著者
本田 彰子 正野 逸子 炭谷 靖子 荒木 晴美 赤沼 智子 栗本 一美 菊池 和子 王 麗華 上野 まり 平山 香代子 土平 俊子 川上 理子 藤本 奈緒子 安岡 しずか
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、訪問看護師の継続学習と在宅看護学実習における連携融合教育-学習プログラムを開発し、訪問看護事業所と看護基礎教育機関とのユニフィケーションを推進することを目的に実施した。前半では、連携融合教育-学習プログラムに向けて、訪問看護事業所管理者、在宅看護学担当教員に対する学習支援の実態とニーズの質問紙調査、ヒアリング調査を実施した。後半は、連携融合教育-学習プログラムのモデルにつながる研究交流集会、ワークショップを企画実施した。
著者
加藤 寿和 石川 拓也 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.27, pp.1-6, 2013-03-06

近年,大規模化するリアルタイムシステムにおいて,メモリ保護機能が必要となっており,その実現のためにMMUが使用される.MMUでは,TLBというキャッシュ機構を使用するが,TLBミスの発生を予測することは難しく,そのために,最悪実行時間の予測が困難となる.本研究では,まず,リアルタイムシステムにおいて,TLBミスが最悪実行時間へ及ぼす影響を調査する.次に,その影響を低減させるための,TLBロック機能を用いた改善手法を提案する.そして,評価実験により,提案手法の有効性を示す.
著者
土本 幸司 川島 裕崇 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.8, pp.1-6, 2013-03-06

昨今の自動車の高機能化に伴い,車載ソフトウェアが大規模・複雑になってきている.その結果,ソフトウェア開発のコストが増大し,大規模なソフトウェアを含む車載システムの安全性を確保することが困難になってきている.こうした背景を受け,高い安全レベルを要求される車載ソフトウェアをできる限り少ないコストで開発するためのパーティショニング機構(DefensiveZone)の開発を行なった.DefensiveZoneでは,小規模なハードウェアをマイコンに付加することによって,あるソフトウェアの不具合が他のソフトウェアへ波及しないように保護を行なう.性能評価においては,DefensiveZoneはAUTOSAR OSのメモリ保護機能に比べて半分程度の実行オーバヘッドでソフトウェアの保護を行なえることを確認した.
著者
三浦 功也 太田 貴也 Daniel Sangorrin 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.1, pp.1-6, 2013-03-06

本研究では組込み向け高信頼デュアルOSモニタSafeGを用いた,汎用OSの監視手法を提案・実装した.SafeGは単一の組込みシステム上で,リアルタイムOS(RTOS)と汎用OSを同時実行するために提案・実装された小規模なソフトウェアモジュールである.SafeGを用いてRTOSから汎用OSを監視することにより,汎用OSのカーネルや,既存の監視機構が正しく動作していることを保証することができる.そこで本研究では,SafeGを用いて,RTOSから汎用OSの実行シーケンスの監視を行う機構に着目し,その実装と評価を行うことで,実際に汎用OSの監視機構が実現できることを示した.
著者
本田 卓士 松永 力 金谷 健一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-8, 2012-11-26

空間をわずかに移動する複数の点の移動前後の位置を 3 次元センサーで計測し,どのような並進,回転,スケール変化が生じているのか,あるいは生じていないのかを判断するモデル選択のために,誤差のある 3 次元データにさまざまな運動モデルを最適に当てはめる新しい方法を提案する.これは, 3 次元アフィン変換の部分群が変数にさまざまな内部拘束を指定して得られることに着目して,内部拘束をもつ 3 次元アフィン変換を拡張 FNS 法によって計算するものである.これにより,従来のように運動ごとに別々のパラメータを導入する必要がなく,すべての部分群が同一の方法で計算できる.この手法をステレオ視による 3 次元シミュレーションデータに対する幾何学的 AIC,幾何学的 BIC,幾何学的 MDL を用いたモデル選択に応用する.Given 3-D sensing data of points slightly moving in space, we consider the problem of discerning whether or not translation, rotation, and scale change take place and to what extent. For this purpose, we propose a new method for fitting various motion models to 3-D noisy data. Based on the observation that subgroups of the 3-D affine transformations are defined by imposing various internal constraints on the variables, our method fits 3-D affine transformations with internal constraints using the scheme of EFNS, which, unlike conventional methods, dispenses with particular parameterizations for particular motion models. We apply our method to simulated stereo vision data and show how model selection using the geometric AIC, the geometric BIC and the geometric MDL works.
著者
本田 秀夫 平井 篤志
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.339-348, 1990-09-01
被引用文献数
14

細胞融合は,交配不可能な異種植物間における遺伝子の導入を可能とし,育種上重要な手段を提供している.この際,体細胞雑種の同定,選抜は不可欠のステップであり,アイソザイムパターンの解析をはじめ,様々な方法が用いられている.しかし,それらの多くは,比較的多量のサンプルを必要とすること,特定の種の組み合わせに限られること,あるいは,取扱い上の困難さなどから必ずしも有効ではなかった.そこで,種特異的な塩基配列を持つrRNA遺伝子(rDNA)に渚目し,UCHIMIYAらの方法を基により簡便で能率的な方法を開発を試みた. Brassica, LycopersiconおよびNicotinaに属する植物を材料として用いた.まず,DELLAP0RTAの方法を改良してより微量の葉(100mg)から全DNAを抽出した.この抽出法は,細胞磨砕液からタンパク質や多糖類を酢酸カリウムにより除去し,さらにイソプロパノールによりDNAを特異的に沈澱させるものである.操作は簡単で,塩化セシウムによる超遠心のような複雑な操作は不要であつ,短時間で済み,収量も良く,得られたDNAは制限酵素で切断することが出来た.次に,抽出したDNAの1/50量(葉2mgからのDNAに相当)を適当な制限酵素で3時間処理し,0.7%アガロースゲルで電気泳動を行った.キャベツ,コマツナおよびその体細胞雑種の泳動パターンに示したように(Fig.1a),完全に切断された場合,EtBrで染色したDNAはほぼ均一なsmear bandsとなって現われた.DNAをナイロンメンブレントにトランスファーした後,クローン化されたイネのrDNAを非放射性のdigoxigeninでラベルしたものをプローブとして,バイブリダイゼーションを行った(Fig. 1b).その結果雑種植物は融合親特有のバンドを併せて有することにより,体細胞雑種としての同定が可能だった.トマト栽培種と野生種の組み合わせにおいても同様に同定できた(Fig. 2).
著者
本田 勝久 小川 一美 河本 圭司
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第5部門 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.13-30[含 英語文要旨], 2008-09

小学校での外国語活動の必修化を目前に控えている現在,英語活動に関する多くの研究が行われているが,主たる授業者である学級担任の英語学習に対する考え方(ビリーフ)を調査したものは見られない。そこで,本研究は,まず(1)大阪府下における英語活動の実態を明らかにし,(2)小学校教員の英語学習に対するビリーフを明らかにし,(3)その結果から英語活動への提言を試みた。その結果,小学校教員の英語学習に対するビリーフが外国語活動の必修化に影響を与えていることが検証された。同時に,小学校外国語活動に関する「教員への啓蒙活動の必要性」が浮き彫りになった。English Activities has been implemented in many public elementary schools in Japan. According to the Ministry of Education, Culture, Sports and Technology (MEXT, 2007), 95.8% of the public elementary schools in Japan have implemented English Activities in some ways. There is much research on English Activities such as curriculum, materials, teachers' training programs. More than 90% of homeroom teachers (HRTs) are in charge of English Activities in higher grades as a main instructor (MEXT, 2007). In addition to this, MEXT (2007) stated that Foreign Language Activities is to be a compulsory instruction in the near future and said that the language in the Activities is English with some exception. Moreover, it is said that the best way to implement English Activities is team-teaching included HRTs. From these situations, it is clear that the role of HRTs in English Activities become more important. There are many piece of research on issues about implementing English Activities but little research on what elementary school teachers think toward English. Considering these situations, it is necessary to investigate what elementary school teachers think toward English. Therefore, this paper will find this out from the perspective of beliefs. This paper conducted the research that tried to investigate university students and elementary school teacher beliefs toward English by using questionnaires called BALLI (the Beliefs about Language Learning Inventory). The findings are various; 1) there are many differences between the beliefs of English majors or sub-majors students and those of elementary school majors students; 2) HRTs' role in English Activities will become more and more important; and 3) there are some differences among teachers' opinions about introducing English Activities as a compulsory instruction, and the results of this thesis imply that teacher beliefs have an influence on their opinions. The students who belong to English major or sub-major regard English as a really difficult language, but they think learning English is averagely easy. On the contrary, the students who belong to elementary school education major regard English as an average difficult language, but they think learning English is difficult. In other words, the students who belong to elementary school education major have higher affective filter toward English or learning English. English Activities will become a compulsory instruction sometimes soon, and elementary school teachers will insist on many issues concerning the current situation of English Activities such as the instructors, curriculum, and materials. Of course, these issues are important in order to implement English Activities effectively; however, as this paper found that teachers' beliefs, especially about speaking English, might influence their opinions toward English Activities. For that matter, increasing teachers' confidence in speaking English might liberate from their anxiety about implementing English Activities, which might reduce their resistances toward English Activities.
著者
立花 義裕 本田 明治 竹内 謙介
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.579-584, 1996-08-25
被引用文献数
14

オホーツク海の海氷の1969年から1994年までの経年変動を流氷レーダデータ及び海氷格子データを用いて調べた. その結果, 1989年を境にオホーツク海南部の海氷量が激減していることが明らかになった. また, 冬のアリューシャン低気圧も, 1989年を境に急激に弱まっており, ラグ相関の解析結果からその低気圧の弱まりが海氷の激減に影響していることが示された.
著者
本田 宏
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.8, pp.105-119, 2002-10-31

本稿では,ドイツの原子力政治過程の諸段階を再構成し,運動の挑戦と脱原子力政策とを結ぶ政治過程の軌跡と力学を検討する。主な分析枠組みとなるのは,特定政策領域を長期的な時間枠で包括的に再構成し,そこでの政策転換の契機を捉えるのに有効な,アドヴォカシー連合論である。結論として,ドイツでは1975年のヴィール原発予定地占拠を機に反原発の社会的連合の全国的形成が始まった。その過程で開放的な政治制度の効果が表面化し,また当時の連邦政府与党,社会民主党(SPD)の一部が原子力批判派に加わり,原発発注を凍結に導いた。しかし第二次石油危機後,原子力推進派は巻き返しに転じ,一時的な原発認可再開に成功した。これに対し,脱原子力の連合は対案形成活動,緑の党の結成,さらに緑の党とSPDの連合政治を通じて対抗力を養った。加えて,活発な抗議運動の存在や,原発事故のような促進的事件の頻発により,保守政権下でも原子力推進政策はむしろ緩慢な縮小過程をたどったと言える。
著者
本田 康雄
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
no.13, pp.160-152, 2004-03

大新聞(おおしんぶん)を代表する郵便報知新聞は政府の法令、通達また全国各地、東京府下の出来事(ニュース) を「郵便」で読者に送り「報知」する目的で創刊された。しかし、刊行されると読者大衆の興味は一面の政令の公布や諸県のニュース以上に東京府下を中心とする犯罪、情痴事件の雑報、所謂三面記事に集中した。「雑報」記事の面白さに注目して江戸文化の伝統を伝える浮世絵師と戯作者が「新聞錦絵」を工夫して爆発的な流行を起した。雑報記事を浮世絵に仕立て記事本文を添えたのである。しかし、事件の発生と錦絵の刊行との間には版画作成のための時間の差がある。この時間差を埋めて記事の挿絵の形式で、新聞記事とその錦絵を同時掲載する紙面を創案したのがタブロイド版の小新聞(こしんぶん)(雑報記事を主とする大衆紙)「平仮名絵入新聞」であった。この新聞は多くの読者を獲得し、明治十二年にはこの形式にならって「大阪朝日新聞」が創刊された。
著者
廣瀬 昌博 花田 英輔 竹村 匡正 吉原 博幸 今中 雄一 岡本 和也 中林 愛恵 本田 順一 江上 廣一 津田 佳彦
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

各医療機関には膨大なインシデントレポートデータが蓄積されているが、インシデントによって発生するあらたな医療費、とくにその多くを占める転倒・転落事例とともに一般事例についても追加的医療費を算出するとともに疫学的側面を明らかにすることができた。また、機械学習法を繰り返すことで、インシデントレポートの自動分類や最適に分類される精緻化が可能であることが分かった。
著者
久留島 美紀子 本田 可奈子 豊田 久美子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-96, 2005-03-31

背景 近年、コンピュータの普及により、基礎看護教育において、マルチメディアの導入が盛んに行われるようになっている。我々は、DVカメラとパソコンを使用し、グループ単位で映像を撮影、編集し発表するグループワークを導入するにあたり、その操作方法についての説明会を実施した。目的 説明会・グループワークに関するアンケート調査を実施し、今後の説明会の内容構成の資料とする。方法 本学部一学年の学生62名を対象に、操作方法の説明会を行い、グループワーク終了後、説明会に関するアンケート調査を実施した。得られたデータは統計的に処理した。結果 説明会には33名(54.1%)の参加があった。教員2名で対応したことにより、学生からの質問を受けやすく、また進行状況に合わせての説明となったので、録画、編集ならびに保存の一連の作業を全て行うことができた。アンケートの結果、12名(36.4%)が説明内容を「わかりやすい」、19名(57.6%)が「ややわかりやすい」と回答した。また、説明会がグループワークでの作業に役立ったかについては、「役立った」20名(62.5%)、「やや役立った」12名(37.5%)であった。「あまり役立たなかった」、「役立たなかった」の回答はなかった。結論 説明会の参加者は33名と約半数であったが、学生から積極的な質問が出た。また、アンケート結果より、説明内容のわかりやすさ、グループワークの作業への有効性の両方で高い評価を受け、説明内容が妥当であったことが示された。
著者
栗田 真悟 得平 司 内山 匡将 根来 政徳 福井 浩之 岡本 浩明 谷本 武晴 白井 一郎 本田 侑子 住田 幹男 大園 健二 相原 雅治
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】全人工股関節置換術(以下THA)の術後,中・長期後の合併症で最も問題なのはコンポーネントの弛みである.この原因には、コンポーネントの設置不良や,感染,外傷などと,ポリエチレン摩耗粉によって生じる骨溶解による無菌性の弛みと言われている.今回この無菌性の弛みに影響する因子について調査検討を行った.<BR>【対象と方法】対象は,当院において初回THAを施行され2002年10月~2006年12月までの間に,再置換術を施行した19名26股のうち,複数回再置換術を施行した症例を除き,調査項目(年齢,初回THA手術日,再置換術日,再置換術前JOAscore,関節可動域,筋力,身長,体重,職業歴,Life-Space Assessment,1日の歩行時間,移動形態,趣味,再置換に対するきっかけ)が得られた女性9例11股(初回THA平均年齢は53.0±4.0歳,再置換平均年齢65.82±8.32歳)である.項目はカルテによる調査と電話での聞き取り調査を行った.方法は初回THA手術から再置換術までの経過期間の平均値より早期に再置換に至った症例(以下短期群)と,平均値よりも遅く再置換に至った症例群(以下長期群)と定義し,この2群間における調査項目について比較検討した.統計処理はt検定を用い,有意水準を5%未満とした.<BR>【結果および考察】THA再置換術までの日数の平均値は12.9±5.45年であり,短期群6名の平均年齢61.1±3.6歳,長期群5名の平均年齢74.8±8.0歳,再置換までの平均年数はそれぞれ8.9±1.98年,17.6±4.32年で有意差がみられた(p<0.008).術側JOAscoreにおいて短期群74.7±19.66点,長期群46.4±10.16点であり,短期群で有意に点数が高かった(p<0.016).また,JOAscoreの疼痛の項目に関して短期群31.7±9.83点,長期群19.0±5.48点,車・バスの乗り降りの項目に関して,短期群3.0±1.10点,長期群1.2±1.10点,ADL合計点においても短期群16.0±3.58点,長期群10.4±3.29点と各々の項目で短期群で有意に高かった(p<0.012, p<0.024,p<0.025).術側屈曲筋力MMTにおいて短期群4.5±0.55,長期群3.2±0.84,術側外転筋力MMTにおいて短期群4.3±0.82,長期群3.8±0.84であり,短期群で有意に筋力が高かった(屈曲p<0.031,外転p<0.003).移動形態では独歩,一本杖,二本杖で分類し検討した結果,短期群で有意に補装具が少ない傾向にあった(p<0.047).趣味では毎日スポーツジムに通う,毎日の散歩,年に数回の旅行に分類し検討した結果,短期群で有意に活動量において多い傾向がみられた(p<0.045).しかし,Gunnarらによる研究とは異なりBMIにおいて2群間で有意差はなかった(p<0.367).これらの結果から,短期群では疼痛が軽く筋力も長期群より強いため,ADL能力も高かったと考えられる.また仕事や趣味,さらに移動形態では,より独歩に近いことからも短期群の活動性の高さが伺える.すなわち,今回の調査では活動性が高いことが弛みを助長し,再置換のリスクを高める要因のうちの一つであることが示唆された.<BR>
著者
田辺 信介 國頭 恭 岩田 久人 本田 克久 中田 晴彦
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、野生の高等動物に蓄積している内分泌かく乱物質の汚染と影響を地球的視点で解明し、化学物質の安全な利用と生態系保全のための指針を提示することを目的とした。まず、アジアの先進国および途上国で捕獲した野生の留鳥について有機塩素化合物および有機スズ化合物の汚染実態を調べたところ、PCB等の工業用材料として利用された化学物質は先進国および旧社会主義国で汚染が顕在化しているのに対し、DDTやHCH(ヘキサクロロシクロヘキサン)などの有機塩素系農薬は途上国で著しい汚染が確認された。また、アジア地域を飛翔する渡り鳥は、越冬地や繁殖地で地域固有の汚染暴露を受けることが判明し、南方地域で汚染を受け体内に蓄積した有害物質の影響が、北方地域で営まれる繁殖活動時に現れること、すなわち内分泌かく乱物質の影響は汚染の発生源のみならず遠隔地つまり汚染とは無縁な場所でも発現することが示唆された。さらに、アザラシやカワウを対象に、ダイオキシン類の汚染と影響を検証したところ、毒性の閾値を越えるきわめて高濃度の蓄積がみられ、そのリスクは高いと推察された。CdやHgなどの毒性元素は、陸域に比べ海洋の高等動物で高濃度蓄積がみられ、その細胞内分布や解毒機能の種特異性が示唆された。ところで、鰭脚類や鯨類ではCYP酵素の活性や血中性ホルモン濃度と有機塩素化合物濃度との間に相関関係がみられた。アザラシやカワウの場合、毒性の強いダイオキシン類異性体ほど肝臓に集積しやすい傾向がみられ、AhR関与の毒性に対し本種は敏感であることが示唆された。さらにリンパ球の生育阻害は30-40ng/gの血中ブチルスズ化合物濃度で起こることが明らかとなり、一部の沿岸性鯨類ではこの閾値を超える汚染が認められた。以上の結果を総合すると、生物蓄積性内分泌かく乱物質による野生生物のリスクは水棲哺乳類および魚食性鳥類で高いと推察された。