著者
郭 軍 孫 寧 根元 義章 木村 正行 越後 宏 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.835-842, 1993-04-25
被引用文献数
12

手書き文字認識の高精度化を妨げている大きな障害の一つに,筆記者それぞれの書き方による文字パターンの不規則な変形が挙げられる.手書き文字の個人差の影響を軽減するために,特徴量抽出やマッチング時にパターンをぼかす手法が提案されている.しかし,これらの手法は文字の変形が大きい場合,有効な手法となり得ず,限界があることは一般的に知られている.本論文では,手書き文字の個人差による変形を矯正し,高精度に認識する新しい手法として余弦整形変換を利用した手書き文字認識アルゴリズムを提案する.提案する余弦整形変換は,入力パターンに対し,余弦関数の部分的な非線形特徴を利用することによって,文字が上下左右のどちらかに偏っている場合に整形する機能と,最も情報量が集中している文字の中心部分を拡張する機能をもっている.提案アルゴリズムの有効性を検証するために,ETL9Bを用いて認識実験を行った.実験では,100次元程度の低次元特徴量を用い,約60万字について認識実験を行った.その結果,学習データセット(奇数セット)では93.24%,未学習データセット(偶数セット)では91.63%,平均で92.44%と高い認識率が得られた.余弦整形変換を使用しない場合に比べ,平均して5%以上認識率が高くなっていることおよび品質の悪いデータセットほど認識率の上昇度が大きいことから,提案する余弦整形変換は手書き文字認識において極めて有効であることがわかった.
著者
内田 篤呉 秋山 光文 荒木 史 有賀 祥隆 今井 康弘 大川 昭典 大下 浩司 奥村 公規 河合 正朝 木村 法光 宍倉 佐敏 下山 進 ジャンジャック ドロネー 城野 誠治 鈴田 滋人 玉蟲 敏子 中井 泉 中野 嘉之 馬場 秀雄 早川 泰弘 林 温 藤本 孝一 増田 勝彦 室瀬 和美 森口 邦彦 柳橋 眞 矢萩 春恵 河野 泰典 矢代 勝也 尾西 勇 柴田 伸雄 中本 久美子 米井 善明
出版者
(財)エム・オー・エー美術・文化財団(学芸部)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

科学調査は、東京理科大学・中井泉教授、吉備国際大学・下山進教授らが中心に担当し、型の技法は重要無形文化財保持者・森口邦彦氏、鈴田滋人氏、室瀬和美氏が伝統工芸技術から技法解明を実施した。科学調査の結果は、金地は金泥でなく、金箔とする第1次調査の結果を覆すものであった。有機色料は、波の部分に藍の存在は認められず、青墨の可能性が指摘された。伝統工芸の技法の調査は、金地と流水の境界の輪郭線は、縁蓋(型地紙)を用いた可能性が高いが、流水は型では表現できず、防染剤で描いたものと考えられる。文化財の研究は自然科学のみの調査に頼るのではなく、歴史と伝統の中で蓄積された技術や経験を踏まえることが極めて重要であった。
著者
長谷川 琢哉 西川 公一郎 小林 隆 丸山 和純 石井 孝信 中平 武 坂下 健 荻津 透 木村 誠宏
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

物質優勢宇宙創成の謎に迫るべく必須の液体アルゴン三次元飛跡検出装置について、試作機を構築し特性を把握した。今回の性能評価により、同測定装置は、T2K前置ニュートリノ測定装置に必要とされる能力を有することが結論付けられた。20ktから70ktの液体アルゴン三次元飛跡検出装置を、ニュートリノ源から2300kmの超長基線長かつ大深度地下(3000m水密度相当以上)に設置して研究を行えば、ニュートリノ質量階層性、レプトンのCP対称性の研究に関して、他の計画の追随を許さないものとなることが示された。又、大深度地下に測定装置を設置することが、陽子崩壊探索の感度向上に重要であるということが確認された。
著者
班目 春樹 木村 浩 古田 一雄 田邉 朋行 長野 浩司 鈴木 達治郎 谷口 武俊 中村 進 高嶋 隆太 稲村 智昌 西脇 由弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国における原子力開発利用の歴史はおよそ半世紀になる。この間、わが国における原子力規制はその規制構造を殆ど変えることなく今日にいたっている。このため、現在の原子力規制は合理性・実効性を欠き、信頼醸成を阻害する原子力システムをもたらしている。そこで、本研究では、原子力安全規制に関する知的インフラに関連する論点に焦点をあてて分析を実施し、原子力規制に関する適切なガバナンスを実現するためのフィールドの創出と論点の整理・政策提言を行った。
著者
木村 公勅
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.139-155, 2006-03-31

We are living in the information age now. In this age, public sectors are required the sence of the management. That is called "New public management." But that is not the all. We are living in the society that each of the stakeholder supports. In this age, we must investigate the new system that will support public welfare. That system will be supported by information technology and digital network. At the digital network, we can communicate at once, and except the three dimentions. With this advantage, we must argue about the new system that will support public welfare. In recent years, we argue only about the sense of "mass-marketing". But now, we have to give this problem more careful consideration with the sense of social marketing, and relationship marketing. By this marketing sense, the society will be supported from now on. The system of "electrical meeting", the chat in the web page, is hoped. It is important that we will make spaces that we can gather on, and discuss about local problem in, and put to practical use. Political party are required the function that can have an effect to the policy making process, and can be of use for the citizens.
著者
花枝 英樹 芹田 敏夫 宮川 公男 胥 鵬 須田 一幸 広田 真人 木村 由紀雄
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

(1)「日本企業の配当政策・自社株買い-サーベイ・データによる検証-」概要:わが国全上場企業を対象にペイアウト政策についてのサーベイ調査を行い、つぎのような結果を得た。配当決定は投資決定とは独立に行われており、減配回避の考えが非常に強い。一方,自社株買いは配当と比べれば柔軟性をもって決められている。情報効果仮説については,配当・自社株買いとも支持する結果が得られた.ペイアウト政策を敵対的買収防止手段として考えている企業が多く,株主構成の違いもペイアウト政策の意識に影響を及ぼしている。(2)"The choice of financing with public debt versus private debt: New evidence from Japan after critical binding regulations were removed"概要:成熟企業と成長企業の資金調達と社債発行との関連を分析した。とりわけ、日本の経験から、最も有効な社債市場育成策は、銀行の利権を保護する規制を緩和し、社債と銀行借入の選択を企業に委ねるべきことを提案している。(3)"Ownership structure and underwriting fee: Evidence from Japanese IPOs"概要:企業の株式所有構造と新規公開時の引受手数料,IPO後の長期パフォーマンスの間の関係について,1997年から2002年にJASDAQへIPOした企業サンプルを用いて検証した。(4)"Financing constraints and Research and Development Investment"概要:わが国企業の研究開発投資と資金調達の関係を実証分析し、特に、キャッシュフローの多寡で表せる内部資金制約が研究開発投資の大きさに大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。
著者
竹内 良夫 西村 葉子 吉河 達祐 栗山 純一 木村 義民 雑賀 寿和
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.387-393, 1985
被引用文献数
9

小青竜湯は8種類の生薬から種成される漢方方剤で, アレルギー疾患の予防または治療に適用されている.しかし本剤の薬理作用および効果については報告が少ない.本研究はアレルギー抑制機作を知るために既存の経口抗アレルギー剤であるtranilastおよびketotifenと比較することにより本剤の薬理作用の解析を試みることを目的とし, 以下の成績をえた.1.ヒトの常用量から換算された量をモルモットに投与し, 2または3時間後にPCAに及ぼす影響を観察した結果, 3剤とも同程度の抑制傾向を示した.2.10日間連続投与後1または3日の中止後に全身性アナフィラキシーを惹起した.その結果, いずれの薬剤も投与によりショック症状の発現および血中ヒスタミンの増加は認められなかった.3.ヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンの皮内注射による皮膚反応に対する各薬剤の拮抗作用は各々異なり, 小青竜湯はヒスタミン, セロトニン, アセチルコリンによる皮膚反応をすべて抑制したが, tranilastはヒスタミンによる皮膚反応を抑制せず, ketotifenはアセチルコリンおよびセロトニンによる皮膚反応を抑制しなかった.以上の結果から, 小青竜湯はtranilastおよびketotifenと薬理作用は異なるが同程度の抗アレルギー効果を有することが示唆された.
著者
木村 三郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

図像学上の写真資料の収集管理の方法については、西洋における伝統を誇る方法を研究し、その調査結果は、放送大学「美術史と美術理論」のテレビにおける放映、ならびに、市販されたビィデオという形で発表している。西洋における20世紀初頭以来の歴史的な展開を紹介し、一方で図像学研究への具体的な応用である、比較論、並びに、主題解読論を論じた。さらに、この研究の延長上で、美術史研究の世界で、特にアメリカを中心にインターネット上に様々な図像上のデータ・ベースの構築が試みられており、それが、わが国においても、自宅、研究室における研究のツールとして十分に使用可能な局面に突入している現状を確認できた。元来が、各美術館が所蔵している作品の写真資料が、現在は国際的な意味を持ったネットで公開されて来ている。この事実は、やはり「美術史と美術理論(印刷教材)」(改訂版、特に2刷)の紙上で取り上げ(Joconde,MNR,San Franciso Museum,他)、一部共同研究の形で具体的な方法の提示をした。また、こうした資料を活用した個別の学術成果としては、宗教図像研究では、聖フランシスコ・ザビエル図像学を研究した。収集した写真資料の比較研究を行ない、特に、ル・クレール作の《インドにおける布教》についての、典拠、並びにその図像学を解明した。また一方では、ザビエルの肖像画の図像展開を調査し、肖像図像のカタログを作成し、また身ぶりの図像解釈上の問題を解明した。この研究に関連した成果としては、聖アウグスティヌスの図像を、〈燃える心臓〉を中心に分析した。他方で、平行して調査を行った西洋の古代史の図像研究としては、プッサン作《ファレリーの教師》についての図像と構図の成立過程を説明しえた。
著者
林 徹 木村 英樹 西村 義樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国語を中心に、日本語、日本手話、トルコ語、シベ語(中国)、ベトナム語、ラマホロット語(インドネシア)におけるダイクシス要素を詳細に検討した結果、ダイクシス要素の用法に影響する要因として、(1)話し手を基準とした距離や時間、(2)コンテクストの諸特徴(3)話し手のとる視点・態度、(4)地形に基づく空間軸、などを明らかした。また、ダイクシス要素の機能として発話を実際の場面に結びつけることが基本的であることを示した。
著者
原 實 川崎 信定 木村 清孝 デレアヌ フロリン ユベール デュルト 落合 俊典 岡田 真美子 今西 順吉 木村 清孝 末木 文美士 岡田 真美子 ユベール デュルト 田辺 和子 落合 俊典 デレアヌ フロリン 松村 淳子 今西 順吉 津田 眞一 北田 信 清水 洋平 金子 奈央
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度より3年間、「古代インドの環境論」と題し、同学の士を誘って我々の専攻する学問が現代の緊急課題とどの様に関連するかの問題を、真剣に討究する機会を持ち得た事は極めて貴重な体験であった。外国人学者を交えて討論を重ねる間に、我々の問題意識はインド思想や佛教の自然観、地球観にまで拡がって行ったが、それらは現代の環境破壊や無原則な地域開発に警告する所、多大なるものがあった。「温故知新」と言われる所以である
著者
木村 光江 前田 雅英 亀井 源太郎 堀田 周吾
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,来日外国人犯罪の現状の把握と対策,出入国管理の変遷,来日外国人犯罪における国際協力のありかたを検討した。その結果,(1)出入国管理体制の変化に伴い,外国人人口が急増し,それに伴い不法滞在者が増加し,入管法違反のみならず刑法犯も増加したこと,(2)来日外国人犯罪の増加が特に著しかった地域は,外国人就労者を多く雇用している企業が集中している地域であったこと,また(3)捜査共助,犯罪人引渡も相当数行われていることが明らかとなった。
著者
米倉 迪夫 奥平 俊六 高見沢 明雄 木村 三郎 早川 聞多 林 進
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

1.美術史研究用画像処理パッケージソフトの開発本研究で導入した画像処理システム(NEXUS6810)をパーソナルコンピュータ(NEC9801VM)より制御するソフト。NEXUS6810のもつコマンド群に習熟し、美術史研究に必要なソフトの機能を協議、画像処理の実験を重ね、ソフトの仕用案を作成した。プログラミングは、専門のソフト開発業者に依頼した。コンピュータのハード面に詳しくない美術史研究者が、研究支援の道具として画像処理技術を応用できるよう、主として次の4点に注意を払った。1)操作が手軽であること。2)画像ファイルの管理がすぐれていること。3)グラフィック及び画像処理機能が充実していること。4)研究者が手直しできる高級言語を使用していること。2.画像処理技術を応用した美術史研究の実例尾形光琳筆紅白梅図屏風(MOA美術館蔵)における制作過程と原状のシミュレーション3.画像データベース(dBASEIIIPLUSを使用)の試作文字型データベースに蓄積された文字情報とNEXUS側の画像情報とをリンクさせ、画像ファイルの検索・表示を可能にした。4.公開シンポジウムの開催本研究テーマのもとで二度の公開シンポジウムを開催し、美術史研究における画像処理技術の応用について活発な議論があった。1)第1回(10月25日) 於奈良・大和文華館西日本の美術史研究者を中心に約40名が参加。2)第2回(3月9日) 於東京国立文化財研究所。東日本の美術史研究者を中心に約60名が参加。