著者
後藤 真 松本 勇太郎 舟木 伸夫 望月 衛
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.299-304, 1996
被引用文献数
1

症例は14歳女児で右下腹部痛を主訴に来院.虫垂炎が疑われ超音波エコーを施行したところ,右下腹部に 8 X 7cm の辺縁不整で内部不均一な腫瘤像と周囲の echo free space が描出きれ,翌日にはふらつき歩行と貧血が出現した.画像所見と臨床経過から卵巣出血が疑われた、貧血が高度となったため入院4日目に開腹したところ,腫瘤は手拳大の右卵巣内血腫で,腹腔内出血は300ml であった,血腫部分を楔状に摘除し,可及的に卵巣は温存した. 卵巣出血は性的に最も成熟した20代後半から30代前半に多いが12歳から報告があり,思春期女児では急性腹症としてとくに虫垂炎との鑑別上念頭におくべき疾患と考えられた.成人においてもこれまで間腹して診断される場合が少なくなかったが,本症はショック症状など大量出血をきたさない限り保存療法とすべきで,本症の診断には腹部超音波検査が必須と考えられた.
著者
望月 典子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ニコラ・プッサンは、17世紀フランス古典主義美術を代表する画家とされるが、彼の活動の拠点はローマにあり、その芸術を結実させたのはローマであった。そうしたプッサンが、フランスにおける古典主義美術の成立期に、母国の美術動向に対して直接的にはどのような役割を果たしたのだろうか。本研究は、リシュリューが行なった芸術政策に画家が積極的に関与し、フランス美術の方向性を左右し得えたことを、(1) フランスにもたらす模範としての古代美術の選別とその複製製作、(2)古典主義的な天井画のモデルを示したルーヴル宮大回廊の装飾、(3) パリの愛好家に向けたタブローの制作、という画家が関与した3つの活動から検討した。
著者
野口 周作 望月 徹 吉田 奈央 上野 ひろむ
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.79-85, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
9

病院の感染制御において,薬剤耐性菌対策は重要な問題である.当院では2004年8月にInfection Control Team (ICT)が発足して以来,段階的に抗菌薬適正使用強化策を行った.その取り組みと効果について検討し,若干の知見を得た.2007年にオーダリングシステムと連動した特定抗菌薬使用届出制導入をはじめ,2010年より積極的に症例に関わる方法としてICT抗菌薬ラウンド導入に至るまで段階的に強化策を行った.その効果判定の指標として,カルバペネム系抗菌薬の使用量,投与日数,緑膿菌の感性率及び多剤耐性緑膿菌(MDRP)の年間検出件数を調査した.カルバペネム系抗菌薬の使用量は,1277バイアル(V)(2004年11月)から327V(2010年6月)に,平均投与日数は8.40日(2006年)から5.97日(2010年)に減少し,緑膿菌のmeropenemに対する感性率は72%(2008年)から90%(2011年)に回復した.MDRPの年間検出件数は28件(2008年)から1件(2011年)に減少した.段階的強化策を講じたことで,大きな問題なく医療従事者の抗菌薬適正使用に対する意識を高めることができ,緑膿菌の薬剤感受性の回復とMDRP検出件数の顕著な減少効果が表れたと考える.本結果を踏まえ,今後はより高い水準の抗菌薬適正使用と感染症治療支援に携わっていきたい.
著者
望月 俊宏 中川 幸夫 久保 廣安
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.70-71, 1992-12-21

貝本産221品種を含む413品種を供試して,福岡県において晩播き栽培に適するダイズ品種の検索を試みた。1.生育日数からみると,日本産品種の約6%及びインドネシア産品種の約66%を除いた372品種は7月23日播種が可能と判断された。また,日本産品種の約42%は8月8日播種が可能と判断された。2.生態型別にみると,Vc及びIVcに類別されている晩生品種よりIIICあるいはさらに早生の品種のなかに晩播きに適する品種のあることが示唆されたが,生態型内の変異も大きいので,特に登熟期における日長や気温の影響について検討する必要があると思われる。
著者
重本 直利 細川 孝 望月 太郎 碓井 敏正 細井 克彦 植田 健男 碓井 敏正 細井 克彦 小山 由美 植田 健男 中村 征樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究成果は以下の5点である。(1)ステークホルダー間調整視点から「評価-機能モデル」を仮説的一般理論としてまとめた。(2)「評価-機能」の相互関係性の検討を行う上での基本用語の整理を行った。(3)韓国およびドイツ等での「大学内ステークホルダー間調整」視点からの調査において、教員、研究員(職員)、学生(院生)における「評価-機能」の相互関係性をまとめた。(4)日本の大学および認証機関における「PDCAサイクル」での評価の取り組みを「評価-機能モデル」から検討し、結論としてコミュニケーション型モデル・了解志向型モデルを提案した。(5)『研究報告書(研究記録を含む)』としてまとめた(2010年3月19日)。また、重本直利は『大学経営学序説』(晃洋書房、2009年)において成果の一部の公表を行った。
著者
秋野 順治 望月 理絵 森本 雅之 山岡 亮平
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.39-46, 1996-02-25
参考文献数
6
被引用文献数
2 34

アリ類25種との共生が知られているアリヅカコオロギ<i>Myrmecophilus</i> sp.は,敏捷性によって働きアリからの攻撃を免れている。さらに加えて,アリ類の同巣認識フェロモンである体表炭化水素組成比を化学的に擬態することによって,働きアリを欺いていることが明らかになった。コオロギが擬態によって獲得したアリ体表炭化水素成分量は,コオロギをアリから隔離して単独飼育すると減少した。このことは,アリ体表炭化水素成分をコオロギが奪取することによって,アリヅカコオロギのアリに対する化学擬態が成立する可能性を示唆する。また,アリ体表炭化水素を触角で認識する,あるいは舐め取るだけでは,アリヅカコオロギはアリ体表炭化水素組成を化学擬態することができなかった。これらの結果から,直接的な体の接触が化学擬態を成立させるための主要因として作用しているものと考えられる。
著者
高橋 康幸 五十嵐 博 平野 邦弘 河原田 泰尋 五十嵐 均 村瀬 研也 望月 輝一
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.335-340, 2007-03-20 (Released:2007-04-05)
参考文献数
9

An amendment concerning the enforcement of the law on the prevention of radiation hazards due to radioisotopes, etc., and the medical service law enforcement regulations were promulgated on June 1, 2005. This amendment concerned international basic safety standards and the sealing of radiation sources. Sealed radiation sources ≤3.7 MBq, which had been excluded from regulation, were newly included as an object of regulation. Investigation of the SPECT system instituted in hospitals indicated that almost all institutions adhere to the new amendment, and the calibration source, the checking source, etc., corresponding to this amendment were maintained appropriately. Any institutions planning to return sealed radioisotopes should refer to this report.
著者
望月 公廣
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

海底下~10km以上深いプレート境界面上で、プレート間の固着が強い場所が、繰り返し発生する海溝型巨大地震の震源域である。なぜ固着強度が強くなるのか、その要因を解明するために、海域で人工震源を用いて行う構造調査で取得される波形記録の解析手法の開発を行った。これまでの手法では不十分であった解像度の向上に成功し、屈折波やプレート境界からの反射波に関して、到達エネルギーを明瞭に確認することができた。
著者
望月(宮本) 和歌子
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011-03-23

新制・課程博士
著者
蔵満 琢麻 望月 久稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.96-109, 2009-06-29

自然言語処理における辞書構造として,トライ法が広く用いられているが,日本語のように分かち書きされていない言語のテキストからキーワードを検出するためには,解析対象となるテキストのあらゆる位置から探索する必要がある.より高速に形態素解析を行うため,複数のキーワードをテキストから線形時間で検出する AC 法を用いる手法が提案されているが,AC 法はトライ法よりも使用する記憶領域が大きい.本論文では,AC マシンにおける遷移のうち,多分岐の節点における遷移をダブル配列に,1 方向分岐の節点における遷移をダブル配列と異なる配列にそれぞれ定義することで,照合時に必要な記憶領域を抑制し,高速性とコンパクト性をあわせ持つ AC マシンを実現する手法を提案する.日本語形態素 40 万語を登録した実験で,提案手法はトライを用いた辞書システム Darts とほぼ同等の記憶領域で対象テキストを 60~87% の時間で照合した.Trie structure is used widely, such as dictionary for natural language processing. However, it is not so effective using a trie structure for the morphological analysis of languages without explicit word boundaries like Japanese because we have to perform dictionary lookup for all possible substrings of the text. This paper proposes an efficient dictionary structure that is Aho-Corasick Machine using Double-array defining multi-way branch and different arrays defining oneway branch. Our experiments show that the matching time of the proposal machine decreased to about 60%-87% against other structures.
著者
蔵満 琢麻 松浦 寛生 望月久稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-14, 2008-09-30

パターン照合は文書処理やアンチウイルスなどのソフトウエアに用いられ,メモリ消費量が小さく,照合速度が高速なアルゴリズムが求められる.AC 法は複数パターンの照合に有効な手法で,AC マシンと呼ばれる一種の有限オートマトンを登録パターン集合から構築し,対象データを線形時間で照合する手法である.本論文では,ダブル配列を用いて遷移先関数を拡張した AC マシンを提案し,他手法との比較実験によりその有効性を示す.また提案マシンの応用例として,アンチウイルスソフト ClamAntiVirus に提案マシンを実装する.実験の結果,提案マシンは他手法よりも小さい記憶領域でデータ構造を実現し,対象データを高速に照合した.また,提案マシンを実装した ClamAntiVirus は,システムの稼働時間を 72%,照合時に必要な記憶領域を 70% にできることを示した.Pattern matching is used for word processing and software such as antivirus. It is important to high-speed response and compact memory. Aho-Corasick algorithm is an efficient multiple pattern matching algorithm. In this paper, we present a multiple pattern matching machine with a double-array structure. It has the transition function extended. And also, we implement the proposal machine to ClamAntiVirus as an applied example. Our experiments show that the operation time decreased to 72% and required storage area decreased to 70%.
著者
阿部 裕輔 鎮西 恒雄 磯山 隆 満渕 邦彦 松浦 弘幸 馬場 一憲 河野 明正 小野 俊哉 望月 修一 孫 艶萍 今西 薫 吉澤 誠 田中 明 内山 賢一 藤正 巌 渥美 和彦 井街 宏
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-26, 1997-02-15
被引用文献数
7

1/R制御により、完全置換型人工心臓ヤギで532日の長期生存を得た. 術後経過としては、ポンプ内に血栓を生じたため、左右の血液ポンプを交換したこと、胸部の圧迫壊死層から出血をきたし、貧血の状態となったことなどがあったが、制御は順調に継続できた. 生存期間を通して、血行動態は安定し、右心房圧も低値に保たれていた. 血液生化学データ上も異常は見られず、ホルモン値にも異常は見られなかった. 剖検時に腹水はなく、肉眼的には肝臓病変も見られなかった. また、心拍出量は、大動脈圧とは関係が見られず、総コンダクタンスと相関が見られ、術後2週間および出血後2週間はヘマトクリット値と逆比例の関係が見られたが、それ以外の時期にはヘマトクリット値や総タンパク値とはあまり関係がないなどの興味深い所見も得られた. 本研究により、1/R制御の生理的な長期安定性が確認できた.