著者
清水 翔太 荒川 弘之 本田 城二 徳森 謙二 藤淵 俊王
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.315-323, 2021-12-28 (Released:2022-03-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Clear radiation protection training and explanation tools for medical staff, patients, and caregivers during radiography are required. In this study, we developed visualization tool of scattered radiation distribution image of each X-ray room conditions. The 400 cases of X-ray room conditions were simulated using a Monte Carlo simulation code, Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS). The simulation conditions were (i) width and depth of the X-ray room (200 cm, 250 cm, 300 cm, 400 cm and 500 cm), (ii) opening or closing of the sliding door, (iii) direction of the X-ray table, (iv) X-ray posture, and (v) with or without protective clothing/shield. The scattered radiation distribution images were published on the Internet. The images are easily accessible on the Internet with selecting each radiography room condition. In radiation protection education, our tool can be used to (a) reduce radiation dose by keeping away from X-ray sources and scattered radiation sources, (b) shield scattered radiation by protective clothing and protective screens, and (c) prevent leakage of scattered radiation outside the room by closing the door of the radiography room. Our tool would improve the efficiency of radiation protection training for medical staff and alerting to patients and caregivers.
著者
川浦 一晃 本田 宗吉 副田 二三夫 白﨑 哲哉 高濱 和夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.5, pp.699-705, 2010-05-01 (Released:2010-05-01)
参考文献数
46
被引用文献数
18 18

We have previously found that antitussive drugs inhibit G protein-coupled inwardly rectifying potassium (GIRK) channel currents in brain neurons. Potassium efflux through GIRK channels causes membrane hyperpolarization, and thus plays an important role in the inhibitory regulation of neuronal excitability. Because GIRK channels are coupled to various G protein-coupled receptors including monoamine receptors, antitussives are possible to affect the levels of various neurotransmitters in the brain. Many currently available antidepressants have been developed based on the monoamine theory for the etiology of depression. We hypothesized that new drugs such as tipepidine may lead to changes in the balance of monoamine levels in the brain resulting in improvement in symptoms of depression. Therefore, we investigated whether or not the drugs have antidepressant activity in the animal models. Male Wistar rats (200-240 g) were used. Tipepidine, cloperastine and caramiphen significantly reduced the immobility in forced swimming test (FST) using normal rats. All drugs had little effect on loco-motor activity. The effects on the forced swimming were inhibited by treatment with AMPT, but not PCPA. Tipepidine also inhibited hyperactivity in olfactory bulbectomized rats. Interestingly, tipepidine also significantly reduced the immobility in FST using ACTH-treated rats which is a model of depression resistant to treatment with antidepressants. Given these results together with cumulated findings, it is suggested that tipepidine may have a novel antidepressant-like action, and that the effect may be caused at least partly through the action on the catecholaminergic system in the brain.
著者
本田 和也 森塚 倫也 伊藤 健大 松尾 彩香 日宇 健 川原 一郎 小野 智憲 原口 渉 牛島 隆二郎 堤 圭介
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10802, (Released:2020-08-31)
参考文献数
40

要旨:日本における脳卒中診療は,患者数増加・高齢化等,多様な問題に直面しており,専門医不足に伴う過重労働や燃え尽き症候群が危惧されている.医師以外の人的資源を有効活用した診療システムが必要であり,高度実践看護の能力を持つ nurse practitioner(NP)はこの診療分野に貢献し得る.NPは医師の指導・協働下に,専門性の高い特定行為や医師業務の代行が可能であり,脳卒中チーム内の多職種ならびに患者・家族間をコーディネートする中核的存在としても活躍している.米国ではすでに半世紀前より,医師の過重労働を予防・緩和する解決策のひとつとして,NP制度が多方面の医療現場で積極的に導入されてきた.NPの能力・技量や果たし得る業務の可能性は,未だ医師の間で十分に認識されている状況ではない.日本版NPは,今後の本邦脳卒中診療システムを改革する医療職として期待される存在である.
著者
田中 厚子 高井 史比古 西川 幸江 本田 孝行 川本 敦子 中島 勇 堀越 節子 小川 隆司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.269-275, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

日本EPI協議会のワーキング活動において,IPランドスケープをテーマに,知財関連の解析手法について研究を行った。テーマとしては炊飯器を題材に,3チームに分かれ,それぞれが異なる炊飯器メーカーを担当した。国内市場をターゲットに分析を行い,市場におけるポジションの確認や,事業戦略,経営層への提言を検討した。各チームでまずは市場における外部要因を確認し,ベンチマークを行った上で,SWOT分析,ファイブフォース分析,ポジショニング分析,特許分析,テキストマイニング,ワードクラウド等の手法を駆使し,それぞれの結論へと導いた。本稿では,研究活動を通して得られた分析手法の知見を紹介する。
著者
本田 ゆかり 投野 由紀夫 野口 芙美
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

JFスタンダードは国際交流基金によって開発されたCEFRに基づく評価基準である。現在、その準拠教材開発と普及が進められている。JFスタンダードに基づく教育では、コミュニケーション能力を到達基準として能力記述文に沿った指導が行われるが、言語機能が優先され、どのような語彙や表現に注目すべきかというような点が曖昧になりやすい。そこで本研究では、タスク遂行に必要な語彙や表現を体系的に示すとともに語彙項目の重要度を明らかにしたい。能力記述文に紐づく語彙や表現の中でも学習優先度を意識し、過剰な重複や見落としを避けることができれば、効率よく学習を進めることができる。
著者
外村 洋一 小野 忠弘 辻 正彦 堀尾 豊 庄野 元 本田 義信 櫛山 三蔵 徳臣 晴比古
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.309-317, 1977-04-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

Kent型WPW症候群3例について,副伝導路不応期の測定を試みた.3例共従来のRapid pacingによってはwide QRS のnormalizationはまったくみられず,ERPAPの測定は不可能でExtrastimulus法で以下のごとき種々の条件でのERPAPの測定を行った.Basic cyclelengthによる変化,およびOuabain ,Procainamide投与前後におけるERPAPの変化を検討した.ERPAPはBCLの短縮に伴い,短縮した.3例共,Ouabain投与後,ERPAPはBCLに関係なく減少を示した.その後,第1例,第3例にProcainamideの静注を行った所,ERPAPが延長した.3例共,心房細動によると思われる頻拍発作の既往を持ち,これに対するDigitalis使用はERPAPを短縮し,頻拍発作をさらに増悪する可能性があるので,注意を要する.
著者
室 伊三男 神谷 陽 本田 真俊 堀江 朋彦
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.91-96, 2007-01-20 (Released:2007-02-27)
参考文献数
7
被引用文献数
6 12

Echo planar imaging (EPI) is highly sensitive to static magnetic field inhomogeneities. The degree of local image compression and stretching is a function of the static field gradient in the phase-encoding direction. This is caused by the accumulation of a phase shift. Any static field shift will lead to a position shift in the image, and it is the regions with large static fields that are the most difficult to correct. We reduce image distortion by SENSE with an array coil. However, we often use a surface coil because we cannot use an array coil in clinical studies. In this case, image distortion becomes greater, and reduction of distortion is very important. For the purpose of this study, we examined the relation between imaging parameters and image distortion. Image distortion of EPI is unrelated to the following parameters: number of phase encodings, half scan, echo time, and diffusion b-value. However, the following parameters influenced image distortion: FOV, number of frequency encodings, rectangle FOV, and multi-shot imaging. Image distortion of EPI is decided by the area of the phase-encoding gradient and the interval of readout gradients. We hope that many institutions will find these data useful.
著者
沢崎 健太 木下 藤寿 平野 修 末藤 俊寿 本田 達朗 茂原 治 向野 義人
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.492-499, 2001-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

企業内労働者における運動器症状への経絡テストを用いた鍼治療の効果と医療費との関連性があるかを鉄材の移動、組立、溶接作業などの動作を繰り返し行う肉体労働職を主体とした有痛者117名を対象として検討した。8週間の治療で痛みが半減した者は頚肩部痛で83%、腰痛で77%、膝痛で88%に達した。心理検査 (POMS) では緊張、抑鬱、怒り、疲労、情緒混乱のスコアが有意に減少した。鍼治療期には運動器疾患の受診は半減し、その健康保険医療費は約1/3となった。終了後も医療費減少は持続し、経絡テストを用いた鍼治療は健康づくりならびに医療費削減に有用と考えられた。
著者
市ノ瀬 有佐 横山 茂樹 山本 乃利男 小野 恭裕 本田 透
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12017, (Released:2021-08-24)
参考文献数
23

【目的】高齢者大腿骨近位部骨折患者において術後3 日間のCumulated Ambulation Score(以下,3-day CAS)と術後2 週時の歩行能力との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】大腿骨近位部骨折患者187 名を術後2 週時の歩行能力で,平行棒以下群99 名と歩行器以上群88 名に群分けした。3-day CAS と患者情報をもとに多重ロジスティック回帰分析を行い,カットオフ値を算出した。【結果】術後2 週時歩行能力の関連因子として,受傷前Barthel Index(以下,BI),骨折型,3-day CAS が抽出された。術後2 週時の歩行器歩行の可否判別におけるカットオフ値は,受傷前BI : 92.5 点,3-day CAS : 3.5 点であった。【結論】術後2 週時の歩行器歩行の可否判別には,受傷前BI,骨折型に加え,3-day CAS が有用である可能性が示唆された。
著者
柴尾 一成 本田 あおい 大木 真
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.734-743, 2016-08-15 (Released:2016-09-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本論文では,クイックソートの概念を利用して効率的に順序関係を調べる新しい相対評価法を提案する.人の主観的な疼痛を客観的な数値として表すことができれば,人の感じている痛みについて他者と共有することができ,医師(医療従事者)と患者との問診を支援することが可能になる.主観的な疼痛を客観的な数値で評価するためには,多くの年代や地域の方,さらには非健常者や妊婦,高齢者の方まで幅広くアンケート評価を行う必要がある.しかし,現状の評価法では,1人当たりにかかる検査時間(1~3時間)が長すぎるため,多くのデータを得ることが難しい.さらに,非健常者や妊婦,高齢者の方に対しては,身体的・精神的な理由から負担の大きい調査の実施が困難である.本論文で提案する整列比較法は,一対比較法の判断の容易さを残したまま,問題点である比較回数と検査時間を大幅に改善できる.また,比較を行う実験刺激の個数に関係なく各実験刺激を定量化する数値化手法についても記述する.これにより,比較を行う実験刺激の個数を調整することが可能となり,より被験者の負担を減らすことができる.
著者
高橋 英章 本田 光 居林 基 斉藤 佳代子 秋野 憲一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.695-705, 2021-10-15 (Released:2021-10-06)
参考文献数
30

目的 札幌市における地域検診および個人・職域を含めたがん検診受診の実態を独自調査によって明らかにすること,がん検診受診率が低い集団を特定し,がん検診受診率を向上させるための施策の基礎資料とすることを目的とした。方法 札幌市在住の40~69歳の男性3,000人および20~69歳の女性4,000人を対象にした自記式質問票による調査を実施した(有効回収率:32.4%)。調査内容は,国民生活基礎調査の健康票のうちがん検診受診に関するものを引用したほか,基本属性,がん関連属性とした。χ2検定またはロジスティック回帰分析を用い,がん検診受診率と基本属性,がん関連属性との関連を解析した。結果 本研究の胃がん検診受診率は男性67.4%,女性48.7%,大腸がん検診受診率は男性59.2%,女性47.7%,肺がん検診受診率は男性66.1%,女性53.4%,子宮がん検診受診率は52.7%,乳がん検診受診率は56.1%だった。 男女ともにすべてのがん種において,就労していない者または国民健康保険に加入している者の受診率が有意に低かった。属性とがん検診受診に関して,就労なしに対する就労ありのオッズ比は,男性3.00~3.09 (肺がん3.00 95%信頼区間:2.09-4.32,大腸がん3.03 95%信頼区間:2.09-4.38,胃がん3.09 95%信頼区間:2.09-4.57),女性1.41~2.46だった。医療保険が国民健康保険の人に比べ,それ以外の保険の人の受診オッズ比は,男性3.47~4.26,女性1.47~2.52だった。また,男女ともに札幌市がん検診の認知度とがん検診受診に女性の胃がん検診を除いて有意な関連がみられ,認知度ありのオッズ比は,男性1.41~1.74,女性1.24~1.48だった。結論 がん検診受診率が50%を下回ったがん種は,女性の胃がんと大腸がんのみであり,とくに男性は胃・大腸・肺すべてのがん検診受診率が50%を超えていた。男女ともに就労していない者,国民健康保険に加入している者,札幌市がん検診(地域検診)を認知していない者のがん検診受診率が低い傾向にあり,国民生活基礎調査のみでは示されなかった札幌市における低受診者集団の特徴が明らかとなった。
著者
本田 悟郎
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.80-86, 2012-11-24 (Released:2018-04-04)

本論では、今日のアートプロジェクトにみられる人々と芸術作品との関わりについて、理論的背景から考察を加えた。特に作品受容の理論のなかでも作品と鑑賞者の関係を捉えた二名の論述から検討をする。アメリカのジョン・デューイ(John Dewey/1859-1952)とイタリアの美学者ウンベルト・エーコ(Umbert Eco l932-)である。また、日本におけるアートプロジェクトの展開を踏まえ、筆者も協力し2010年に栃木県宇都宮市で開催された比較的小規模なアートプロジェクトを一事例に挙げ、考察の対象とする。本研究では、創造性が表現と鑑賞の両面において発揮されることを前提とするが、特に鑑賞においては、美的経験が作用しコミュニケーションが誘発される。このような特徴は通常の作品鑑賞よりもアートプロジェクトに顕著だと言えよう。本研究は、日常の生活と密接な今日のアートプロジェクトにおいて、作品鑑賞の意味がどのようなものに変貌したかを考察し、芸術作品の鑑賞やアートプロジェクトの創造的な価値を根拠づける理論的考察である。
著者
大仲 賢二 小林 直樹 内山 陽介 本田 三緒子 三宅 司郎 小西 良子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.148-156, 2021-10-25 (Released:2021-11-02)
参考文献数
43

漬物に使用される伝統的な4種類の生野菜(キュウリ,白菜,大根,ナス)から分離した乳酸菌(LAB)によるアフラトキシン(AFs)に対する暴露低減効果を調査した.最初に,AFM1との結合能を調べ,各野菜から最も結合率が高いLABを1株ずつ計4株選んだ.選んだ4菌株とAFB1,AFB2,AFG1,AFG2およびAFM1との結合率は,キュウリ由来LABで57.5%~87.9%,白菜由来LABで18.9%~43.9%,大根由来LABで26.4%~41.7%,ナス由来LABで15.0%~42.6%であった.また,キュウリ,白菜,大根およびナスから分離されたLABは,それぞれLactococcus lactis subsp. lactis,Weissella cibaria,Leuconostoc mesenteroides,Leu. mesenteroidesと同定された.さらに胃の中を模した酸性条件下で4菌株とAFM1との結合能を測定したところLABの生菌数は減少したが結合能はいくつかの菌株で増加し,これらの菌株はAFsとの結合能を保持していた.動物実験においてキュウリ由来L. lactis subsp. lactisが血清へのAFB1の吸収を有意に阻害することが明らかになった.以上の結果から漬物(浅漬けとぬか漬け)に使用される野菜に生息するLABがAFsと結合能を持ち,AFsに対する暴露低減効果を有すことが示唆された.
著者
本田正美
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.451-453, 2014-03-11

オープンガバメント及びにオープンデータが世界的な潮流となり、日本でも新たな取り組みが展開されている。オープンデータの推進によって、公開されたデータを利用した新たなアプリケーションが開発されるなど、公共サービスの新たな提供のあり方が構想されているのである。ただし、オープンガバメントの基本的な理念として政府の透明性の向上があり、オープンデータもその一環として位置付けられるものである。本研究では、現在必ずしも透明化が実現していない分野として政治資金の流れに着目する。その流れの一部は政治資金収支報告書に記載され、選挙管理委員会に提出されて、その一部が現状でも電子的に公開されている。本研究では、その公開の現状を確認するとともに、オープンデータの推進の中にあって、あるべき公開の方法や可視化の方法について検討する。
著者
宮本 崇 本田 利器
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.3_41-3_52, 2016 (Released:2016-03-10)
参考文献数
10

著者らは耐震設計用地震動として地震動の集合を代表する波形を用いる手法について検討をしているが、性質の大きく異なる波形を代表する波形を設定することは合理的ではない。この問題を回避するには、類似した地震動波形に分類することが考えられる。本研究では、地震動の性質の非類似度を構造物の非線形応答値に基づいて定量化し、地震動波形の集合をクラスター化する著者らの既開発の手法について、基礎的な有効性の検証を目的とした数値解析を実施する。構造モデルを線形系として提案手法を適用した場合、応答スペクトル形状の異なる地震動波形の集合を提案手法によって適切に分類できることを示した。また、構造モデルを非線形系とした場合は、スペクトル形状とは異なるクラスターが形成されるということも明らかになった。