著者
村越 友紀 望月 善子 渡辺 博 稲葉 憲之
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-94, 2011-03-25

10 代妊娠を「防ぐべきである」という視点ではなく,出産を目指す10 代妊婦に共感し,母性意識の発達を促し,セルフケアできるよう援助していくための方法を探索することを目的として,1998 年から10 年間に当センターで出産した10 代妊婦138 名を対象に承諾を得た85 名に対し,アンケート調査を実施した (回収率45.9%).妊娠時の心境としては妊娠を肯定的に受け止めていた者が76.9%であったが,出産時には92.3%と増加していた.現在の相談相手は母親,夫,友人であり,育児,金銭面の相談が主であったが,相談相手すらいない状況下,一人で育児を行っている者もいた.10 代での妊娠出産をよかったと71.8%が判断していたが,10 代出産のデメリットは経済的不安,知識の少なさが挙げられた.思春期には性行動,妊娠,出産そして育児など長いスタンスの知識提供と現況を把握理解した上での支援体制が必要と考える.
著者
上田 康晴 野口 周作 牧 真彦 上笹 宙 望月 徹 畝本 恭子 黒川 顕
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.8-16, 2007-01-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
26
被引用文献数
4

救急領域におけるmethicillin-resistant Staphylococcus aums (MRSA) 感染症に対するteicoplanin (TEIC) の高用量投与 (初日1,600mg/日, 以降800mg/日) を実施し, 本薬剤投与後の血中トラフ値推移と有効性および安全性との関係について検討し, 下記の成績が得られた。(1) MRSAに起因する肺炎10例, 創部感染症2例に対するTEICの臨床的有効率は, 100%であった。(2) 細菌学的効果は全症例のうち, 消失9例, 減少1例, 菌交代2例, 不変0例であった。TEIC単独治療8例では消失7例, 減少0例, 菌交代1例, 不変0例で, 他薬剤併用治療4例では消失2例, 減少1例, 菌交代1例, 不変0例であった。なお全12例中4例にPseudomoms aeruginosaとの複数菌感染が認められた。(3) 投与例では本薬剤に起因する副作用は認められなかった。(4) TEIC血中トラフ値は, day2で17.5±6.7μg/mL, day4で163±6.3μg/mLと若干低下するものの定常状態となり, day8でも20.5±6.9μg/mLとTEICの蓄積は軽微であった。さらに各症例で, 血中濃度のばらつきも認めなかった。(5) TEICの高用量投与はその効果に抜群のキレがあり, しかも安全性の高いことが示され, 重症MRSA感染症の治療において非常に有用な投与法であると考えられた。

2 0 0 0 OA 医官玄稿 3巻

著者
望月三英
出版者
伏見屋善六[ほか]
巻号頁・発行日
vol.[5], 1766
著者
望月 學 鴨居 功樹 寺田 裕紀子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.1410-1416, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
12

HTLV-1ぶどう膜炎は無症候キャリアに合併する眼内炎症である.主訴は霧視,飛蚊症,視力低下等で,片眼あるいは両眼に生じる.このぶどう膜炎は副腎皮質ステロイド薬によく反応し,視力予後は良好であるが,約30%の患者でぶどう膜炎が反復して起こる.全身合併症としてBasedow病の既往,HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM)がみられることがあるが,成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)の合併は極めて稀である.
著者
小俣 好作 望月 敬司 千野 正彦 井口 孝伯 飯田 龍一 渡辺 秀夫 山本 雅博 古家 正道 浅尾 武士 田中 昇
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.680-685, 1985 (Released:2011-11-08)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

超音波検査による8,976名の甲状腺癌集団検診において, 496名の穿刺吸引細胞診が施行され, 男性14名 (0.22%), 女性19名 (0.69%) に甲状腺癌を発見した. 癌の最大径の平均は11.9±4.2mmであり, その半数以上が10mm以下の小型癌であった.
著者
望月 茂徳 蔡 東生 浅井 信吉 王 雲 福本 麻子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.102-110, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
12

UNESCO世界遺産にも登録されている龍安寺石庭は, 15個の石が無名の設計者により一見してランダムに配置されているが,石もしくは石群の配置は基本的に手前からみて奥が鈍角をなす不等辺三角形をなし,基本的に,三石もしくは三石群がそれより大きい一石群をなし,不等辺鈍角三角形が3回再帰的に繰り返される構造になっている.本論文ではまず, それぞれの石もしくは石群のサイズは1/f揺らぎもしくはZipfの法則に従っていることを算出した. さらに, より詳細な配置分析としてアイ・トラッキング実験を行い,石(もしくは石群)から石(もしくは石群)への視線の遷移をリンクとして計測した. 計測したデータよりホットスポット(視線注視分布)図の作成および視線の"PageRank"の算出によって, 視線軌跡ではわかりづらかった, 石庭鑑賞上の視線の乱れが起こる例外的石配置ルール出現箇所において, 視覚的不協和が使われている可能性が高いことを示した.
著者
望月 茂徳 堀江 大輔 蔡 東生
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.76-87, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

秋の風物詩である紅葉は, 景観コンピュータグラフィクス(CG)において自然な季節感を表現するために欠くことができない現象である. 自然で趣のある紅葉発色は, 空間および時間において複雑性を持ち, 数多くの植物生理学的不確定要因を持つため, 紅葉発色の複雑性を適切に再現した研究は見あたらない. 本研究では, フラクタル頂上関数(Top Function)を用いて, 樹木, 葉の複雑構造を記号空間に写像することにより, 空間および時間における複雑性を持った紅葉発色のCG表現方法について研究を行う. 紅葉の発色部は葉部のみであるが, その紅葉発色進度は樹木中の各葉ごとに異なることから, 紅葉を枝・樹木レベルと葉レベルに分け, 各レベルをRIFS (Recurrent Iterated Function System)の記号空間に写像し, 記号空間上で色関数を定義することにより, 樹木全体を紅葉発色させる空間時系列アルゴリズムを提案する.
著者
中原 貴 望月 真衣 小林 朋子 相良 洋 中島 慎太郎
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、現代の歯科インプラント治療で使用されるチタン製人工歯根に代わり、歯周組織を備えたバイオ再生歯根の創製を目的とする。すなわち、我々が開発した“歯根・歯周組織ユニット”の体外再生を可能とする新規培養システム「器官再生法」を駆使し、同ユニットの再生能を有する歯性細胞群「Regenerative(Reg)細胞群」の同定、および同定したReg細胞群が担う再生誘導因子の特定をめざす。本研究は、普遍的な器官再生法の確立と再生誘導医薬の創出により、真に臨床応用できる歯の再生である『再生歯インプラント』の実現を最終目標とした基盤研究である。
著者
望月 善次
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-66, 1989-03

野口芳宏氏(木更津市立波岡小学校教頭)は、授業の名手として名高い。野口氏の(「国語」)授業力の考察は、生成途上にある国語科授業研究の上に示唆するところ大きいのではないかと考えられる。氏の授業力の「構造」を明らかにし、それに基づいた「国語科教師教育教程」を作成しようとするのが、野口氏の授業を考察しようとする筆者の全体構想である。今回は、それに至る一つの道程として、氏の授業の中でも著名なものの一つである「うとてとこ」(谷川俊太郎」についての第1回の考察を行う。許された誌面の関係から、「授業記録」の提出がその中心的作業となる。
著者
望月 昂
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

被子植物の大多数は花粉運搬を動物に委ねており,系統の離れた植物にあっても,送粉者を共有する植物は色やにおい,形態など複数の類似した花形質:送粉シンドロームを持つ. 申請者による先行研究から,アオキをはじめとする,短い花糸を持ち皿状で暗赤色の5mm程度の花をつける5科の植物は,専らキノコバエ類に送粉されることが明らかになっており, 共有された花形質は送粉シンドロームであると予想されている. 本研究では, ニシキギ属植物をモデルとした送粉様式の進化過程の解明, および, 花のにおいの送粉者誘引における機能解明により, 被子植物における新規の送粉シンドロームのバイオロジーに関する統合的理解を得る.
著者
望月 慎吾 津丸 真一 山田 和紀 望月 高明 伴 敏彦
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.276-279, 2012-09-15 (Released:2012-10-26)
参考文献数
11

穿通性の心損傷を来たした場合,心嚢水の貯留を認めたり,血行動態の不安定となる症例が多い.心臓に釘が4本穿通していたにもかかわらず,心嚢水の貯留が極少量で,血行動態の安定していた症例を経験したので報告する.症例は22歳,男性.釘うち機で受傷し,近医を受診した.胸部レントゲン写真およびCT検査で,5本の釘の穿通による心臓および肺の損傷を疑い,手術目的で当科紹介となった.CT検査では気胸を認めたが,心タンポナーデは認めなかった.左開胸,分離片肺換気とし,心膜を切開すると釘が3本左心室の側壁に刺入していた.1本は心筋内を通過することなく直接肺に穿通していた.残り1本は,経食道心エコー上で心内に埋もれているのを確認した.いずれの釘も人工心肺を使用することなく,抜去することができた.術後経過は良好で,術後12病日に独歩退院となった.
著者
朝比奈 滉直 小笠原 正 朝比奈 伯明 石原 紀彰 山上 裕介 秋枝 俊江 望月 慎恭 朝比奈 義明 蓜島 弘之
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.146-152, 2019-06-30 (Released:2019-10-31)
参考文献数
14

リドカインテープを表面麻酔として使用した浸潤麻酔の刺入時と注入時の痛みをアミノ安息香酸エチルと比較した.さらに知的障害者へのリドカインテープ使用による浸潤麻酔時の外部行動について評価したので,報告する.はじめに,健常成人9名に対してリドカインテープとアミノ安息香酸エチルの表面麻酔効果をVASとカテゴリカルスケールにて評価を行った.次に,知的障害者20名を対象に,浸潤麻酔時に外部行動として体動,発声,啼泣の有無,表情の変化を評価した.健常成人の調査では,リドカインテープ群が刺入時と薬液注入時に「違和感がある」と評価し,「少し痛い」とした者は存在しなかった.アミノ安息香酸エチル群は刺入時に55.6%,薬液注入時に77.8%の者が「少し痛い」と評価した.知的障害者への浸潤麻酔時は,リドカインテープ群は,体動,発声,啼泣の有無,表情の変化において全員が平静を維持したが,アミノ安息香酸エチルでは,平静を維持しなかった者が存在した.1つ以上の項目で不適応行動がみられた者を不適応と判定した場合,リドカインテープ群は不適応が0%,アミノ安息香酸エチル群で不適応が50%であった(p<0.05).したがって,リドカインテープは,浸潤麻酔時に痛みを与えず,知的障害者において浸潤麻酔時の不適応行動を引き起こさず,歯科治療時の適応行動を維持するのに有用であることが示唆された.