著者
杉田 善孝
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.35, pp.1-10, 1989-05-15

日本経済新聞社は,日本経済新聞,日経産業新聞,日経流通新聞,日経金融新聞と英文日経の5紙を発行し,マクロからミクロまで内外のあらゆる経済情報を収集し,分析,加工,蓄積している。これらの情報は新聞製作システムANNECS,総合経済データバンクシステムNEEDS,ニュース速報配信システムNEWSに入力,3つのシステムが有機的に結合し総合情報システムとして新聞,データサービス,ニューメディアへと情報を提供している。ここでは,新聞製作システムANNECSについて開発の経過とシステムの特徴を中心に紹介する。Nihon Keizai Shimbun, Inc., commonly known as Nikkei, is the publisher of five newspapers- The Nihon keizai Shimbun, The Nikkei Industrial Daily, The Nikkei Marketing Journal, The Nikkei Financial Daily and The Japan Economic Journal (English weekly). It not only publishers newspapers, but also analyzes, processes and stores in its electronic data bank a full range of economic and business information. Annecs(Automated Nikkei Newspaper Editing and Composing System) is the newspaper production system that utilizes this vest store of information. The system is organically integrated with two other in-house system-NEEDS (Nikkei Economic Electronic Databank System) and News (Nikkei Economic Wire Service), enabling the firm to provide information in three different forms--news papers, data service and electronic media. This introduction focuses on ANNECS's characterics and the process of its development.
著者
杉田 収 中川 泉 濁川 明男 曽田 耕一 室岡 耕次 坂本 ちか子
出版者
室内環境
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.137-145, 2007
被引用文献数
1 3

上越市立小学校の全児童(6才~12才)12,045名を対象に, 化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)様症状を示す児童数を調べるアンケート調査を実施した。またMCSとの関連性が注目されている花粉症, アレルギー,「特に嫌いな臭い」を持つ児童数も合わせて調査した。調査票の回収数は10,348名分(回収率85.9%)であった。調査票で尋ねたMCS様症状は, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班によるMCSの診断基準に記載された症状を, 児童の保護者が回答しやすい症状表記に改変して尋ねた。その結果MCS様症状を示す児童数は979名で回答児童の9.5%であった。また花粉症は19.3%, 花粉症を含むアレルギーは47.6%, 「特に嫌いな臭い」を持つ児童は32.7%であった。<BR>MCSはアレルギーとは異なると考えられているが, MCS様症状を示す児童でアレルギーを持つ児童は63.7%であった。一方MCS様症状を示さない児童でアレルギーを持つ児童は46.3%で両児童群に有意の差があった。同様にMCS様症状を示す児童は「特に嫌いな臭い」を60.5%が持ち, その症状を示さない児童は30.6%であり, 同じく有意の差があった。MCS様症状を示す児童, アレルギーを持つ児童, 及び「特に嫌いな臭い」を持つ児童の割合は, いずれも高学年になるほど上昇していたことから, 小学校児童の高学年ほど化学物質に敏感になっていると考えられた。
著者
久保 章 川本 勝 福島 恒男 石黒 直樹 仲野 明 杉田 昭 山崎 安信 土屋 周二 鴻丸 裕一
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.123-128, 1985 (Released:2009-06-05)
参考文献数
9

潰瘍性大腸炎症例の便中細菌叢を,経時的に検索し,それぞれの病期の推移によりどのような変化を来たすか比較検討した.本症患者14例について,延べ36回便を採取し嫌気性培養を施行し細菌叢を検索した.本症では,罹患範囲にかかわらず緩解期から活動期またはその反対の経過を追って調べると,便中総菌数と嫌気性菌数がほぼ例外なく活動期に著明に減少し,各菌群の中では,BacteroidaceaeとEubacteriumが同様の変動を示した、本症の活動期においてこのような変化を来たす原因として,第1に炎症性変化が強い為,粘膜の恒常性が保たれないこと,第2に腸通過時間の変化により腸管内環境が変化すること,第3に何らかの機序により大腸内の酸素張力の増加,酸化・還元電位の増加がおこっていること,などが考えられた.索引用語:潰瘍性大腸炎,便中細菌叢,嫌気性菌
著者
吉田 阿希 舘 知也 兼松 勇汰 杉田 郁人 野口 義紘 大澤 友裕 安田 昌宏 水井 貴詞 後藤 千寿 寺町 ひとみ
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.49-53, 2018-01-10 (Released:2019-01-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Recently, the use of complementary alternative medicine (CAM) has been increasing in Japan. There are few reports on the use of CAM such as health foods and supplements in cancer patients despite the high interest in it. In this study, we performed a retrospective research to elucidate factors influencing the use of health foods and supplements in cancer patients. The objectives were inpatients diagnosed with cancer at Gifu Municipal Hospital between October 1, 2014 and March 31, 2015. Survey items were age, gender, information on cancer, history of chemotherapy and operation, prescription drugs, and health foods and supplements at admission. A multiple logistic regression analysis was conducted to evaluate the influence of survey items on the use of health foods and supplements. Statistical significance was set at P < 0.05. Patients using health foods and supplements were 5.8% (59/1,012). The use rate of health foods and supplements is significantly high in recurrent patients [odds ratio (OR), 4.83; 95% confidence interval (CI), 2.55-9.15; P < 0.001] and is significantly low in patients receiving operation [OR, 0.363; 95% CI, 0.197-0.667; P = 0.001]. In this study, it was clarified that recurrent cancer patients more frequently use health foods and supplements, and that cancer patients undergoing surgery use them less frequently.
著者
長手 尊俊 杉田 和彦 宮地 純子 宮崎 真奈美 竹市 千恵 小野 武夫 大竹 盾夫 大村 貞文
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.170-191, 1988-07-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

新規マクロライド系抗生物質TE-031の体液内濃度測定法について検討した。検定菌としてMicrococcus lutescs ATCC 9341, 検定培地としてHeart infusion agar (栄研; pH8.0) を用いたペーパーディスク法が最適であった。血中濃度測定には, その標準液としてヒトプール血清 (Consera) を, 尿中濃度測定には, メタノール・リン酸塩緩衝液 (メタノール: 0.02Mリン酸塩緩衝液, pH7.4=4:1) と一部には1/15Mリン酸塩緩衝液を, 組織内濃度測定にはメタノール・リン酸塩緩衝液を用いTE-031の定量が可能であった。各サンプルの調製は各々のサンプルに応じた希釈液を用いて行った。また, TE-031ヒト主要代謝物で最も強い抗菌力を有するM-5も上記と同様の方法にてその定量が可能であり, TE-031とほぼ同様の検量線が得られた。TE-031の測定範囲は0.025~100μg/ml (但し1/15Mリン酸塩緩衝液; 0.2~100μg/ml) であった。また, これらbioassay法は高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いるchemical assay法と良好な相関性を示した。
著者
長手 尊俊 杉田 和彦 沼田 和生 小野 武夫 宮地 純子 森川 悦子 大村 貞文
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.129-155, 1988-07-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

TE-031のin vitroおよびin vivo抗菌力をErythromycin (EM), Josamycin (JM) および他の抗生剤と比較検討し, 次の結果を得た。1. TE-031は, EMと同様の抗菌スペクトルを有し, 好気性グラム陽性菌, 好気性グラム陰性菌の一部 (B. catarrhalis, N. gonorrhoeu, H. influenzae), 嫌気性菌, L型菌およびマイコプラズマに対して優れた抗菌活性を示した。2. TE-031は臨床分離株388株に対して, EMと同等ないしやや強く, JMより強い抗菌力を示した。3. TE-031はEMと同様H.influenzaeに対して殺菌的に作用した。4. TE-031はマウス実験的全身感染症, 皮下感染症および呼吸器感染症に対してEM, JMよりも優れたin vivo抗菌力を示した。
著者
杉田 由加里 水野 智子 横山 徹爾
出版者
千葉大学大学院看護学研究科
雑誌
千葉大学大学院看護学研究科紀要 (ISSN:21859698)
巻号頁・発行日
no.38, pp.39-46, 2016-03

自治体にて生活習慣病予防の保健事業を展開する上で,特定健康診査・特定保健指導等のデータ及びレセプト等を分析し課題を抽出し,保健事業を立案,実施,評価し,次年度の事業計画に役立てるといった,PDCAサイクルを確実に回すことが求められている. 本研究の目的は保健事業を展開する上で,データを分析・活用している取組みの基盤となっている体制づくりに関する条件を明らかにすることである. 研究参加者は7市にて,保健事業の実施に1年以上直接関わっており,保健事業の実施に関する体制づくりについて語れる職員(保健師,管理栄養士)1名以上とし,調査は自治体ごとの半構成的インタビューとした. 筆頭著者の所属大学院研究科の倫理審査委員会の承認を受け,文書と口頭により研究の趣旨,匿名性の保持と途中棄権も可能であること等を説明し同意を得た.体制づくりにおける所属内外の条件として以下の点が重要と考えられた.1. 予算の獲得において関係者からの合意を得やすくするために,分析したデータを説明用の資料に活用する.2. データを分析することと,分析したデータを事業へ活用できる体制となるよう,担当部署の連携を意識して体制を構築していく.3. 医療機関との継続的な体制を維持していけるよう,制度開始時だけでなく毎年,医療機関の医師および事務職にも説明し合意形成を図っていく.4. 業務を委託している場合,委託機関の従事者のオーナーシップを引き出せるように,分析したデータの提示により情報の共有を図る. When developing, in districts, health services that are designed to prevent lifestyle-related diseases, it is essential to analyze data and receipts related to specific health checkups and specific health guidance as well as identify problems. It is also necessary to ensure the continuous operation of the plan-do-check-act. This study aimed to clarify the requirements for developing a system that can serve as a foundation for data analysis/utilization initiatives when operating health services PDCA cycle in districts. This study was conducted in seven cities that are implementing the system. In each of these cities, we surveyed 17 different public health nurses and registered dieticians. Semi-structured interviews were carried out in each cities. The study was approved by the ethics board of the institution to which the first author belongs to. The results suggested that the following are important internal and external requirements forsystem building.1 Using the analyzed data when preparing briefing documents to make it easier to gain budget approval from the government2 Building the system in cooperation with relevant sections/departments, so that it enables analysis of the data and their utilization in health services3 Maintaining a sustainable system of collaboration with medical institutions, obtaining agreement by providing explanations to administrative staff and doctors from the relevant institutions not only when the system is launched but every year4 In the case that administrative work is outsourced, we should share information by presenting the analyzed data in order to encourage a sense of ownership among staff working for the outsourcing organizations
著者
小原 尚 小金井 一隆 辰巳 健志 二木 了 黒木 博介 山田 恭子 荒井 勝彦 杉田 昭 福島 恒男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.245-252, 2018-03-01 (Released:2018-03-28)
参考文献数
32

30歳未満で難治性直腸肛門病変に対して直腸切断術を施行したクローン病17例の臨床経過と予後を検討した.適応となった病態はのべ症例数で,直腸肛門狭窄12例,難治性痔瘻9例,直腸瘻4例,直腸膣瘻2例,骨盤内膿瘍2例,直腸尿道瘻1例,直腸周囲膿瘍1例,aggressive ulceration 1例,痔瘻癌1例であった.これらの病変により,全例,日常生活や就労・就学に支障を来していた.術後は前述の症状は全例で改善し,術前から未就労であった2例は未就労のままであったが,15例(88%)が就労,就学が可能となった.術後合併症は14例(82%)に認め,のべ症例数で人工肛門関連合併症8例,正中創SSI 5例,会陰創治癒遅延3例,性機能障害(術直後)2例,癒着性イレウス2例であった.クローン病の難治性直腸肛門病変に対する直腸切断術は術後合併症があるものの,自覚症状の改善とQOLの向上に有効であり,若年者に対しても考慮すべき治療の選択肢と考えられた.
著者
杉田 収 中川 泉 飯吉 令枝 斎藤 智子 小林 恵子 佐々木 美佐子 室岡 耕次 坂本 ちか子 杉田 靖子 曽田 耕一 濁川 明男
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
看護研究交流センター年報
巻号頁・発行日
vol.17, pp.6-13, 2006-07

化学物質過敏症(CS)発症者の発症原因になった化学物質と,発症者が反応する空気中化学物質との関連性を,空気中の化学物質56項目を分析することで検証した.その結果,発症原因化学物質と思われる一般名テブコナゾール,化学名a-[2-(4-クロロフェニル)エチルトa-(1,1-ジメチルエチルト1H-1,2,4-トリアゾールートエタノールにはヒドロキシル基(-OH)と塩素(C1)が存在した.一方発症者が「入れる建物」と「入れない建物」のそれぞれの空気中化学物質の分析比較から,発症者が反応する空気中の化学物質は,ヒドロキシル基を有するブタノールと塩素を有するトリクロロエチレンであることが推定された.上越市立小学校全児童12,045名のCSに関連する症状について,無記名アンケートによる実態調査を行った.回収数は10,348名分(回収率85.9%)であった.CS診断基準では主症状5項目,副症状9項目,さらに眼球運動や化学物質の微量負荷試験などの検査が取り入れられているが,ここでは一般市民向けアンケート用であることから「検査」を省略し,診断基準に準じた症状の13項目について,それぞれ「大いにある」「ある」「少しある」「全くない」の選択肢で調査した.各項目について「大いにある」「ある」を「症状あり」とした場合は,主症状2項目・副症状4項目以上,及び主症状1項目・副症状6項目以上の児童は21名(0.2%)であった.一方「少しある」を加えて「症状あり」とした場合は618名(6.0%)であった.
著者
仲田 善啓 井上 敦子 杉田 小与里
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.61-68, 1999 (Released:2007-01-30)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

シグマ(σ)受容体は中枢神経系に存在し,ハロペリドールやコカインなどの向精神薬物がそのリガンドになりうること,精神分裂病患者で受容体数の減少および遺伝子の多型が観察されたことから,精神機能に関与していることが示唆されている.しかしσ受容体の生理的機能については未だ不明な点が多く,思索の域をでない状態であるといえる.σ受容体には2つのサブタイプ(σ1,σ2)が見い出され,σ1受容体はそのcDNAとゲノムが複数の動物種でクローニングされている.σ受容体の中枢神経系での機能を明らかにする目的で,モルモットおよびラットにハロペリドールを慢性投与し,σ受容体結合活性とσ1受容体をコードするmRNAを定量解析した.その結果,ハロペリドールは,σ1,σ2両受容体に同等の親和性を有しているにもかかわらず,慢性投与により,σ1受容体結合量は減少したが,σ2受容体結合量は変化しなかった.この結合量減少作用はモルモットにおいてラットより著しく大きく観察された.また,モルモットとラットにおいてσ1受容体mRNAはハロペリドール慢性投与により影響を受けないことが明らかになった.以上の結果より,σ1とσ2受容体はin vivoにおいて異なった機構により制御されている可能性が考えられた.また,ハロペリドールによるσ1受容体結合量の減少は受容体の遺伝子からの転写活性減少によるものではないことがわかった.さらに,モルモットとラットのσ受容体に対するハロペリドールの作用の相違から,ハロペリドール投与による臨床効果を考える上で代謝産物のσ受容体への影響を考慮すべきであることが示唆された.
著者
杉田 学
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

【はじめに】薬剤の使用は現代医学では不可欠なものであり,その有効性と毒性・副作用については治験結果をもとに強く認識されている。一方で,治験結果から危険性を認識するように警告するようになっていても,使用する患者や医師の認識不足によって重篤な病状をおこしたり,稀と言われている副作用に遭遇したりすることもある。本発表では実際に経験した症例を2例提示し,非臨床/臨床治験を行う側と臨床で使用する医師側,それぞれの問題を考察する。【症例1】29歳男性,4年前から統合失調症で某病院精神科通院中。某日,心肺停止として当院へ救急搬送。来院時心肺停止状態,心電図は心静止,瞳孔は両側散大。直ちに心肺蘇生術を開始し,病着後10分で心拍再開しICU入室。来院直後の血糖値は854 mg/dL,血漿浸透圧は373 mOsm/L,血液/ガス分析ではpH6.558, HCO<SUB>3</SUB>-7.8 mmol/L, BE-35.4と高血糖,高浸透圧血症,代謝性アシドーシスを認めた。心停止に至る原因が他にすべて否定され,糖尿病性ケトアシドーシスによって心停止に至ったと考えた。患者に糖尿病の既往はなく,前医に問い合わせたところ1ヶ月前にOlanzapineが開始され,薬剤開始後2週間,1ヶ月後(今回の来院3日前)の採血で既に高血糖,多飲・体重減少の高血糖を示唆する所見があったにも関わらず主治医は認識していなかった。本症例を含め同薬と因果関係が否定できない重篤な高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス,糖尿病性昏睡が9例(死亡例2例)報告されたため注意喚起がなされ,本邦での発売元は同薬剤を,糖尿病患者やその既往歴のある患者への投与を禁忌とした。【症例2】79歳男性, 意識障害を主訴に来院。高血圧,慢性腎臓病,糖尿病で降圧剤,Vildagliptinを内服。来院時の意識はJCS3-R,簡易血糖測定で34 mg/dl,Whipple3徴を満たしたため低血糖性昏睡と診断。DPP-4阻害薬は作用機序から血糖依存性に作用するため低血糖発作のリスクは低いとされるが,本症例の如く単独でも低血糖となり得る。【考察】症例1では医師側の認識不足が,症例2では稀な副作用が,重篤な病態を起こした。開発現場と臨床現場それぞれで情報を密にやりとりすることが必要であり,非臨床/臨床治験の結果を紐解く作業が臨床現場にも求められる。
著者
飯吉 令枝 杉田 収 佐々木 美佐子 丸山 雄一郎 佐藤 一範 稲野 浩一
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
新潟県立看護短期大学紀要 (ISSN:13428454)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-32, 1996

血液透析患者の高いアルミニウム値と脳症,骨症との関係は知られている。新潟県立中央病院(上越市)で血液透析を受けている患者76人に対して,血清アルミニウム値を調べたところ,14名(18%)にアルミニウム高値者が存在した。そこで,患者が日常生活においてアルミニウムを取り込む原因となるものについて調査を行った。その結果,アルミニウム高値患者は透析年数が15年以上の患者と,アルミニウム化合物を含む市販薬(バファリン,太田胃酸,熊の胆等)の服用者に見られた。また高値患者の1人は,アルミニウムが多く含まれていたウーロン茶を飲用していた。日常飲用している水道水にもアルミニウムが含まれるが,その含有量は浄水場によって異なり,城山浄水場からの水道水が高値を示した。さらに,古いアルミニウム製品からアルミニウムが多く溶出することも分かった。
著者
諸田 智克 はやぶさ2ONCチーム 杉田 精司 澤田 弘崇 本田 理恵 亀田 真吾 山田 学 本田 親寿 鈴木 秀彦 安藤 滉祐
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.48-53, 2015

はやぶさ2に搭載された光学航法カメラ(ONC:Optical Navigation Camera)はその名の通り探査機のナビゲーションの役目を担うカメラであるが,科学観測においても中心的な役割を果たす.本稿では特に小惑星の力学進化過程の復元に向けた,ONC地形観測の戦略について紹介する.
著者
杉田 菜穂
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
2018

<p>戦後日本の政策論議に生産年齢人口の<質>という観点を導入したのは,大来佐武郎(1914-1993)である。官庁エコノミストとして知られる大来は,1961年からの10年間で名目国民所得を倍増させることを目標に掲げた所得倍増計画(1960年)作成の中心人物であった。この計画は,経済的な発展だけでなく福祉や職業訓練,教育といった社会的な発展に対する政府の責任を重視したという点で経済計画におけるひとつの転機となった。その背後には,生産年齢人口増加率の低下という問題意識がある。1961年に『人間能力の開発:現代の国富論』という書名でエリ・ギンズバーグの<i>Human Resources: The Wealth of a Nation</i>の翻訳を出版した大来は,アメリカの人的資源開発をめぐる議論にいち早く注目し,その観点を経済計画作成にも取り入れた。それは,1960年代以降の日本における社会的発展を考慮した経済的発展という政策基調の起点となった。本稿は大来に焦点を当てて,戦後日本におけるマンパワー・ポリシーをめぐる議論の史的経緯を明らかにする。</p>