著者
本田 洋 松本 義明
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.28-35, 1987
被引用文献数
9

モモノゴマダラノメイガの2系,果実系幼虫とマツ科系幼虫の寄主特異性の比較のために,両系幼虫の寄主植物の有機溶媒抽出物および含有糖類に対する摂食反応を,試料添加のロ紙を幼虫に摂食させる簡易検定法で調べた。<br>1) 両系幼虫ともにそれぞれの寄主植物(スギ葉を除く)の80% MeOH抽出物に対して強い摂食反応を示したが,他の有機溶媒抽出物にはほとんど反応を示さなかった。<br>2) 果実系幼虫はマツ科系の寄主植物であるゴヨウマツの80% MeOH抽出物により摂食を阻害されたが,ヒマラヤスギ,ウラジロモミの同抽出物にはほとんど反応しなかった。<br>3) マツ科系幼虫は果実系幼虫の寄主植物のモモ,クリ,リンゴ果実の80% MeOH抽出物にはいずれも強い摂食反応を示した。<br>4) 果実系の寄主植物のクリにはシュークロースが多量に含まれ,モモ,リンゴあるいはスギ葉にはフラクトース,グルコースが多いがシュークロースは少ない。一方,マツ科系の寄主植物にはいずれもフラクトースが多く,シュークロースはきわめて少ない。<br>5) 果実系幼虫はシュークロースに最も強く反応し,ついでフラクトース,グルコースの順に反応した。また幼虫はソルビトール,イノシトールに弱いながら摂食反応を示したが,マルトースとラクトースでは摂食を阻害された。<br>6) マツ科系幼虫はフラクトースに最も強く反応し,ついでシュークロース,グルコースに反応した。しかし他の供試糖類に対してはほとんど反応を示さなかった。<br>7) 両系幼虫の糖選好性と寄主植物中の糖含有量はほぼ対応していた。<br>8) 以上の結果から,果実系とマツ科系は幼虫の寄主特異性の基礎と考えられる糖類に対する摂食反応が異なり,これら2系は分類学上異なる位置にある集団であると結論される。
著者
野津 湧太 前原 裕之 行方 宏介 野津 翔太 幾田 佳 本田 敏志 野上 大作 柴田 一成
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

Flares on G, K, M-type stars are sudden releases of the magnetic energy stored around the starspots, like solar flares. Recent high-precision photometry from space shows that "superflares", which are 10-104 times more energetic than the largest solar flares, occur on many G, K, M-type stars including Sun-like stars (slowly-rotating G-type main-sequence stars like the Sun) (e.g., Maehara et al. 2012 Nature). Such superflares emit harmful UV/X-ray radiation and high-energy particles such as protons, and may suggest that exoplanet host stars have severe effects on the physical and chemical evolution of exoplanetary atmospheres (cf. Segura et al. 2010 Astrobiology, Takahashi et al. 2016 ApJL). It is then important to know the detailed properties of such superflare events for considering the habitability of planets.In this presentation, we present statistical properties of superflares on G, K, M-type stars on the basis of our analyses of Kepler photometric data (cf. Maehara et al. 2012 Nature, Shibayama et al. 2013 ApJS, Notsu et al. 2013 ApJ, Maehara et al. 2015 EPS). We found more than 5000 superflares on 800 G, K, M-type main-sequence stars, and the occurrence frequency (dN/dE) of superflares as a function of flare energy (E) shows the power-law distribution with the power-law index of -1.8~-1.9. This power-law distribution is consistent with that of solar flares.Flare frequency increases as stellar temperature decreases. As for M-type stars, energy of the largest flares is smaller (~1035 erg) compared with G,K-type stars, but more frequent "hazardous" flares for the habitable planets since the habitable zone around M-type stars is much smaller compared with G, K-types stars.Flare frequency has a correlation with rotation period, and this suggests young rapidly-rotating stars (like "young Sun") have more severe impacts of flares on the planetary atmosphere (cf. Airapetian et al. 2016 Nature Geoscience). Maximum energy of flares and flare frequency also depends on the area of starspots, and this suggest existence of large starspots is important factor of superflares.The statistical properties of superflares discussed here can be one of the basic information for considering the impacts of flares on planet-host stars.
著者
本田 浩子 斉藤 恵美子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.252-259, 2016

目的 発達障害は症状や障害の範囲が広く,外見から障害があることがわかりにくいことも多い。また,乳幼児期から青年期・成人期に進むと発達障害の特性に二次障害による生活障害が加わることも多く,家族の負担が増加することが予測される。そこで,本研究では成人の発達障害者の親を対象として親の負担感に関連する要因を明らかにし,家族への支援について検討することを目的とした。<br/>方法 首都圏で活動している発達障害者の親の会,精神保健福祉センター,発達障害者支援センターを利用している発達障害者(18歳以上)の親125人を調査対象とした。調査期間は2011年10~11月として,無記名自記式質問紙による郵送調査を行った。調査項目は,対象者の基本属性,負担感として日本語版 Zarit 介護負担尺度短縮版(以下,J-ZBI_8),子どもの状況(性別・年齢・診断名・診断年齢・日常生活の状況・二次障害の有無等),家族内外のサポート状況として情緒的サポート(配偶者,配偶者以外の同居家族等),相談者の有無等とした。<br/>結果 有効回答64票を分析対象とした。女性54人(84.4%),50歳以上89.1%,家族人数の平均3.5人(標準偏差1.1,以下 SD),子どもの平均年齢28.9歳(SD 6.6)であった。子どもの診断は,自閉症32人(50.0%),アスペルガー症候群16人(25.0%),広汎性発達障害(自閉症・アスペルガー症候群以外)13人(20.3%)であり,J-ZBI_8 の平均値は12.8(SD 7.2)であった。負担感を目的変数とし,2 変量の単回帰分析で統計的に有意差のあった家族人数,二次障害の有無,日常生活の状況,情緒的サポート(配偶者)を説明変数,対象者の年齢および診断名を調整変数とした重回帰分析を行った。その結果,二次障害がありの方が(P=0.001),また,日常生活の状況として援助が必要であるほど(P=0.041),負担感が高かった。<br/>考察 本研究は,自閉症を中心とした限定した発達障害者の親を対象としており解釈に限界はあるが,親の負担感は,統合失調症や高次脳機能障害などの精神障害者等を介護している家族の負担感とほぼ同様の結果であった。子どもに二次障害があり,また,日常生活の状況として援助が必要であるほど,親の負担感と関連があった。今回の結果から,親の負担感を軽減するために,二次障害への支援と日常生活の状況に応じた援助が重要であることが示唆された。
著者
杉尾 孝 川添 大輔 清水 明彦 神野 寧 横山 昭一 嘉久 和孝 本田 公康 佐野 光宏 中川 英明 馬場 雅浩 久保 次雄 坂本 尚希
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.102-109, 2007

当社は, 現在, 「エコも, 使いやすさも」をコンセプトに商品を提供している.すなわち, 「環境・家計にやさしい」, かつユニバーサルデザイン (Universal Design: UD) として, 「使う人に優しい」商品の開発・販売に取り組んでいる.このような背景の中で, 筆者らは, フィルター掃除の自動化に取り組み, 世界初「フィルターお掃除ロボット」搭載エアコンを開発し, 市場から高い評価を得た.今回, UDの更なる進化として, 新開発の空気清浄ユニット, 除菌熱交換器, 脱臭フィルターを「フィルターお掃除ロボット」と組み合わせることで, 従来, 半年ごと (脱臭フィルター) や3年ごと (空気清浄ユニット) に必要としていたお手入れや, 熱交換器クリーニングなどのメンテナンスを不要とした「10年間手間なしで清潔・省エネ・パワフルなメンテナンスフリーエアコン」を開発した.
著者
本田 直子 杉本 陽子 村端 真由美
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.44-50, 2015-07-20

本研究の目的は、NICUに入院した早産児をもつ母親がわが子を抱いている時の思いについて明らかにし、抱くことの意味を母親の主観から検討することである。対象は早産児をもつ母親で、わが子を抱いている時の思いについて半構造化面接を行い、母親の思いの部分を抽出し、得られた内容をKJ法で分析した。その結果、わが子を抱いている母親の思いは【生きている存在であることの実感から子どもの生きる力の強さや生命力を感じた】【出産から今がつながり、わが子として存在をより近くで実感した】【身体の小さいことや未熟さから、保育器外の環境にいることや成長に心配や不安を持った】【子どもとのつながりが感じられ、母親として自分の存在を自覚した】【子どもを愛おしく思い、子どもと過ごす時間が大切だと感じた】【抱っこは成長の証と感じて前向きな気持ちになった】であった。早産児を持つ母親はわが子を抱いている時に五感で子どもを感じ取ることで相互作用が生じ、母親としての始まりを実感していた。早産児の身体の小ささや呼吸の荒さ、ぬくもりや重みなど子どもが意図して発していないものもサインとして受け取られていた。同時に、抱くことができるという状況から子どもの成長を感じ、今までもてなかった安堵感や前向きな気持ちを感じていた。
著者
日高 隆博 山崎 二三雄 中本 幸一 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2009-EMB-14, no.1, pp.1-8, 2009-07-17

車載ソフトウェアの大規模化に伴って,従来型開発手法による安全性検証が困難となってきている.本研究では,安全性分析手法であるHAZOPを用いてソフトウェア異常検出条件を導出する手法について提案する.また,この異常検出条件を用いたソフトウェア異常監視機構について実装を行い,本手法の有効性について評価を行う.本手法は特にコンポーネント機構を用いたソフトウェアに対して有効であり,また,組込みソフトウェアの制約に合わせた監視条件の設定が容易であることを示す.
著者
本田 まり
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.159-167, 2005-09-19
被引用文献数
1

配偶者死亡後の生殖に関する問題は、生殖補助医療技術が発達した国々において共通に見られる。フランスでは、1994年に制定されたいわゆる生命倫理三法を改正する作業においてもこれが採り上げられ、2004年の生命倫理法に反映された。わが国においては判例上、夫死亡後にその冷凍精子により出生していた子の、死後認知の可否が問題となっている。本稿は、わが国における生殖補助医療関連の法整備にあたり、配偶者死亡後の「医学的に援助された生殖」について検討することを目的とする。フランスの状況について人工授精の事例と体外受精のそれとを区別した上で、法と倫理諮問機関との対立を概観し、法を分析する中から「公序」の内容を探る。さらに、わが国の立法における死後生殖に関する判断基準に対してフランス法が示唆するところを考察する。既に出生した子については現在のところ、その福祉のために、フランスにおいては嫡出性が、わが国においては死後認知が認められているといえよう。
著者
本田 達朗 金原 正幸 酒井 梨名 張 文平 西村 甲 浦田 繁
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.104-112, 2014

【目的】労働で繰り返しの使用により発生したと思われる左肘と左膝の疼痛に対して、M-Testで身体動作をチェックし、動きの制限を改善させる1回の鍼治療で5ヵ月間継続した症状が奏効したので報告する。<BR>【症例】50歳、女性。主訴:左肘内側痛、左膝内側痛。現病歴:2013年7月下旬頃から職場で食用油の一斗缶(18リットルの油)の上げ下げを頻繁に行っていた。同年12月に左肘、左膝の痛みが強くなったため本大学附属鍼灸センターを受診した。仕事で重い物を持ち上げることを繰り返したことが原因の軟部組織疼痛と思われる症例である。<BR> この患者に対して、M-Testを用いて身体上の制限動作をチェックした。制限動作から治療すべき経絡、経穴が導き出され治療を行った。患者の労働での具体的な動作は、左手は一斗缶の金具に指を引っかけ、手関節と肘関節は軽く屈曲させ持ち上げるものであった。また、食用油を鍋に注ぐ際に左手関節は背屈させ、缶を支えていた。M-Testの結果から、(1)左肘関節屈曲・伸展、(2)左肩関節伸展、(3)左股関節内旋・外旋動作の制限動作は労働における動作と関連性があると思われたため、これらをターゲットモーションに設定しM-Test理論に基づく鍼治療を行った。<BR>【経過】初診治療前と再診治療前のVisual Analog Scale (VAS)を比較すると、左肘が90mm→18mm、左膝は80mm→15mm (初診時前→再診時前) でいずれも症状は劇的に改善した。<BR>【考察】M-Testで判明した制限動作は身体上の異常箇所や治療経穴を特定でき、鍼刺激により身体の動きが改善したとともに動作時痛が改善した可能性がある。
著者
〓 世宝 横井 政人 斎藤 規夫 上田 善弘 鴫原 淳 本田 利夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.13-17, 1995-03-30

本研究はこれまでAcerで報告されていないcyanidinn 3-O-[2"-O-(β-D-xylopyranosyl)-6"-O-(α-L-rhamnopyranosyl)-β-D-glucopyranoside] (通称cyanidin 3-xylosylrutinoside) をAcer macrophyllumおよびBegonia semperflorensの品種'F1アンブラ・スカーレット'と'F1アンブラ・ピンク'の銅赤色の春の新葉から単離精製し、その正確な構造をFAB-MSおよび^1H-^1H COSYとDIFNOEを含む^1H-NMR技術によって同定した.その上、このcyanidin 3-xylosylrutinosideのAcerでの分布を調査し、この色素はAcer macrophyllumの主要アントシアニンであることを明らかにした。
著者
本田 慎一郎 鈴木 則夫
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.252-259, 2014-06-30 (Released:2015-07-02)
参考文献数
9

右中大脳動脈領域の梗塞による左半側の視空間無視,左半側身体失認は消失したが,左半側口腔内に特異的な症状が残存した症例について,口腔内に限局した左半側空間無視の可能性について検討した。    症例は64 歳女性右利き。左側口腔内において著明な要素的運動・知覚障害は認められないにもかかわらず,口腔内に挿入した模擬食塊の形状(球,三角錐,立方体)を識別させる物性認知検査を実施すると,口腔内左側においてのみ形状の認知ができないという異常を認めた。その際「左側では模擬食塊が消える」,「左側では模擬食塊が思い浮かばない」,「左側の口蓋の実がない」など特徴的な陳述が得られ,口腔内の描画検査でも異常を疑う所見が得られた。   本例の左半側口腔内に限局した症状は,その原因を各口腔器官の運動・知覚障害,触覚性失認に帰結できない。本例の症状について,口腔内を複数の口腔器官に包み込まれた空間ととらえ,この空間表象が障害された口腔内左半側空間無視として解釈を試みた。
著者
本田 兼基 田中 智久 斎藤 義夫
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2008年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.1075-1076, 2008 (Released:2008-09-03)

炭素繊維複合材料は,優れた性能を有しているがその製造工程は自動化が難しく,生産性が劣るためにコストが高いという課題がある.安価な製造技術が求められており,インライン化,新しい低コスト成形技術を開発する必要がある.そこで,内部加熱などの特徴を持つ高周波誘導加熱技術を炭素繊維複合材料の成形過程に適用する方法について実験的に調べ,その可能性について検討した.