著者
杉田 穏子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.54-66, 2011

本論文は,障害の個人的経験をもディスアビリティに組み込もうとする社会モデルに立脚し,知的障害のある人の人生の語りを通して,ディスアビリティ経験(社会の側の態度や対応)が彼らの自己評価に与える影響について,共通するパターンを見いだし社会福祉実践への示唆を得ようとするものである。6人の女性の語りからは,学齢期のいじめや本人意思の無視,就労期のつらい仕事や失職といった社会の否定的な態度や対応が否定的な自己評価の積み重ねを招き,閉じこもりにも至るが,福祉サービス選択時に自己選択・決定できる機会の提供という社会の肯定的な態度や対応がなされると肯定的な自己評価に一転し,さらにひとり暮らし支援やアドボカシー役の提供でいっそう自己評価を高めるというパターンが見いだせた.これは,社会福祉実践面では,教育や福祉サービスの場の選択時,事前体験やていねいな聞き取りによる本人意思の関与が最重要であることを示唆している.
著者
杉田 大輔 宮崎 剛 彌山 峰史 小久保 安朗 内田 研造 馬場 久敏
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.1160-1163, 2011-10-01

過去10年間に観血的治療を施行したピロン骨折17症例(平均年齢49.4歳、男性14例、女性3例)の治療成績を検討した。受傷機転は転落・転倒が9例、交通事故4例、側方からの重量物による圧挫損傷が2例、スポーツ外傷が2例であった。術前の軟部組織の評価では、Tscherne分類のgrade 0~1が9例、grade 2が3例、grade 3が2例であった。手術はプレートあるいはスクリューを単独または併用した観血的骨接合術を施行し、平均経過観察期間は3.8年であった。OvadiaのX線学的評価ではgood11例、fair5例、poor1例、主観的評価ではexcellentもしくはgood11例、fair4例、poor2例、客観的評価ではexcellentもしくはgood10例、fair4例、poor3例であった。合併症は感染2例、骨癒合不全5例であった。
著者
杉田 茂樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.29-37, 2014

<p>最近ほぼ10年の間に,国立情報学研究所CSI委託事業等を背景として,国内の数多くの大学で機関リポジトリが設置された。各大学の担当者は,経験のない機関リポジトリ構築という業務に,海外先行事例などを参考に積極的に取り組み,学内の認知度向上とコンテンツ増進のためのさまざまな手法を開発してきた。今日では,電子ジャーナルの発展をはじめとしたインターネット利用の普及によってやや希薄となった研究者との重要な接点のひとつとなっている。</p>
著者
小久保 安朗 大木 央 杉田 大輔 中嶋 秀明
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.405-412, 2016-04-25

はじめに 仙骨骨折は,交通外傷や高所からの転落などによる高エネルギー外傷により発生し,骨盤輪骨折の23%に伴うと報告されている12).著者らの施設において,完全不安定型骨盤輪骨折の27%に仙骨骨折を伴っていたが,仙骨横骨折は全骨盤輪骨折224例中5例(2%)とまれであった20).不安定型骨盤輪骨折は高エネルギー外傷により発生するのに対し,仙骨横骨折は転倒などの比較的小さい外力でも発生することがある.また,最近は非常に軽微な外力で発生する骨脆弱性骨盤骨折が注目されており高頻度に仙骨骨折を伴うが,高エネルギー外傷で発生する仙骨骨折とは骨折の機序が大きく異なるため,同一の骨折として論ずることはできない.一方,仙骨骨折の約半数に神経損傷を伴うとの報告4)も存在する.本稿では,高エネルギー外傷に伴う仙骨・尾骨骨折の診断と治療について論述する.
著者
久保 勝俊 杉田 好彦 前田 初彦
出版者
日本レーザー歯学会
雑誌
日本レーザー歯学会誌 (ISSN:09177450)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.174-178, 2009-12-01 (Released:2012-04-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2

Since the laser was developed in 1960,its applying to optical communication and medical practice has been investigated well. There are many kinds of dental laser and more than twelve of them are used in Japan. High-energy lasers are useful in producing coagulation necrosis in target tissue with a subsequent reaction in the surrounding tissue. Various biostimulatory effects of low-energy laser irradiation have been reported that it acts on regeneration healing, fibroblast and chondral proliferation, collagen synthesis, nerve regeneration. It is used in odontotherapy for diseases of hard tissue and soft tissue, periodontitis and peri-implantitis. The usage rate of a dental laser is 30% of dental clinics in Japan and 60% of them use a laser with carbon dioxide gas. In this paper, we describe the carbon dioxide whether promote the wound healing or not. The laser is used for a lot of medical treatments now. Moreover, the laser is used for not only the treatment; its usage also has been increased for diagnosis and prevention of the disease. Especially, its research and development progress rapidly due to applying to the odontology for medical treatment.
著者
松田 慶士 千葉 宣孝 杉田 篤紀 馬渡 貴之 水落 美紀 野村 悠里 渡邉 和宏 齋藤 豪 櫻井 淳 木下 浩作
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.229-233, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
10

症例は40歳代, 男性。意識を消失し, 駅構内の階段から転落したため救急搬送された。来院時, 意識レベルは改善していたが, 特異的な顔貌, 眼瞼下垂, 前頭部脱毛, 全身の筋萎縮を認めた。血液検査で炎症反応の上昇があり, 胸部X線・CT検査では肺炎像を認めたが, その他の検査で意識消失の原因となる所見はなかった。搬送時の身体所見から筋強直性ジストロフィーを疑った。把握ミオトニア, 叩打ミオトニア試験は陽性。針筋電図検査でミオトニー放電を認め, 急降下爆撃音を聴取した。遺伝学的検査で, ミオトニンプロテインキナーゼ (DMPK) 遺伝子のCTG反復配列を約600リピート認めたため, 筋強直性ジストロフィー1型と確定診断した。筋強直性ジストロフィーは多彩な症状を示し, 場合によっては意識消失し死に至ることもある疾患である。意識消失発作は, 救急診療で多く遭遇するが, 本症例のような比較的稀な疾患が隠れている場合があることも念頭に置くべきと考える。
著者
宅間 永至 杉田 幸二郎 真木 寿之 伴 良雄 佐藤 温
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.343-355, 1988-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
42

未治療の原発性甲状腺機能低下症61例を対象として, 無選択的に筋障害について神経学的面から検討を加えた.1) 筋脱力感を89%に訴え, 動作緩慢80%, 他覚的脱力51%, 筋肥大89%に認めた.深部反射の弛緩相の遅延 (Lambert徴候) は92%, mounding現象71%, 異常感覚は46%が訴え, 他覚的感覚障害は25%に認めた.2) 筋症状の程度に関係なく, 大腿四頭筋生検材料を用いて組織学的検索 (21例) を施行し, 全例に筋原性変化を認めた.その内容は筋線維の大小不同16例 (76%) , 筋鞘核の増加11例 (52%) , 中心核13例 (62%) , リンパ球浸潤6例 (29%) , ムコ蛋白沈着4例 (19%) であった.21例中17例の組織化学検索では, ミトコンドリア異常はsubsarcolemmal hyperactivity5例 (29%) , moth eaton所見4例 (24%) に認めた.Small angulated fiber, 小群集萎縮は21例中12例 (57%) , そのうち, 明らかなneuromyopathy例は3例 (14%) であった.3) 甲状腺機能重症度を血中T4値およびTSH値から判定し, その重症度を組織学的筋障害程度と対比して検討した結果, 組織学的筋障害程度とは関連性がみられなかった.4) 甲状腺機能低下症の罹病期間と組織学的筋障害程度の関連をみると, 罹病期間が短い症例は筋組織病変が軽度であり, 10年以上の症例は高度な筋原性変化に加えて神経原性変化の混在所見も高率となった.5) 筋線維タイプ別分類からみると, 17例中16例 (94%) はタイプII線維数の占める比率が, タイプI線維より高いか, 同率であった.また, タイプII線維の萎縮が8例 (47%) と多く, タイプ1線維の萎縮を2例 (12%) , 筋組織病変が高度になると両型線維の萎縮を3例 (18%) に認め, atrophy factorも高値となった.肥大筋線維はタイプI線維の肥大を2例, 両型線維の肥大を1例認めた.6) 腓腹神経の検索 (6例) では有髄神経線維数の減少, 節性脱髄, endoneurial fibrosisが主体で, 軸索の変化は軽度であった.7) 髄液検査 (21例) では蛋白増加を10例 (48%) に認め, 筋生検施行例 (13例) では髄液圧亢進, 蛋白量増加は筋組織上の神経原性変化とは関連がなかった.筋電図 (23例) は15例 (65%) に異常を認め, 15例中筋原性パターン13例 (87%) , 多相性電位8例 (53%) , 高振幅電位3例 (20%) で, 罹病期間が長期例では神経原性パターンが高率にみられた.末梢運動神経伝導速度は, 正中神経 (16例) で2例 (13%) , 脛骨神経 (7例) で2例 (29%) に遅延を認めた.
著者
中野 常男 橋本 武久 清水 泰洋 杉田 武志 三光寺 由実子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,不正会計・財務に関連する歴史的事件を取り上げ,それぞれの事件が持つ歴史的意義を分析した。対象となる国,時代はイギリス(南海泡沫事件,東インド会社),オランダ(チューリップ狂事件),フランス(ミシシッピ会社事件),アメリカ(公益事業会社規制)と様々で,それぞれ歴史的重大性を持つ事件である。それぞれの事件において会計の持つ役割は決して主導的なものではないが,不正会計の事件においては会計の持つ道具性が強調されたことを明らかとした。
著者
西岡 千文 杉田 茂樹 山中 節子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

本稿では2018年2月にカリフォルニア大学サンディエゴ校,同ロサンゼルス校,カリフォルニア工科大学,南カリフォルニア大学の大学図書館で実施したインタビュー調査に基づき,米国の大学図書館でのオープンアクセスならびに研究データ管理の支援について報告する。
著者
服部 真一 杉田 明史 平賀 伸夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.1-4, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1

小学校5年生理科「電磁石の性質」の単元末に,既習の知識を全て活用して,課題を解決できる教材の開発を行った。それを用いて,実際に授業を実践し,授業記録や授業中に書いたワークシートから,知識が活用できたか分析した。その結果,本教材は知識活用できる電磁石教材の1つとして効果があることが確かめられた。
著者
恵沢 敏成 井上 裕 村田 勇 高尾 浩一 杉田 義昭 金本 郁男
出版者
Hindawi Publishing Corporation
雑誌
International Journal of Medicinal Chemistry (ISSN:20902069)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.7530480, pp.1-14,

The purpose of this study was to evaluate the physicochemical properties of piperine (PP) in ground mixtures (GMs) of PP with α-, β-, or γ-cyclodextrin (CD) under conditions of humidity, heat, and humidity-heat. In solid-state fluorescence measurements, the fluorescence maxima for GM (PP/αCD = 1/2), GM (PP/βCD = 1/1), and GM (PP/γCD = 1/1) were observed at 463, 472, and 469 nm, respectively. On the other hand, the humidified GMs exhibited maxima at 454, 460, and 465 nm, while the humidified-heated samples displayed fluorescence maxima at 455, 455, and 469 nm, respectively. Therefore, the molecular behavior of PP with α, β, and γCD was concluded to vary upon the coordination of water molecules. NIR and solid-state fluorescence measurements revealed that the molecular behavior of PP inside the α, β, and γCD cavity changed by water and heat factors depends on the mobility of the methylenedioxyphenyl group.This is an open access article distributed under the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited.
著者
杉田 公一 洲崎 春海 増田 成夫 周 明仁 野村 恭也
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.47-53, 1990-02-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
8

Methods and findings of target image CT of olfactory clefts and ethmoid cells of the patients suffered from olfactory disturbance were presented with clinical cases, and the importance of target image CT was discussed. Scannings were made bidirectionary, coronary view and axial view. Five cases with olfactory disturbance such as parosmia, cacosmia, hyposnia caused by commoncold and anosmia caused by chronic sinusitis were presented. Anatomy of ethomoid cells and olfactory clefts was very complicated and mechanisms of olfactory disturbance have not been completely proved, therefore better resolution of target image CT than the conventional methods and observations from two directions could provide more precise and three dimentional information. This examination was very useful for the diagnosis of the place and the degree of the pathological change causing olfactory disturbance. Furthermore, when the endonasal surgery was applied to the treatment of the disease, the evaluation of the local anatomy by CT was very important.