著者
木村 優里 西谷 友樹雄 新井 佑梨 高津 南美子 山本 裕 鴻 信義 小島 博己
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.104-108, 2020-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
16

側頭筋内膿瘍は頸部膿瘍の中でも文献的報告が少なく, 発症病態の詳細はあまり知られていない。 側頭筋は咀嚼筋に含まれ, 上記疾患の症状として開口障害, 側頭部腫脹を呈する。 炎症は咀嚼筋間隙内の咬筋, 内・外側翼突筋や隣接する間隙にも波及することがあり, その波及形式の相違によっても臨床像は多彩である。 顔面痛を主訴に発症した基礎疾患のない側頭筋内膿瘍を経験した。 本邦での頸部膿瘍形成としては下方への波及が典型的であるが, 今回経験した側頭筋内膿瘍では側頭筋に沿って上方へ波及した膿瘍を形成していた。 CT など画像による病巣評価のみならず, 開口障害, 側頭部腫脹といった身体所見に着目することが本症例の病態把握に重要である。 側頭部穿刺, 経口腔的切開排膿, 抗生剤投与で軽快した1例であった。

1 0 0 0 OA テト攻勢再考

著者
木村 哲三郎
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.87-115, 2009
著者
木村 裕介
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

超弦理論に関する研究を進めました。数学の分野である代数幾何学の手法を用いて超弦理論のモデルを調べました。超弦理論は素粒子が点ではなくひも状の物体であるとする理論です。ひも状の粒子は9次元の空間にしか存在できないことが分かっています。私たちの普段目にする空間は3次元ですので、残りの6次元は小さくなり観測を逃れていると考えられています。この6次元空間は数学的に複雑な構造をしており、その上での物理を調べるには高度な数学の手法が必要と考えられます。このような理由から、超弦理論では高次元空間の物理を調べる必要があります。私は代数幾何学の手法を用いて、高次元空間上の物理を調べました。また、超弦理論に関する研究会に参加し、超弦理論への知見を広めることが出来ました。超弦理論の一分野であるF理論で最近、セクションのないモデルに興味が持たれています。セクションのないF理論のモデルは低エネルギー有効理論のゲージ群にU(1)部分を持ちません。私は、K3曲面と呼ばれる複素曲面の直積上の、セクションを持たないF理論のモデルを研究しました。代数幾何学の手法を用いて、調べたセクションを持たないF理論のモデルに現れるゲージ群や物質場を決定しました。これらのモデルを研究をするに当たり、代数幾何学の手法は有効でした。研究結果は論文として発表しました。査読の終了した論文は雑誌 Journal of High Energy Physicsに掲載されました。
著者
田口 和三 木村 聡
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.57-62, 2002-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

オボムコイドは分子量28, 000の卵白に含まれる耐熱性蛋白である.オボムコイド特異的IgEの抗体価測定は, 加熱鶏卵摂取の可否判定に有用とされるが, その陽性率に関する具体的な統計は少ない.そこで我々は検査室に集まる検体を用いて陽性率や関連抗原との相関について検討した.対象には食物アレルギーのアレルゲン検査として, 各診療科より2001年1月から10月に検査センターに検査依頼のあった1778例を用いた.オボムコイド特異的IgE抗体陽性例は724例 (40.7%) であった.年齢別変動では2歳で陽性率がもっとも高く (46.0%) , 以降加齢とともに低下した.また, 健常人50例では, クラス1の抗体価1例であったのみで, クラス2以上の陽性率は0%であった.他の食餌性アレルゲンとの関係では, 卵白で最も高い相関性が認められ (r=0.869) , 以下卵黄 (r=0.861) , ミルク (r=0.574) の順であり, 抗原性の近いアレルゲンで相関性が高かった.また, 卵白とオボムコイドを同時に測定した症例では, 卵白が陽性でオボムコイドが陰性の症例は899例中236例 (26.3%) に認められた.これに対し, オボムコイド陽性, 卵白陰性の検体は687例中24例 (3.5%) にすぎなかった.この結果より, 卵白アレルギーの患者の約4分の1で加熱鶏卵ならば摂取が可能であることが推定された.以上のことから, 卵白, オボムコイドの陽性率には差がみとめられ, アレルギー患者食事指導を行う上で特異的IgE抗体の測定は有効な一指標となり得る可能性が示唆された.
著者
赤坂 庸子 内藤(古谷野) 浩美 神部 芳則 古谷野 千恵 野口 忠秀 松本 浩一 木村 豊 伊藤 弘人 斉藤 嘉一 村石 三紀 大橋 一之 小佐野 仁志
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.36-41, 1996-06-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
23

口腔扁平苔癬と肝機能障害との関連性を明らかにするため, 病理組織学的に扁平苔癬と診断された68症例について, 肝機能との関連を臨床統計的に検討した。(1) 肝機能異常群 (Group 1) は12例 (17. 6%), 正常群 (Group 2) は56例 (82.4%) であった。(2) 性差は Group 2で男性が多く, 平均年齢は差はなかった。(3) 主訴は Group 2に比べ Group 1でしみるが多かった。(4) 既往歴は Group 1で肝疾患, 次いで糖尿病の順で, Group 2では高血圧, 次いで消化器潰瘍であった。(5) 発症部位は両群とも頬粘膜, 舌, 歯肉の順であったが1人平均病変部位数は Group 1は4.8部位, Group 2は2.8部位と明らかに Group 1の方が多かった。(6) 臨床型は Group 1ではびらん型が60.7%と最も多く, Group 2では網状型が多かった。すなわち肝機能異常群はびらん型が多く, 病変が広範囲であることが明らかになった。以上のことから肝機能異常が扁平苔癬の発症・増悪因子として関与している可能性が示唆された。
著者
木村 吉次 Kichiji KIMURA
雑誌
中京大学体育学論叢 = Research journal of physical education Chukyo University (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.1-11, 1996-03-19

The purpose of this study was to investigate the characteristics of medical books found in the Library of Taiso-Denshujo (the National Normal School of Gymnastics). Those books had been relocated to the library at the University of Tsukuba. Results of this study are as follows : 1) As the conception and the method of physical education should have been introduced into Japan from America and European countries at the beginning of the modernization of Japan, the school under the direction of Leland, G. A. tried to purchase the western books of medicine as well as those of physical education. 2) Taiso-Denshujyo changed the curriculam from the education which depended much on the western books to that using Japanese translation in 1871. This change urged the library of the school to get many books of translation. 3) The medical books of Japanese translation began to increase since 1878 and it met the demand of the changing education in the school. 4) The library collected two kinds of western medical books for the student. The one was an academic type of thick book and the other was a popular type of handy book. 5) As regards the western books of medicine used for the text book or reference one, the library had the books published in 1880. It was the early period of the school that the library bought many western medical books. 6) Among the western medical books, E. A. Parkes' A Manual of Practical Hygiene had an important meaning for the making of physical education. Because the book greatly influenced upon the G. A. Leland's lectures of physical education, particularly on the effect of exercise.
著者
木村 康夫
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.947-950, 1997-11-25 (Released:2014-12-18)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
西 将輝 宍戸 哲平 李 欣怡 木村 啓二 佐野 健太郎
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.7, pp.1-6, 2023-03-16

深層学習が様々な場面で利用されるようになり,それと共に学習データや入力データ,推論結果,さらには学習モデルの保護が問題となりつつある.そのため,データを暗号化したまま演算処理できる準同型暗号による深層学習が注目されている.しかしながら,準同型暗号による演算コストは高く,これまでに, 並列化やハードウェアアクセラレータの利用といった様々な高速化手法が提案されている.一方筆者等は,深層学習の推論処理において多くのビット数が必要としないことに注目し,ビット削減版準同型暗号を利用した深層学習推論を提案してきた.本稿ではまず,ビット削減版の深層学習処理を準同型暗号ライブラリ SEAL とSEAL を用いた深層学習フレームワーク HE-Transformer に実装し,Intel Xeon プロセッサ上で評価した.さらに,富士通 A64FX 上でビット削減版準同型暗号を実装し評価を行なった.評価の結果,CryptoNets を用いた MNIST データセットの分類においてオリジナルの nGraph-HE2 に対し Intel Xeon 上で最大で 9.37 倍の速度向上が得られた.また,富士通 A64FX 上で行列積を評価した結果,Intel Xeon W-2145 と比較して,最大 1.08 倍の速度向上が得られた.
著者
木村毅編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
1970
著者
木村 年秀
雑誌
一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会
巻号頁・発行日
2020-09-30

まんのう町琴南地区は人口2,183名、高齢化率48.2%(平成31年4月1日現在)と県内一、高齢化・過疎化が進んだ地域であり、まちそのものがフレイルに陥っていると言っても過言ではない.当地域の後期高齢者を対象とした「食べる楽しみ」に関する聞き取り調査を民生委員の皆さんにお願いしていたところ、仲良しの民生委員長が、「先生、歯が悪いのに足がなくて診療所に行けん人が多いみたいやで!」と教えてくださった.高齢者が移動手段を失うことにより、歯医者にも、買い物にも行けない、そして外出できなくなり孤立する.その結果、フレイル、低栄養となっていく….どうも過疎地域の社会的問題が高齢者の低栄養の根本的な原因となっているようだ.分析結果では、体重減少に影響しているのは「口腔機能の低下」と「食べる楽しみの喪失」.食べる楽しみの喪失に最も影響する要因は「食材調達困難」であった.また、食事が楽しくない理由の回答で最も多かったのは「話し相手がいない」であり、移動手段の喪失に伴う孤立も低栄養に影響していた.高齢者が運転する車の事故が社会問題となっており、免許の自主返納が勧められているが、通院や買い物のための移動手段の確保は過疎地域の大きな課題である.しかし、通院、買い物、孤立の問題は医療の力だけでは太刀打ちできない.他分野と繋がって地域総働で解決に向けた取り組みが必要となる.最近、プライマリ・ケアの分野では「社会的処方」が注目されている.社会的処方とは「社会との繋がり」を処方するということで、イギリスでは、孤独担当大臣という役職が創設されている.高齢化が進展するなか、フレイルへの対応が急務であるが、フレイルの特徴の一つは多面性であり、身体的フレイルに閉じこもりや孤独、うつなどの心理的、社会的フレイルが絡み合っている.フレイル・ドミノの起点は社会性の低下であり、これを解決するための新しい処方箋が社会的処方なのかもしれない.世界で最も高齢化が進んでいる日本では、高齢化そのものよりも高齢者の孤立対策がより重要であり、医療専門職には、「繋がり」を必要とする患者を地域資源に繋げる、社会的処方の機能も期待されている.本シンポジウムでは、当地区における医療介護の連携体制、高齢者の移動手段の確保対策や低栄養対策(診療所送迎サービス、配食サービス、買い物ツアー)など地域の繋がりで進める食支援の実践例を紹介する.
著者
小林 孝 阿部 栄二 阿部 利樹 菊池 一馬 木下 隼人 木村 竜太 村井 肇 小西 奈津雄 岡本 健人 井野 剛志 大屋 敬太 福井 伸
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.26-30, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
5

増え続ける高齢者肺炎の過重な負担で疲弊していく呼吸器内科医師の負担を減らすため,当院では2010年2月より高齢者肺炎症例を全科で分担して診療している。今回,このような状況で整形外科医が行なった肺炎治療の成績を他科での治療成績と比較し,当院のシステムの検証を行なった。2017年11月1日から2018年10月30日までに当院に肺炎のため入院した70歳以上の症例を対象とした。データベースから肺炎の患者を抽出し,これらの症例の転帰,入院日数を科別に比較・検討した。上記期間内に当院に入院した372例を対象とした。年齢は平均85.6歳(70歳~100歳),男214人,女158人,平均在院日数は20.7日(1~107日),288例が軽快して退院したが,84例(29.2%)が死亡退院していた。CAPは143人,NHCAPは229人で診療科間で差はなく(ピアソンカイ二乗検定,p=0.19),A-DROPで評価した重症度にも診療科間で有意差は認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.25)。整形外科入院患者数は30人,年齢は平均86.1歳(71歳~99歳),在院日数は平均19.1日(1~107日)で,27人は軽快して退院したが3人(10.0%)が死亡退院していた。平均在院日数を診療科間で比較すると有意差を認め(ANOVA,p=0.0001),t‒テストを用いたペアワイズ比較では,循環器内科と外科(p=0.03),腎臟内科と脳神経外科(p=0.01),腎臟内科と外科(p=0.0005)の間で有意差を認めた。転帰を診療科間で比較したが有意差を認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.15)。医師の偏在と医師不足の状況下で増え続ける高齢者肺炎に立ち向かうため,専門外の全科が連携して肺炎治療にあたることが重要である。
著者
木村 拓也 Lauro Augusto Cescon Matteo Zanfi Chiara Pinna Antonio Daniele 福澤 正洋
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1883-1891, 2008-11-01
参考文献数
21

イタリアのボローニア大学S'Orsola-Malpighi附属病院で過去7年間に脳死ドナーから成人の小腸単独移植を28例(29移植)に行ったので報告する.方法:原疾患は短腸症候群と小腸機能不全が29移植中27移植(93%)で,移植の適応としては中心静脈アクセスの確保不能,中心静脈栄養に関連した合併症(繰り返す感染症,肝機能障害)が20例(69%)を占めた.免疫抑制剤はdaclizumab,alemtuzumab,antithymocyte globulinのいずれかをinductionに用い,tacrolimusを維持に用いた.Daclizumab投与例ではプレドニゾロンも併用した.結果:患者/グラフトの5年生存率は74%/71%であった.拒絶反応は13例に認め,全例にステロイドパルス療法を,2例にはOKT3を追加投与したが,1例は回復せず,graftの摘出を要した.6例死亡したが(中央値:400日)敗血症3例,アスペルギルス肺炎2例,CMV腸炎による多発穿孔1例とすべて感染症関連であった.生存例22例中19例は中心静脈栄養を必要とせず,経口摂取で生活し,生活の質が保たれていた.考察:成人の小腸単独移植は,induction therapyの導入や適応の選択などで他の臓器移植とほぼ同じ生存率を得ることが可能となってきた.小腸移植は小腸機能不全や短腸症候群患者における有用な選択枝となりえるが,拒絶反応,感染症で失う症例も多く,さらなる工夫が必要である.
著者
鹿沼 俊介 藤野 創太 羽深 昭 木村 克輝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.III_33-III_41, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
26

嫌気性MBRにおけるSRTの延長とHRTの短縮が下水汚泥消化効率に与える影響を明らかにするため,SRTを3条件(30,60,90日),HRTを2条件(30,15日)設定し,各運転条件における糖,タンパク質および脂質の分解率を求めた.それら有機物分解率はSRTが30日の条件に比べ,60日や90日と長い条件において上昇した.バイオガス生成速度はHRT短縮に伴う有機物負荷上昇により,HRTが30日の条件に比べ15日での運転において約2倍に増加した.膜間差圧は最大で41kPaに達したが,比較的内径の大きい中空糸膜を用いてクロスフローろ過を行ったことで154日間膜洗浄および交換を行わずに連続膜ろ過がなされた.運転終了後の膜洗浄の結果,不可逆的無機ファウリングが支配的であった.無機ファウラントとしてCa,PおよびMgが多く抽出された.
著者
山田 陽介 木村 みさか 中村 榮太郎 増尾 善久 小田 伸午
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.461-472, 2007-10-01 (Released:2007-11-22)
参考文献数
35
被引用文献数
17 12

Although skeletal muscle mass decreases with aging, its decrease rate may differ among parts of the body. There have been few studies examining the differences in the muscle mass decrease rate between proximal and distal parts of the limbs or between the left and right legs in a large population. Bioelectrical impedance (BI) index, calculated as the ratio of the square of segment length to impedance, is linearly correlated with the muscle mass calculated by MRI (r=0.902-0.976, p<0.05, Miyatani et al., 2001) in the limb segments. The purpose of this study was to examine differences in the decrease rate of muscle mass between the proximal and distal parts of the limbs and between the upper and lower limbs in healthy Japanese. The BI index was measured in the bilateral thighs, lower legs, upper arms, and forearms of 1006 healthy Japanese men and women (aged 15-97 years). While the BI index decreased with aging in all examined parts of the body, the decrease rate was larger in the lower limb than in the upper limb, and in the thigh than in the lower leg. The percentage of people who showed a difference of more than 10 % in the BI index between the left and right lower limbs was significantly higher in the elderly than in young subjects. These differences in the decrease rate of muscle mass between limbs may be associated with decreases in physical functions in the elderly.