に回答のあったがん患者271名, 遺族550名を対象とした. 本研究の結果から, がん患者と遺族は, 患者・医療者間のコミュニケーションの充実, 苦痛緩和の質の向上, 療養に関わる経済的負担の軽減, 緩和ケアに関する啓発活動の増加, 病院内外の連携システムの改善, などの要望を持っていることが明らかとなった. Palliat Care Res 2011; 6(2): 237-245
著者
古村 和恵 森田 達也 赤澤 輝和 三條 真紀子 恒藤 暁 志真 泰夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.142-148, 2012 (Released:2012-04-26)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

終末期がん患者はしばしば家族や医療者に対する負担感(self-perceived burden)を経験するといわれている. 負担感を和らげるためのケアが必要とされる一方で, どのようなケアが望ましいかを実証した研究はほとんどない. 本研究では, 終末期がん患者の感じている負担感の実態と, 患者の負担感を和らげるために必要なケアを調査するために, 28名のがん患者の遺族を対象に半構造化面接を行った. 内容分析の結果, 「がん患者の負担感の内容」(例: 下の世話をしてもらうのがつらい), 「がん患者が行っていた負担感に対するコーピング」(例: 家族の仕事や予定を優先するようにいう), 「家族の気持ちと対応」(例: 患者の遠慮は家族への思いやりの表れだと思った), 「患者の負担感に対して必要なケア」(例: ことさら何かを強調するのではなく, 自然な言葉がけをする)が抽出された. 収集された患者の負担感を和らげるためのケアの有用性の評価が今後の重要な課題である.
著者
門田 暁人 高田 義広 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.644-652, 1997-07-25
被引用文献数
34

ソフトウェアの保守, 再利用などのためには, 解析や理解の容易なプログラムを作成しておくことが重要である. ところが, 完成したプログラムを多数のユーザに配布する場合には, システムの安全性の確保や知的財産権の保護などのために, 内部の解析が困難なプログラムの作成が要求される場合がある. そのような場合には, 解析が容易なように作成したプログラムを, 解析が困難になるように変換する方式が有用であると考えられる. このようなプログラムの等価変換を, プログラムの難読化と呼ぶ. 本論文では, ループを含むプログラムを自動的に難読化する2通りの方法を提案し, それぞれの方法の有効性を評価するための実験について報告する. 実験の結果, 極めて小規模なプログラムに対しても, 提案する方法が有効であることがわかった.
著者
北田 暁大
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.53, pp.83-96, 213, 1998-07-31

Offering the proposition "Media is the messages, " Murshall McLuhan indicated that the modality of media consumption can define our kinetic sense and thoughts. The unfortunate acceptance of McLuhan's arguments invited the lack of the sociological scrutiny. This paper will rethink the theoretical implication of McLuhan's proposition from the viewpoints of social system theory developed by Niklas Luhmann. His theory clarifies the theoretical difference between face-to-face communication and mediated communication, and the concept of "observation" will give us the alternative idea of "Medialiteracy".
著者
平井 智也 上出 直人 重田 暁
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
pp.JJCCPT22002, (Released:2022-12-07)
参考文献数
40

【目的】日常生活動作(以下,ADL)障害を有する地域在住高齢者における入院および死亡イベント(以下,イベント)発生を識別する運動機能のカットオフ値を算出し,イベント発生との関連を調査した.【方法】当院通所リハビリテーションに通所する65歳以上かつBarthel indexが100点未満の利用者143例(81.4±6.7歳,女性102例)を対象とし,最大3年間追跡した.イベント発生を識別する運動機能(握力,膝伸展筋力,快適歩行速度)のカットオフ値を算出し,イベント発生に関連する運動機能を調査した.【結果】追跡期間中に,65例(44%)の利用者にイベントが発生した.イベント発生を識別する握力のカットオフ値は 15.6 kg,膝伸展筋力は 15.2 kgf,快適歩行速度は 0.89 m/sと算出され,握力 15.6 kg未満および快適歩行速度 0.89 m/s未満であることはイベント発生に関連することが示された.【結論】ADL障害を有する地域在住高齢者におけるイベント発生の識別には握力と快適歩行速度の評価が有用であることが示唆された.
著者
栗田 広暁
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.156-176, 2017 (Released:2021-08-28)
参考文献数
13

本稿では,所得税および住民税において2011年以降実施された年少扶養控除廃止・特定扶養控除縮減による実質的な増税が,家計の消費行動に与えた影響について,「日本家計パネル調査(Japan Household Panel Survey:JHPS)」の個票パネルデータを用いて検証する。分析では,JHPSで調査している1月の非耐久消費財の支出額(食料費,外食・給食費,光熱・水道代,交通費の4項目,それらの合計額)と1月分の増税額の関係を検証した。その結果,すべての分析結果において増税によって家計の消費は変化しないことを支持する結果が得られた。これは,家計が恒常所得仮説に従い,増税に対して消費の平準化を行って消費水準を変えなかったことを示唆するものである。