著者
木村 健 浅香 正博 勝山 努 川野 淳 斉藤 大三 佐藤 貴一 下山 孝 杉山 敏郎 高橋 信一 服部 隆則 藤岡 利生
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.199-207, 1999-02-05
被引用文献数
17

第二次<I>Helicobacter pylori</I>治験検討委員会が改訂した治験ガイドラインの主な内容は,以下の通りである.<BR>I.除菌の利点と問題点: 利点は消化性潰瘍の再発抑制効果,そして低悪性度胃MALTリンパ腫の改善,かつそれらの医療経済効果である.問題点は薬剤耐性の獲得,および除菌後に新たに生じる疾患があり得ることである.<BR>II.除菌治験の適応疾患: 除菌治験を速やかに行うべき疾患は,現在のところ,胃・十二脂腸潰瘍と低悪性度胃MALTリンパ腫である.<BR>III.除菌薬: 酸分泌抑制薬+抗菌薬2剤の3剤併用療法をfirst-line therapyとする.<BR>IV.存在診断と除菌判定: 存在診断は培養,鏡検,ウレアーゼ試験にて行う.除菌判定は,培養と鏡検に加えて<SUP>13</SUP>C尿素呼気試験を必須とし,血清学的検査法とPCR法を削除する.除菌判定の時期は,治療終了後6~8週とする.
著者
木村 忠直
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.141-147, 2000

多くの哺乳類における大腰筋は相同形態であるが,長い進化の過程で骨盤の解剖学的な特徴と生態行動の適応を強く受けていることが示唆される.そこで骨格筋を構築している3タイプの筋細胞をヒト,オランウータン,アヌビスヒヒ,ハマドラスヒヒ,ニホンザルの大腰筋をモデルとして,その筋線維構成を比較検討した結果,ヒトの大腰筋は持久力を発揮するタイプI型の赤筋線維の頻度が最も高く,逆にオランウータン,ヒヒ,ニホンザルでは瞬発力を発揮するタイプII型の白筋線維が高いことが示された.この差はヒトの直立二足姿勢とオランウータンやサルの四足姿勢によるロコモショーンの機能分化が筋線維構成に反映していることを示すものである.
著者
松本 剛 木村 政昭
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.417-426, 1993-03-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
20
被引用文献数
5

Historical record shows that a large-scale tsunami named “the Great Meiwa Tsunami” or “the Yaeyama Earthquake Tsunami” occurred on 24th April 1771 in the sea region of Miyako and Yaeyama Islands, westernmost part of Ryukyu District caused by a large earthquake and the tsunami inundated up to the inside of the islands. Swath bathymetric survey in this area was conducted by the use of SEABEAM and HS-10 systems on board the Research Vessels KAIYO and YOKOSUKA, in November 1990, April 1991, January and April 1992. Precise topographic contour map was completed in the area of 22°40′N-24°10′N, 122°50′E-126°20′E, including the westernmost part of the Ryukyu Trench and tsunami source area (around 24.0°N, 124.3°E). The survey area is classified into five different topographic domains which are arranged zonally. Those are:Zone 1: north of 24°00′N, which is characterised by the distribution of well developed submarine canyons along the southern coasts of Yaeyama Islands.Zone 2: 23°40′N-24°00′N, which is characterised by deep sea fans and its large-scale subsidence edged by steep scarp near 23°55′N-24°00′N, 124°10′E-124°20′E. The observed relative height of the depression is about 200-300m.Zone 3: south of 23°40′N on the landward slope of the trench, which is characterised by quite complicated topography such as several escarpments and ridges and troughs of which trend is not clearly recognized.Zone 4: trench axis area with depth about 6500-6600m, which is characterised by broad plain. Maximum width of the axial plain is about 40km.Zone 5: seaward slope of the trench, which is characterised by horsts and grabens which are samely distributed in the sea area of the south of Okinawa Island. The strike direction of the horsts and grabens is NW-SE off Miyako Islands, and WNW-ESE off Yaeyama Islands.The 1771 Meiwa Tsunami is considered to be originated by the large-scale subsidence of the deep sea fans which is composed of soft sediment derived from the submarine canyons just north of the fans, and the wave might be propagated along the canyons from the position of the tsunami source.Tention of N-S direction is suggested by the topographic features in the survey area, and the tention stress in this area is considered to be the origin of the large-scale subsidence which induced the tsunami.

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著者
木村小舟 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1909
著者
矢崎 義雄 永井 良三 平岡 昌和 中尾 一和 多田 道彦 篠山 重威 木村 彰方 松原 弘明 川口 秀明
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

(A)心機能に重要な遺伝子の心筋特異的な発現調節機構の解明心肥大のメカニズムについては、培養心筋細胞のin vitroストレッチ・モデルを用いた解析により心筋内アンジオテンシンIIの動態とMAPキナーゼ等の細胞内リン酸化カスケードを介する機序および、心筋内レニン・アンジオテンシン系が心筋細胞の肥大と間質の繊維化を惹起することが明らかとなった。また、心筋で発現するサイトカイン(IL-6)、ホルモン(ANP,BNP,レニン・アンジオテンシン)、Kチャンネル、カルシウムポンプなどの遺伝子の虚血・圧負荷・Ca・甲状腺ホルモンなどの外的負荷や病態時における発現調節機構・転写調節機構を明らかにした。さらに、心筋細胞分化を規定する遺伝子を解明するため、すでにマウスで単離した心筋特異的ホメオボックス遺伝子C_<SX>をプローブとしてヒトC_<SX>を単離したところ、マウスC_<SX>遺伝子とアミノ酸配列が非常に類似しており、種をこえて保存されていることが明らかとなった。(B)心筋病変形成の素因となる遺伝子の解明日本人の肥大型心筋症患者で心筋βミオシン重鎖遺伝子に計14種のミスセンス変異を同定し、このうち13種は欧米人と異なる変異であった。47多発家系中11家系については心筋βミオシン重鎖遺伝子との連鎖が否定され、日本人における本症の遺伝子的不均一性を示すと考えられた。心肥大を有するミトコンドリア心筋症患者ではロイシンtRNA遺伝子の点変異、多種類の遺伝子欠失を検出した。さらに、日本人の拡張型心筋症においてHLA-DR遺伝子と、QT延長症候群で11p15.5のHRASとD11S922と、それぞれ相関が認められた。
著者
堀野 敬 木村 正美 西村 卓祐 松下 弘雄 井上 光弘 鶴田 豊 川田 康誠 廣松 賢治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.186-191, 2007-02-01
被引用文献数
4

症例は53歳の男性で,右季肋部痛を主訴に近医を受診した.血液検査で肝機能障害を認めたため精査加療目的で当科紹介となった.腹部CTおよびMRIで膵頭部に約3cmの腫瘤と腹腔動脈根部リンパ節の腫大を認めた.腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)は陰性であったが,magnetic resonance cholangiopancreatographyで膵内の総胆管に狭窄を認め膵頭部癌が強く疑われたため幽門輪温存膵十二指腸切除術を施行した.経過は良好で術後第38日に退院となった.切除標本の病理組織学的検査所見では悪性所見はなく,好酸球性肉芽腫であったことから寄生虫症が疑われ,アニサキス特異的抗体を利用した血清免疫学的検査が陽性であったため膵アニサキス症が強く疑われた.消化管外アニサキス症はまれであり剖検例などで偶然発見される場合が多く,特に膵アニサキス症はほとんど報告されていない.自験例に若干の文献的考察を加え報告する.
著者
木村 祐哉
巻号頁・発行日
2010-03-07

日本でペットロスという言葉が知られるようになり、10余年が経過した。現在では関連した書籍が何冊も出版され、ウェブ上にも多くの体験談をみつけることが可能となり、時にはメディアを通じて紹介されることもある。2008年11月の元厚生省事務次官襲撃事件で犯人が凶行に及んだ動機のひとつとして、ペットロスが注目されたのも記憶に新しい。このようにペットロスについて耳にする機会が増えてきたが、しかしその一方で、その間に満足いくだけの学術的知見が得られてきたかというと疑問が残る。日本よりも早くから注目されるようになった欧米と比較すると、やはり日本ではペットロスに関する有意義な調査研究が少ないと言わざるを得ない。ペットロスの調査というとまず、実際にペットを亡くした方に対してアンケートを行い、深く悲しんでいた方が何人――といった形式のものが思い浮かぶのではないだろうか。より上等なものであれば、その対象人数が多く、統計学的解析が加えられることにもなるだろう。このように数値を用いて事象の説明を試みるものを「量的研究(定量的研究)」というのに対し、調べようとしている事象の性質を詳細に記述することを目的としたものを「質的研究(定性的研究)」という。学術的知見を正しく評価し、自ら調査を実施するためには、これら両研究手法について把握しておく必要がある。量的にものごとを扱うには、何らかの手段によってそれを数値化する過程を経なければならない。ペット喪失者の心理を扱う場合も例外ではなく、リッカート尺度やVisual Analog Scale (VAS) のような、客観的採点を可能とする評価尺度を用いることになる。いずれの方法を採用するにしろ、それは十分な妥当性 (validity) と信頼性 (reliability) を有するものでなければならない。また、そこで得られた結果を他の集団にも当てはめられることを保証するためには、サンプリングの偏り (bias) をなくす工夫をするか、統計学的な調整 (adjustment) をかけ、評価項目に影響を与えている影の要因 (confounding factor) を可能な限り排除することが不可欠である。一方、質的研究では、代表的意見を求めることではなく、想定される事象をより幅広く拾い上げることが目的となるため、むしろ多様な対象を求めて作為的にサンプリングを繰り返し、何度繰り返しても新しい理論が登場しなくなる (theoretical saturation) までそれを続ける。方法としてはアンケートやインタビュー、観察法が主となるが、複数の評価方法や立場の異なる数人の評価者による解釈を加えることで、より豊富な情報を得ることが可能となる。愛するペットを失った家族を対象とする繊細な問題であることから、その調査には慎重を期す必要があるというのも事実ではあるが、手をこまねいていては事態の改善は期待できない。本講演では、本邦におけるペットロス研究に弾みをつけるべく、質的研究と量的研究というふたつの研究手法について、事例をまじえて紹介する。
著者
玉井 俊一 木村 裕行 坂内祐一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.40, pp.17-22, 1999-05-19

メディアアートの分野において、実際に作品の企画・制作から展示までを行うアートラボ活動を通して体験したアーティストとエンジニアのコラボレーションに関する事例を紹介する。そこで行われたコラボレーション手法の長所短所などから、この分野におけるコラボレーションの特徴を探索し、今後のコラボレーション手法やツールのあり方を考察する。We present an empirical study of the collaboration process between artists and engineers in the Canon ARTLAB project, which works on a Media Art (Computer Art) field. We analyze the collaboration process in ARTLAB8, and discuss the human communication and installation issues.
著者
木村 元
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1896号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2004/3/15 ; 早大学位記番号:新3771
著者
木村 政司
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.17-21, 2003-07-30

The purpose of scientific illustration is not to create art, but to document science. Previous experience with medical illustration highlights the importance of communication between the scientist and the artist. Communication at this level involves the observers' eyes and mutual trust. Scientific illustration requires the development of both technology and the power of nature inherent in man. The observers' eyes might demonstrate greater influence than the imagination. It is time to make a lasting connection between the observational skills of the artist and of the scientist. The permanent value and lasting significance of scientific illustration occur when the objective observational skills of both disciplines can contribute equally, even if the details to which they are drawn differ.
著者
木村 富士男
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.313-320, 1994-06-30
被引用文献数
22

中部地方にあるアメダス局の中から,(1)水平規模の大きな盆地や谷,(2)水平規模の小さい谷,(3)山岳地,の3つのカテゴリーに分類される局を数局ずつ選び,夏期の雲の少ない日における日照率の平均的な日変化を調べた.その結果規模の大きな盆地や谷では,地面の起伏の影響が少ないと思われる地点より午後2時頃までは日照率が高く,その後も日照率が低くならないことが示された.これに対し規模の小さな谷では起伏影響の少ない地点より午前中はやや日照率が高く,午後は逆に低いこと,さらに山岳地では朝のうちを除いて常に日照率が低いことが示された.複雑地形上の局地循環モデルを使った今までの研究により,カラム積算水蒸気量の日変化と地形の水平規模の関係が示されているが,この解析結果はこれと定性的に一致する.また日中の局地循環による谷の中央部における下降流の強さは水平規模の小さな谷ほど強いはずであり,ここで示された日照率の地形規模依存性とは逆になる.
著者
武川 直樹 佐々木 寛紀 木村 敦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J98-A, no.1, pp.93-102, 2015-01-01

本論文では,会話の順番交替時の沈黙場面において見られる音声フィラー(「えーと」,「うーん」など)と動作フィラー(髪にさわる,顎に触るなど)に着目し,これらのフィラーが沈黙の状況を修復するための役割を調べる.人同士の会話の観察結果に基づきCGキャラクタの会話シーンを作成し,作成した動画シーンを刺激として沈黙中のフィラーが伝える意味を第三者が主観評価し,沈黙におけるフィラーの役割を明らかにする.評価の結果,フィラーの表出は会話の継続に向けての誠意を示すとともに,次の話者が誰になるかを予測させることが示唆された.この成果は会話エージェント・ロボットが人と会話を行うときにより適切で丁寧な応対をするための動作デザインの第一段階として寄与するものである.