著者
本田 敏雄
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.113-129, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
62

データ収集技術の飛躍的進歩により,説明変数の数pの非常に多い高次元データが得られるようになり,その統計解析が重要な話題となって久しい.そして代表的な解析手法であるLassoなどは,学部生向けのテキストにも紹介されるようになっている.またさらに,説明変数の数pが標本数nの指数オーダーと考えて差し支えないような超高次元データも,統計解析の対象になっている.この解説論文では,生存時間解析でもっともよく使われているといってもよいCox回帰モデルを中心に,(超)高次元の説明変数がある場合の生存時間に関する最近の研究について,著者自身の研究の観点から紹介する.
著者
本田 ゆかり
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.118-133, 2019 (Released:2021-04-26)
参考文献数
17

本研究は,コーパスと統計による客観性を重視した方法で語彙リスト (以下,「読解基本語彙1万語」) を作成することを目的とする。コーパスから語彙の頻度や分布を集計する場合,結果にはコーパスの特徴がそのまま表れる。そのため本研究では,まず,利用するコーパスが日本語教育のための読解基本語彙リスト作成に適したものかを検証し,コーパスを再構成した。そこから語彙を頻度集計し,複数の統計指標によって重要度を定量化し,語彙をランキングした。最後に,日本語教育の観点からランクの再配列と限定的な調整を行った。 このようにして作成した語彙リストを評価するため,テキストカバー率調査を行った。また,「読解基本語彙1万語」と『日本語能力試験出題基準』 (国際交流基金・日本国際教育支援協会編1994,2002年改訂,以下,「出題基準」) とのカバー率比較も行った。その結果,「読解基本語彙1万語」は「出題基準」に比べて高いカバー率を示した。
著者
笠原 和美 DaSalla Charles 本田 学 花川 隆
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S279_1, 2019 (Released:2019-12-27)

ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)は、読み取った脳活動から機械を動かすことで、病気や怪我により失われた機能を代替する技術として注目されている。しかし、BMIの操作能力には個人差があり、上手く使いこなせないケースも多い。本研究は、運動想像に伴うμ波脱同期を用いた脳波BMIの操作能力を計測し、脳構造・機能との関係を明らかにした。健常者30名を対象とし、自身の手のタッピング動作を想像するように指示した。μ波脱同期の強度をオンラインで計算し、カーソルの制御信号として利用した。カーソルの操作能力を変数として、大脳皮質密度との相関を脳構造MRIにより調べた。さらに、脳機能MRIと脳波BMIの同時計測を用い、操作能力の差がある被験者間の脳機能連絡の違いを調べた。その結果、高い操作能力を有する被験者ほど運動想像に関係する補足運動野の皮質体積が大きく、運動野-基底核の運動ネットワークを利用していた。一方、操作能力の低い被験者は、背側前頭前野や前部帯状回など認知的なネットワークを利用していた。本研究で得られた知見を基に、高い操作性を有するBMIの開発が可能と考えられる。
著者
佐藤 由紀子 山﨑 智子 内堀 真弓 大木 正隆 本田 彰子
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.5-13, 2011 (Released:2016-12-27)
参考文献数
20
被引用文献数
3

要 旨本研究の目的は,神経膠腫の外科的治療後に高次脳機能障害を有した患者の生活の再編成の体験構造を明らかにすることである.初発の神経膠腫の手術後,外来通院中で,みずからの経験を語れる計10名の患者を対象に個別面接調査を行った.生活の再編成を構造的にとらえるため,現象学的アプローチの方法論を基に,A Giorgiの記述的現象学的方法を参考にし分析した.分析の結果,16の構成要素が得られ,さらに「高次脳機能障害の受け止めと対応」といった視点で4テーマが明らかとなった.生活の再編成の構造は,〈高次脳機能障害を伴う行為により生じた異和感〉を意識し,〈障害を目の当たりにした感情の揺さぶられ〉をともないながら現状を受け止め,さらに,自分なりの〈障害を持っても生きられる術の探究〉により新たな生活のしかたを見出し,これから先のことを現実的に考えだすことによって〈垣間見える将来〉に至るということであった.神経膠腫の患者は,退院後,特に他者との交流において異和感を感じるが,高次脳機能障害を有したことで,その異和感をすぐに疾患や障害と関連づけて思考することに時間を要し,そのために生活の再編成に難渋するという特徴があった.また,常に再発の不安もいだいており,障害と併せて将来を不確かにしていた.患者が社会の中で孤立せず,主体性ある人生を送るためには,看護師が患者の社会的な人間関係へ一歩踏み込んで人々に理解と支援を働きかける必要がある.
著者
小森 工 本田 晋也
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-158, no.16, pp.1-9, 2023-02-14

組込みソフトウェアの大規模化・複雑化に伴い,高い信頼性を保ちつつ豊富な機能を実装する手法が必要とされている.プロセッサごとに機能を分割して実装する方法はコストや面積,電力等の観点から不利であるため,仮想化技術を利用して同一のプロセッサ上で複数のソフトウェアを動作させる試みが幅広く研究されている.特に ARM 社の TrustZone 拡張は仮想化との相性が良く,アプリケーションプロセッサにおいて仮想化に応用した例は多いものの,マイクロコントローラに対して適用した例は少ない.本研究では TrustZone 機能を実装した ARMv8-M アーキテクチャ上で動作する仮想化環境である SafeG-M を提案する.提案手法は既存のリアルタイム OS に小規模な変更を加えることで実現され,評価実験においてわずかなオーバヘッドで動作することが示された.
著者
野本 保夫 川口 良人 酒井 信治 平野 宏 久保 仁 大平 整爾 本間 寿美子 山縣 邦弘 三浦 靖彦 木村 靖夫 栗山 哲 原 茂子 浜田 千江子 佐中 孜 中尾 俊之 本田 雅敬 横田 眞二 須賀 孝夫 森 典子 下村 旭 金 昌雄 今田 聰雄 田中 良治 川西 秀樹 枝国 節雄 福井 博義 中本 雅彦 黒川 清
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.303-311, 1998-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
24
被引用文献数
25 25

硬化性被嚢性腹膜炎 (sclerosing encapsulating peritonitis, SEP) はCAPD療法における最も重篤な合併症の1つである. 平成7-9年度にわたり, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業慢性腎不全研究班に参加した『CAPD療法の評価と適応に関する研究班』にてこの病態に焦点をあてSEPの診断基準, 治療のガイドラインを作成し検討を重ねてきた. 今回平成7-8年度の成果を土台に1年間経験を各施設より持ち寄りその実際的な問題点を明らかにし, 改訂するべき事項があればさらに検討を続けることを目的として叡知をあつめ, 平成9年度硬化性被嚢性腹膜炎コンセンサス会議を開催した.今回は主に診断指針の見直しおよび治療および中止基準の妥当性に焦点をあて検討し改訂案を作成した. 診断基準に関しては昨年度に提示した定義に根本的な変更点はなかった. しかし, 治療法に関し若干の手直しを行った. 栄養補給は経静脈的高カロリー輸液 (TPN) を主体に行うが, 具体的投与量を提示した. 一部症例にステロイド薬 (含パルス療法) がSEP発症直後の症例に著効を示した症例に加えて, 一方不幸な転帰をとった症例も報告された. また, 外科的腸管剥離についても再検討を行った. 中止基準に関しては一部の手直しと小児症例に関するガイドラインも新たに加えた.以上当研究班で3年余にわたる作業を行ってきたが, 現時点での諸家のコンセンサスを得たSEP診断治療指針 (案) を上梓することができた. しかしながら本病態の多様性, 治療に対する反応性の相違から基本的な治療方針の提示にとどめた. 今後さらに中止基準を含んだSEP予防法の確立や生体適合性の良い透析液の開発が重要であることはいうまでもない.
著者
本田 俊一 荒川 修 高谷 智裕 橘 勝康 八木 基明 谷川 昭夫 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.815-820, 2005 (Released:2005-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
58 63

無毒養殖トラフグに種々のテトロドトキシン(TTX)添加飼料を与える 60 日間の飼育試験を計 5 回実施した。ナシフグ残滓から抽出した粗毒を投与された試験魚は,低用量では皮や肝臓に微量の毒を,高用量では皮と内臓に少量,肝臓と卵巣に多量の毒を蓄積した。毒蓄積率は,水槽飼育の当歳魚で 2 割未満,網生け簀飼育の 2 年魚では 3 割程度で,一旦蓄積した毒は投与を止めても長期間各組織に保持されていた。精製 TTX の投与では,毒の蓄積は粗毒と同程度であったが,ナシフグ残滓を直接投与した場合は,総じて高濃度の毒蓄積がみられた。
著者
小宮山 誠一 本田 博之 池谷 聡 阿部 珠代 中道 浩司 佐々木 亮 竹内 薫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00054, (Released:2023-02-07)

試料搬送用コンベアを備えた近赤外分光装置を構築し,テンサイのショ糖含量を連続的に非破壊迅速評価する機器を開発した.コンベア速度を毎分20m,サンプル間隔50cmとすると,毎分40個の測定が可能である.主要品種を供試して(205個),各試料のスペクトルデータ(2次微分処理)約1nm毎の吸光度を説明変数,ショ糖含量実測値を目的変数としてPLS回帰分析により検量線を作成した.検量線精度評価用試料(183個)のスペクトルからショ糖含量の推定値を算出した結果,実測値と推定値の相関係数r,予測標準誤差SEPおよび二乗平均平方根誤差RMSEは,それぞれ0.918,0.65%および0.65%と良好であった.検量線の精度は,評価指標であるEI値で17.5%と精度・実用性ともに「高い」判定となった.検量線評価用の全サンプルのショ糖含量の平均値を「実測値」と「推定値」で比較すると,両者は同等の値となることが確認された.評価用サンプルから無作為にサンプルを抽出し(2~100個),それらの平均値を求め(1000反復),実測値と推定値の差を算出した結果,1回の抽出個数が多くなる程その差は小さくなった.50個以上抽出した平均値は,概ね0.1%以内の差で推定できた.以上の結果,本法は非破壊,簡易・省力,迅速なショ糖含量評価手法として活用の可能性が示された.
著者
上田 康夫 丸尾 原義 足高 善彦 本田 由佳 深山 知子
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.121-130, 2005 (Released:2005-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【研究目的】1988年以降15年間における本院での母体体重,出生体重の変遷を調査することにより,母体体重増加基準に関する現行日産婦基準の再評価を行った. 【研究方法】1988年1月から2002年12月の間に兵庫県立柏原病院で管理した妊婦3310例を対象とした.これらの妊婦を非妊時Body Mass Index(BMI)によってやせ(BMI<18),標準(18-24),肥満(>24)の3つの体型群に分類し母体体重増加量別に低出生体重児(<2.5kg),巨大児(≧4kg),Light for dates(LFD),Heavy for dates(HFD)および妊娠中毒症(高血圧主徴のみで浮腫,蛋白尿を除外)の発生率を検討するとともに,各体型群での至適体重増加量を考案した.さらに現行の至適増加基準と今回得られた基準の両者を用いて全妊婦を増加過剰,至適,過少の3群に分け,年代別の各群への分布を検討した. 【結果】全体型妊婦での母体体重増加量は1988年の12.0±3.7kg(mean±SD)から2002年の10.0±3.9kgに,一方出生体重も3114±414gから3040±384gに減少し,この傾向はとくに肥満群で著明で,同群での低出生体重児発症も増加した.母体至適体重増加量の検討では,対照とした標準群中7~10kgの母体体重増加群に比べ,やせ群中10kg未満の母体体重増加群での出生体重は減少し,逆に>14kg群ではHFD,妊娠中毒症が増加した.標準群では<7kg群でLFD,低出生体重児が有意に多かったが,13kg以上の群では逆に巨大児,HFDの発症が有意に高く妊娠中毒症の発症率も体重増加につれて増加した.肥満群では>7kg群でHFDと巨大児の発症率が有意に高かった.以上の結果より,やせ群10~14kg,標準群7~13kg,肥満群<7kgという新しい基準域が求められた.現行日産婦体重増加基準による分布において各群とも至適域に入る妊婦は少なく,やせ群では体重増加過少,標準・肥満群では体重増加過剰が多数を占めた. 【考察】1988年以来15年間に母体体重増加量と出生体重はともに明らかな減少傾向を示したものの,現行日産婦基準からは標準,肥満群におけるいっそうの体重抑制の必要性が示唆された.しかし,現行基準における至適域の決定には妊娠中毒症─妊娠浮腫の関与が大きく,結果として妊娠浮腫による体重増加過剰例の存在が各群至適域の上限値を引き下げていた可能性がある.今後本邦での妊娠中毒症分類の変更に応じた新しい至適体重増加基準が広く議論されることが期待される.〔産婦の進歩57(2):121-130,2005(平成17年5月)〕
著者
上田 康夫 丸尾 原義 足高 善彦 深山 知子 本田 由佳 中林 正雄
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.275-286, 2004 (Released:2004-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

【目的】正常および妊娠中毒症母体の妊娠経過に伴う体脂肪(Fat Mass:FM),体水分(Total Body Water:TBW)の動態を生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA)に胎児部分重量補正を加えた妊婦体成分測定系によって明らかにしようとした. 【方法】兵庫県立柏原病院で管理した妊婦358例を対象とし,1)妊娠6週から16週までの正常妊婦66例,2)妊娠末期から産褥期の正常妊婦44例,3)非妊時体型(やせ:BMI<18,標準:18~24,肥満:>24)と妊娠期間中の全体重増加量によって区分された正常および妊娠中毒症関連疾患妊婦290例である.これらの妊婦は健診時に体脂肪計(タニタTBF-410)による両足間インピーダンス測定を行い,FM,TBWを算出した. 【成績】妊娠6週から16週までの体重変化はFMおよびTBWと有意な正相関を示し,FM,TBWの体重に対する比率は前者が57%,後者が29%を示した.正常妊婦での母体体重およびTBW増加が妊娠期間を通じてほぼ一定であったのに反し,そのFMの増加勾配は妊娠前半期に著明で後半期には明らかに抑制された.とくに肥満体重増加不良群でのFMは非妊時レベル以下に下降した(肥満<7kg:1.0±2.1kg).妊娠中の体重増加はTBWよりFMとの相関性が高かったが,産褥1ヵ月間の体重減少は逆にTBWの減少に起因するものであった.一方,中毒症関連疾患のうち中毒症重症(高血圧主徴,純粋型)におけるFMは初期より明らかに減少し36週には-2.6±3.2kgと対照2.8±1.8kgに比べて有意に低値であり,中毒症軽症や妊娠浮腫と対照的であった.他方, TBWは4群とも36週には対照より高値であり,とくに妊娠浮腫重症では6.6±2.4kgと明らかな高値を示し,とくに妊娠浮腫群では体重との相関が高かった.一方,二次元座標系による分析では妊娠浮腫,中毒症軽症が第1象限内を推移し末期には正常>10kg群にオーバーラップしたのに反し,妊娠浮腫重症は後期にTBWが急増し第1象限をY軸方向へ推移した.他方中毒症重症は初期より第4象限を左上方に偏倚した.また,妊娠36週でのFM,TBW増加量による分類によると妊娠浮腫軽症はFM過少-TBW過剰群を除いた8群間に広く分布したのに反し,妊娠浮腫重症はFM過少/正常-TBW過剰群に,中毒症軽症はFM過剰-TBW正常/過剰群に分布した.他方中毒症重症はFM過少-TBW正常/過剰群に局在した.他方,妊娠浮腫軽症と診断した例のうち実際にTBW過剰であったものは37%であった. 【結論】本測定系の応用によって母体体重変化をFMとTBWの2つに分けて把握することが日常診療の場で可能になり,妊娠浮腫軽症という診断自体の不確実性が明らかになった.一方,中毒症重症ではFMの著明な減少とTBWの相反的な増加が特徴的であり,これには同症で観察されるインスリン抵抗性の高まりが関与する可能性が考えられた.さらに,本症ではFM,TBW両者の相反的な変化が相殺されるために母体体重に明らかな変化の現れないことが推測され,従来の体重のみを指標とした妊婦管理の限界がうかがわれた.いずれにしても臨床的にもっとも問題となる中毒症重症の体成分変化が,この妊婦体成分診断法によって妊娠の比較的早期から他の中毒症群と区別しうるという事実は,本法が中毒症の予知,病態診断を考えるうえできわめて重要なものになる可能性を示唆するものと考えられた.〔産婦の進歩56(3):275-286,2004(平成16年8月)〕
著者
大田 えりか 本田 由佳 森崎 菜穂
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、研究代表者が一貫して実施してきた我が国の低出生体重児に関する包括的研究(平成24-25若手B 平成26-28若手B)の知見を基に、妊娠中の女性を対象とした適切な体重増加と食事摂取に関するパッケージを作成し、モバイルアプリケーションを用いた介入を実施することを目的としている。2020年度は、アプリケーションの開発に向けたプログラムをアプリケーション開発業者と議論を重ねながら開発した。エコチル調査を用いた妊娠中の体重増加量に関するデータ解析、アプリケーションのデータベース基盤構築・アプリのコンテンツ開発を実施し、アプリケーションに盛り込むプログラム作成を行った。また、倫理審査と実証調査用のプロトコールを作成した。今回開発しているのは、エコチル調査のコホートデータに基づいた健康な妊婦(基礎疾患のない)を対象とした体型別の週数別適切な体重増加量範囲である。週数別の胎児の出生体重がSGA(small for gestational age)やLGA(large for gestational age)のリスクが高い場合には、もう少し体重を増やした方が良い、または控えたほうが良いなど、体重を入力すると、週数別に個別にアドバイスがでる。
著者
本田 正美
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR MANAGEMENT INFORMATION (JASMIN)
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
pp.219-222, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)

2019年の厚生労働省による「毎月勤労統計調査」の不正など、政府統計の品質に対して疑念が生じる事態が相次いでいる。一方で、総務省統計局は、公的統計に関わる品質保証活動を展開している。本研究は、この公的統計に関わる品質保証活動に焦点を当てる。公的統計に関わる品質保証活動の現状はどのようなものなのか。そして、その課題はどのようなものなのか。総務省統計局が公開している情報を基に事例分析を行う。
著者
本田 直樹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

動物は状況に応じて、より多くの報酬が期待できる行動戦略を獲得することで、環境に適応する。しかしながら、自由行動下の動物が持つ行動戦略を定量化する手法は確立していなかった。そこで本研究では、動物の行動時系列データの背後にある行動戦略を価値関数として推定する逆強化学習法を考案した。そして、線虫の温度走性行動へと適用することで、線虫が持つ行動戦略を明らかにすることに成功した。本手法は神経活動とその表現形である行動戦略をつなぐ基盤技術を提供するもので、今後、動物の行動戦略を司る神経メカニズムの解明に大きく貢献することが期待される。
著者
本田 康二郎 Kojiro Honda
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = Doshisha Shogaku (The Doshisha Business Review) (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.1131-1148, 2021-03-12

軍事研究の核心は兵器や兵器体系の開発にあって、人命殺傷と施設破壊という明確な目的をもち、かつ極度の秘密保持を要求される点に特徴がある。これに対して基礎研究の核心は自然界の理解にあって、研究それ自体が目的であり、発見された知識は公開されるのが原則である。両者は対極にあるように思え、一見すると簡単に結びつくことはないように見える。ところが、戦前の科学技術者である大河内正敏は、これらを大胆に結びつける仕組みを考案した。その舞台が財団法人理化学研究所(1917~1948)であった。