著者
木村 勲
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 文学部篇 (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-30, 2013-03-05

『にごりえ』は樋口一葉が二四歳半での死の前年に書いた作品。ひとたびは自分の店を構えた男・源七が酌婦・お力に迷って零落し、尽くす妻・お初と一児を捨てて破局にいたるというもの。源七のもとを去るときのお力の言葉が「たとへ何のやうな貧苦の中でも二人双つて育てる子は長者の暮しといひまする、別れゝば片親、何につけても不憫なは此子と思ひなさらぬか、あゝ腸が腐た人……」だ。男の無責任さと、捨てられた母子とくに母の健気さとを、酌婦を介在にした悲劇として読まれてきた。しかし一葉は時間的・空間的(そして心理的)に巧みな仕掛けをして、一読の印象とは違う世界を織り込んでいた。「冷笑がある」と突いたのが斎藤緑雨だ。毒舌で文壇から嫌われていた彼と、一葉は死ぬ前の半年間、親交した。頻繁な来訪を心待ちして「微笑」んで聞く――そんな最後の日々が日記に詳細に書かれた。作品と日記と制作過程を示す残骸(未定稿)を比較し、思想史的背景も考慮に入れて作品分析を行う。
著者
上平 裕太 大山 航 若林 哲史 木村 文隆
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.134, no.12, pp.1809-1816, 2014 (Released:2014-12-01)
参考文献数
15

This paper proposes a signature verification technique called combined segmentation-verification based on off-line features and on-line features. We use three different off-line feature vectors extracted from full name Japanese signature image and from the sub-images of the first name and the last name. The Mahalanobis distance for each off-line feature vector is calculated for signature verification. The on-line feature based technique employs dynamic programming (DP) matching technique for time series data of the fullname signature and first name and last name. The final decision (verification) is performed by SVM (Support Vector Machine) based on the three Mahalanobis distances and three dissimilarity of the DP matching. In the evaluation test the proposed technique achieved 3.35% EER (Equal Error Rate) with even FRR (False Acceptance Rate) and FAR (False Rejection Rate), which is 3.10% lower than the best EER obtained by the individual technique. This result shows that the proposed combined segmentation-verification approach improves Japanese signature verification accuracy significantly.
著者
木村 光宏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ソフトウェア開発の上流工程で得られる情報を,下流工程のテスト工程におけるソフトウェアの信頼性評価に盛り込むための統計手法の開発を行った.従来法の多変量解析モデルでは表現しきれなかった部分について,構造方程式モデル,GMDH,ニューラルネットワークの適用によってある程度克服できた.また,ソフトウェア開発支援ツールのSafeManに対して,ブートストラップ法による新しい評価法を盛り込むことができた.一方,コピュラに基づく新しいモデルの開発にも着手することができ,これは今後の進展が見込める.
著者
西田 正規 オダックス マブラ 木村 有紀 網谷 克彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

先史社会の復元は、それが定住社会であれば生活遺物もまた集落周辺に集中的に堆積しているため、集落遺跡の発掘によってその全体を把握できる。しかし、生活拠点を頻繁に移動させる遊動社会は、生活遺物を広大な地域に分散させるため、遺跡の発掘によって十分な情報を得ることが困難である。実際、遊動社会の先史学的研究は、定住以後の社会復元との比較において、きわめて未熟な段階に留まっている。これを克服するため本研究は、タンザニアのセレンゲティ国立公園南部の約2.5000平方キロを調査地として地表面に広く薄く散乱している石器の分布調査を行い、調査データを高度な統計処とGISを用いて解析し、それらの石器を廃棄した遊動社会の空間利用と資源利用、および遊動パターンの復元的研究に取り組んだ。石器の分布調査は50メートル四方の方形区を設定して地表の石器を採集して行い、また、地下に埋もれている石器を把握するため2平方メートルのテストピット調査を行った。計測エラーなどの資料を除外するなどして、最終的な解析は98の方形区と9ヶ所のテストピットのデータを用いて行った。テストピット調査の結果、地下に埋没している石器の大半は地表下20センチまでの浅い所に集中しており、その密度は地表面の石器密度と高く相関する(R2=0.94)。これにより、地表面の石器密度からその地域に残存する石器の全量の推定が可能であり、埋没している石器密度は、地表面の石器密度の42000倍であった。また方形区データから得られた石器密度分布を、地表水や森林、風避け地形など、「ヒトの住みやすさ」に影響する環境因子と関連づけて解析した。その結果、一年を通じて涸れない水場までの距離や遠方まで見渡せる地形などの環境因子によって石器密度分布の80パーセントが説明できることが明らかになった。以上をもとに調査地における石器予想分布図を作成した。
著者
木村 哲夫 荘島 宏二郎 永岡 慶三
出版者
新潟青陵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小規模であってもコンピュータ適応型テスト(CAT:受験者の解答が正解か不正解かによって、次の設問の難易度をコンピュータが調整して出題するテスト)を,複数の教員や学校が協働作業をすることによって、開発し実施できることを示すとともに、その結果を能力記述文と対応付けることを目指した。あわせて、学習管理システム(LMS:コンピュータ上で行われる学習を管理するシステム)で簡単にCATを実施可能にするプログラムの開発を行い公開した。
著者
鈴木 学 加藤 仁志 仲保 徹 木村 朗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.485-489, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕学生の性格とPBLテュートリアルに対する取り組み状況との関係について検討した.〔対象〕A大学理学療法学科の3年生55名とした.〔方法〕PBL実施後,KT性格検査による学生の性格判定およびPBLの取り組み状況に関するアンケートを実施した.〔結果〕5つの性格の程度は7.85~11.71であった.主たる性格によるPBLの取り組み状況には差異はなかった.各タイプの傾向とPBLの取り組み状況との関係は,臨床思考は「信念確信型」との間で有意な正の相関,「繊細型」との間で負の相関,協調性は「自己開放型」との間で有意な正の相関がみられた.〔結語〕取り組み状況の要因の1つとして各性格の程度が関係していることが示唆された.
著者
木村 純二 岡田 安芸子 吉田 真樹 朴 倍暎 岡田 安芸子 吉田 真樹
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、西洋の哲学が理性主義的な人間観を基調としているのに対して、日本では伝統的に人間を感情的存在として捉えていることを鑑み、日本人の情念の理解について、仏教や儒教・神道・文芸作品等の思想潮流の全体に渡って総合的に考察しようと試みたものである。その際、『源氏物語』を一つの焦点とすることで、体系的連関のある研究にまとめることに心掛けている。本研究の最も主要な成果は、学術雑誌『季刊日本思想史』第80号に6本の論文として掲載される。
著者
菅原 和孝 木村 大治 舟橋 美保 細馬 宏通 大村 敬一 岩谷 洋史 亀井 伸孝 岩谷 彩子 坊農 真弓 古山 宣洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、身ぶりと手話を微視的に分析し、対面相互行為の構造を身体性の基盤から照射した。また、通文化的な視野から、映像人類学、コミュニケーション科学、生態心理学の思考を交叉させ、マルティ-モーダルな民族誌記述の土台を作った。とくに、アフリカ狩猟採集民サン、カナダ・イヌイト、インドの憑依儀礼と舞踊、日本の伝統的な祭礼、日本酒の醸造、ろう者コミュニティ、数学者の討議といった多様な文脈における発話と動作の連関を解明し、記憶の身体化を明らかにした。さらに、過去の出来事が語られるプロセスを、表情をおびた身ぶりとして了解することにより、表象と知覚の二項対立を乗り超える理論枠を提示した。
著者
高橋 劭 RUTLEDGE S. KEENAN T.D. 守田 治 中北 英一 木村 龍治 藤吉 康志 深尾 昌一郎
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、地球の気候変動に重要なアジア多島域の巨大積乱雲の組織化過程、降水機能についての国際共同プロジェクトに参加、研究を行うことを目的としている。観測は、オーストラリア・ダ-ウィン沖のMelville島で行ったが、この島は平坦で研究には理想的である。ここではモンスーン直前島全体を覆うような大きな雲システムの発達が知られているが、昼過ぎ海陸風の収束域に雲は発達し始め約1時間で雲頂が18kmにも達する雲、Hectorが東西方向に発達する。強い雨と1分間に数百回もの雷をもたらし面白い事に急に雲は南北に並びを変え、ゆっくり西に動く。このHector雲の組織化過程と降水についての研究のためオーストラリア気象局を中心に国際プロジェクトが組織化された。多くの大学・研究所が参加、オーストラリア側ではドップラーレーダ、エ-ロゾンデ、ウインドプロファイラー、ゾンデ観測が行われ、米国もウインドプロファイラーでの観測を行い、我々のグループはビデオゾンデを持って参加した。ビデオゾンデはHector雲内の降水粒子の分布の直接測定を行うもので、このプロジェクトでも大きな比重を持つものである。観測は常にドップラーレーダと緊密な連絡を取りながら行われた。平成7年夏、研究代表者はオーストラリア気象局のJasper氏とMelville島でのSite Surveyを行い、観測地、宿舎、輸送に伴う税関手続きなどについて調査を行った。平成7年10月、約1トンにも及ぶ観測資材を船で輸送、同年11月15日より1ヶ月間、大学院生4名と研究代表者がMelville島での観測を行った。観測は朝7時から夕方まで日曜なしで行われた。内陸の観測地までは宿泊地から車で40分であった。連日35℃を越す暑さで、幸いレンタルの観測室は冷房はあるが、外は蚊やブヨ、ヒルが多い湿地帯であった。気球格納庫を設置、すぐそばに気球飛揚のため水素ボンベを並べた。ヘリウムは高価なためこの予算では購入できなかった。昼過ぎHector雲が発達、真っ黒い雲列が東に現れ、ドンドンという雷の音とともに接近、一旦Hector内に入ると大変である。激しい雨と突風があり雷はすぐ近くに落ち続ける。一度はすぐ10m先に落雷、強電流が地面から流れ、すべての器械を破壊してしまった。日本に連絡を取り、パ-ツを輸送させ修理をしたが、4日間費やした。この激しい雨と雷の中、水素
著者
田原 英一 犬塚 央 岩永 淳 村井 政史 大竹 実 土倉 潤一郎 矢野 博美 木村 豪雄 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.589-592, 2011 (Released:2011-10-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

大柴胡湯が奏効した嘔吐の2症例を経験した。症例1は16歳女性。肺炎で入院中に嘔吐が出現。嘔吐,胸脇苦満などを参考に大柴胡湯を投与したところ,嘔吐は速やかに消失した。症例2は73歳女性。嚥下性肺炎の後,嘔気,嘔吐が出現。嘔吐に対し,胸脇苦満と便秘傾向を目標に大柴胡湯を投与したところ,徐々に消失した。古典条文の上で大量の生姜を含む大柴胡湯は,強力に嘔気を鎮めると考えられる。
著者
木村 みさか 森本 好子 寺田 光世
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.455-464, 1991-10-01
被引用文献数
17 9

一般の高齢者の運動習慣の実態を明らかにし,運動習慣と体力との関連について検討することを目的に,都市在住の60〜89歳の高齢者179名(男子82名,女子97名)を対象に,体力診断バッテリーテストの実施とともにあわせて運動習慣の調査を行い,以下の結果を得た.A.体力診断テストは,全ての項目で年齢と負の相関関係が認められた.B.何らかの運動習慣がある者は,男子87.8%,女子88.5%であったが,その内容は,散歩が最も多く,以下植木いじり,ゲートボール,ラジオ体操およびその他の体操,ハイキングの順であった.C.運動習慣のある者の体力診断バッテリーテストの成績は,無い者に比べ優れた値を示し男子では握力,息こらえ,総合点で,女子では握力を除く全項目で両群間の差が有意であった.D.運動の頻度,時間による各運動条件群間での体力の平均値は,両者とも多い者が少ない者より優れた傾向を示したが,その差は運動習慣のある者の間では比較的小さいものであった.E.はや足程度(RMR3.5)以上の運動を実施している者は,運動習慣の無い者やそれ以下の強度の運動実施者より優れた体力を示した.F.家事等で歩くエネルギーを加えた運動のエネルギー需要量(安静時代謝量を含まない)が多い者ほど体力診断テストの成績が優れていた.本調査では,運動の種類や実施状況によって体力差が認められた.しかし,最も大きな差は,現在,運動習慣があるか無いかにあったことより,高齢者においては体力の低下を防ぐ(あるいは低下を遅らす)ためには,比較的低レベルの身体運動でも有効であることが示唆された.
著者
木村 崇
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.79-113, 2008-03-30

死生観をめぐる問題は、宗教や人文・社会科学だけでなく、文学も独自の立場で取り扱っている。文学における死生観論は個別の作家や作品を扱う研究において展開されることが多い。そのため日露の文学における死生観の比較を行おうとすれば、体系化された見取り図に、膨大な数にのぼる両国の作家や作品を配置し、縦横あるいは斜めに相互比較をして、そこから総括的結論を導き出す作業が必要となる。本論は紙幅が限られているので、そのような方法を採ることができない。そこで筆者は、死生観が典型的な形で現れる状況をいくつか設定し、同様の状況を描いている日露の作品をランダムに選んで並列させて考察することにした。論文冒頭では、この比較方法をめぐって、その肯定的意義が述べられるが、またその限界についても言及される。「1章 肉親や近親者が死んだとき…」では、有吉佐和子『恍惚の人』、A.ソルジェニーツィン『マトリョーナの家』、ドストエフスキー『罪と罰』などを用いて、葬儀や追善供養などの慣習に見られる生者の戸惑い、疑念について分析し、これらの儀式が死者と対峙する人々にとって、なぜ欠かせない行為なのかを考察する。「2章 死後の世界と死ぬまでの世界」ではまず、「あの世」があるのかないのかをめぐって対立する二つの考え方が、日露の文学作品にどのような形で描かれているかを検討する。もちろん取り上げるべき作品は多数に上るが、本論では、トルストイ『戦争と平和』におけるアンドレイとピエールの対話を別に、ロシアにおける無神論的立場と有神論的立場の代表的な例を考察する。そのうえで正岡子規が『病牀六尺』で到達した観点をアンドレイのそれに対置してみる。また、避けることのできない死をどのようにして受け入れるかという問題を、日露の「水生生物」を主人公にした小作品、すなわち井伏鱒二『山椒魚』とサルティコフ・シェドリンの『スナモグリ』を素材に論じている。さらに、トルストイ『イワン・イリイチの死』をとりあげ、思索者トルストイとは異なる小説家トルストイの「死」へのアプローチについて分析する。「3章『死』に至る様々な道」では、無神論的な確信もなければ有神論的な達観もできない生者の迷いを通して、おそらくは大多数の人々がとるにちがいないこの典型的な態度に現れる死生観の「ゆらぎ」の問題を考察している。中心的に扱った作品は夏目漱石『門』である。また後半では「捕虜となる恥辱」よりも「死」が優先された第2次世界大戦時の日本とソ連の兵士の運命を通じて、「生」が限りなく軽んじられる状況における「生への執着」、「死者への思い」の問題を比較している。扱った作品は大岡昇平の『野火』とブイコフの『死者に痛みはない』である。「結語にかえて」では、このきわめて限られた比較作業から何が見えてきたか、また今後同様な比較研究を行うことによってどのような新知見が得られそうかについて、国際会議での口頭報告などに対する聴衆の反応などを紹介しつつ、言及している。
著者
白子 準 吉田 宗弘 押山 直人 和田 康孝 中野 浩史 鹿野 裕明 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.147-158, 2006-09-15
参考文献数
27
被引用文献数
11

半導体集積度の向上にともなう消費電力の増大,集積トランジスタ数の増化に対する処理性能向上の鈍化に対処するため,チップ上に複数のプロセッサを集積するマルチコアアーキテクチャ(チップマルチプロセッサ)が大きな注目を集めている.このようなマルチコアアーキテクチャの能力を最大限に引き出し,高実効性能・低消費電力を達成するためには,プログラムの適切な並列化に加えチップ上のリソースのきめ細かな電圧・動作周波数制御を実現するコンパイラが必要不可欠である.本論文では,各プロセッサコアが等価であるOSCARタイプのマルチコアプロセッサにおいて,各プロセッサの電源のON/OFF・周波数電圧制御(FV制御)をマルチグレイン並列化環境下でコンパイラが適切に判断し低消費電力化を行うコンパイル手法を提案する.提案手法を実装したOSCARコンパイラにより,科学技術計算とマルチメディアアプリケーションに対する評価を行った結果,SPEC CFP95 appluにおいて4プロセッサ使用時に最小実行時間を維持したまま60.7%の消費エネルギー削減,MPEG2エンコーダにおいて4プロセッサ使用時にデッドライン制約を保証したまま82.7%の消費エネルギー削減が達成された.A chip multiprocessor architecture has attracted much attention to achieve high effective performance and to save the power consumption, with the increase of transistors integrated onto a chip. To this end, the compiler is required not only to parallelize program effectively, but also to control the volatage and clock frequency of computing resources carefully. This paper proposes a power saving compiling scheme with the multigrain parallel processing environment that controls Voltage/Frequency and power supply of each core on the multiprocessor. In the evaluation, OSCAR compiler with the proposed scheme achieves 60.7 percent energy savings for SPEC CFP95 applu using 4 processors without performance degradation, and 82.7 percent energy savings for MPEG2 encoder using 4 processors added deadline constraint.
著者
木村 靖二 キムラ セイジ Seiji Kimura
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.64-75, 1996-03 (Released:2012-11-21)
著者
木村 暁 中村 安秀
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.81-90, 2014-06-20 (Released:2014-07-17)
参考文献数
29

目的  途上国では処方箋を必要とする薬剤の販売規制が不十分であり、薬剤耐性の発現という視点からも、抗生物質による自己治療は世界の公衆衛生の大きな問題である。インドネシアにおいては処方箋薬による自己治療は一般的であるうえに危険な偽造医薬品の流通も社会問題となっている。インドネシア首都圏において抗生物質を買い求める顧客の行動様式とそれに対する薬剤師の対応を明らかにし、抗生物質を用いた自己治療に係る要因を考察することを目的とした。方法  南タンゲラン市チプタ地区における地域薬局6店で抗生物質を求めた200名の顧客に出口調査を行った。調査項目は健康保険加入・非加入を含めた一般属性のほか、来店時の処方箋の有無、購入にあたっての薬剤師の指示の有無など構造化質問表を用いた。また薬局に勤務する薬剤師、薬局経営者ら8名に半構造化インタビューを行った。調査項目は一日に抗生物質を買い求める顧客数、そのうち処方箋を持たない顧客の割合、薬剤師の顧客対応、経験した健康被害の有無などとした。調査は2012年5月下旬から7月初めにかけて実施した。結果  薬局に抗生物質を買い求めに来た顧客の48.5% (97/200)が処方箋を持っていなかった。医師の受診か自己治療か、という選択は健康保険の加入の有無と有意に関連していなかった。処方箋を持たない患者が抗生物質を購入するときは飲み残しサンプルを薬局で提示するケースが51.9% (54/104)を占め、家族・友人あるいは薬剤師の推薦などに従うケースに比べて有意に多かった。薬剤師は薬剤耐性とアレルギー発現に留意して問診を行い,処方箋を持たない顧客に抗生物質を交付することは慎重であった。薬剤師は自己治療の問題を軽減するために顧客や地域への働きかけと患者教育が重要であると考えていた。結論  健康保険の加入状況が処方箋の有無及び医師の受診頻度と有意に相関しなかったことは自己治療の選択が経済的要因だけではないことを示すものと考えられた。顧客の自信過剰な態度、飲み残しサンプルでの購入、家族・友人の勧めを薬剤師の勧めに優先させる傾向などから自己治療は限られた経験や情報に基づくヒューリスティックな選択であると同時に限られた選択肢の中でのリスクマネジメントであると考えらえた。  抗生物質は治療効果が短期間で明白となることから高い学習効果と成功体験をもたらして自己治療に好都合である。この成功体験が自己治療の選択行動を強化していることが考えられた。行動変容を促す患者教育は薬剤師の新たな役割と期待される。
著者
木村 修一
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.670-677, 1971-10-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
56
著者
吉野 直行 深尾 光洋 池尾 和人 中島 隆信 津谷 典子 木村 福成 古田 和子 竹森 俊平 和気 洋子 嘉治 佐保子 友部 謙一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1999

1997年に発生したアジア通貨危機は、資本自由化・為替制度・コーポレートガバナンスなど、さまざまな問題に起因している。本研究では、最終年度において、通貨危機に対する各国の対応(資本流出規制)の効果について、理論的・実証的な分析を行い、輸出入依存度の高い経済においては、資本規制も短期的には有効であることが導出された。為替制度のあり方についても、日本の経験、通貨危機の影響を踏まえ、中国の(実質的な)固定相場制をどのように変更することが望ましいか、アジアの共通通貨のベネフィットに関する議論もまとめることが出来た。また、バブルを発生させた各国の銀行行動の分析では、(i)金融機関の数(オーバーバンキング)、(ii)担保価値への影響を与える地価の変動、(iii)経営能力とガバナンス、(iv)地域経済の疲弊などの要因を、クラスター分析で導出した。アジア各国への日系企業の進出では、工業団地の役割について、現地調査を含めた分析をまとめた。日系企業の進出の立地として、労働の質、市場としての魅力を背景とした立地が多いことも、調査により明らかとなった。日本からの企業進出は多いが、海外から日本国内への直接投資は非常に少ない。地価・賃料の高さ、労働賃金の高さ、通信コストの高さなど、アジアにおける日本の劣位も明らかにされた。歴史パートでは、人口成長率の違いが経済発展に与える効果を、タイ・日本について比較分析を行った。COE研究における5年間の研究成果は、海外との研究協力や、海外のジャーナルへの論文発表、国内・海外の学会での発表、国内外での書籍の出版などを通じて、発信することができた。こうした研究成果を基礎に、アジアとの結びつきが重視されている現状も踏まえ、さらに研究を発展させる所存である。