著者
赤川 玄樹 小野 富士恵 柏 健一郎 木村 康宏 七尾 大観 藤本 潤一 西澤 英雄
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.328-332, 2016-05-01 (Released:2016-05-02)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は17歳,女性。意識障害を主訴に当院受診。てんかん重積状態(status epilepticus, SE)の診断で入院となり,第2病日に呼吸管理目的にてICU入室となった。SEの原因は入院中の精査で全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)と判明した。原疾患の治療を行いつつ,SEのコントロール目的に抗痙攣薬を開始したがコントロールがつかず,静脈麻酔薬による全身麻酔療法を開始した。それでもSEのコントロールに難渋したため,第10病日より吸入麻酔薬のイソフルランを併用した。その使用期間は38日間に及んだが,経過中イソフルランの使用に伴う重篤な合併症はみられず,比較的長期間安全に管理することができた。静脈麻酔薬による全身麻酔療法でSEのコントロールに難渋する場合には,吸入麻酔薬を併用することも選択肢の一つと考えられた。
著者
木村 泰之 都築 誉史
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.183-192, 1998-12-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
27
被引用文献数
10 8

本研究では, 近年急速に普及しつつあるコンピュータ・コミュニケーションの特質を社会心理学的に検討した。集団意思決定における集団極化現象を扱ったコンピュータ・コミュニケーション条件と対面コミュニケーション条件による実験を行い, 両コミュニケーション・モード間における差異について検討を加えた。被験者は3人1組の実験集団を構成し, ジレンマ課題におけるリスク水準決定を行った。コンピュータ・コミュニケーション条件では対面コミュニケーションに比べ, コミュニケーション当事者から受ける緊張感や心理的負担といった対人圧力が減少することが分かった。こうした対人圧力の減少によって, 通常言われているコンピュータ・コミュニケーション上での立場の平等化という現象が説明可能であることが示唆された。コンピュータ・コミュニケーション条件で, 集団極化現象が観察され, 対面コミュニケーションに比べ, よりリスキーな意思決定を行いやすいことなども確認された。その他, 第1発言効果の検証を行った。
著者
葛西 駿 及川 拓弥 木村 純 小川 弘貴 三島 友義 中村 徹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.136, no.4, pp.444-448, 2016

This paper demonstrates the impact of tilted Mg ion implantation for the threshold voltage control of GaN MISFETs for the first time. The threshold voltage of the MISFETs by using Mg implantation shifts up to -1 V, whereas that without Mg ion implantation is about -8 V. The GaN MISFET achieved maximum drain current of 165 mA/mm and an extrinsic transconductance of 30 mS/mm. These results indicate a definite availability of our process in normally-off GaN MISFETs for power switching device applications.
著者
木村 直子
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.13-19, 2009

Developmental disorders have a negative impact on the social life, which includes family, school, community, and workplace, of those with such disorders. Since the effects are serious and persistent, early detection and intervention are crucial.Early detection of Developmental disorders and intervention to meet individual needs may promote the social development and strengthen the unique talents of children with those disorders. It may also prevent the secondary emotional and/or behavioral problems those children may develop. Moreover, the stress of parents/caregivers may decrease as a consequence, which may further prevent psychological challenges and difficulties to the family members of those children.
著者
北山 研二 一之瀬 正興 川上 善郎 村瀬 鋼 木村 建哉
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、「らしさ」の概念を中核とする表象の問題(表現することと現れることの関係性)に関して、理論研究と実証事例研究を交差させて、国際シンポジウム、研究会、調査を実施しながら討論を重ねた。理論研究次元では、存在と現象、自然と文化、一般性と個別性という哲学的対立概念を表象次元で交錯させる「らしさ」の位置づけについて包括的な考察をした。実証研究次元では、社会心理学的事例研究によって、情報社会における事件と事件らしさ、ニュースとニュースらしさの相互関連性が実証された。文学的事例研究によって、演劇では真実らしい人物造型が重要であること、また地方色を出す文学が現地事情よりは文化的コード(らしさ)によって形成されること、さらに美術的事例研究によって、実物(真なるもの)より表象性(真らしきもの)が問題であることが、論証された。映画的事例研究によっては、「自然さ」の文法「真らしさ」が映画的リアリティーであるだけではなく、その多くが身体的反射性に由来することが確認された。さらに歴史テレビ映画や写真映画の事例研究によって、「真なるもの」と「真らしきもの」の明快な判別ができないことも証明された。文化論的事例研究つまり文化としてのらしさの研究では、それぞれの「らしさ」が文化的多層性の産物であり、その反映であるはずの実物(真なるもの)を特定できないことが確認された。こうして本研究の目的、「らしさ」という概念を軸に、表象文化の成立と変遷を「自然」の成立との交替として捉え直し、近現代の表象文化の諸展開について具体的・包括的な見取り図をつくることは、おおむね達成された。
著者
木村 大翼 久保山 哲二 渋谷 哲朗 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.473-482, 2011 (Released:2011-04-19)
参考文献数
26
被引用文献数
2 12

Kernel method is one of the promising approaches to learning with tree-structured data, and various efficient tree kernels have been proposed to capture informative structures in trees. In this paper, we propose a new tree kernel function based on ``subpath sets'' to capture vertical structures in tree-structured data, since tree-structures are often used to code hierarchical information in data. We also propose a simple and efficient algorithm for computing the kernel by extending the Multikey quicksort algorithm used for sorting strings. The time complexity of the algorithm is O((|T_1|+|T_2|)log(|T_1|+|T_2|)) time on average, and the space complexity is O({|T_1|+|T_2|)}, where |T_1| and |T_2| are the numbers of nodes in two trees T_1 and T_2. We apply the proposed kernel to two supervised classification tasks, XML classification in web mining and glycan classification in bioinformatics. The experimental results show that the predictive performance of the proposed kernel is competitive with that of the existing efficient tree kernel proposed by Vishwanathan et al., and is also empirically faster than the existing kernel.
著者
木村 忠正
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.76-76, 2009

本報告では、まず、地域SNSをコミュニティネットワークの文脈に定位し、社会関係資本と情報ネットワークとの関係という観点から分析を行う。さらに、今後の研究発展に向け、数理社会学的社会的ネットワーク分析(SNA:social network analysis)ではなく、John Barnes、Clyde Mitchellら、文化的意味、質的分析を含みこんだマンチェスター派の研究を改めて検討する。
著者
木村 周平
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.347-367, 2006-12-31

災害の人類学は従来、洪水などの周期的な災害に対する、その地域の災害観や伝統的な対応(「災害文化」)、地震や産業災害など突発的に起きる災害の復興過程のエスノグラフィ、あるいは災害の被害拡大の社会的(歴史的・文化的)要因に着目しながらの持続的開発にかかわる応用実践などを中心的に扱ってきた。中でもこの「災害の社会的要因」の研究は、1990年代の「国際防災の10年(IDNDR)」以降、広い分野で注目を集め、「社会的要因」は「コミュニティ(あるいはそのサブカテゴリー)の脆弱性(vulnerability)」という概念として定式化され広く普及しているが、その枠組みには検討すべき点も残る。本論文は筆者が2004-5年に行った調査に基づき、過去の災害と将来の災害の間にあるイスタンプルのあるコミュニティを事例に議論を進める。地震学の蓄積はイスタンプルで近い将来大きな地震が起きる可能性がきわめて高いことを明らかにしているが、本論文ではそのコミュニティにおいて、災害という問題がどのように認識され、またそこで暮らす人々がどのような対応を取り、それがどのように状況を変化させているのか(あるいはさせていないのか)を分析する。
著者
木村 至宏
出版者
交通史学会
雑誌
交通史研究 (ISSN:09137300)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-9, 1994-05-20
著者
今田 晃一 木村 慶大 青木 務
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.14, pp.47-55, 2005

学習指導要領においても博学連携が求められている。博物館はモノを媒体とした教育機関であり、その展示資料は教育メディアである。学習者が博学連携の展示資料をどのような観点で評価しているかを明らかにすることは、博物館独自の学びのよさを学校教育に生かすための知見を得ることにつながると考え、調査を行った。結果、博物館、特にハンズ・オンにおける展示資料について中学生は、博物館の意図する視点とともに材料・触感性の観点からも評価していることがわかった。また博物館の学びに対して、モノに触れながらの観察を通して「モノとそのモノが使われている状況に思いを馳せる」という博物館独自の学びのイメージを適切にもっていることが明らかになった。
著者
横山 正 鈴木 創三 渡邉 泉 木村 園子ドロテア 大津 直子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島県二本松市の放射性Csによる農耕地汚染実態の解明と植物-微生物相互作用によるその除去の加速化を検証した。二本松の優占粘土の雲母は、有機酸で固定したそれを放出した。阿武隈川流域の河川堆積物のその濃度は、秋季に減少し春季に増加した。水田ではオタマジャクシでその濃度が高く、イノシシ筋肉中のそれは自然減衰以上の減少を示した。また、鳥類の精巣や卵巣にその蓄積が見られた。畑の可給態のそれは2013年には1~5%に減少したが、森林土壌では3~13%を示した。植物はPGPR接種で、その吸収量を増大させたが、雲母が固定した分を吸収できず有機酸を生成するカリウム溶解菌の併用で、植物の吸収量を増加させられた。
著者
渡邊 紳一郎 木村 文宏 喜屋武 淳 鈴木 智史 中島 史雄 早川 正道 中村 宏
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.1137-1141, 1995-06-20
被引用文献数
11 1

1991年から1994年の間に経験したFournier's gangrene患者5名について, 年齢, 基礎疾患, 誘因, 病変の範囲, 検出された細菌, 治療法及び予後について検討した.患者の平均年齢は47歳で, 基礎疾患として糖尿病2名, 全身性エリテマトーデス1名, 慢性アルコール中毒1名, 末期の多発性骨髄腫1名であった.発症の誘因は創感染が2名, 尿道留置カテーテルが2名であり, 1名では明らかなものはなかった.外科的処置として, 2名に広範囲のデブリードマンを施行し, 後に分割植皮術を要した.3名では, 最小限の壊死組織除去後に罹患部皮下に多数のペンローズ・ドレーンを留置し, 消毒液で洗浄した.このうち2名は病変の発赤, 腫脹が急速に軽減し, 皮膚欠損を残さずに治癒した.1名は末期の多発性骨髄腫患者で全身状態は極めて不良であり, ドレーン留置後, 炎症所見は軽減傾向にあったが, 敗血症, DICを併発して死亡した.外科的処置として広範囲のデブリードマンが一般的に施行されているが, 皮膚欠損を生じることが多く, 皮膚移植の必要性や二次的創感染等の欠点を有する.壊死組織の限局的な除去と皮下への多数のドレーンの留置の組み合わせは, 皮膚欠損も最小限で済み, 治療効果も広範囲のデブリドマンと比べて遜色がなかった.本法は, 広範囲デブリードマンに変えて選択しうる有効な治療法であると思われた.