著者
井上 さくら 荒木 徳博 木村 知史
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.127-132, 2001-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

本研究では創造的思考に着目し, 新しい発想を生み出そうとする場合の香りの効果を検討した。実験では創造性検査の一種である用途テストを用い, 「カンヅメのあきカン」の使い方を自由発想で20分間記述させた。用途テスト開始12分後にローズマリー, ペパーミント, オレンジ (以上香り呈示群), 香りなし (統制群) のいずれかを呈示した。回答は, 分類基準に従い, カンヅメのあきカンのもつ容器的使途と類似性の高い発想-Tタイプ-と, 類似性が低く独創的な発想-Hタイプ-の2種類のカテゴリーに分け, 各カテゴリーにおける香り呈示前後の回答数の変化を求めた。香り呈示群と統制群の回答数の変化を比較した結果, Tタイプでは, 香り呈示群と統制群との間に差はみられなかった。一方, Hタイプでは, ローズマリーとペパーミント呈示群は統制群と比較し回答数が有意に増加し, オレンジ呈示群では有意差はなかった。このことより, ローズマリーやペパーミントの香りに独創的な発想を促す効果がみられることが示唆された。さらに, 創造的態度得点の低い人がローズマリーやペパーミントの香りを嗅ぐと, より一層この効果が高くなる傾向がみられた。
著者
長濱 克徳 大久保 成 一條 俊浩 木村 淳 岡田 啓司 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会・九州沖縄産業動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.20-23, 2014-06-30 (Released:2014-07-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

牛第一胃液の温度と体温との関係を明らかにする目的で,第一胃液のpHと温度および体温(直腸温度)の日内変動を検討した.ホルスタイン種去勢牛(5カ月齢,4頭)に乾草あるいは濃厚飼料主体飼料(濃厚飼料)を1日2回給与した.第一胃液のpHと温度は無線伝送式pHセンサーを用い,乾草給与時には給与後7日,濃厚飼料給与時には給与後14日に8時から24時まで10分間隔で連続測定した.直腸温度は直腸式デジタルサーモメーターを用いて1時間間隔で測定した.その結果,朝の給餌後に第一胃液のpHは低下,温度は上昇した.体温は,朝の給餌後に上昇したが,乾草給与時には第一胃液温度に比べて約1.0℃高値で推移し,濃厚飼料給与時には第一胃液温度と近似した値で推移した.第一胃液のpHと体温との間では濃厚飼料給与時に有意(p<0.05)な負の相関,また,第一胃液温度と体温との間では,いずれの飼料給与時でも有意(p<0.01)な正の相関が認められた.体温と第一胃液温度は,乾草および濃厚飼料給与時のいずれも朝の給餌時から夕方の給餌後にかけて上昇する傾向がみられたことから,体温の日内変動は第一胃液温度と密接な関連のあることが示唆された.
著者
菅原 和孝 松田 素二 水谷 雅彦 木村 大治 舟橋 美保 内堀 基光 青木 恵里子 河合 香吏 大村 敬一 藤田 隆則 定延 利之 高木 光太郎 鈴木 貴之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「身体化された心」を軸に、フィールドワークと理論的探究とを統合することによって、社会の構造と実践の様態を解明することを目的とした。フィールドワークでは「心/身体」「文化/自然」といった二元論を克服する記述と分析を徹底し、理論探究では表象主義を乗り超える新しいパラダイムを樹立した。「身体化」に着目することによって、認知と言語活動を新しい視角から照射し、民族誌的な文脈に埋めこまれた行為と実践の様態を明らかにした。
著者
木村 政樹
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.80-95, 2022-05-15 (Released:2023-05-15)

本稿では本多秋五「文芸史研究の方法に就いて」について、文芸の「評価」をめぐる議論を中心に考察した。文芸の「評価」とはなにかという問いは、現在においても解決していない問題であり、こうした視座からみれば、本多の文芸史論は人文社会科学という知について考えるうえで今もって重要である。本多は文芸史に「評価」が必要であると唱えたが、それは「歴史」のなかに複数の「可能性」を探ろうとするものであった。本多はプロレタリア文化運動における「実践」の問題として「評価」を捉えながら、このような文芸史研究のあり方について思考していたのである。
著者
新野 浩隆 横山 明正 神谷 晃央 盧 隆徳 内田 成男 島岡 秀奉 牛場 潤一 正門 由久 木村 彰男
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0296, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】 近年、座位や背臥位での駆動が可能な、アシスト機能付き多機能エルゴメーター(ストレングスエルゴ、三菱電機エンジニアリング社製、以下S-Ergo)が臨床応用され、脳卒中片麻痺患者に対する痙縮軽減や機能改善の運動療法にも応用され、歩行訓練への有効な手段となる可能性がある。我々も健常者におけるS-Ergo駆動時の筋活動について過去の関連学会で報告した。しかし、脳卒中片麻痺患者のエルゴメーター運動時の筋活動や歩行能力変化について検討した報告は数少ない。そこで今回、我々は脳卒中片麻痺患者においてエルゴメーター駆動後の歩行能力の変化について検討を行なったので報告する。【対象】 対象は、当研究に同意が得られた脳卒中片麻痺患者10名(男性7名、女性3名)。平均年齢59.4±15.5歳、発症からの期間は平均1080±1811日であった。内訳としては、脳出血5名、脳梗塞5名、右片麻痺4名、左片麻痺6名、下肢Brunnstrom recovery stage(以下、下肢Brs-st)はIIが1名、IIIが3名、IVが3名、Vが3名であった。歩行能力は全例、近位監視~修正自立レベルであった。【方法】 エルゴメーター駆動前後の10m歩行時の所要時間と歩数をそれぞれ2回ずつ計測。エルゴメーター駆動前2回の歩行時の所要時間と歩数をそれぞれ平均し100%とし、駆動後の値から変化率を算出し、下肢Brs-st毎の平均をとった。S-Ergo駆動は、ペダルを時計方向(以下、正回転)と反時計方向(以下、逆回転)に回転させた2種類の駆動を行なった。駆動肢位は座位で最大膝伸展角度を30°とし、運動負荷はアイソトニックモードで3Nmとした。駆動速度は60rpmとし、ピッチ音によりタイミングを制御した駆動を10分間行なった。なお、各施行は1日以上の間隔をあけた。【結果】 所要時間では、正回転においてBrs-stIIが115%、Brs-stIIIが102%、Brs-stIVが110%、Brs-stVが88%、逆回転ではBrs-stIIが87%、Brs-stIIIが99%、Brs-stIVが95%、Brs-stVが93%であった。また、歩数では、正回転においてBrs-stIIが107%、Brs-stIIIが99%、Brs-stIVが105%、Brs-stVが92%、逆回転ではBrs-stIIが88%、Brs-stIIIが95%、Brs-stIVが95%、Brs-stVが95%であった。【考察】 今回の結果より、全てのステージにおいて逆回転で所要時間・歩数が減少する傾向が見られた。歩数の減少つまり歩幅の増大により、下肢のクリアランスが改善されたことがうかがえ、それに伴い所要時間が減少したとものと考えられた。今後は、各ステージの症例数を増やし、S-Ergo前後での歩行パターンの違いによる検討や、歩行中の筋活動の検討等を行なっていきたい。
著者
澤田 枝里香 淡路 達人 森下 圭介 古川 正紘 有賀 友恒 木村 秀俊 藤井 智子 武市 隆太 清水 紀芳 井田 信也 常磐 拓司 杉本 麻樹 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.375-383, 2008-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

This system is an interface realized with the symbiosis of the input/output of wind and graphics. This system brings the new communication medium of "wind" into the bidirectional interaction between the virtual environment and the real environment by integrating the graphic presentation with the input and output of wind on a special screen. The user can interact with the virtual environment in the screen through his/her breath and wind emission. Conversely, actions from the virtual environment to the user are performed by wind changing dynamically. As a result, the user can share not only sights and sounds but also the cutaneous sensation by wind with the system, and interact with the virtual environment feeling a non-conventional deep relationship.
著者
澤口 拓磨 武田 聖司 木村 英雄 田中 忠夫
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.36-49, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
34
被引用文献数
1 3

It is desirable that the disaster wastes contaminated by radioactive cesium after the severe accident at the Fukushima Nuclear Plant are reused as much as possible in order to minimize the quantity to be disposed of. Ministry of the Environment showed the policy that the wastes containing cesium of higher concentration than the clearance level (100 Bq/kg) were reusable as materials of construction such as subbase course materials of pavements under controlled condition with measures to lower exposure doses. In this study, in order to provide technical information for making a guideline on the use of contaminated concrete materials recycled from disaster wastes as pavement, doses for workers and the public were estimated, and the reusable concentration of radioactive cesium in the wastes was evaluated. It was shown that the external exposure of the public (children) residing near the completed pavement gave the minimum radiocesium concentration in order to comply with the dose criteria. The recycled concrete materials whose average concentration of cesium lower than 2,700 Bq/kg can be used as the subbase course materials of pavements.
著者
金子 尚樹 西澤 英雄 藤本 潤一 七尾 大観 木村 康宏 大和田 玄 森村 太一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.271-274, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
8

低カリウム血症では近位尿細管でのアンモニア産生が増加するため,肝性脳症患者では高アンモニア血症の増悪因子となり得る。ただし,肝不全や門脈体循環シャントがないにもかかわらず低カリウム血症により高アンモニア血症をきたした報告例は非常にまれである。本症例は77歳の脂肪肝患者で,常用薬であった芍薬甘草湯の偽性アルドステロン症による低カリウム血症と,意識障害を伴う高アンモニア血症を認めたが,血清カリウム値の上昇に伴い高アンモニア血症と意識障害も改善した。①低カリウム血症による近位尿細管でのアンモニア産生増加や,②アルカローシスによるアンモニアの血中への移行増加,③慢性低カリウム血症による尿素合成能低下や④脂肪肝による尿素合成能低下によって高アンモニア血症をきたしたと考えられた。したがって,肝機能障害の程度にかかわらず,低カリウム血症と意識障害を認めた際は高アンモニア血症を鑑別する必要がある。
著者
高木 基裕 木村 真 坂口 秀雄
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.131-140, 2022 (Released:2023-06-20)
参考文献数
17

マダコを陸上水槽で交接・産卵・孵化させ,親子鑑定により父性を推定し,繁殖生態を明らかにした。各試験において同一の水槽に雌雄を投入してから交接開始までは14~930秒,雌個体の産卵までは8~140日間,産卵開始から仔ダコのふ化が始まるまでは23~68日間,ふ化期間は6~24日間とそれぞれ期間の長さに差がみられた。雌雄の交接時間は283~6,277秒,雄のアーチ・ポンプの回数は5~25回と個体によって差がみられた。親子鑑定により,マダコにおける複数父性の存在が確認される一方,ふ化仔ダコに占める各父性の割合には差異が確認された。また,今回用いた雌の多くは自然海域ですでに複数の雄と交接し,精子を蓄えていた。各ふ化日ごとの仔ダコの父性の構成割合には大きな差異が見られなかったことから,雌と交接した各雄の精子は交接から産卵までに雌の体内でよく混ざっている可能性が考えられた。
著者
畑中 久美子 木村 博昭 村本 真 加藤 亜矢子
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.113-120, 2016 (Released:2018-12-24)

本論文では、「団子積み」と「練り土積み」と呼ぶ古来から日本にある、湿った土を積み上げる土壁構法に焦点を当てる。本論文の目的は、建築における土壁構法の選択肢を増やす事や、2つの構法の活用可能性を広げることを最終目標と捉え、その第一歩として、今後の建築のための記録を残すことと、2つの構法の違いおよび、版築や2つの構法に類似する土を積み上げる土壁構法に対する位置付けを明確にすることである。「団子積み」と「練り土積み」の施工特性を把握するため、以下の方法で研究を進めた。 1)「団子積み」と「練り土積み」構法の定義 2)「団子積み」と「練り土積み」の検証実験 2つの構法のいずれか、もしくは両方を用いた3つの建築や工作物によるプロジェクトの検証実験について、計画と概要、材料、道具、施工の要領をまとめ、工程、施工日数、人数等を比較、考察する。 3)1)〜2)を総合して、「団子積み」と「練り土積み」を用いた土壁構法の施工特性をまとめる。3つのプロジェクトと使用構法は下記のとおりである。 1.「公園灰屋」における「団子積み」 2.「藁葺き泥小屋」における「練り土積み」 3.「かまど」における「団子積み」と「練り土積み」の混合 検証実験の結果 「団子積み」と「練り土積み」の施工特性をまとめると、①施工速度が「団子積み」より「練り土積み」の方が速かったこと。②土に混ぜる水の量の目安が、「団子積み」の方が「練り土積み」より多かったこと、③土を練る際の藁は、「団子積み」では加え、「練り土積み」は加えなかったこと。などが挙げられた。本研究をとおして明らかになったことは、①「団子積み」「練り土積み」共、建物平面に曲面が多用されている場合は、型枠コストと、造形のしやすさの面で、型枠を必要とする版築よりも優位である。②「団子積み」より、「練り土積み」の方が施工速度が速く、乾燥期間も短いため、総工期を短かくすることができる。③ 1 日の壁の施工可能高さは「団子積み」「練り土積み」共600㎜程度である。さらに、版築や、2つの構法に類似する湿った土を積み上げる土壁構法に対する関係性を図示した。
著者
木村 優輝 嘉名 光市 蕭 閎偉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.975-982, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
14
被引用文献数
4

観光地化が進む都市では、来訪者の増加によって、近隣の人々による利用が低下している地域がある。本研究では、大阪市道頓堀・戎橋筋周辺の街路において追跡調査を行い、街路上の歩行者の行動を把握した。それにより得られた結果を用いてクラスター分析を行うことで、対象地の街路を歩行者の行動の観点から9タイプ、歩行者の属性の観点から6タイプに類型化することができた。これらの街路類型を街路の空間特性と比較することによって、歩行者行動に影響を与える要素を把握することができた。結論として、観光地化が進む都市において、近隣の人々と旅行者が快適に共存し、調和のとれた歩行環境を実現するためには、地区内における歩行者を、地区全体で上手く分担することが求められると考えられる。
著者
本田 進 木村 中 渡部 将伍 山口 瞳
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.39-42, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
13

症例は53歳男性。4年前より背部に疼痛、腫脹、色素沈着があり、排膿することがあった。慢性膿皮症の診断にて他院で外用薬の塗布と抗菌薬の内服による治療を行っていた。改善がないため当院皮膚科を受診し、手術治療の適応と判断され当科に紹介となった。初診時、背部に大きさ11cm×9cmの範囲で点在する茶色の色素沈着と膨隆を認めた。全身麻酔下に病変部を切除し、皮膚欠損に対しては分層植皮術を施行した。病理結果はTufted angioma(房状血管腫)であった。術後8か月、再発はなく経過は良好である。Tufted angiomaは比較的稀な血管内皮細胞性腫瘍である。報告では大半が幼少期に発症するが、成人での発症例もみられる。今回われわれは成人のTufted angiomaの1 例を経験したため、文献的考察を踏まえ報告する。
著者
原田 斉子 冨田 稔 木村 暁夫 香村 彰宏 林 祐一 保住 功 兼村 信宏 森脇 久隆 祖父江 元 犬塚 貴
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.157-160, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

Neurolymphomatosisは脳神経を含む末梢神経,神経根あるいは神経叢へのリンパ腫の浸潤を呈する,臨床的には稀な疾患とされている1).今回,寛解導入後に末梢神経障害をきたし,神経生検によりneurolymphomatosisと診断し得たB cell lymphomaの2例を経験した.悪性リンパ腫の寛解導入後であっても末梢神経障害を呈した場合には,neurolymphomatosisを鑑別に入れ,神経生検を考慮する必要があると考えられた.
著者
荒木 誠一 鈴木 護 藤本 昌俊 木村 誠
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.599-602, 1995-08-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
21
被引用文献数
29 37

ビタミンB2 6.25~100mg/kg を大腸菌接種1日前にマウスに筋注すると, 用量依存的な致死抑制効果が認められた. また, 緑膿菌, 肺炎桿菌, 黄色ブドウ球菌及びアクチノバシルス菌接種に対しても効果を発揮した. 末梢血白血球数の増加, 特に好中球及びマクロファージ数の増加が認められ, ざらにマクロファージの貧食能の亢進が認められた.
著者
花井 雄貴 松尾 和廣 横尾 卓也 大谷 真理子 西村 功史 木村 伊都紀 平山 忍 植草 秀介 草野 歩 小杉 隆祥 西澤 健司
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-10, 2015-01-10 (Released:2016-01-15)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

Hepatotoxicity associated with administration of voriconazole (VRCZ) is a major treatment-related adverse event and in some cases requires discontinuation of therapy. This study aimed to investigate the clinical course and risk factors for VRCZ-induced hepatotoxicity.Demographic and laboratory data were retrieved retrospectively from the medical records of 66 Japanese patients who underwent VRCZ treatment. VRCZ-induced hepatotoxicity was defined as an abnormal increase in liver function tests.VRCZ-induced hepatotoxicity was observed in 30 patients (45%), with 11 (37%) of these patients needing to discontinue the drug. Most of the events were observed within 1 to 2 weeks after the first dose of VRCZ. Of the liver function tests, an abnormal increase in γ-glutamyl transferase tended to occur earlier than changes in the other tests (ie, aspartate aminotransferase, alanine aminotransferase, alkaline phosphatase, and total bilirubin). Multiple logistic regression analysis showed that the trough concentration of VRCZ was a risk factor for hepatotoxicity (adjusted odds ratio = 2.89, 95%CI 1.49-5.59, P = 0.002). Based on this result, a VRCZ trough concentration < 4 μg/mL was considered to be the target for minimizing the risk of developing hepatotoxicity. After discontinuation of VRCZ in patients who developed hepatotoxicity, every liver enzyme abnormality improved within approximately 1 week.In conclusion, this study shows that VRCZ-induced hepatotoxicity may occur early after the initiation of VRCZ therapy. We therefore recommend appropriate adjustments of the starting dose and frequent liver function tests in patients treated with VRCZ, especially during the first 2 weeks.
著者
桐野 豊 木村 哲也 渡辺 恵 川原 茂敬 松尾 亮太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

ナメクジは匂いと忌避性の味覚(キニジンなど)を連合する嗅覚嫌悪学習を行う.嗅覚学習においては嗅覚中枢である前脳が重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,ナメクジの単離脳嗅覚学習系を用いる生理学的測定と分子生物学的解析により,嗅覚学習のメカニズムを解明することを目的とした.単離脳嗅覚学習において無条件刺激となる味覚神経束の頻回電気刺激は,前脳局所場電位振動の振動数を増大させ,同時に前脳バースティングニューロンの興奮とノンバースティングニューロンの抑制を引き起こした.このことから,学習時には大半のノンバースティングニューロンは抑制されることが示された.さらに触角神経束に高頻度の電気刺激を与えると,前脳における誘発電位が2時間以上の長期にわたって増加する,長期増強が生じることが示された.このような長期のシナプス伝達効率の変化が記憶の固定化のメカニズムを担っている可能性が示唆された.条件付けの30分前に体腔内にタンパク合成阻害剤であるアニソマイシンまたはシクロヘキシミドを注射すると、条件付け後2日〜一週間目以降の記憶保持に障害が見られ,タンパク合成が嗅覚記憶の長期的な維持に必要であることが明らかになった。そこで次に学習によって発現誘導される遺伝子をPCR-differential display法によって網羅的に探索した。ニンジンの匂いを条件刺激(CS)、苦み物質であるキニジン溶液を無条件刺激(US)として同時に提示して連合させ、対照群にCSとUSを1時間の間隔をおいて提示したものを用いた。再現性のある発現変化を示した8個の遺伝子について部分配列のクローニングを行った。